常識人は衰退しました   作:makky

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(・ワ・)ひさしぶりのとうこうでふでがのったです
(・ワ・)もういちわくらいでしゅうがくりょこうへんはおわりそうです
(・ワ・)なんとかきょうじゅうにはかきおえたいですな


だいじゅうさんわでした

 ――もっと早くに気が付くべきだった

 

 シネマ村のどこを探しても見つからないクリストファーを必死に探しながら、あたしは自分のマヌケさを恨んだ

 あいつらと出会って初めてといっていい遠出に気が抜けていただけじゃない

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()、その楽観視があたしの判断力を狂わせていた

 

 (どこだ?どこだ?どこではぐれた?シネマ村に来るよりもっと前?そもそも今日はぐれたのか?)

 

 昨夜の時点では確かにいた、寝る前に全員の確認をしてから眠りにつくのが決まりとなっていたからだ

 今朝の時点では…分からない

 一昨日の一件でもだいぶ頭を悩ませていたが、昨日1日だけでもあたしの理解力を超えた情報を抱え込んでいた

 

 (万が一道端で逸れていても、こいつらならよほどのことがない限り大丈夫…でもどこではぐれたのか分からねぇと探しようがない…くそっ!)

 

 おそらくシネマ村より前ではぐれたのは確実だが、このまま探し続けていても見つかる可能性は低い

 それに班行動中に勝手な行動をするとメンバーに迷惑をかけちまう

 

 (落ち着け…やみくもに走り回ってもドツボに嵌るだけだ…落ち着いて考えるんだ)

 

 虫のいい話とは思いつつ、聖遺物で探すほかない

 そう思って頭の中のあいつらに話しかけようと思い――

 

 「……」

 

 「おぉっ?!」

 

 顔を上げた先にいたレイニーデイに驚き、凄まじい速さで後ずさってしまった

 

 「…?」

 

 「待て、ちょっと待て…ただ驚いただけだ…あぁ…」

 

 息を整えながらずれたメガネを戻す、神出鬼没とはレイニーデイのためにあるような言葉だなと思いながら

 

 「はぁ…ふぅ…よし、あたしに何か用か?」

 

 「…みんな移動するって」

 

 「あー、OKすぐ行く」

 

 クリストファーのことが心配だが、とりあえず聖遺物を落ち着いて使える場所に行くまでは一旦置いておく他ない

 

 (待ってろクリストファー、すぐに見つけ出すから)

 

 ――後にして思えばこの判断も甘すぎたんだろう

 もっとあたしが真剣に考えていれば、また違った結果になっていたかもしれないのに――

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 あの後結局旅館に戻るまで聖遺物を使う機会はなかった

 もしかしたらと思い旅館内も探したが、クリストファーを見つけることはできなかった

 

 夕食前の自由時間にようやくあたしは以前使った『ひょっこりペン』を取り出し、クリストファーの名前を書き込む

 浮き上がってきた文字は――

 

 「…『関西呪術協会本部』?」

 

 どこだそれ、と思っているとさらに後ろに文字が浮かび上がる

 

 「近衛の実家…ってなんで近衛の名前が?」

 

 近衛の実家が京都なのは知っていた(というか普段から地元の言葉遣いだしな)が、なぜそれがクリストファーと――

 

 

 

 『あしたの班行動、ぼーや達と一緒にすることにしたのでな』

 

 

 

 「あ…?」

 

 なんでマクダウェルの言葉が…いや待て

 

 新幹線内でのネギ先生の不自然な動き

 京都に到着してからの妨害工作

 近衛の誘拐未遂

 別行動だったはずのネギ先生がシネマ村に現れた一件

 近衛のあの現象

 

 「近衛の身に何かあってそれにクリストファーが巻き込まれている?…!!!!」

 

 空き部屋を飛び出して()()()()()ネギ先生と神楽坂たちの所に向かう

 5班――神楽坂や近衛たちの班の部屋を開ければ、普段と異なりふにゃふにゃしているクラスメートとネギ先生がいた

 

 あたしはそれを気にせず懐から聖遺物――『ピコピコハンマー』を取り出すと

 

 「――しっかりしねぇかコラァッ!!」

 

 ネギ先生の頭を斜め45度で思い切り殴った

 

 「はれ?はれれれれ?」

 

 混乱しているネギ先生だが、そんなことお構いなしに詰め寄る

 

 「答えろ先生!!()()()()()()()()()()!!」

 

 「い、今は近衛さんの実家の関西呪術協会に…」

 

 「…!!クソッやっぱりかよ!!」

 

 聞きたくなかった最悪の答えを聞いてあたしは踵を返し――ついでにその場にいた()()()()()()()()()もぶん殴って正気にさせて――部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

 「……頭を殴ただけで式神がまともになてるネ」

 「あれっておもちゃのハンマーですよね?それで殴られただけでああなるなんて」

 「魔力は…やはり検出なしカ、古いテレビを殴たノリでズレた呪術を修正してしまうとはネ」

 「こんな現象初めて見ました、いえ私自身魔法に触れて日は浅いですが…」

 「ワタシも初めてだヨ、しかし長谷川さんはずいぶん焦ていたネ」

 「何か探し物をしているみたいですが…」

 「それをネギ坊主たちの誰かが持ていると踏んで…古菲や真名も行てしまたし、()()()()()()()()()()()()ということだろうネ」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 関西呪術協会本部――

 

 事前に学園長――関東魔術協会会長・近衛近衛門から親書を受け取っていたネギは、修学旅行4日目にようやく目的を果たすこととなった

 

 数多の妨害を乗り越え、仮契約者の明日菜と(直前までネギたちは知らなかったが)協会本部が実家の木乃香、その護衛刹那に途中で合流したエヴァンジェリンと茶々丸、そしてなぜか付いてきてしまったクラスメート――朝倉和美・綾瀬夕映・早乙女ハルナ・宮崎のどか――を引き連れて関西呪術協会会長にして木乃香の父「近衛詠春」との面会に臨んだ

 

 「ふん、じじいに小言を言われるほどに下の連中をまとめられんとは『サムライマスター』の名が泣くな?詠春」

 「…耳の痛い言葉です」

 

 親書の中身を改める詠春に、正座をし腕を組みながらエヴァンジェリンが小言を投げかける

 

 「あれ?エヴァちゃんうちのお父様知っとるん?サムライマスター?」

 「昔色々とな、深くは聞かん方がいいぞ」

 

 じじい――近衛近衛門と詠春が木乃香に自身の秘密を隠している理由を知っているエヴァンジェリンは、あえてそれを伝えることはしなかった

 自身に利することがないのも大きいが、ここに来た理由を考えれば下手ないざこざを起こすのも面倒であったからだ

 

 「詠春、ヤツの家は本当に――」

 「あります、10年前からそのままの状態です」

 「そう、か」

 

 皮肉なものだ、とエヴァンジェリンは心の中で独り言ちる

 自由になるためにはアイツの情報を集めなければと思っていたが、あの学園に縛られたままではそれも満足にできなかった

 今更アイツの情報を集めてもな、と思わずにはいられなかった

 しかしそれでもアイツが最後に何をしようとしていたのか、その手掛かりを見つけずにはいられなかった

 

 「あの、エヴァンジェリンさん…」

 「なんだ坊や」

 「ヤツってもしかして…」

 「…お前の父親、ナギのことだよ坊や」

 

 エヴァンジェリンがそう言うと、ネギは驚いた顔で詠春とエヴァを交互に見る

 

 「詳しい話は詠春から直接聞け、その方が坊やも納得できるだろうしな…構わんな詠春?」

 「えぇもちろんですよ、サウザンドマスター(あのバカ)のことなら一夜語り通しても有り余りますからね」

 

 何やらとんでもないあだ名が聞こえたような、と同伴していた他のメンツは思ったが、ネギにとっては父親を知る大きな手掛かりであること以外耳に入っていないようだった

 

 「…しかし驚きました、お義父さんから話は聞いていましたが本当に――」

 「あぁ、私自身こうしてここにいることが夢なんじゃないかと思うことがあるさ」

 

 ――15年目の中学生生活が始まった時は、想像もしていなかった

 いや、坊やの血を使えば呪いを解除することができるのではと考えてはいたが、学生として京都の地を踏むことになるとは頭のどこにもなかった

 

 「良い友――いや、アイツはこう呼ばれるのを嫌いそうだな、良い出会いがあったからな」

 「…それはずいぶんと良き出会いだったのでしょうね」

 

 ――今のあなたの顔を見ればわかります、と父親のようなことを言う詠春に、エヴァはニヤリと笑い返した

 

 

――――――――――

 

 

 事が動き出したのは夜も更け始めた時だった

 

 最初にその異変を見つけたのは事件の渦中にいる木乃香と明日菜の2人だった

 石像となってしまった屋敷の人間、それがこの事件最後の戦いの合図となった

 

 同じ頃、目的を達成し父親の情報を詠春から聞き出したネギは意気揚々と廊下を歩いていた

 

 明日になれば父さん――サウザンドマスターのことが分かる!

 

 6年前に出会った父の無事が分かるかもしれない

 

 

 ――その高揚とした気持ちは悲鳴とともに掻き消えていった

 

 「カ、カモ君今の!?」

 「悲鳴だぜ!嬢ちゃんたちの部屋だ!」

 

 大急ぎで自分の生徒の部屋へと向かうネギ、障子を開けるとそこには

 

 「――!!茶々丸さん!!」

 「……ネギ、先生」

 

 下半身から少しずつ石化している絡繰茶々丸と完全に石化してしまった和美・ハルナ・のどかが居た

 

 「申し訳、ありません…不意の奇襲に対応しきれず、不覚を…」

 「しっかりしてください茶々丸さん!!一体…誰が?」

 

 「白髪の、魔法使いです…西洋魔術の使用を、確認しています…ネギ先生――」

 

 ――マスターをどうか…

 

 そう呟くと、茶々丸は完全に石像へと姿を変えた

 

 「茶々丸さん…!」

 

 ――耳をつんざく轟音が鳴り響いたのはほぼ同じ瞬間だった

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 『想定外のことが起きた?』

 『そうや新入り、それもえらい厄介なもんがな』

 

 シネマ村での近衛木乃香の誘拐に失敗し共に戻ってきた仮初の雇い主――天ヶ崎千草が、開口一番にそう言った

 

 『確かに僕たちの狙いが近衛木乃香であることが早々に発覚したのは想定外ですけれど』

 『あぁそっちやないで、どうせ最初からバレとるやろうしなぁ』

 『…それ以上に想定外なことが起きたと?』

 

 

 

 『西洋の吸血鬼…そいつも一緒に京都に来とるようや』

 

 

 

 ――ちょいと予定変更や、彼女はそう言って計画の練り直しを始めた

 

 

 

 「――この計画に、異議を唱えておくべきだったかもしれないね」

 「考え事とは随分と甘く見られたものだな小僧――私の従者に手を出した報いは受けてもらうぞ」

 

 天ヶ崎千草が変更した計画、協会本部に入られることを織り込んだ上で僕ができる限り吸血鬼――闇の福音を引き付けておくというものだ

 

 初動で協会の人間と彼女の従者の無力化には成功した

 ――その時点で彼女に侵入を悟られていなければ、もう少しうまく動けただろうけれど

 

 「ケケケ、ドウヤラゴ主人ノコトヲヨク知ッテイルヨウダナ」

 「使う術式も西洋魔術のものか…魔法使いが近衛を攫う連中と何故つるんでいる?」

 

 人形サイズの従者を従えて、闇の福音は問いただしてくる

 

 「協力者…いや傭兵といった方が近いかな、完全な仲間ではないよ」

 「つまり互いに別々の目的があって動いているわけか、そしてお前は私の足止めを請け負ったという所だな」

 

 すべて見透かされている、と言うわけではないようだけどこちらが時間稼ぎをしようとしていることは筒抜けのようだ

 

 「お前の目的なんぞどうでもいいが、私にも面子というものはあるからな」

 

 

 ――覚悟しろよクソガキ

 

 

 どうやら少しは本気を出す必要がありそうだ

 





『ピコピコハンマー』

 おもちゃ屋とかに売ってあるプラスチック製ハンマーのおもちゃ型聖遺物
 普通のピコピコハンマーとしても使えるが、壊れているものを斜め45°で叩くと直せる機能も付いている
 ただしその状態が正常であると認識されていると、どれだけおかしな動きをしていても直すことはできない(エヴァンジェリンの登校地獄などが含まれる)
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