常識人は衰退しました   作:makky

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(・ワ・)とりあえずまいしゅうこうしんをめざしていくしょぞんです
(・ワ・)いつまでつづくかはみちすうですのであまりきたいされないように
(・ワ・)ほかのさくひんをとうこうするかのうせいもありよりのありです


(・ワ・)そしてざんねんながらしゅうがくりょこうへんはもうすこしながびきそうです


だいじゅうごわだっていいじゃない

 

 日陰に生きていくのを、正しいことだと信じていた

 周りと自分が違うのだと気が付いたとき、あたしの世界は暗く閉ざされた

 

 ――自分から閉じこもったと言われれば否定はしない

 話を合わせれば、見て見ぬふりをすれば、否定しても冗談だと撤回すれば

 

 自分に噓をつき続ければ、あたしの世界は今ほど暗くはなかっただろう

 

 でもあたしは、それが正しいことなんだと信じていた

 自分一人が口を閉ざせば、それで全部解決するんだって

 子どもながら随分擦れた考え持ってたもんだと、今でも思う

 

 あいつらと出会って、らしくもなくお菓子作りなんて始めてからも、あたしは自分の世界を広げられなかった

 内に籠ったままでも、平穏な生活が送れたのはあいつらのおかげな部分もきっとある

 この先もきっとそんな日常を過ごすんだろうって、根拠もなく信じたりして

 

 

 

『こちらに関わるつもりがあるならな――』

 

 

 

 ――そんな覚悟、どこにもないっていうのに

 

 あたしは、この足を止めるわけにはいかなかったんだ――

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 手詰まりか――桜咲刹那は歯ぎしりしながらそう感じた

 

 自分と明日菜さんが召喚された鬼の足止めをして、ネギ先生が木乃香お嬢様救出に向かう

 初めから分の悪い賭け――一縷の望みを掛けた作戦だったのは分かりきっていた

 

「こんな形で死合うんは不本意ですけど――楽しみましょ?刹那センパイ♡」

「月詠!!」

 

 ここにきて月詠が乱入、ただでさえ手数の少ない状況はさらに悪化した

 

「明日菜さん!!」

「離しなさいよ!このぉ!」

ハリセンが使えなければただの小娘か…

 

 そしてこれまで鬼をしのいでいた明日菜も捕まってしまう

 

さて…どうする神鳴流剣士…手詰まりか?

「!!」

 

 道は暗く閉ざされようとしていた

 

――――――――――――

 

 (こ、こいつは…マズい!!)

 桜咲と神楽坂に後を託し、近衛救出に向かったネギとカモだったが、こちらでも妨害を受けていた

 

「全力で俺を倒せば間に合うかもしれんで?!来いやネギ!!男やろ!!」

「!…わかった」

 

(おはああああ!!)

 

 昼間に戦った少年――犬上小太郎の挑発にまんまと乗ってしまったネギの姿に絶叫する

 自身の主人の頑固で子供っぽいところをよく知っていたカモ、それ故この状況が非常によろしくないことも嫌というほど理解していた

 

 ここで戦ってしまえば()()()()()()()()()()()()()()()に辿り着けない上、仮に勝っても消耗してしまっていては木乃香の奪還なんて夢のまた夢

 そもそも目の前の犬上小太郎に勝てる算段だってあるのかどうか怪しい

 しかしこうなってしまったネギを止める手段をカモは持っていなかった

 賭けは失敗だったか――そう諦めかけていた

 

 ――ネギと小太郎の間に巨大な手裏剣が割込み、小太郎が吹き飛ばされる瞬間までは

 

「熱くなって我を忘れ大局を見誤るとは…精進が足りぬでござるよネギ坊主」

 

 そこにいたのは――協会本部にいたはずの綾瀬夕映を抱きかかえ不敵な笑みを浮かべる長瀬楓――

 

 

 

 

 

「らしくなく苦戦しているようじゃないか?…この助っ人の仕事料はツケにしてあげるよ刹那」

「うひゃー♪あのデカいの本物アルかー?強そアルねー♡」

 

 ――奥の手を使わんと覚悟を決めた刹那たちの元には龍宮真名と古菲

 

 小さな光が灯ろうとしていた

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

『なんでお菓子じゃないとダメなんだよ、あたしこういうの作ったことないんだけど』

 

『われわれおかしはつくれませんゆえ』

 

『そんだけすげー道具出せるんならお菓子くらい簡単に作れるだろ…』

 

『われわれもがんばってはみたのですが』

『なんどためしてもあまくておいしいおかしはでてきませんです』

『なのでにんげんさんにがんばってもらうほかないのです』

『あまくておいしいおかしをしょもうするのです』

 

『なんであたしがこんなことを…』

 

『わくわくどきどきでまちますのでがんばってくださいです』

 

『応援して菓子食うだけじゃねぇか!!下手でも文句言うなよな!!』

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 風向きが変わった――祭壇で召喚の儀式を続ける天ヶ崎千草の後ろに立ちながら、白髪の少年は戦場の流れが変わりつつあるのを感じ取っていた

 

「子どもやと思って少し甘く見すぎたかもしれんな」

 

 儀式の負担からか冷や汗を流しつつも、天ヶ崎千草はそう呟く

 

「あなたは儀式を続けて」

「すまんな新入り…あー…」

 

 儀式を再開しようとした天ヶ崎千草が何かに気が付く

 

「何か?」

「…本山の結界が今破られたわ――吸血鬼が来るで」

 

 それはうれしくない知らせだね、使い魔を召喚しながら少年はこれから来るであろう吸血鬼の対処も考える

 

「新入りはあの小僧に集中しとき、吸血鬼はこっちで何とかするわ」

「…一応そちらの対策もしておきますよ」

「なぁに問題あらへん」

 

 ――もうほとんど終わっとるしな

 

 さらに光を増す祭壇に向き合いながら、天ヶ崎千草は最後の仕上げを施す

 

「仕上げは重畳、見せてもらいましょうか」

 

 飛騨の大鬼神、その力を――

 

 

 

 

 

 

「こ、これは!?」

 

 

 白髪の少年を機転を利かせて出し抜き、祭壇に肉薄するネギ

 

 彼が見たものは、二面四手の巨躯の大鬼

 

 

『リョウメンスクナノカミ』

 

 

 間に合わなかった――愕然とするネギ

 

 

「さぁてどないするんや?サウザンドマスターの息子(ネギ・スプリングフィールド)

 

 

 天ヶ崎千草は変わらぬ笑みを浮かべながら、リョウメンスクナの脇に木乃香を従えてネギを見下ろす

 

 

 

 

 未だに夜は明けず――

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

『どーだおまえら!!あたしだってやればできるんだよ!!』

 

『ふむふむこれはなかなか』

『いままででいちばんおいしいおかしですな』

『われわれがまちのぞんでいたおかしにようやくであえましたな』

 

『そうだろ!何度失敗しておまえらにダメ出しされたのか思い出したくもねぇが、あたしはやり遂げたぞ!』

 

『にんげんさんがねっしんにおかしをつくってくれてわれわれとってもしあわせです』

『やはりわれわれのみるめはまちがっていなかったようですな』

『これからさきもおいしいおかしにきたいできますな』

 

『はっはっは!!…なにやってんだろあたし…』

 

『ぶるーになるにんげんさん、おつかれのごようす、ふぁいとなのです』

 

『誰のせいだと思ってんだ!!』

 

『ぴーーー!!』

 

『あぁくりすとふぁーがにんげんさんににぎにぎされています』

『われわれじつりょくこうしにはめっぽうよわいですので』

『くりすとふぁーのぎせいはむだにはしませんですよ』

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

「――面倒なものを呼び出しおって」

 

 湖の中央に佇む大鬼神を眺めながら、金髪の吸血鬼(エヴァンジェリン)は面倒くさそうに呟く

 

「なるほど、近衛をわざわざ狙ったのもこいつを召喚するためだと考えれば納得も行くな」

 

 遠目に見れば先ほど戦っていた白髪の少年とネギ、そして明日菜と刹那が何とかしてリョウメンスクナを止めようと奮戦していた

 

「魔力供給源である近衛を引きはがせば動きも鈍るが、あの巨体ではそう簡単に近づけんか」

 

 ましてネギは力をほぼ出し切っており、白髪の少年も健在、となれば――

 

「さすがに、あれの対処を坊やたちだけに押し付けるのは気が引けるな」

 

 なによりこのままアレに暴れられたら京都に来た目的ごと消されかねない

 

「極東の鬼、か…どれほどのものか見せてもらおう」

 

 そういってリョウメンスクナ目掛けて、エヴァンジェリンは飛び出した

 リョウメンスクナの動きを一時的にでも止めて、その隙に近衛を奪還する

 そうしてしまえばあれはただのデカ物になり果てる、それでこの事件は終わりだ

 

 

 しかし――

 

 

「…む?」

 

 近づこうとしたエヴァンジェリンは、僅かな違和感を覚えた

 

「魔力が…落ちている?」

 

 自身の内包する魔力が少しずつ、だが確実に減っていっているのだ

 飛ぶにも魔法を使うにも支障をきたさない程度の減少量、()()()()()()()()()()()気にも留めなかっただろう

 

「まさか、いやしかしどうやって…」

 

 だがこのタイミングでの不自然な魔力減少を見過ごせるほど、エヴァンジェリンは楽観的ではなかった

 

(あれに近づくと魔力が減少する…いやこの感覚は吸い取られているのか?だが坊やたちに変化は見られん…なら――)

 

「わたしを狙い撃ちにしたものか、考えたな」

 

 どういう原理でそれを成し遂げたのか、それともあの鬼神が持つ力なのかは定かではないが、ここで足止めを食うのも面白くない

 

「それにどうやら、あいつも覚悟を決めたようだしな」

 

 白い翼を羽ばたかせ、まっすぐ近衛に向かっていく剣士を見て、エヴァンジェリンは少しうれしそうに呟いた

 

「――リク・ラク・ラ・ラック・ライラック」

 

 前に進もうとする者もいれば、進まず踏みとどまろうとする者もいる

 どちらが正しいかなど誰にもわからない

 

 光に生きろ――かつて自身を打ち負かした男は、そう言い残して姿を消した

 15年間縛られ続けた彼女にとって、その言葉は呪いと同義だった

 お人よしのおせっかい焼き(長谷川千雨)に出会わなければ、きっと自分は今もあの出口の見えない闇の中に居続けただろう

 

「おめでとう桜咲刹那、お前は光に生きるのがふさわしい」

 

 ――瞬間、湖一面を凍らせ愛おしそうな声色でエヴァンジェリンは祝福の言葉を口にした

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

「――やってくれたなぁ吸血鬼…!!」

 

 リョウメンスクナを中心に一面氷漬けになった湖を見て、天ヶ崎千草は顔をゆがめた

 

 人の手で呼び出されたとは言え神は神、如何に伝説の吸血鬼とは言え()()()()()()()()()()()()()()()()()()、最低でも躊躇し時間稼ぎにはなると踏んでいた

 しかし彼女は、離れた位置からリョウメンスクナを行動不能にするという荒業でこれに対処した

 噂に違わぬ、いや噂以上の実力者

 彼女さえいなければここまで計画が破綻することもなかったというのに…!!

 

「天ヶ崎千草、お嬢様を返してもらうぞ」

「来おったか烏族のひよっこ剣士!!猿鬼!!熊鬼!!」

 

 白い羽を羽ばたかせ迫る刹那に、使い魔二匹をけしかける千草

 その足搔きも、神鳴流の彼女には無意味であった

 

 三日月を背にし木乃香を抱え飛ぶ刹那

 

 天使のようだ、と誰よりもその笑顔を守りたかった刹那に木乃香は微笑みかけた

 

 

 

 

 

「――まだだ桜咲刹那!!!!」

 

 

 

 

 

 彼方から飛来してきたエヴァンジェリンが叫ぶ

 

「え、エヴァンジェリンさん?!」

「まだ何も終わっていないぞ!!」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 魔力を削られながらも飛び込んできたエヴァンジェリン

 そうだ、まだ終わっていないのだ

 

 

 

「――身体に直接拳を入れられたのは初めてだよ…ネギ・スプリングフィールド」

「ネギッ!!」

 

 刹那が木乃香を救うための時間稼ぎとして、白髪の少年を足止めしていたネギと明日菜の戦いもまだ続いていた

 2人の息の合った攻撃でついに白髪の少年に一撃を当てるも、傷1つついていない

 ネギの疲労は限界に達し、もはや虫の息

 少年の攻撃を防ぐ手段は残されていない

 

 ――少年が突然吹き飛ばされなければ、ネギの命運は尽きていただろう

 

「新入り?!まだ増援がおったんか?!」

 

 千草が狼狽しながら叫ぶ

 途中で現れた3人はまだ足止めされていたはず、これ以上の増援なんてあるはずが――

 

「今のは…まさか」

『――遅くなり申し訳ありません、()()()()

 

 念話を通じてエヴァンジェリンの元に聞こえるはずのない声が聞こえてきた

 

 

「これより戦闘行動を開始します」

 

「茶々丸!!」

 

 

 巨大な銃を構え次弾を装填しながらエヴァンジェリンの2人目の従者、絡繰茶々丸は無機質にそう告げた

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

『…なぁ、お前らってどうしてあたしのところに来たんだ?』

 

『ふしぎなしつもんをされますな』

『にんげんさんがさいしょにめにはいったからでしたか?』

『いえ、たしかおかしをつくってくれそうなにんげんさんだったからでは?』

 

『お菓子作ってくれそうなってどうやって見分けてんだよ!!…あたしじゃなくても別にいいじゃねぇかそれなら、菓子作りがうまい奴なんてこの街に何人もいるぞ』

 

『もちろんおいしいおかしをつくってくれそうなにんげんさんはたくさんおります』

『けれどもわれわれにおかしをつくってくれるにんげんさんはにんげんさんだけっぽいので』

『われわれをわれわれとしてうけいれてくれるのもこうとくてん』

 

『…意味わかんねぇよ、お前らの判断基準なんて…』

 

『かんたんにいうとしんらいてきな』

『しょたいめんですがわれわれ、にんげんさんをしんらいしておりますゆえ』

『これからもおせわになるです』

 

『…ほんと…意味わかんねぇよ…』

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「吸血鬼の従者やと?!あいつは新入りが石にしたはずや!!」

 

 戦場に乱入した増援はここにいないはずの存在だった

 

「茶々丸!どうやって石化の呪いを…」

『詳しい話は後程、()()からお聞きくださいマスター』

「彼女だと…?」

 

「ね、ネギ先生ー!!」

「ネギ先生!!…と明日菜!!大丈夫?!」

 

「み、宮崎さん?!それに朝倉さん?!」

「ちょっと朝倉!!あたしをついでみたいに呼ばないでよ!!」

 

 協会本部で白髪の少年の奇襲を受けて石になったはずの、のどかと和美も湖のほとりから大声を張り上げて無事な姿を見せていた

 

「…状況がいまいち理解できんが、後にしておこう…茶々丸!!」

『ハイマスター、結界弾セットアップ完了です』

「やれっ!!」

 

 エヴァンジェリンの合図とともに、茶々丸は構えていた銃から結界弾をリョウメンスクナに撃ち込む

 着弾と同時にリョウメンスクナの周りに巨大な結界が張り巡らされる

 

「くぅ…まだ隠し玉を持ってたんか…!」

「貴様らが何をするのか分からなかったからな、じじいにできる限りのものを用意させておいて正解だったようだ」

 

 完全に動きを止めたリョウメンスクナに相対し、エヴァンジェリンは魔力を集める

 

「光栄に思え呪術師、私の最高魔法を見せてやろう」

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック

 

 契約に従い、(ト・シュンボライオン)我に従え(ディアーコネートー・モイ・ヘー)氷の女王(クリュスタリネー・バシレイア)

 

 来れ(エピゲネーテートー)とこしえのやみ(タイオーニオン・エレボス)、!!」

 

「ぬうぅぅぅ…闇の福音…!!」

 

「安心しろ、お前にはいろいろと話してもらわなければならないことが多いからな、氷漬けは勘弁しておいてやろう」

 

 絶対零度、150フィート(約45メートル)四方の広範囲を完全に凍結させる殲滅呪文

 闇の福音がそう呼ばれる所以の一つ――

 

「|全ての命ある者に等しき死を《パーサイス・ゾーサイス・トン・イソン・タナトン》、其は、安らぎ也(ホス・アタラクシア)

 

 『おわるせかい』(コズミケー・カタストロフェー)!!

 

 

 ――1,600年の封印から目覚めた大鬼神、リョウメンスクナノカミは闇の福音の呪文によって氷像へと姿を変えた

 

――――――――――――

 

「――忌々しい」

 

 呪文の余波を受け吹き飛ばされ、ズレたメガネを直しながら千草はエヴァンジェリンを睨み付ける

 

「東の半端もんが西の事情に首突っ込まんといてや!!」

「それこそ私には関係ない話だな()()、東と西のいざこざに私を巻き込んだのは貴様らの方だろう?」

 

 じじいも同罪だがな、と京都への修学旅行を快諾した男を思い浮かべながらエヴァンジェリンは千草に近づく

 

「さっきも言ったが、お前にはいろいろ吐いてもらわなければならないことがある…あの白髪の小僧の事もな」

「ふん…リョウメンスクナが打ち倒された時点でうちらの負けや」

「潔いな、それともお前も隠し玉を持っているか?」

「はん!そんなもんあったら最初から使っとるわ!…せやから――」

 

 

「盤面ごとひっくり返して全部ご破算や」

 

 

 凍り付いたはずのリョウメンスクナが砕け散る、瞬間あふれ出す膨大な魔力

 

「くっ貴様何を?!」

「本当はこないなことする予定はなかったんやけどなぁ…あんたが居ると知って計画が失敗した時用の仕込みや…」

 

「依り代に押し込められたリョウメンスクナを現世に降ろす…それで全部しまいや」

 

「…貴様、自分が何をしているのか分かっているのか…!」

「えぇえぇもちろん、現世に神を降ろせば魔力も気も引き裂かれあちこちに眠っとる神や怪の物が目を覚ます…そしてこの国は亡ぶ」

 

 リョウメンスクナは元々、飛騨の地に産まれ落ちた鬼神

 しかしそれも討たれ崇められた結果、神としての姿形を獲得するに至った

 今回千草が召喚したのは、あくまでもこの世界で形を留めておくための依り代

 神の世と人の世の境目を侵さない唯一無二の結界だった

 それをエヴァンジェリンから抜き取った魔力とリョウメンスクナ自身の力と合わせ、依り代を引き裂こうとしているのだ

 一柱の依り代が失われる――それは神の世と人の世の境界が失われることと同義であった

 

「それで済むものか!!この国のバランスが崩壊すれば連鎖で世界中の均衡が崩れる!!1()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「どうでもええそんなこと、魔法使いどもが消え去るんなら喜んで世界を滅ぼすわ」

「ぐっ…!!」

 

 千草のやけくそともいえる奥の手、それが世界を巻き込んだ無理心中というのは、さしものエヴァンジェリンでさえも予測がつかなかった

 

(もう一度『おわるせかい』で凍結させる…無理だ、すでに神降ろしが始まった以上何をしても止められん!!あれに何をしてももう意味がない!!)

 

 発光が激しくなり、周囲からも光柱が立ち上りつつある最悪の状況

 

 ――世界の終わりを覚悟した彼女の耳に聞こえてきたのは、空を裂くように何かが近づいてくる音だった

 

 

 




(・ワ・)きょうはいりゅうぶつしょうかいこーなーはおやすみです
(・ワ・)じかいこそきっとありますのでおたのしみに
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