一撃男の異世界旅行記   作:鉋なんか

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皆さまお久しぶりです。鉋なんかです。

数ヶ月ぶりの投稿です。


幸いと不幸が重なり合ってミルフィーユ状態となり遅れました。



誤字脱字矛盾点等がございましたら是非ご報告お願いします。
それではどうぞ。






砕く

 

 

 

 

誰かが言った

 

 

どんなに強い相手でもその数を持って勇猛果敢に襲いかかり

橋を作り大河を渡り

梯子を作り大樹を登る

鋭い牙をもって肉を裂き

強靭な顎をもって骨を砕き

 

常に大群で行動する

 

蟻がいると。

 

 

 

 

 

 

 

その種は生物の体に寄生すると、宿主の血肉を栄養源とし脳にまで根を生やす。

脳にまで回った根は憎しみと興奮の回路を刺激し、宿主に周囲のもの全てが憎しみの対象となるように見せ、自分以外の生きとし生けるもの全てを殺すまで止まらない殺戮マシーンにする。

 

殺戮マシーンとなり理性を失った宿主は自分以外の全ての同族を殺し、食事や睡眠を一切とらずただ淡々と自分の殺した死体を積み上げるだけの傀儡となる。

 

宿主の死を悟った植物は積み上げられた死体の下にその身を隠す。

 

そして死体の血肉を全て吸い上げ血のように真っ赤な花を咲かせる

植物がいると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世はまさにグルメ時代、未知なる味を求めて死の淵を彷徨う時代。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

XV

 

 

 

 

帝都宮殿北門

 

 

そこには杖を持った1人の男がいた。

歳は40を過ぎ、無精髭を生やした藤色の着流しを着ていた。持っている木の棒に体を預け、そこにいた。

 

 

男の背後には宮殿の門があり本来ならば多くの警備員が厳重な警備をしているのだが、しかし今は警備員は

 

 

いや、決していてはならない

 

 

 

 

 

 

 

いた場合、男の攻撃に巻き込まれてしまうからだ

 

 

 

 

 

 

超重力(グラビドン)

 

 

 

 

 

男がそう言った瞬間 音もなく男の目の前にあった全てがぺしゃんこになった。

 

 

街灯はストローを無理やり潰したかのように歪な形になり、周囲にガラスを撒き散らし

 

木材で出来た家屋は全て潰れ、木片は辺りに散乱することなく無理やり圧縮され

 

大理石で出来た建物は周囲にその破片をばら撒いてはいるが殆どがほんの小さな石つぶほどのサイズとなった

 

 

整備されていた石畳も所々割れ、破損していない石畳は一枚も残っていなかった。

 

 

 

 

「少しやり過ぎちまったかのぅ」

 

 

 

 

男はそういって頭をかこうとした手を止める 最近になってやっと自分の髪の毛が薄くなり始めているのに気がつき頭をかくのをやめようと決めていたからだ。流石にこの歳で禿げるのは嫌だ。ただでさえ視力を失ったのに髪まで失うのは勘弁して欲しい。

 

後ろから近づいて着た四人の気配を感じ男は木の棒で体を支えながら宮殿の敷地内に入っていった。

 

 

「舞台は作っておきました、もし貴女が負けるようであれば、あっしがでます」

 

 

 

 

 

「ああ、すまないな」

 

 

 

男とすれ違う様にして宮殿の敷地内から出てきた四人は満面の笑みをうかべ、歩き始めた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

 

 

 

 

宮殿地下

 

 

 

シコウテイザー保管庫

 

 

 

 

そこには2人の人間がいた

 

 

分厚い本の山、巨大なビーカーや緑色の液体が入った巨大な水槽、特殊な金属でできた機械、真っ赤なレンチ、なぜか紫の液体が溢れ出る石、常に形を変え続ける黒いモヤ、蛹の中の繭のように体を丸める異形の生物、乱雑に置かれたそれらに二人は囲まれていた。

 

 

「はぁ はぁ はぁ…遂に完成したわ」

 

「あぁ、妾の錬金術とスタイリッシュの科学力、この2つが無ければ決して完成などしなかったじゃろう」

 

 

 

男の方は額に浮かべた汗を拭うと近くにあった赤い一人用のソファーに力なく倒れる。

 

女の方は足元に散らばる大量の紙の上に寝っ転がり大の字になる、手足をばたつかせているところが少し子供っぽい。

 

 

 

 

 

 

Dr.スタイリッシュ

 

帝国一とも呼べる圧倒的なゲイ臭を放つも、帝具・パーフェクターを操り、圧倒的な科学力で「スタイリッシュの追求」に勤しむ、医師兼科学者。

 

 

 

 

 

ドロテア

西の王国随一、のじゃロリBBAうさ耳リボン人体改造に高飛車というキャラ要素てんこ盛りでありながらも、食事をいっぱい取ることで大食いキャラを得ようと奮闘している錬金術師

 

 

 

2人とも普段の生活から疲れとは縁の無い人物である。しかし2人の顔には疲労の色が見えた。

 

 

 

スタイリッシュは普段なら欠かさないヒゲのお手入れを忘れ、汚れたら直ぐに着替える服もススだらけでところどころ黒く染まっていた。

 

ドロテアも服の至る所がススだらけで何度か食事を忘れかけ、そのため何度も騒ぎを起こしかけた

 

 

 

 

 

 

それほどまでにシコウテイザーは2人を熱中させた。

 

 

 

 

自分の知らなかった錬金術

祖国には無かった科学

 

 

 

科学では決して埋められない溝を錬金術で埋め、錬金術では超えられない壁を医学で跳び越え、医学では成し得ないことを魔導で成し得た

 

 

 

 

互いに互いを高め合った

 

 

 

 

スタイリッシュはドロテアに自分の全てを見せた、人体実験、兵器、毒薬を、ドロテアはスタイリッシュに自分の全てを話した、錬金術、召喚術、魔導を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれら全てをシコウテイザーに詰め込んだ

 

 

 

科学の完成、錬金術の極致

最高の技術力、摩訶不思議な魔術

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は思った

 

 

 

 

 

 

 

((はやく、コレを試したい))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((あとお風呂入りたい))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XVI

 

 

 

 

 

 

 

 

目は口ほどに物を言う、これはまぎれもない事実だ。

 

だから、目を見れば相手の言いたい事はだいたい理解出来る。

 

 

 

もちろん全ての人間が目を見ただけで相手の気持ち全てを理解できるわけではない。純粋な瞳の裏にはドス黒いものを隠し相手を油断させる人だっている、逆に鋭い目つきで厳つい人でも実際は誰よりもピュアな心の持ち主だっている。

 

 

 

しかしどんなに上手く隠しているつもりでも見破るのが得意な人には簡単に見破られてしまうものだ。

 

 

 

 

エスデスは人の目を見て内心を見破るのが得意な部類の人間に当てはまる

 

 

 

だからこそ、エスデスには理解出来なかった。

 

 

 

 

 

 

あの男の目が

 

 

 

 

 

 

部下たちの自分を信頼する目

 

強者たちの覚悟を決めた目

 

蹂躙を楽しむ勝者の目

 

弱者の絶望しきった目

 

戦いを楽しむ戦闘狂の目

 

それらのどれにも当てはまらない

 

 

 

 

 

(なぜだ、なぜ私をそんな目で見る)

 

 

 

 

楽しさも、スリルも、憤りも、興奮も、嬉しさも、心地よさも

そんなもの一切感じさせない

 

 

 

 

 

 

(やめろ、そんな目で私を見るな)

 

 

 

 

相手の全てを見透かし、それでいて価値が無いと相手に理解させる

 

 

 

 

 

 

 

(そんな、呆れた目で私を見るな)

 

 

 

 

男の瞳は空虚なものであり、エスデスとの戦いを価値のないものと語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、嘘だよなぁ?」

 

 

 

 

 

空高く舞う4つの影を遠くに、70万の兵士の1人が呟く。しかし誰も答えない。

 

 

 

皆、その光景に釘付けになり、誰一人として返事をする余裕が無かったのだ。

 

 

 

 

巨大な氷が砕けるような音がして青い流星が天に昇り厚い雲の中に消え、見えなくなると兵士たちは一斉に騒がしくなった。

 

 

 

 

「え、エスデス将軍が負けた?」「あんなもん、人間じゃねぇ」「うそ、だろ、」「もうだめだ、おしまいだ」「ブドー大将軍だけでなくエスデス将軍も…」「三獣士までもがっ⁉︎」「帝具使い四人相手にしてェ、」「勝てるわけがない」「あばばばば」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

西東南の門に配備されていた将軍9名

その配下の兵士、計18万

各帝都内駐屯地に待機していた兵士、計42万

帝都近郊の駐屯地に待機していた兵士、計10万

 

 

約70万の兵士

 

 

歴戦の勇者である将軍に

将軍直属の精鋭に

体に老いを感じ始めた老兵に

今回がはじめての戦いの新兵に

 

 

 

 

 

恐怖という名の大きな波紋を生じさせた。

 

 

 

 

 

もし彼らの敵が彼らの受けた報告通り人間であると確証が持てたならば、彼らはまだ立ち向かう勇気がでただろう。しかし、北門を突破、複数名の帝具使いと交戦、帝国最強エスデス将軍率いる三獣士を屠った相手が単なる人間であるなどという現実は、彼らにとって到底受け入れられなかった。

 

 

 

 

日々鍛錬を積み、己を限界まで高める事で人は強くなることができる。しかし力の無い人間も武器を持つことで鍛錬を積んだ人間を容易く屠る事ができる。

その武器の最高峰であり、所有者に一騎当千の力を与える帝国最強の武器。

 

 

 

それが彼らの知る帝具だ

 

 

 

 

 

 

 

 

その持ち主たちをいとも簡単に吹き飛ばした人間は、果たして人間という枠組みの中におさめて良いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワシは逃げる、帝国の将軍なんぞやってられっか」

 

カランという音と共に少しふくよかな将軍が金切り声で叫んだ。自らの剣を捨て、兜を放り投げ、少しでも身を軽くし、全力で逃げ出した。

 

敵前逃亡は死刑である、その将軍が部下たちの士気を無理矢理向上させるために使っていた言葉だ。

 

そんなことを言っていた人間が武器を捨て一心不乱に逃げ出した。つまり逃げてはいけないという環境が無くなったという事だ。兵士たちは将軍の行動をそう捉え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、俺は逃げる」「お、俺も逃げるぞ!」「もともと今の帝国にはうんざりして、た、んだ」「逃げるんだ」「兵隊になるんじゃなかった」「ひゃーーー」「うぁああああ」「ママー」「どけっ、俺が先に逃げるんだ」

 

 

 

 

将軍と同じように一心不乱に逃げ出す…

 

 

 

 

圧倒的な暴力を前には統率は意味をなさない

 

 

暴力により恐怖が生まれ、

 

 

 

 

 

生まれた、恐怖は伝染する

 

 

 

 

 

 

 

 

この人数ならまだ勝てる、そう思っていた兵士は確かにいた。しかし1秒ごとに逃げる人間が増えている状況でこの人数ならまだ勝てる、という安心感はあっという間にすり減っていく。

 

 

立ち向かう勇気があったものたちは、自分とすれ違う形で逃げていくものたちの恐怖に歪んだ顔を見て、立ち向かおうという事が愚かな事であると悟り、逃げ出す。

 

 

歴戦の勇者である将軍も自分の周囲にいる人間全てが恐怖に陥っている状況であればその環境に呑み込まれ恐怖状態に陥ってしまう。

 

 

最終的には70万の人間全てが恐慌状態に陥り、軍としての規律、機能を完全に停止させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして兵士たちの周りを甘い香りが包んだ

 

 

 

 

「流石に70万ともなるとけっこう力使うわね」

 

 

70万の軍勢は逃亡を辞めた、1人の女に対して全員が跪いて頭を下げた。

 

 

「はいはーい、みんな言うこと聞いてね、帝国のためにその命を投げ打ってでもあいつを倒すように」

 

女は指を指す、その先には兵士たちが逃げ出そうとしていた方角とは真逆の方向

 

 

圧倒的な暴力が振るわれていた場所

 

 

その指先を全員が見たのと同時に70万の軍勢は一気に駆け出す。時には前にいる兵士を全力で押しのけてでも走る。中には後ろから押されてバランスを崩し転倒するものも現れる、自分の上司や先輩、後輩が転んだとしても誰一人として気にせずに踏みつける。

 

本来であれば踏みつけられた人間は鎧の鉄と肉が混じり合った塊となるかもしれないが、密集した人混みの中臭いが充満し濃くなったその場所にいた人間は無理やり立ち上がり唸り声をあげ、走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

その姿を遠目で見ながら純白のマタニティードレスを見にまとった女は手元にあるピンクの香水瓶をそっと優しく撫でる。

 

 

 

 

 

“美臭万操(びしゅうばんそう)”フェロモネア

 

 

 

 

彼女が使用するのは香水の帝具

 

この香水を吹きかけられた人間は体の新陳代謝がよくなり、自由自在にフェロモンを出す事ができる体になる。またこの香水の拒絶反応は全身の毛穴の至る所から血が出るというもので、接近戦で戦う場合は相手にこれを吹きかけ相手のからだから血が全部吹き出るのを見て終わりだ。

 

 

 

 

先程この女が発したのはフェロモンを合わせた臭い

 

 

普段通りであれば70万人もの大群を操る事は出来ない、しかし恐慌状態になり臭いが充満する無風の密集状態であれば70万人を操る事はそう難しい事ではなかった。

 

 

 

「さてと、あいつらがあの男をボコボコにして身動きが取れなくなった所で私の奴隷にしようと思うのだけれど、まぁじっくり歩きながら行こうかしら?」

 

 

 

女はゆっくりと優雅に歩く

 

 

近い未来強力な手駒が1つ自分のものになる事を夢見て

 

 

この国を牛耳るのが、自分になる事を確信して

 

 

人をこんな目に合わせたあの豚野郎を殺せると思って

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背後に迫り来る開ききった巨大な口、錆びた鉄の臭いを彷彿とさせる液体がついた鋭利な牙、彼女を覆い隠すほどの巨大な影が迫っていることに気がつかずに

 

 

 

 

 

 

 

夢を見て、確信して、思って

 

女の意識はそこで途切れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイタマは歩みを止めない

 

 

 

 

 

 

目の前に現れた大柄な黒服の男

 

右後方の建物から現れた、中肉中背の黒服の老人

 

背後から飛びかかってきた、小柄な黒服の少年

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に迫り来る斧を左手の人差し指と中指で挟み

 

 

 

迫り来る水龍を軽く握った拳で跡形もなく吹き飛ばし

 

 

背後から攻撃はあえて受けるが、頭に少し衝撃がきただけで痛くも痒くも無い。

 

 

 

空いた右手で斧を取り上げ何処か適当な壁に投げつけめり込ませ、目の前の大柄な男を軽く上空へ吹き飛ばす。頭を連続して殴りかかる少年には大柄な男と同じように軽く腕をふるい、空を飛んでもらう。

 

 

 

真上から降ってきた巨大な氷塊を軽く腕で防ぐ。ガッと氷塊の表面に指がめり込むほどの力で掴み、投げて来たであろう女に向かって勢いよく投げ返す。

 

 

音速を超えた氷塊は、空中に自らの破片を置いていきながらも投げてきた女に向かって飛んで行く。女はその氷塊をギリギリの所で回避し、今度は大小様々な鋭く尖った氷の塊を連続してサイタマに向かって放つ。

 

 

1つ1つが1メートルあるか無いかの氷、その氷は並みの剣を凌ぐほど鋭利さを感じさせ人の肉など容易に貫き通す鋭さを持っていた。氷の弾幕とでもいうのだろうか、空中に現れたそれらはサイタマに向かう精度もさる事ながらその数、10000はくだらなかった。

 

 

 

(あっ、これ受けたら服が破ける)

そう思ったサイタマは氷の隙間を無駄な動き多めで回避して女に近づく。

 

 

毎秒毎秒数千発放たれる女の攻撃をあからさまに迷惑そうな顔をして、さも女の攻撃が無駄であるかを理解させるかのように。

 

 

女は後退しながらも攻撃の手をやめない、サイタマに氷の弾幕が当たらないと分かると目の前に巨大な氷の城壁を作り、その上で先程の数倍あるもの氷塊を瞬時に創り出した。

サイタマは目の前に現れた氷の城壁に一瞬目を奪われるが、すぐさま自分の上に落ちてくる氷塊に目を向ける。

 

走り出していた足を止め、落ちてくる氷塊を先ほどと同じように軽く握った拳で殴り粉々にし、

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間女によって氷漬けにされた

 

女はサイタマが氷塊に集中しているうちに距離を詰め、壁を壊しサイタマを近くの地面ごと氷漬けにしたのだ。

 

 

 

しかしサイタマは氷漬けにされた体を無理矢理動かし、氷の中から脱出する。

 

女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ自分の剣、サーベルを抜く

しかし女が何をする前にサイタマは1つ溜息をして。一瞬で距離を詰め軽く腕を振るい、女を先ほどの3人同様、空に吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイタマは再び歩み始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「正義一斉射撃‼︎」

 

 

 

斜め上から何かが一気に近づくのを感じたサイタマはそれを掴む。ハンドボールほどの巨大な弾丸そして

 

 

ドドドドドドドドドトドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドトドドドドドドドドドドドドドトドドドドドドドドドドドドドトドドドドドドドドドドドドド

 

 

 

空気を切り裂く音が数秒聞こえ、次の瞬間には雷鳴にも似た爆発音が轟く。

 

弾丸の後に続いてやって来たのは何十発もの小型ミサイルだった。先ほどの氷塊よりも命中精度は高くないらしく、それら殆どがサイタマの周囲の地面にめり込み爆発し、砂埃を巻き上げる。

 

直撃したのは2、3発だったろうか。

 

しかしそれはまだ止まらない。

 

鳴り止まぬ砲戦、爆発によって吹き飛ぶ大地、ズズズッという鈍い音と共にバランスを崩し倒れる建物、土煙を吹き飛ばしたかと思えば爆発により新たな土煙を巻き上げる。

 

そんな状態に1分ほど続いただろうか

 

 

 

 

サイタマは倒壊した建物の瓦礫の下敷きになった

 

 

 

その姿を宮殿の壁の上から望遠鏡で見ていた少女は満面の笑みを浮かべる、しかし自分の相棒が持っている探知機の反応を見て驚愕する。

 

 

そして視線を探知機から未だ土煙が立ち込める瓦礫の方を見る。カラカラという瓦礫のカケラが落ちる音が聞こえるが到底人間が生きているとは思えない。しかし探知機には男が生きていると反応がある。

 

 

「しぶとい悪だっ、コロ、6番」

 

 

そう言って少女は相棒の名前を呼ぶ、コロと呼ばれた子犬は急激に体を巨大化させると少女の上半身全てを飲み込んだ

 

 

ズリュリュリュリュ

 

そんな気持ちの悪い音と共に少女はコロの口の中から自分の上半身を引き抜く。引き抜いたその手には少女の身長の数倍はある巨大なミサイルがあった。

 

 

「悪は死ねぇええええええ」

 

 

少女はそれを躊躇いなく男が埋まっているであろう位置に向けて発射する

 

ドオォンという腹の奥底までに響く音を放ちながらも空気を切り裂きながら巨大ミサイルは進んで行く。

 

一瞬にも満たない時間で巨大ミサイルは男が埋まっているであろう場所についた。

少女はその瞬間歓喜に包まれる

これでまた1人悪を倒した。

自分の正義が悪に勝った。

 

 

この調子でどんどん悪を倒さないと

 

 

 

 

 

 

ズンッ バシィン

 

 

 

 

 

 

何かを思い切り蹴り上げる音が聞こえ、その数秒後遥か上空で巨大な爆発音が響く

 

 

 

 

そして瓦礫があったはずの場所にはクレーターができ、自分の背後には巨大な死が迫っていた

 

後ろを振り向こうとするが間に合わない、距離をとろうにも宮殿の壁の上には逃げる場所などない。

 

 

「コロ!狂化(おくのて)

 

 

首にとてつもない程の負荷がかかり少女は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XVII

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイタマは歩みを止め、目の前にいる犬を見る

 

 

先程まではサッカーボールほどの大きさだった子犬が一瞬にして巨大になった。腕の太さだけでも先ほどの巨大ミサイルほどあるだろう、その腕を使い倒れた少女を右手で優しく抱え、左手を思い切り振り上げ、勢いよく足下に打ち付けた。

 

打ち付けられた箇所はいとも容易く崩壊し、重力に従って落下する。高さ数百メートルから地面へ命綱無しでのダイブによりサイタマは体制を立て直すことなく頭から地面に落ちて行く。

 

 

 

ドゴォン ドスン

 

 

 

 

サイタマは起き上がろうとするが犬はそれを許さない。抱えていた少女を優しく地面におろし一緒になって降ってきた壁の破片とあたりに散らばる破片をサイタマのいる場所に向かってぶん投げる。

 

巨大な質量を持った瓦礫は予測不可能な動きをしてサイタマに向かって飛んでゆく、しかしそれらはそう遠くにいるわけでもないサイタマにまったくもって当たらなかった。

 

 

 

 

 

恐怖により手元がズレているのだ

 

 

 

 

コロは怖かった。

 

生物型帝具であるコロが恐怖を覚えるなど今まで決してなかった。どんなに強い相手でも決して怯まず、千年という長い時の間帝具として使われてきて、様々な強者を見てきた。並みの人間よりも自分は人を見る目はある。だからこそ怖かった、自分の奥の手を使い始めて目の前の人間の異常性が理解できたのだから。

 

 

 

 

 

嗅覚

 

凶暴で凶悪それでいて圧倒的、絶対的食物連鎖の頂点に立つであろう存在。はるか遠い昔、一度どこかで嗅いだことのある伝説の龍の血の臭い

 

 

聴覚

 

いっさいブレる事なく一定のリズムで刻む心音は異形の存在となった自分を前にしてもまったくもって微動だにしていない証拠

 

 

視覚

 

狂化された目で見て分かる、この男の異常な力。はち切れんばかりに空気を入れた風船、いやそんなちゃちなものじゃない膨大なエネルギーを人の鋳型に押し込みそれを何千回、何万回と繰り返して造られた自分以上の兵器ではないかと錯覚させる

 

 

感覚

 

自分がこれまで戦ってきた相手、その中でも叩きつけてくるオーラは別格。いや、今まで全ての敵を合わせてもここまでのオーラは出せないだろう、そうコロは悟った。

 

 

 

『ギオオオォォォォオオォオオ』

 

 

 

コロは瓦礫を投げるのをやめる。犬の鳴き声とは思えないほどの雄叫びをあげ、恐怖によって固まった自分に喝を入れる。

 

 

 

 

 

すでにコロの主人であるセリューは気を失っている、本来であればコロもその機能を停止させるはずであったがコロは動いていた。

 

 

体が元に戻ろうとする、無理矢理全身に力を込める

 

体の至る所からビキビキ バギバキと嫌な音が聞こえる、まだ倒れちゃダメだ意志を強く持ち堪える

 

全身から普段とはまったくもって異なる痛みが走る、目に涙を浮かべながら歯を食いしばりなんとか耐える

 

 

 

 

コロの体はもう限界を迎えていた。本来であれば自分の体をえぐる敵の攻撃を受けても再生するが、今回は主人であるセリューが気を失っているため自分との戦いだった。

 

道具としての自分が元の状態に戻ろうとする、でも今元に戻ったらセリューは目の前の人間に殺されてしまう。

 

それだけは、なんとしても避けないと

 

 

 

 

 

 

サイタマは目の前の犬を見つめる

 

 

先ほどまでは自分の数倍あったが突然ボシュンという空気の抜けたような音と共にサッカーボールほどの大きさに戻ってしまった。しかしその目は強い意志を感じさせサイタマを睨み続けていた。鋭く尖った牙を見せ唸り声をあげ、後ろに倒れている少女を守るようにして。

 

 

 

ふと目の前の男は何かに気がついたかのか自分に背を向ける、そして男が何に気がついたのかを察する。

 

 

 

 

 

数万人規模の大量の人の波がこちらに向かってきていた。

 

普段なら援軍が来たとコロは安堵するだろう、しかし人の波は止まる気配をいっさい見せなかった。

 

喘ぎ声とも取れる呻き声をあげながら血走った目でただ全速力でこちらに向かって走る。その顔に理性の色は一切見られなかった。ただ1人の人間でさえ鎧を着ているのにもかかわらず体が数倍にまで膨れているのではないかと錯覚してしまうほど気迫があった。

 

 

おそらくここにいるとあの人の波によってセリューと自分は踏み潰されてしまうだろう

 

コロは覚悟を決め、背後に横たわる主人、セリューを引きずり端に寄せようとする。しかし帝具として主人が眠っている状態で出る力は自分と同じサイズの子犬と同じほどだ、いくらセリューが女の子だったとしても到底コロには動かせない。

 

それでも引きずるセリューが生き残る可能性を信じて。

 

 

 

 

 

 

 

ふと頭を撫でられた、やはりあの人間だ

 

 

「お前はご主人様を守ってろ、あいつらは俺がなんとかする」

 

そう言って人間は自分の頭を撫でていた手を離すと巨大な人の波に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「あの女、兵士たちに帝具を使うとは、よく考えたもんだ」

 

盲目の男は呟き、持っていた杖を握り直す

外では亡者の嘆きに似た声と何かを思いっきり引っ叩く音が鳴り止む事無く続いていた。それが何を指すのかを男たちは直感的に理解した。

 

 

「やはり来たか」

 

「えぇ、来ましたよブドー大将軍」

 

「そうか…」

 

「シュラの小僧も負け、大臣お抱えの羅刹四鬼もやられ、エスデス将軍もやられ、帝国お抱えの帝具使いもあっしを含めて後8人ってところですかね」

 

「ふ、例え帝国の帝具使いが私1人になったとしても。奴が帝国を滅ぼそうとするのであれば、私は奴を処刑するまでだ」

 

一際大きなバチーンという音と共に壊れかけの宮殿の門の上からボロボロになった黒い鎧の少年が落ちてくる。

 

ブドー大将軍はその少年を優しくキャッチすると少し離れた所に自分のマントをかけ、休ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷氷氷氷氷氷氷氷氷

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このままではダメだ

 

 

 

私はあの方と共に

 

 

 

私の命はあの方のために

 

 

 

一度捨てた、この命 あの方のために使わなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣が震えていた

 

 

 

鎧を着た瞬間

 

 

 

見えていた景色が変わった

 

 

 

目の前にいる人間から真っ黒なイメージを感じとった

 

 

 

それは巨大な蜥蜴のような姿で黒くドロッとした液体を口からこぼし、体の至る所から血を吹き出し腹からはベチャベチャ何かを滴らせながら、目を真っ赤にして泣き叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は喰う

 

 

 

主人を喰っタ

 

 

 

愛した者たちの喰ッタ

 

 

 

足リナい、まダダメだ、もッと喰わネバ

 

 

 

こノ世界を救ウタめ、イラナイヤツヲクウ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっと力をよこせ

 

 

足りない、こんな力では足りない

 

 

もっとだ、もっと力をよこせ

 

 

もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと

 

 

 

モット、チカラヲ ヨコセ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「えっと、確か捕獲レベル46殺戮蟻の亜種と超特殊調理食材ベリバラの実でしたっけ?」

 

「そう、正確には捕獲レベル52と捕獲レベル421よ」

 

 

真っ白な髪をした少女が訪ねた問いに黒髪の女性は口にあてていたティーカップをはなし、答えた。

 

 

「対処方は?」

 

 

「殺戮蟻の亜種は牙を見なさい、身の危険を感じなければ堂々としていればいいのよ。例え何億何兆何京匹いたとしても悪魔の胃液には溶かされちゃう。ベリバラの場合は一回体を燃やしなさい、脳に届いた場合貴女じゃ恐らく死んでしまう。なら燃やした方が楽よ」

 

 

少女は頷きながらその言葉を持っていた手帳に書き込む。その様子を見て女性は満足げな笑みを浮かべ、ティーカップを口にあてる。

 

 

「でも、いるんですかね他の世界にそんな生物たちが」

 

「わからないから探すんでしょ。未知とは恐怖、未知とは愚か、未知とは夢、未知とは憧れ、誰の言葉だったかしら?」

 

 

「確かに油断が命とりになりますものね」

 

 

そう言って少女はポケットから一口サイズのチョコレートを取り出し包み紙ごと口に入れる。パリポリという心地よい音が聞こえ、少女は満面の笑みを浮かべながらほっぺに手を当てる。

 

 

 

 

 

「己を磨くのをやめたものはとてつもなく惨めよ、私がこの前行った世界では優秀な少女たちがやることが無いという理由だけでカバみたいな不細工の性奴隷かつ食料になっていたんだもの」

 

 

そう言い終わると女性は再びティーカップを再び口にあて中身を一気に飲みほす。

 

 

 

「それって狩りで倒せない奴がいなくなったからっていう例の世界のやつですか?」

 

「そう、馬鹿よね。探せばいくらでもあるのに、楽器の練習、歌の練習、読書に、武器の作成、新しい事の発見、他の星へ行く、マグマの中を泳ごうとする、可能性なんて無限大なのに」

 

 

 

 

「で、結局どうしたんですか?」

 

 

 

 

 

「ペットの餌にしたのよ」

 

少女の問いに女性は冷たく言い放つ、しかし少女はその言葉を聞いた瞬間、ガラスで出来たテーブルに強く拳を叩きつけた。

 

ガラスのテーブルに蜘蛛の巣のようなヒビが入るが、壊れる様子は一切なかった。叩きつけた拳は震えており少女の瞳は怒りに燃えていた。

 

 

 

 

 

女性は話を続ける

 

 

「面白かったわよ、特にカバみたいな不細工。私が性奴隷になりに来たのだと思って首輪をつけようとして来たの、だから逆に首を握り締めてやった」

 

「そうするとね、女の子たちが私の尻尾を掴もうとしたり握り締めてる手を離させようとしたり、効かない薬を刺してきたりして来たの」

 

 

「でもね、唯一面白くなかったことがあるのよ、カバみたいな不細工たちが女の子たちを鎧のように自分の体に巻きつけていた事」

 

 

「よくあるわよね、俺を殺そうとしたらこいつが傷つくぞ。カバみたいな不細工がニヤニヤとこっちを見て来たの、そろそろ薬が効いて来たはず、とか思いながらね」

 

 

「だから全部ペットの餌にしてあげたのよ、女の子たちは本当なら直属の部隊にしてあげようかと思ってたけど」

 

 

「まぁ面白かったわよ、女の子たちは自分から盾になろうと前に出るけど、家畜としての生活が長かったせいかしら?筋肉が弱っていたせいか、みんな檻獣に捕まっちゃうの、まぁ何人か捕まった時に背骨が折れて死にかけるのだけどね。ちゃんと直したわよ」

 

 

「カバたちが言うの、お前は仲間を殺すのか?ってバカみたいよね散々自分たちは殺して食べておいて、まぁカバたちもその時は五体満足で生かしておいたわ」

 

 

「確かその時はどうだったかしら、そうそう女の子たちは自殺できないように全身縛ってギャグボール咥えさせて、カバたちと虫の餌になってるころよ」

 

 

 

 

「で、少女たちを殺したんですか?」

 

楽しそうに語る女の話を中断させ、白髪の少女は尋ねる。少女の瞳にはもはや怒りはなく、目の前の女を殺そうと身構えている獣の目だった。

 

 

 

「殺しは禁止よ、今もなお生きてるわ。多分時間からして今腕一本食べ終わってる頃かしら、あの虫たちは食が細い事で有名だから」

まだ話し足りなさそうにしている女性は少女の瞳を見て、肩をすくめながらそう答えた。

もっとも少女がどんな手段をとろうとも自分に傷一つつけられないのだが。

 

 

 

 

 

「平均捕獲レベル3000の凶悪拷問虫類、ありとあらゆる毒の抗体に宿主を殺さないようにする激痛を伴う凶悪な薬、無理やり血管を太くし体に栄養を送らせる。死なない代わりに全てにおいて不自由になるヤバイ奴ですよね」

 

少女の瞳にあった殺意は消えていた、が、未だ目の前の女に対する怒りは消えていなかった。それは少女自身が女の飼っている虫の事を身をもって知っているからだ。

 

 

 

「言うほど酷くないわよ、殺すと言うことはその生物の全てを奪うということよ。なら私たちは命を奪う場合じっくりと、その命に感謝して味わうべきなのよ」

 

「それに、私は排泄物を食べると言う事の意味がわからないわ、だったら栄養だけを送ればいいじゃない」

 

 

 

「狂人の考えですね」

 

少女は吐き捨てるようにつぶやく。

 

 

「そう?私はいたって普通の考えだと思っているのよ?むしろ家畜の方がどうかとしてると思うのよ」

 

「それで女の子たちは今どうしてるんですか?」

 

「さあ?確か正気に戻す作業を先にするよう命令してあるからそろそろ1人目あたりが餌になるのじゃないかしら?」

 

 

 

 

 

「命乞いは聞かないのですか?」

 

 

 

 

「聞かないわよ、そもそも彼女たちは諦めたのよ?自分を磨くことを、私はそれを決して許さない」

 

 

 

「それでも、「いい加減にしなさい。私はあなたの直属の上司では無いから殺さない訳ではないの、貴方が自分を磨き続ける人間だから生かしているのわかった?」…はい」

 

女性の顔から笑みが消え、少女は次の発言は無いと悟る

 

 

 

女性は1つため息をし表情を戻し、少女に笑いかけ

 

 

「もし貴女が私と同じような場所に行くようであれば貴女はその娘たちを助ければいいじゃないのよ。人を育てると言うことも自分を磨くことなんだから」

 

 

 

と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…本日はありがとうございました、では失礼します」

 

 

少女は一礼をすると女性の前から消えた。

 

 

 

女性は少女の気配が完全に消えたのを確認すると椅子から立ち上がり体に収納していた耳と尻尾をピョコンと出す。

 

 

 

 

「まったく、理解に苦しむのよね。『命は一度限り、その死はどんなものよりも尊い。ならば汝は自らが殺した者ノミを食せ』この戒律を守っているのって私以外に何人いるのかしら?」

 

女性はそう1人呟きながら、少女が座っていた椅子を軽く蹴飛ばす。それだけで椅子はビー玉になった。

 

 

「でも、ドMや自殺願望者って厄介よね。相手にとって傷つけることはご褒美になるし死ぬ事は良いことになってしまうし」

 

 

右耳をぴょこぴょこと動かし、自分の座っていた椅子も少女の座っていた椅子同様ビー玉にする。

 

 

「えぇ、わかってるわよ。不老にしたわ、鼻にチューブ突っ込んで栄養を送り、手足は縛らずそのまま、でも薬の効果で筋肉は動かない。五感は薬で異常なまでに鋭敏になっている、ただし快楽のみ感じられないようにしたわ。乾いた口や喉に詰まったタンの処理なんかは彼女たちを尊敬している後任が全部してくれるもの」

くるりくるり右耳を回し、そしてひび割れたテーブルをコツンと叩いた。

 

 

 

 

それだけで、テーブルは目に見えないほどの小さな粒へと変わり、音も立てずに消えていった。

 

 

 

「私たちのために重傷を負った歴戦の勇者たち。勇者たちがこんな目にあったのは私たちを助けてくれたおかげ」

 

持っていたティーカップをスボンのポケットにしまう、体積以上のものなのにもかかわらずティーカップはスッとポケットの中に消えていった

 

 

「めんどくさいことを全てやってくれる部下、死ぬことも動くことも一切できなくなるという絶対の罰、可愛い私の虫たちのエサ。一石何鳥の利益ができたか…?」

 

 

女性はかるく両手を広げ上から降ってきたものをキャッチし、少し驚く。

 

降ってきたのは全身ボロボロの浅葱色の髪の少女。

 

 

 

 

「貴女の失敗」

 

 

それが唯一の損かしら?

 

 

そんな事を呟くと

 

そこに2人の姿は無かった。

 

 

 

 

 

 

 








いかがでしたでしょうか?


自分で読み返しても恥ずかしい限りなのですが、何度か修正に修正を重ねてこの出来です。
残念な出来だと思われた方、すみません。これが作者の限界です。

頑張った、と思われた方、ありがとうございます。感想等に書いてもらえれば励みになります。



エスデスは戦闘狂だけど、戦闘で理性をなくさないですよね。常に相手の表情や仕草を見て戦いを楽しんでる。

そんな人間とサイタマが戦ったら。

どうなるんでしょうね。



イメージ的には


エスデス>やせ細りモヤシ


何ですが。


ジェノスって、エスデスに勝てるのか?







次回予告




遂にやって来た、宮殿



そこに待ち受けるのは


天を覆い隠すほどの巨大な龍


サイタマは一体どうやって立ち向かうのか



そして、ドロテアとスタイリッシュが手に手を取り合い、作り上げたアレはどんなアレ的なアレをアレするアレ的なアレになっているのか。



次回、壊滅




(予告内容は作者の気分次第で変わることが御座いますので改めてご了承ください)










良いお知らせ。

今日中にもう一話投稿します。

(できなかったら明日)
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