紫色の酒宴   作:dokkakuhei

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白練座敷

 ナザリック地下大墳墓の9階層。そこにはひっそりと構えられたバーがある。常連は数えるほどしかおらず、店内はいつも静かだ。日々の喧騒に疲れた者達が逃げ込む隠れ家的な雰囲気を醸し出している。

 

 古今東西の酒がずらりと並ぶ棚が聳えるそのカウンターの中にはフォーマルスーツに身を包んだ人影が立っていた。ただし、人影といっても明らかに人ではなく、膨らんだ白い頭部に、血のような赤い斑点をいくつも付けた、ちょうどキノコの仲間のHydnellum_peckii(ヒドネルム・パッキー)を巨大化させた様な生き物だ。

 

 彼はナザリックの副料理長であり、ここは副料理長──彼と仲の良いものは彼の外見に因んでピッキーとあだ名する──が半分趣味で経営しているバーなのだ。

 

 このこぢんまりしたショットバー形式の店内では自分の世界に没入出来るよう、手元だけに搾られた照明が、8つしかない客席を静かに照らしている。

 

 すっかり夜が更けって丑三つ時も過ぎた頃、店の奥から2番目の席で女性が一人ラスティ・ネイルを飲んでいた。

 

 彼女もまた人ではない。有角有翼の異形、ナザリック地下大墳墓において各階層守護者を統括する、シモベ達の頂点。アルベドである。

 

 彼女はごくたまに閉店間近の誰もいない時間帯を見計いやって来ては、二杯のカクテルを飲んで帰っていく。注文の時以外にはあまり言葉を発しない。

 

 ピッキーは心情的にバーはダンディな男が利用するものだと常日頃から考えており、女性の来店はあまり歓迎したものではないと思っているのだが、アルベドに関しては特別忌避感を抱いてはいない。むしろ好意的な感情を持っていた。

 

 ピッキーはラックに並ぶグラスをせっせと磨きながらアルベドが酒を飲む姿をぼんやり眺めている。

 

(酒と美女。これは絵になるな。)

 

 アルベド嬢はナザリックでも指折りの美女である。ナザリックの美女には様々な種類があるが、アルベド嬢に関しては長く美しい髪や成熟した体型、落ち着いた佇まい、(かかあ)的な役職を見ても、とりわけ男性が思う女性の理想を突き詰めた姿を体現しているといっても過言ではないと思う。

 

 長く美しい黒髪といえば、アルベド嬢の他にもナーベラル嬢が思い浮かぶが、両者の備える性質は少し違う。ナーベラル嬢の髪が健康的な濡羽色とするなら、アルベド嬢の髪は檳榔子黒(びんろうじぐろ)。艶やかさと気品を備えている。

 

 そう言えばアインズ様はナザリックにいるときはアルベド嬢を侍らせ、外に出るときはナーベラル嬢を侍らせているが、もしかすると主は長い黒髪の女性が好みなのかもしれない。

 

 そんな事を考えているとアルベドと目があった。

 

「おかわりいいかしら。」

 

 アルベドの手元を見ると既にグラスが空になっていた。彼女は次を急かすようにグラスに入った丸い氷をカラカラと鳴らしている。

 

 ピッキーはしまった、と心の中で舌打ちする。物思いにふけっていて客のペースを見誤った。本来ならこちらから"お次は何にいたしましょう"と声をかけねばならなかったのに、とんだ失態だ。

 

「かしこまりました。」

 

 しかしそんな悔恨はおくびにも出さず、ピッキーは慣れた手つきで注文の酒を混ぜ合わせる。そして、今日の二杯目をアルベドに差し出した。

 

 ピッキーは横目でアルベドを見る。彼女は背筋をしゃんと伸ばし、カクテルを口に運んでいる。ラスティ・ネイルは甘い酒だが、度数はそれなりに高めだ。それを顔色一つ変えず早いペースで呷る姿は大人の色香を漂わせている。

 

(これぞ淑女といった佇まいだ。)

 

 いつだったか、シャルティア嬢が大ジョッキを片手に呑んだくれのように管を巻いていたのとは大違いだ。あれで酔っていないのだからよほどタチが悪い。

 

 ピッキーは昔あった苦い経験を思い出しつつ、内ポケットの懐中時計をチラリと覗くと、店じまいに取りかかる。そこにアルベドから再度声がかかった。

 

「注文良いかしら。」

 

 おや、三杯目とは珍しい。

 

「何にいたしましょう。」

 

「そうねえ。私にぴったりのカクテルを頂戴。」

 

 謎かけじみた、少々クサイ注文に少し面喰らうが、ピッキーはアルベドの表情を見て彼女の意図を理解した。これはバーテンダーに対する挑戦状だ。ピッキーは先程の失態を取り返すチャンスだと内心奮励して(躍起になって)カクテルをシェイクする。

 

「ホワイト・レディです。」

 

 アルベドは出されたグラスを愛おしそうに僅かに傾けて、中の液体がゆらゆらと揺れる様子を楽しんだ後にそれを口にした。

 

「流石ね。」

 

 どうやら課題はクリアしたようだ。直球勝負で正解だった。

 

「貴方の出すカクテルは最高だわ。何度も飲んだ味なのに、まるで初恋みたいに新鮮な気分になる。」

 

「お褒めに預かり光栄です。」

 

 ピッキーはちらりとアルベドを見た。ここまで喋るアルベドは本当に珍しい。三杯目も偶然ではないだろう。勘を働かせ、アルベドが考えている事を読み取ろうとする。

 

 いつもと違う行動をするのは他人の気を引きたいからだろうか。それともただの気まぐれか。

 

 アルベドは先の二杯とは打って変わって酒を飲むペースを緩め、半透明の液面をじっと見つめている。その姿はピッキーの言葉を待っているようだった。ピッキーは意を決して言葉をかける。

 

「何か悩み事でもあるのですか?」

 

 そう尋ねるとアルベドは困ったように、にこりと笑って小さく頷いた。

 

「悩みと言うか、望み、かしら。」

 

 アルベドは少し言いづらそうに言葉を続ける。

 

「ここでアインズ様と御一緒に食事がしたい。いや、食事といわず、お酒を嗜む程度でいいのよ。そして貴方の出すお酒ならきっと最高の時間を過ごすことができると思う。」

 

「身に余る評価でございます。」

 

「でも、叶わないわ。」

 

 アルベドはため息をつき、残りの酒を一気に飲み干す。

 

「アインズ様は消化器官がございませんので、物を食べられたり、飲まれたりすることか出来ないし、そもそも必要ない。だから、共に喫食することは出来ないということですか。」

 

「ええ。」

 

 アルベドはあまり抑揚のない声で返事をした。

 

「思い人と同じ事をする。これがどれだけ素敵なことか、貴方には分かるでしょう?最高の人と、最高の場所で、最高のものを味わう。そんな光景を夢見ているの。」

 

 アルベドは寂しそうな表情でショートカクテルグラスの底を見下ろしている。逆円錐形を通して見える歪んだ眺めに、実現しない夢の景色を見出して遠く想いを馳せているのか。

 

「守護者統括殿は案外ロマンチストなのですね。」

 

「ふふ、本当はいとしの人と二股のストローを使って同じグラスを飲みたいと思ったりするの。子供っぽいかしら。」

 

「いえ、とても魅力的ですよ。応援したいと思う程には。」

 

「ありがとう。」

 

 アルベドはいつもの薄い笑みを浮かべてピッキーに礼を告げた。 先の困ったようなはにかみは鳴りを潜めている。

 

「話に付き合わせて悪かったわね。今日はこの辺りにしておくわ。」

 

 アルベドはカウンターに指をつき、席を立とうとした。

 

「お待ち下さい。私の夢の話も聞いて行って下さいますか?」

 

 引き止められるとは思っていなかったアルベドは目を丸くして、ピッキーを見た。ピッキーは何か言いたげなアルベドを手で制して、構わず喋り出す。

 

「私は前々からアインズ様に何か娯楽を提供したいと考えておりました。ですが難儀しておりましてね。ほら、私の取り柄はこれしかありませんから。」

 

 そう言って彼は何も入っていないシェイカーを胸の前で二往復ばかりさせる。

 

 ピッキーは至高の御方に食事をもてなすために生み出された。しかし唯一残った主は料理や嗜好品の類を一切口にしない。()()()()になってしまうからだ。

 

 それゆえ、彼は自分の有用性の証明をするべく日々頭を悩ませていた。

 

「私も料理人の端くれ、何とか食の喜びを味わって頂く方法はないかと思案しておりました。するとあることに気がつきました。アインズ様は消化器官をお持ちでないから食事をなされない。しかし、それは生物由来の受容器がないというだけの話で、味覚や嗅覚はあるはずなんです。」

 

 アルベドは考える。ナザリックが丘陵地帯に転移して、アインズ様が自分の腕を初めて握ってくださったあの夜、あの方は私の匂いを嗅ぎ、手首の脈を計った。つまり嗅覚や触覚が何らかの形であるということ。骨の体であればそれらは普通無いのが道理。逆に言えばそれらがあるという事は味蕾(みらい)が無くても味覚が存在していておかしくはない。アインズ様独自の感覚が。

 

「そこで思いつきました。これです。」

 

 ピッキーはシェイカーをわざとらしくカウンターにカツンと鳴らして置いてから、下の棚にあった一つの器具を取り出す。

 

「これは…!」

 

 アルベドはピッキーが持つそれを見て息をのむ。

 

「2人で夢を叶えませんか?」

 

 

 ーーー

 

 

 ナザリックの副料理長が経営するバー。黒を基調とする格式高い調度品(インテリア)で構成された細長いフロア。シンプルな空間に副料理長のサイケデリックな見た目がいいアクセントになっている。日が没し、夕餉の時刻も過ぎた頃、至高の41人を統べる御方とナザリックのシモベ達を統括する方の来店がある。

 

「アインズ様、今日は私のお誘いに応じて頂きありがとうございます。」

 

「ああ。構わないとも。」

 

 二人は仲睦まじく連れ添って歩く。アルベドはかいがいしく自分の腕をアインズのそれと絡め、アインズはそれを容赦している。

 

「いらっしゃいませ。」

 

 副料理長が最大限の敬意を込めて礼をした。客に対してするには大仰な45度の礼。頭を垂れた姿勢は一寸の乱れもなく、時が止まったかのような錯覚(クロノスタシス)を覚えるほどに訓練された所作だった。

 

「お招きにあずかり参上した。わざわざ招待状までもらえるとはな。」

 

 アインズは意匠を凝らした封筒を取り出す。副料理長からアインズあてに届いたものだ。副料理長とアルベドの連名のバーへお誘いの手紙。

 

「雰囲気作りの一環でございます。それと足もと暗いのでお気をつけてお進み下さい。」

 

 副料理長は深々と下げた頭を戻しながら答えた。茸生物(マイコニド)ゆえ表情はわからないが、きっと晴れがましそうな顔をしているのだろう。至高の御方を迎えるのはシモベにとってこれ以上とない名誉な事である。

 

 アインズ達は副料理長の前に陣取って席に着いた。8つ横に並んだ席の中央2つに、アインズが店の入り口から見て奥側、アルベドが手前側に座る。椅子がひとりでに高さを変えて、肘がちょうどカウンターに置ける場所に落ち着いた。

 

「なんて呼んだらいいのかな。副料理長か、それともバーテンダーやマスターの方がいいか。」

 

「お好きなように。希望を言えば副料理長の方が嬉しいですね。至高の御方に定められた役職でありますので。」

 

「そうか。では副料理長、何か私に振舞ってくれるそうじゃないか。想像もつかないが、さっそくお願いできるかな?」

 

「かしこまりました。」

 

 副料理長は待ってましたと言わんばかりにカウンター下の棚から大きさ70センチぐらいの、丸フラスコを縦に引き伸ばしたような形の器具を持ち出してアインズの目の前に置いた。

 

 かなりの大きさでカウンターに置けばアインズの座高を超える。重量も大きさに見合った程度はあるらしく、置く時にごとりと音を立てた。中は空洞のようだが容器の半分ぐらいまで液体が入れられているらしかった。

 

「これは?」

 

水タバコ(シーシャ)でございます。」

 

 アインズはシーシャの実物を見るのは初めてだった。リアルの鈴木悟はタバコと名の付くものは全てやらなかったし、そもそもそういったものは到底手の出ない奢侈品だった。比較的安価で主流になっていた合成タバコやヘッドギアを通して吸う仮想電子タバコについてもあまり興味は無かった。

 

「ほう。」

 

 アインズは眼前に置かれたシーシャをまじまじと見つめる。それは青い色ガラスで作られていて、五角六十面体にカットされた球状の本体から伸びる垂直の管の上にタバコを入れる受け皿が置かれ、その途中から煙を吸引するホースが2本伸びている。本体の底に光源が仕込まれているらしく、カット面や中にある液体の境界が光を反射屈折させ、複雑な光の芸術を見せていた。

 

「単純な喫煙具としての機能だけでなく、美術品としての良さもあるな。」

 

 アインズは目の前のガラス細工に評を入れつつ、内心は全く縁のなかった喫煙具に対してどう接していいか捉えあぐねていた。しかしせっかく用意してくれたのだから、試してみるのも悪くないと思いホースの1つを持ってみる。

 

「ここから吸うのか?」

 

「その通りでございます。今回は初心者でも楽しめるよう、フレーバーは甘い果物系を入れ、そしてバーらしく、シーシャに水ではなく酒を入れています。」

 

 入れたカクテルは薄めたゴッド・ファーザー。副料理長はアインズには(アルコール)が無効なのはもちろん承知していたが、彼はその無駄を愉しむ事が一番の贅沢になるのだというこだわりによって、敢えてそうしたのだった。

 

「では失礼して。」

 

 副料理長は<永続熱源(コンティニュアル・ヒート)>でクレイトップに火を灯す。そして異常のないことを確認するとアインズに指示を与える。

 

「本来シーシャは自分で煙を吸引するものですが、アインズ様のホースは特別製です。マウスピースにあるスイッチを入れてみて下さい。」

 

「む、これか?」

 

 アインズが促されるままスイッチを押すと、ぽこぽことシーシャの液面が泡立つのが見えた。マウスピースから煙が漏れ出てくる。

 

 これは呼吸器系を持たないアインズのために特別に作られた機構で、排煙孔の開閉と、ポンプによるタバコの受け皿の加圧で、煙を送り出す仕組みになっているのだ。

 

「ふむ。中々風情があるな。」

 

 こうやって静かに揺れる液面を眺めるだけでもリラクゼーション効果がありそうだ。そして液面が揺れることにより光の芸術がまた違った(かお)を見せる。アインズは3Dの万華鏡があったらきっとこういうのだろうなと、なんとなく思った。

 

「スイッチを強めに入れればその分多めに煙が出ます。」

 

 アインズは言われた通りにスイッチを強く押し込む。すると泡がぶくぶくと液面を激しく波立たせた。面白がってしばらく眺めていると、マウスピースからどんどん煙が漏れでて香りが辺りに充満していく。

 

「どうぞ、御賞味下さい。」

 

 アインズは煙の噴流を口の中に放り込んでみる。

 

「ふーむ。」

 

 当然だが煙を直で吸う分、さっきより芳醇な香りがする。それともう1つ感じたのは、煙が予想に反してひんやりしていることだ。自分がイメージしていたタバコのイメージとだいぶ違う。

 

 揺蕩う煙は刻々と形を変えてうねるように広がり、空気と同化していく。

 

 オシャレな趣味だなこれは。ハマりそうだ。

 

 アインズはマウスピースを咥えたまま、煙の強弱をランダムにいじってみる。傍から見れば顎関節の隙間や眼窩や首元から煙が漏れ出る奇怪な骸骨が拝めるだろう。

 

 鈴木悟がタバコをやらなかった理由の1つに匂いがある。お世辞にも衣食住が満足に揃っているとは言えなかった彼は仕事着に匂いが移ることを嫌ったのだ。今着ている魔法の服はそんな心配は要らない。

 

 ああ、クリーニング代が浮いていいや、などと庶民的な発想をしてしまった自分に苦笑しつつ、ふとアルベドを見ると、彼女は空いている方のホースを持ってこちらを見ていた。

 

「私もご一緒してもよろしいでしょうか。」

 

「ああ、構わんぞ。」

 

 アインズは随分長い間ひとりだけで愉しんでいた事に気が付き、少しばつが悪そうに答えた。そしてアルベドが嬉しそうに微笑んだのを見て安堵した。

 

 アインズは何気なくアルベドの手つきを見た。細く長い指が巧みに動いてホースを口元に運ぶ様はまるで紡績機が糸を撚りあわているようだった。そして口の隙間にマウスピースが押し込まれ、唇の肉が僅かに上下に盛り上がる。その動きはアインズが忘れていたあの感情を思い起こさせた。それはシーシャの液面に現れる水泡のように心の中で次々に弾けて広がっていった。

 

「どうかされたのですか?」

 

 アルベドがアインズの視線に気が付いた。上目遣いで小首を傾げるアルベドの姿にアインズは心奪わた。金の双眸に吸い込まれそうだった。

 

「つい、お前の唇に見とれてしまってな。」

 

 アルベドに見惚れていたせいか、はたまたバーの雰囲気に呑まれたせいか、アインズは率直な言葉を告げた。

 

 アルベドは目をぱちくりさせて、頬を茜色に染める。

 

「アインズ様、もっと近くで見られても構わないんですよ?」

 

 そう言ってアルベドはアインズに体を向ける。続けて彼女が右手で髪を後ろに流すと、普段は見えない形の整った耳が現れた。アインズは思わずアルベドの白いうなじに目がいってしまう。その隙をついて、アルベドが両腕をアインズの首の後ろに回し、顔を寄せる。

 

 アインズは反射的に首を引いたが、後頭部をアルベドの腕に抱きとめられた。その拍子にシーシャのホースをとり落す。口が自由になったアインズが何かを言おうとする前にアルベドはそっと口を重ねた。

 

 さっきまで吸っていた水タバコの馥郁とした香りとアルベドの吐き出す息の混ざったものがアインズの中に入っていく。

 

 アルベドは歯と歯がぶつかって耳障りな音を立てないように唇の位置を調整した後、舌を押し込み半ば強引に口を開けさせた。そのままアルベドは舌をアインズの歯の形を一つ一つ調べるようにゆっくりと表面を滑らせていった。

 

 アルベドの金色の目は情欲に潤んでいた。彼女は前のめりになって、完全に自分の体重をアインズに預けた。アインズはアルベドを落とさないように慌てて抱きとめる。

 

 そのはずみに指が胸のあたりの柔らかな肉に沈んだ。

 

「あっ。」

 

 尖った骨の指が与える刺激にアルベドは悲鳴とも嬌声ともつかない音を漏らす。

 

「アインズ様…。」

 

 

 ーーー

 

 

 副料理長はカウンターから出ると店の扉を少し開けて、外にあったメニューボードを仕舞い込み、それからドアノブに貸切のプレートを掛けた。

 

 

 

 

 






※書いてる人は酒もタバコもやりません。おかしい箇所があるかもしれませんが、ご容赦下さい。

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