といった具合でして、当二次小説において彼女はかなり特殊な立ち位置になっておりますので悪しからず。
あと超高校級のアニメーターって何?
そんなキャラいたなんて聞いてないっスよ……
ーー狛枝視点ーー
「ああ、なんて素晴らしいんだッ!!」
ボクは思わず叫んでいた。
周りにいたクラスメイト達が冷ややかな視線を送ってきているけど、そんなことはどうだっていい。
苗木クンの処刑は失敗に終わった。
やはり彼は〝真の希望〟に違いない。
どれ程の〝絶望〟が迫っていようと、あらゆる事象が回り回って彼の〝希望〟へと昇華される。
どんな絶望だろうと、〝希望の種〟を育てるための養分に過ぎない。
もはや勝敗は喫した。
「逃がした魚は大きいよ……江ノ島盾子さん」
***
ーー日向視点ーー
〝奇跡〟
俺の脳裏はその言葉によって埋め尽くされた。
横にいる狛枝は狂ったように喜んでいたが、それはいつもの事だ。
まあヤツに言わせれば、今回のことは〝必然〟なのだろう。
『〝絶望〟に負ける〝希望〟などありはしない』
とか言いそうだ。
何はともあれ良かった。苗木が無事で。
まだ江ノ島の計画を止める〝希望〟は残っている。
そして、俺達のやるべきことも……
***
ーー七海視点ーー
苗木くんの一応の無事を確認して暫くたったころ、77期生のみんなは自分達の過去について話し合っていた。
そして、私のことも……
不安だ。
私はみんなのことを騙していたのだから。
「……み!」
でも…、でもこれでいいんだよ。それが私の役目だから。
「……なみ!」
きっともう、私がいなくても大丈夫だろう。
「……ななみ!」
みんなはとっくに、強い絆で結ばれている。
私はここにいるべきではない、よね……
なんだか、悲しいな……
「おい、七海ッ!!」
私の意識は、肩を揺さぶられることによって覚醒した。
「大丈夫か?」
「う、うん…」
日向くんが、私の瞳を覗き込む。
思わず視線をそらしてしまう。
でも、顔を上げて初めて…みんなが私を見ていることが分かった。
「わ、私…もう行くね…」
怖い。
みんなに嫌われたくない。
私は〝作られた希望〟なのに……
人間じゃないのに……、どうして?
どうしてこんなに苦しいの……?
「行くって、どこに行くんだよ?」
……え?
「今から作戦会議をするんだ。
苗木達のために、俺達にもなにか出来ることがあるはずだ!」
……え?
「お、おい。……聞いてるのか?」
「……たし、」
「どうしたんだ? 七海?」
「私、みんなと一緒にいていいの?」
「……。」
日向くんはポカンと口を開けて固まっていた。
なにか変なこと…言ったのかな?
私が、そんな心配をしながら俯いていると…穏やかな笑い声が聞こえてきた。
「七海……変な心配をしているようだけど、そんなのは杞憂だ。
みんな感謝しているんだぞ?
江ノ島の〝絶望の言弾〟から救ってくれたのは、紛れもなくお前だ。
あの事件を隠していたことを責めるのなら、俺だって同罪だし。
それに……みんなを見てみろよ。」
私は顔を上げる。
すると、そこには14人の笑顔があった。
そして……
『お前も、77期生の仲間だ』
みんなは、そう言ってくれた。
*****
ーー戦刃視点ーー
盾子ちゃんの〝言弾〟が降り注ぎ、校外一帯は地獄の様相を呈している。
その数秒後…音声は途切れ、呻き声だけがこだましていた。
しかし、私は相も変わらず正面玄関入口の前に居座っている。
起爆スイッチを持ちながら。
〝盾子ちゃんと苗木君の直接対決を邪魔させないこと〟
それが、私がこの舞台で遂行すべき最後の任務。
処刑の果てに、未来がどうなるのか…私にはわからない。
でも、私は信じているよ…苗木君……
***
ーー江ノ島視点ーー
学園内のプログラムに異常があることは〝2人〟の報告により知っていた。
だが、あえて見逃した。
本来〝人類史上最大最悪の絶望的事件〟が予定通りに起きていたなら、コロシアイ学園生活に関わっているのはアタシを含めた16人のみ。
だからこそ、〝元超高校級のハッカー〟と〝元超高校級のシステムエンジニア〟にも手を加えないように命令した。
まあ、その結果が現状を生み出しているのだが……
しかし、こうも見事に打開されては相手を賞賛せざるを得ない。
否、それでこそ我が天敵と言えるというもの。
さて、正真正銘〝最後の学級裁判〟の準備でもしようか。
今度こそ決着よ……
〝希望〟と〝絶望〟
どちらがこの世界の真実たり得るか……
*****
ーー狛枝視点ーー
七海さんが改めて77期生の一員に加わった後、ボク達はそれぞれに出来ることを話し合った。
暫く話し合っていると…そこに78期生の後輩達が合流して、話はさらに発展していった。
結果から言えば、〝学園のシステムを奪還すること〟を最終目標とすることになった。
そして、その為に成すべき事は〝江ノ島盾子に協力する2人の元超高校級の居場所を見つけること、並びに捕縛〟という結論に至る。
仮に誰かが〝おしおき〟されることになった際に処刑の執行を防ぐため…とのこと。
まあ、ボクに言わせれば必要ないことなんだけどね。
だって考えてもみて欲しい。
〝希望〟が敗北することなど、あり得ない。
誰かが処刑され死ぬことになったとて、その絶望は〝希望の種〟を育てるための養分となるのだから……
*****
苗木君がゴミ処理場へと落ちてから二日が経った。
ボクらは未だに絶望側の元超高校級の居場所を捜し出せずにいた。
学園の敷地内との当たりを付けて捜索を行っているが、手がかりすらない。
「有事の際の対応の為に学園内に潜んでいると想定していたが、違うのかもしれないな……」
焦燥感が押し寄せる中で、誰かがそう呟いた。
しかし、無力感と沈黙が支配するその空気は…突然な喧騒によって破られた。
どうやら、苗木クンと霧切さんがトラッシュルームのモニターに姿を現したようだ。
ボクらはモニターの前まで移動し、その後の成り行きを見守った。
端的に言えば、これから〝最後の学級裁判〟が開かれる…とのこと。
戦刃殺しの犯人。
並びに、この学園に潜む全ての謎の解明。
それが苗木クン達の勝利条件。
苗木クン、霧切さんとモノクマの交渉はそのように決着し…彼等は捜索を開始した。
最早、ボク達に残された猶予も僅かなようだ。
じきに裁判が始まり、誰かしらの処刑が行われる。
77期生、78期生のみんなも、動揺を隠せない。
先程よりも一層大きな焦りが彼等を駆り立てる。
そんな、荒れる現場の中で…ボクは〝とある人物〟が普通科の生徒達が使う寮の方へ歩いて行くのを見た。
「あの人って……」
***
「みんな、落ち着いて」
口々に不安を漏らす中、一人の少女の声が静寂を作り出す。
「この敷地の中に、江ノ島さんと連絡を取っている人物は確かに存在する。
学園内に点在していた妨害電波の影響で正確な位置は割り出せてないけど、みんなの探索のおかげで範囲の絞り込みには成功している。
あと敵の二人が移動している可能性だけど、不二咲君のハッキングに対応する為にその場に留まってる方が有力だよ。
加えて、あらかじめ準備された相応の機器が必要だしね」
彼女ーー七海千秋は、ゆっくりと語る。
「絶対に近くに潜んでいるはずだよ。
彼等を取り押さえて、私と不二咲君で学園のシステムを奪還する。
私達なら必ずできる!」
絶望的とも言えるこの状況において、彼女は希望を失わない。
その言葉は確かな〝言弾〟として、みんなに届いた。
再びその場に活気と希望が満ちていく。
「人工知能が身に付けた〝希望〟か…。
存外悪くないのかもしれないね……」
ボクの呟きは、喧騒の中へと消えていった。
*****
ーー戦刃視点ーー
苗木君が校舎内に姿を現し、この映画撮影も最終局面を迎えようとしている。
周囲の人間への警戒を常にしていたから、碌な睡眠を取ってないけど…どうにか最後まで踏ん張れそうだ。
しかし、目的達成を目の前にして一瞬だけ気が緩んだ。
だからこそ私の脳は…スピーカーから流れてきた盾子ちゃんの言葉の意味を、すぐに理解することが出来なかった。
「マイクテスッ!マイクテスッ!
……お、聞こえてるっぽいね。
こっちからの音声切らないでよね-、設定し直すの面倒なんだから。
……そんなに身構えないでいいって。
〝言弾〟は使わないからさ……」
盾子ちゃんの声は、いつもよりワントーン高く感じた。
これから始まる決着への興奮を抑え切れていないような、そんな感じ。
でも次の瞬間、その声はひどく冷徹に聞こえただろう。
「ま、アタシからはただ一つ」
誰かを見下すような、底冷えするような…低い声。
「そこの正面玄関前でバカの一つ覚えみたいに居座ってる、救いようのないアホのことだけど……」
誰かを切り捨てるような、背筋が凍るような…美しい声。
「そいつが持ってる〝起爆スイッチ〟…ニセモノだから。
〝最後の学級裁判〟までシナリオが進んだからさ、もう用済み。
残念な割りには、まあ良くやったと思うよ。
ブラフとしては予想以上に機能した」
ねえ、みんなには盾子ちゃんの声がどう聞こえているの?
「一応労っておこうかな、ご苦労様。
アハハッ!そんな顔も出来たんだッ!
最高の絶望フェイスよッ!
ねえどんな気持ちッ!?
ずっと味方だと思ってた妹に裏切られてさぁッ!!」
ねえ、みんなには私が哀れに見える?
「ほんっと残念なヤツッ!
アタシには理解不能。
何日間も同じ場所でじっとしてるなんてさ……
あーあ…なんか馬鹿にするのも飽きちゃった」
ねえ、盾子ちゃん。
私が今、どう思っているか分かる?
「そこのド間抜けな〝軍人〟はただのコマ。
〝絶望〟に踊らされただけの残念なヤツ。
あーあー、泣いちゃって…ま、そうだよね。
自分には何の価値もなかったんだから」
ねえ、盾子ちゃん。どうして……
「じゃ、サヨナラ……」
どうして……
「残念な、お姉ちゃん……」
どうして、そんなに悲しそうに言うの……?
***
ーー狛枝視点ーー
「確保ーッ!」
ミライ機関の職員の声が響く。
正面玄関前に居座っていた〝超高校級の軍人〟戦刃むくろは先の放送後、その場に泣き崩れた。
江ノ島盾子の発言の真偽は不明だが、好機であることに違いはなかった。
まもなくして、彼女は武装したミライ機関の職員により身柄を拘束された。
長時間に渡る緊張状態からの疲労もあったのか、抵抗することはなかった。
そんな彼女は今、舞園さやかの願い出により拘束具を付けた状態ではあるものの、78期生達に囲まれていた。
数名が話しかけるも、虚ろな目をした戦刃むくろに動く気配はなかった。
***
ーー戦刃視点ーー
映画撮影を装った〝希望〟と〝絶望〟の最終決戦。
その作戦から、たった今除外された。
用済みだと。
ただのコマだと。
利用されただけだと。
〝だからこそ、
〝同情されるべき、哀れな被害者だと〟
共に背負うと決めた罪という名の重りを、盾子ちゃんは私から奪っていった。
〝自分の為に生きろ〟という、妹からの最後のメッセージ。
なんて情けない。
幼少期、暴力から守り切ることが出来なかった。
そばにいることすら出来なかった。
だからこそ決めたはずだ。
守れるだけの力を身に付け、例え世界を敵に回そうとも…彼女のそばを離れないと。
だがどうだ。
今、私はどうなってる。
結局どうなった。
守られたのはどっちだ。
…………。
…………。
私は残念なヤツだ。
何をやってもダメダメで、誰のためにも生きることが出来ない。
私は、どうすればいいの……?
ーーパァァァンッ!ーー
乾いた音が…頬の痛みが、私を現実に引き戻す。
顔を上げると、舞園さんがいた。
周りには、校外にいる78期生のみんなも。
「後悔は終わりましたか?」
舞園さんが、私に問いかける。
「いえ…あなたはまだ、後悔すら出来ないはずです」
彼女の瞳には〝希望〟が見える。
〝最後の学級裁判〟を前にしても、微かな〝絶望〟もない。
「あなたはまだ、何も成していない」
眩しい。
目を逸らしたくなる。
「あなたはまだ…終わってもいませんし、始まってもいません」
重力に身を任せ、自然と私は俯いていく。
もう、どうしようもない。
盾子ちゃんに、関わるなと言われた。
それが盾子ちゃんの願いなら、私は……
「テメェッ!シャンとしねぇかッ!!」
私は、その怒声に再び顔を上げる。
大和田君が、拳を握りしめている。
「キョウダイってのはな…特別な関係なんだ。
後になって手に入れてぇって思っても、手に入るもんじゃねぇ…。
そして、失っちまったらもう……それっきりなんだよ。
目と鼻の先に助けてぇ妹がいるのなら、下向いてんじゃねぇッ!!」
彼は、切実に訴える。
「戦刃よ……我を退かせたその覚悟、よもや偽りだったとは言うまいな…?」
大神さんが静かに、しかし力強く語りかけてくる。
「いつも江ノ島が引くくらいにひっついてるのによ、らしくねーんじゃね?
ま、諦めたらそこで試合しゅーりょーつってな!」
桑田君が、冗談めかして励ましてくれる。
「戦刃くん!僕は何度でも江ノ島くんと話をしなければならないッ!
なぜこんなにも凶悪な内容の映画なんだッ!
彼女の手伝いをしていた君には、彼女を止める責任があるッ!」
石丸君は、相変わらずどこかズレているけど…その覚悟は本物だ。
「姉妹萌え……閃いたッ!!」
山田君は……いつも通り、なのかな?
「まったく…こういうのは柄ではありませんが。
あなた、苗木君に懸けたとおっしゃってましたわね?
今回の件、ギャンブルという訳ではありませんが、結果が出るまで最善を尽くさないのは愚の骨頂ですわよ」
セレスさんが、厳しくも優しく嗜めてくれる。
「戦刃さん、ボクも決めたんだ…絶対に諦めないって。
だから、一緒に頑張ろうよッ!」
不二咲君が、手を引こうとしてくれる。
みんなの〝言弾〟が、私の心に届く感覚。
不確定な未来。
しかし、そこへ向かわんとする揺るぎない意志。
私はバカだ。
盾子ちゃんの為って言い訳して、何度も騙して。
それでも…そんな私の周りには、みんながいる。
〝希望〟へと導いてくれるみんながいる。
「だいぶ、ましな顔になりましたね」
舞園さんが、笑いかけてくれる。
「ありがとう、みんな……
私は、こんな所で諦めていられない。
止まってなんかいられない。
私が必ず、盾子ちゃんを止める。
チャンスはまだ、残されているはずだからッ!」
「もう、大丈夫みたいですね」
そう言うと、舞園さんは私の後ろに回り拘束具を解いていく。
「いいの?」
「大丈夫ですよ。許可は得ています。
まあ、大神さんの同伴が条件ですけど…」
私は、改めてみんなの正面に立つ。
そして、深くお辞儀をした。
「本当に、なんて言っていいか分からないけど…みんなから〝希望〟を受け取った。
だから今度は、私が盾子ちゃんに〝希望〟を届けるッ!」
私は決めた。
もう立ち止まらないと。
だから、バカでいい。
愚直に進み続けてやる。
それが、私の取り柄だから。
*****
ーー狛枝視点ーー
「やっぱり美しいね…〝希望〟ってやつは」
「なんか癪だが、今回ばかりはお前に同意だな」
近くにいた日向クンがボクの独り言に反応した。
「珍しいね、反応を返してくれるなんて」
「お前はいつも度が過ぎてるんだよ」
……と、ボク等が軽口をたたいている内に、戦刃さんを伴った78期生達がこちらにやって来た。
「じゃあ、作戦会議だな」
日向クンが先程とは打って変わって真剣な表情で切り出す。
……が、
「みんなーッ!お股せーッ!
花村輝々特製ッ!元気モリモリ★ヤル気100倍★おにぎりセットだよーッ!!」
花村クンと弐大クンが、おにぎりを山のように載せた大きなお盆を持ってきた。
「腹が減っては戦はできぬってね」
その場にいた全員が色めき立つ。
ぐぅ、と腹の虫が鳴く音も聞こえる。
「感謝はいいよ。ただついでにぼくの下半身の腫れ物を(お)握ってくれても……って誰も聞いてなぁーーいッ!!」
次々にお盆へと手が伸びていく。
じゃあボクも貰おうかなと、手を伸ばす。
が、後数センチのところで終里さんの手が遮り、おにぎりを奪っていく。
改めて別のおにぎりに手を伸ばすも、再び終里さんの手が……
そして、気を取り直して別のおにぎりに手を伸ばすも……
もう分かると思うけど、結局一つも食べられなかったよ。
まったく…〝超高校級の幸運〟の名が聞いて呆れるね。
「じゃあ不二咲、七海は引き続き学園のシステムの奪還を」
「左右田は〝例のマシン〟の作製」
「山田、花村、偽十神は左右田のサポート。」
「舞園、桑田、田中、ソニア、小泉、西園寺は元超高校級の探索A班」
「セレス、石丸、九頭竜、澪田、罪木は探索B班」
「戦刃、大神、大和田、弐大、辺古山、終里は地下処刑場へ繋がる通路より学園内に侵入。江ノ島の身柄の拘束だ」
「俺は全員の情報を統合してそれぞれに随時伝達する」
「以上だッ!」
みんなが散り散りになる。
己が成すべき事の為に。
〝希望〟が、新たな〝希望〟を生み出さんと胎動する。
「全ては〝希望〟へと収束する。
全ての〝絶望〟は踏み台に過ぎない。
そしてこのボクも、〝希望〟の為の踏み台に過ぎない。
…………。」
「……あ。狛枝、……お前」
あはは…流石のボクも、ここまで完全にスルーされるとクるものがあるね。
「みんなと仲良くなれたと思ったんだけどね…。
絶望しそうだ、なんてね…。」
「いや、あの……すまん」
「いいよ、慣れっこさ」
「おい!どこ行くんだよッ!」
「コンビニだよ。
さっきの様子を見ていたらお腹が空いちゃってね」
「いや、さっきおにぎり食べただろ。
……そんなに食いしん坊だったっけ?」
ボクは最寄りのコンビニへと足を向けた。
*****
いやはや、こんなに切迫した状況なのに何をしているんだろうか。
と、そんなことを言われそうだけど…ボクは今コンビニにいる。
変わらない入店音と雰囲気。
学園では今現在、世界の行方が決まらんとしているのだが……
まあ、そんなこと…部外者には関係ないか。
この代わり映えしない日常こそが狂っているように思える……希望ヶ峰学園こそが、世界の中心であるように思えてならない。
ボクはどうでもいいことを考えながら、適当な商品を手にとってレジへと持っていく。
すると……
『超高校級の一兆番クジ』
……という広告が目に入った。
店員さんに聞いてみたところ、千円で1回引けるクジらしい。
更に詳しく聞くと……
このコンビニチェーンの専用アプリのアカウントから、1回だけ挑戦できる。
一等は〝超高校級の幸運〟としての希望ヶ峰学園特別科への招待状である。
……とのことらしい。
単純にこんなキャンペーンが行われていることを知らなかったな。それに希望ヶ峰学園も…〝幸運〟に関しての研究に余念がないね。
ボクは興味が湧き、このクジを引いてみることにした。
その場でアプリをインストールし、レジでスマホに表示されたバーコードを読み取って貰う。
そして、菓子パンや飲み物と共に会計を済ませた。
すると、『クジを引く』といった画像が現れる。
ボクがそこをタップすると…スロットマシーンのようなのもがドラムロールと共に、十三桁の数字を少しずつ作っていく。
6,158,746,159,414
十三桁の数字が出来上がった。
ボクは画面を店員さんに見せると……
「六兆番台の景品はこちらになります」
……と、言われた。
ちなみに一等はどのように表示されるのか聞くと……
「『0,000,000,000,001』と表示されます。」
……と、言われた。
ボクはてっきり『1/1兆』の確立かと思っていたけど、どうやら違うらしい。
さらに、全ての桁が〝0〟になることもないらしい。
つまりコレは『1/9兆9999億9999万9999』の確立のようだ。
正直〝超高校級の幸運〟であるボクならば引き当てられると思っていたが、どうやら烏滸がましかったようだね。
先程からの不幸続きで泣きたくなるよ、まったく。
ボクは景品で貰った〝反発性の高いオモチャのボール〟を片手に帰路についた。
以下ウサミファイルより抜粋
・七海千秋が77期生のメンバーに改めて加わる。
・校外にいる在校生メンバーは〝元超高校級のシステムエンジニア〟、〝元超高校級のハッカー〟の捜索を行っている。
・江ノ島の校外放送を受け、戦刃むくろは戦意を喪失。ミライ機関の職員によって身柄を拘束される。
・78期生の言葉を受け、戦刃の戦意が回復。78期生のメンバーへと改めて加わり、江ノ島の計画を阻止するために活動を開始する。
・77期生、78期生はそれぞれ役割を分担し、江ノ島の計画阻止のために動き出す。
・左右田和一を中心として〝あるマシン〟の制作が開始される。現在詳細は非公開
・狛枝凪斗はコンビニにてクジを引くも、ハズレであった模様。