『ありがとう』をキミに   作:ナイルダ

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chapter EX 再誕 -Rebirth- II

ーー???視点ーー

 

何をやっても退屈だった。

 

日々過ぎていく日常がつまらなかった。

 

わたしは小さい頃からずっと……予定調和の世界に辟易していた。

 

 

 

 

 

だって……

 

 

 

 

 

だって……

 

 

 

 

 

わたしは何だって……〝模倣〟できたのだから。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

勉強はそれなりだった。それなりにできて、それなりの成績だった。まあ、そんなものだ。特段の関心がなかったから、別にそれでよかった。

 

問題なのは……運動とか芸術とか、何かの技術が必要となること。

わたしはそれらのことをすぐに習得することができたのだ。あらゆるジャンルのプロたちの技術を、わたしは真似することができたのだ。

 

最初はよかった。

すごいすごいと褒められて、自分が誇らしかった。嬉しかった。

 

でもその感情は、時間が経つにつれ変化する。

 

模倣して──

 

模倣して──

 

模倣して──

 

模倣して──

 

模倣して──

 

 

 

 

 

模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して模倣して────

 

 

 

 

 

────模倣し尽くした。

 

 

 

 

 

気がつけば、わたしの髪の色は変わっていて、目の色が変わっていて、趣味じゃないであろう衣服を着ていて、知らないような……知っているような……そんな声で──

 

 

 

 

 

──ん? これって……

 

 

 

 

 

昔見ていたアニメのキャラだ。

 

 

 

 

 

というか……我ながら完璧な模倣っぷり。

 

 

 

 

 

とりあえず、拍手でもしておこう。

誰が聞いているわけでもないけど……

 

 

 

 

 

はあ…ここまで来てしまっていたのか。

存在までも、わたしは模倣できるようになってしまったのか……

そんな時…世界に飽きていた時、わたしは知った──

 

 

 

 

 

──〝模倣〟できない存在を。

 

 

 

 

 

映画『ダンガンロンパ』の黒幕──〝江ノ島盾子〟を。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

一体何度、あの映画を見返したのだろう?

一体何度、〝江ノ島盾子〟へと思いを馳せたのだろう?

一体何度、姿を真似──

 

嗚呼、昨日のことのように思い出せる。

 

一体何度、仕草を真似──

 

あの興奮。あの感動。あの衝撃。

 

── 一体何度、存在を真似ただろうか。

 

それでも尚、模倣することは叶わなかった。

 

だからこそ憧れた。

 

〝超高校級の絶望 江ノ島盾子〟は、つまらない世界からわたしを解放してくれた。

 

わたしは理解したかった。

 

〝江ノ島盾子〟を〝模倣〟する為、ひたすらに研究した。

 

研究して──

 

研究して──

 

研究して──

 

研究して──

 

研究して──

 

 

 

 

 

研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して研究して────

 

 

 

 

 

────研究してもし足りない。

 

思考回路を研究し、模倣してみる。

 

でも、何かが違った。

 

そしてわたしは気づいた。

 

『ダンガンロンパ chapter6』の映像は、何かがおかしいと。

学園の秘密を明かし、苗木誠を犠牲にするよう5人へと迫った江ノ島盾子と、それ以降の江ノ島盾子──

ただ単に、リテイクによる違いというのであればそれまでだ。でも、どうしても腑に落ちない。最後の学級裁判の前半──あの迫力は、確かに〝超高校級の絶望 江ノ島盾子〟だったのだ。あれは〝超高校級のギャル〟による演技なんかではなかったのだ。

 

わたしは知りたい。本物の〝超高校級の絶望〟が何なのか。

 

その探究心がわたしを突き動かす。

 

だからこそ、わたしは狂気に身を委ねた。

 

その結果が、世に()()()()()()()として認知されるようなことであったとしても──わたしは構わなかった。

 

まあ、〝探偵さん〟に阻まれちゃったんだけど……

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

〝とある事件〟を引き起こした後、わたしの身柄はミライ機関という組織に拘束された。

 

鬱屈とした日々だった。

 

79期生として希望ヶ峰学園に入学させられて、青春を強要されて。

 

そんなある日のこと、わたしの元に一通の手紙が届く。

 

塔和タワーへの招待状。

 

その手紙に書いてあった内容が、いつぞやぶりにわたしの探究心を掻き立てた。

 

『プレゼント』の内容に歓喜した。

 

 

 

 

 

わたしは見たい。

 

 

 

 

 

わたしは知りたい。

 

 

 

 

 

『絶望の映画撮影 幻の撮影フィルム chapter6 テイク1』を──

 

 

 

 

 

──わたしは欲している。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

ーー江ノ島視点ーー

 

この場にいる人物で、招待状を受け取っていないのは〝雪染ちさ〟ただ一人だった。加えて言えば、招待状を受け取った日は6()()()()7()()()()8()()()と、全員バラバラだった。

 

さて、彼女がココに来た経緯だが──どう考えても偶然だな。

 

 

 

雪染と王馬曰く──今から二日前のこと、クリスマスイブの日に王馬小吉に対し補習授業を受けさせることが決まる。担任の雪染は王馬に補習を受けさせようとするが、王馬は招待状をすでに受け取っており、これを拒否。

そして始まったのが、当日の鬼ごっこ。

雪染は王馬の自室前に待機していたが、そこに王馬はいなかった。しかし、たかだか見失った程度で諦める雪染ではない。彼女は〝元超高校級の家政婦〟としての能力を駆使し、王馬を追跡する。

そして辿り着いたのが〝塔和シティー行き ホープトレイン〟。白銀とはそこで鉢合わせたらく、雪染は王馬を捕まえるのを手伝って欲しいと要請した。そのため、白銀と行動を共にしていたようだ。

まあ、白銀がその場にいたのは彼女も招待状を受け取っていたからなんだが……

 

で、後はご存知の通りってわけ。

〝クロ〟が招待状を送ってきたのはおよそ一週間前。王馬の補習は唐突に決まったし、ましてや雪染がココまで王馬を追ってくるなど想像できないはず。故に、〝雪染ちさ〟は〝クロ〟にとってイレギュラー……

 

 

 

…………。

 

 

 

しかし……しかしだ。この情報があったとしても、アタシのもう一つの疑問を解決できない。

 

 

 

なぜ……

 

 

 

 

 

なぜ証言台は、1()0()()ある……?

 

 

 

 

 

モノクマが映るモニターを時計でいう12時の位置に例えるのであれば……モニターから時計回りに、村雨、宗方、王馬、雪染、天願、アタシ、モナカ、白銀、松田と……円形に並んでいる。

しかし、松田とモニターの間には〝空席〟があるのだ。

 

なぜ?

 

何かしらのハプニングを想定して一席多く配置しておいた──

〝あの映画〟を再現し、一席多く配置した──

 

まだ一席なら分かる。しかし、雪染がイレギュラーだとするならば、二席余分に用意したことになる。

この余剰分の数が腑に落ちない。まあ、不参加の人間がいる可能性も否定できないが……。あるいは〝あの映画〟のように、遅れて登場する予定の人物がいる……とか。

 

なにか……なにか情報が足りない。

モヤモヤとした気持ち悪さが、どうにも頭から離れない。

 

 

 

 

 

…………いや、もういい。もう終わらせよう。

 

 

 

 

 

ジョーカーを切る。

空席の違和感は残るが、もう終わりだ。

雪染はイレギュラーであり、宗方はボロを出した。完璧に装われた表情は雪染だからこそ崩れた。

 

 

 

 

 

「茶番は終わりよ。こんな出来レース、意味ないって。……アンタもそう思うでしょ?」

 

 

 

 

 

アタシだけが知る、もう一人のイレギュラー。

 

 

 

 

 

「〝神代優兎〟」

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「お、どうやらやっと…僕の出番みたいだね」

 

全員が、突如として聞こえてくる声の主を探す。

しかし、ソイツは一向に見当たらない。

 

「もう、ここだよここ」

 

次の言葉を受け、数名の視線が白銀へと注がれる。

だが、やはり姿は見えない。音源の近くにいるであろう白銀も困惑の表情を浮かべている。

 

「だから、ここだってば」

 

そう言うとソイツ──〝神代優兎〟は、白銀つむぎの後ろから背後霊のようにヌルリと姿を現した。

 

「キャアーーーーーーーッ!!」

 

白銀が悲鳴をあげる。

が、ソイツはその程度で動揺する男ではない。

 

「お姉ちゃん、見た目の割にセクシー系の下着なんだね!」

 

「キャアーーーーーーーッ!!」

 

「普段は地味で目立たないけど夜になると豹変する、実はドスケベ痴女だったりして!」

 

「キャア! キャアーーーーーッ!!」

 

「僕は全然気にしないからさ、この後ホテルにでも行く?」

 

なんかもう、たった数秒でめっちゃ疲れた。……やっぱ呼ばない方が良かったか?

アタシが思考を放棄しかけたところで、この空気を壊してくれる人物が現れる。

 

「私の生徒に、何してくれるのーーッ!!」

 

雪染は、手元にあったピストルを神代に向けて全力で投げつける。

そこそこの重量があるため、打ちどころが悪ければ最悪死んでしまうが──この場にその行為を咎める者はいなかった。

 

「うわあっ! 危ないじゃないか!」

 

ま、当たらなかったが。

 

「ちょっと! 僕だって、先生の元生徒じゃん!」

 

「チッ、外したか」と雪染は小さく呟き、「キミだけは例外なの」と笑顔で言い放った。

 

「横暴だ! 夜の女王様並みの横暴さだよ!」

 

てか、本当に疲れる。()()()()()()()()()()()()()()()こんな調子だ。ホント……いい加減にしてほしいものだ。

……そう。コイツは今日、ずっとアタシといた。最初からずっと。列車の中も、移動中も……そして、この会議室にも。

 

〝神代優兎〟は──ずっと潜んでいたのだ。

 

 

 

***

 

 

 

遡ること5日前──つまりアタシが招待状を受け取った2日後、アタシは〝元超高校級の諜報員〟こと〝神代優兎〟に連絡をとった。

その理由は単純明快。招待状の真偽、並びにその詳細を調べるためだ。

自分自身で調べることもできたが、アタシは〝元超高校級の絶望〟ということもあり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()──つまり、()()()()()()()()()()()()()()。それ故に、迂闊な行動は取れない。まあ、撒こうと思えば余裕で撒けるが……そんなことをしては事後説明が面倒なだけだ。あの時何をしていたんだーって。

だからこそ、アタシは〝神代優兎〟に依頼したのだ──

 

『招待状の送り主が誰なのか調査してほしい』

 

──と。

 

 

 

***

 

 

 

「ちょっと、いい加減にしてくれる? アタシの依頼はどうなったのか、ココで説明してくれるって約束だったでしょ?」

 

そう、茶番は終わりだ。

 

「うんうん、そうだよね。僕が出てきたからには、そろそろ解決編を始めないとね」

 

さっさとこのお遊戯に幕を下ろすのよ。

 

「大人のビデオに出てくるおにーさんたちみたいに、この陰毛の全貌を丸裸にしないとね。スパイアクション風にビシッと阻止して、この事件は一件落着ってわけだ!」

 

陰毛じゃなくて陰謀な。

はぁ、もういい。なんでもいいから早くしろ。アタシの手元にある弾丸の入ったピストルが火を吹く前にな。

 

「じゃあ、早速始めようか。この物語の解決編を」

 

 

 

 

 

そしてソイツは語り出す。

 

このふざけた茶番劇の真相を。

 

とても不条理で、とても理不尽な真相を。

 

そしてアタシは知る。

 

真実の先に────

 

 

 

 

 

────〝絶望〟が待ち受けていることを。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「まずは、いくつか押さえておきたい情報があるんだよ。それは──」

 

神代は少しの間をおき、とある人物を指差した。

 

「〝元超高校級の生徒会長〟にして、現在……ミライ機関にて絶賛派閥拡大中のあなた──宗方京助の情報だよ!」

 

「……」

 

指を刺された宗方の表情が険しくなる。

ま、何かしら画策していたのは事実だろう。だからこそ、その〝何か〟を指摘されるのを恐れている。雪染ちさがいない場所でやろうとしていたことを、バラされるのを恐れている。

 

「僕の調査によれば、宗方京助はミライ機関に不満を抱いている。それも、かなり大きな不満だ」

 

宗方は、ただ神代を見据えている。

 

「希望ヶ峰学園を卒業後、あなたはミライ機関に所属した。〝元超高校級の生徒会長〟としてかなりの実績を持っていたあなたは、所謂エリート街道まっしぐら……いきなり海外支部の支部長として抜擢された。地道に努力を重ね、それなりのポストを築いてきたおっさんたちをごぼう抜きしての大抜擢。いやー、流石としか言えませんなぁ!」

 

人の上に立つ才能、人の注目を集める才能──これらは、神代優兎とは正反対の才能。

だからこそ神代の弁には、若干の嫌味を感じられた。

 

「当然、多少の反発や嫌がらせもあったんだけど、あなたにはほとんど効かなかったみたいだね。無事に海外支部は発展を遂げた。そして、宗方京助もまた……ミライ機関内での派閥づくりに成功した。やれやれ、あなたの辞書にはおっぱいの文字がないらしいね!」

 

おっぱいじゃなくて失敗だろ。いい感じにシリアスなんだから自分で水を差すなよ。

 

「しかし、誰も知らなかった。その成功の裏には…とんでもない野望があることを! 恋人である雪染ちさですら知らない願望があることを! 下半身に、おっきな棒があることを!」

 

「……」

 

「ねえ!? さっきから反応が薄いよ!? 全然盛り上がらないじゃないか!!」

 

「お前のせいだろ」というツッコミは誰もしない。勿論アタシも。

 

「やれやれ、この面子じゃコメディーチックな解決編は出来ないみたいだね。仕方ないから真面目にやるよ」

 

コイツのメンタルどうなってんだ、マジで。

てかこの状況で何を期待してたんだよ。

まあ、〝超高校級〟の才能を持つ者に常識など通用しない。この場はすでに、神代優兎の雰囲気に呑まれている。

神代は「やれやれ」と一拍おき、唐突に核心をついた。

 

 

 

 

 

「結論から言うと、宗方京助は『ミライ機関をぶっ壊す』つもりなんだ」

 

 

 

 

 

静寂──そして、全員の視線が宗方へと集まる。

 

「……」

 

宗方は依然として何も語らない。

空気だけが重くなっていき、誰も二の句を継ぐことができない。

 

「やはりな……」

 

数秒の間を置き、その空気を破ったのは件のミライ機関・現トップ──天願和夫だった。

 

「宗方くん。君が危うい〝希望〟を抱いていることには気付いておった……。しかし、わしにとっては、宗方くんもまた〝希望〟じゃった。だからこそ、君が抱く〝希望〟を図りかねておったんじゃ……」

 

それ以上、天願が口にすることはなかった。

そして、神代が話を引き継ぐ。

 

「ミライ機関会長が語る宗方京助の危うい希望──それは、『絶望を駆逐すること』。自身の右腕と左腕である雪染ちさと逆蔵十三を危機に晒した〝江ノ島盾子〟。そして……そんな存在を秘匿し、匿い続けた〝ミライ機関〟、並びに当時のトップ〝霧切仁〟に対し、ある種の憎悪を抱くようになった。それ以来、宗方京助という人間は独自の〝希望〟を抱くようになり、その〝希望〟を実現させるために行動し始めた」

 

知らなかったじゃ済まされない、アタシが背負う十字架。

映画撮影の際にアタシが撒き散らした〝絶望の言弾〟。その被害者の中に──雪染ちさも、〝元超高校級のボクサー〟である逆蔵十三もいた。

そしてそれが、宗方を狂わせた。

〝絶望〟を許容する存在を──拒絶した。

なるほど……そういうことだったのね。これは身から出た錆で、アタシが恨まれるのは当然だったわけだ。

 

「そして、その行動の集大成こそが──〝今〟だ」

 

「……」

 

依然として、宗方は無言を貫く。

 

「『超高校級の絶望』──江ノ島盾子。『塔和シティーを大混乱へと叩き落とした犯罪者』──白銀つむぎ。『秘密結社〝DICE〟のリーダー』──王馬小吉。彼女たちは、言ってしまえば〝絶望〟と〝絶望に繋がりかねない可能性〟。そして、『現ミライ機関会長』──天願和夫。宗方京助は、これらの人物を一ヶ所に集めた」

 

依然として、神代は解決編を続ける。

 

「彼女たちを糾弾することにより、『絶望は駆逐するべき』という自身の信念を正当化した。そしてそれと同時に、絶望を匿ったとしてミライ機関にも言及する。ミライ機関が異常な性質を持っていることを認めさせ、『ミライ機関の解体』を現実のものへと近づける……。いやはや、鮮やかですなぁ! 僕がいなかったら完全犯罪ですぞ!」

 

結論へと近づき、神代は高揚している様だった。

 

「あ、ついでの情報だけど、ココ──塔和タワーが半年ほど前に裏ルートで売却されていたんだ。でも、肝心の新たな所有者は巧妙に偽造されていた……まあ結局、宗方京助だったんだけどね! 僕にかかればこの程度の偽造は簡単に見抜けちゃうんだよ! 残念!」

 

クライマックへと近づいている。

そんな感覚がこの場を包む。

 

「『白銀つむぎが狂気の舞台として選んだ塔和シティー』、『あの映画を模した舞台を作り江ノ島盾子へとヘイトを向ける』……たったそれだけの為にここを買ったんでしょ? 本当に狂ってるみたいだね」

 

塔和タワーに言及した為か、神代の話にモナカが反応を見せる。

 

「ふーん……モナカ解っちゃった。宗方さん、クズお兄ちゃんたちとナニカ取引したでしょ? 例えば……そう、『塔和モナカを犯罪者に(でっ)ち上げる』……とか」

 

「……」

 

「まあ確かに、モナカも口に出しては言えない様なことをしてきたし……。でも、馬鹿どもにバレる様なヘマはしないから。だからこそお兄ちゃんたちはあなたを頼った。場所を提供する代わりに、モナカを貶めろって……」

 

「……」

 

 

 

 

 

最初から、何もかもが決められていた。

アタシが〝クロ〟になるようになっていた。

 

でも、目的達成を前に熱くなりすぎたみたいね。

これで終わり。奴の計画は失敗に終わった。

 

 

 

 

 

──そう、思った。だが違った。

 

 

 

 

 

──この物語には続きがあった。

 

 

 

 

 

「ま、これまでのことは全て……〝真の黒幕〟が用意したブラフなんだけどね!」

 

 

 

 

 

──神代優兎は滞ることなく続ける。

 

 

 

 

 

「宗方京助が全てを仕組んだと思わせる為に、何もかもを手引きしていた人物がいたんだよ」

 

 

 

 

 

──〝絶望〟へと繋がる物語を続ける。

 

 

 

 

 

「ねぇ、隠し通せるとでも思ったの? 〝真の黒幕〟……」

 

 

 

 

 

──その瞬間、宗方京助の口角が(いびつ)(ゆが)んだのを……アタシは見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「〝江ノ島盾子〟」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




以下とある少女の記憶ノートより抜粋

・会場の席は10席。招待状も──…(字が掠れていて読めない)

・招待状を渡すのは一週間前。前後1日のずれは許容範囲。

・王馬小吉に補習を受けさせる。

・神代優兎は即時行動を起こす。

・江ノ島盾子は神代優兎に依頼をする。

・宗方京助は塔和タワーを買収する。多少の偽造はしておくべき。
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