第0話 「特殊任務 英雄を抹殺せよ!」
◇第4紀 404年 南中の月 12日 マルカルス 宿屋シルバーブラッド
母上、お元気ですか?私たちがスカイリムに赴任してから1年が経過しました。
こちらはストームクロークの制圧もあらかた終わりましたが、ブレイズやドラゴンによる襲撃はまだ続いています。この前もソリチュウードの街中にドラゴンが飛来しましたが何とか撃退できました。いつも思うのですがドラゴンには得意の幻惑魔法が効かないのでとてもやりにくいです……。
さてこの度、私たちの隊は、スカイリムで暴れている『例のノルド』を追跡する任を与えられました。危険な任務ですが、頼もしい仲間もいますのでご心配なく!
フェリス隊長は多くの戦場を生き残ってきたベテランの魔闘士ですし、スフィリア先輩は最近達人級の破壊魔法を使えるようになりました。
ヴィルインさんの弓術や薬には何度助けられたか分かりません。それにラセイユさんが本気で隠れたら誰にも見つけられません。油断せずいつも通り終わらせて来ます。
さて、例のノルドの足取りですが、どうやらある物を探しにディープ・フォーク・クロッシングへと向かったのだとか。どうも一人旅のようなので今回は簡単に終わりそうですね。この任務が終わったら休暇を申請しようと思っています。その時は私の好きな野菜スープを作ってくださいね。驚く顔が見たいのでヴィルナには内密に。
あなたの息子アンジェルモより
◇南中の月 13日 夜 ディープ・フォーク・クロッシング周辺
「では作戦をもう一度確認するぞ?」
碧水晶の鎧で全身を固めたアルトマーの声が洞窟に静かに響き渡る。
「今回の対象は全身をデイドラの防具で固めたノルドの男だ、本名は不明だが、周囲の者はプリズナーと呼んでいる。過去の交戦記録からするとノルドらしく大きな戦斧を使った豪快な戦い方をするようだ。各都市で従士としての地位も持ち、多くの組織にも顔が利く存在だ。よって人目が付かないこの場所で決着をつける必要がある!」
「まずはフェリス隊長と私、それにアンジェの三人が前方の逃げ道を塞ぎ、対象の意識を前に向けさせている間にラセイユさんが背後から奇襲ね?」
「一応、本人かを確認をしてからですよ? 人違いだった場合襲撃計画が漏れるかもしれませんからね。あと先輩、いい加減アンジェって呼ぶのはやめてください! おかげでこの間も酒場で女と間違えられたじゃないですか!? ああ……男に口説かれるなんて……」
「え~、呼びやすくていいじゃない? それにナンパされるはあなたの顔のせいよ!」
魔導士の制服に包んだ若いアルトマーの男女が口論を始め話し合いが一時中断してしまう。それを見かねて左目に傷があるボズマーが口を開く。
「坊主も嬢ちゃんも静かにしろ、隊長さんが困ってんだろ?」
「あっ……! すみませんヴィルインさん、皆さん」
「ごめんなさい……話が脱線してしまったわね」
「うんうん、素直に過ちを認められるのは若者は大成するよ! ラセイユは知ってる」
黒い毛で全身を覆われたカジートがのんびりした口調でフォローを入れた。
「……コホン、もし奇襲が失敗した場合、我々三人が光明の魔法を撃って光源を確保。離れた所にいるヴィルインが狙撃する。私とラセイユが接近戦で戦い、スフィリアが隙を見て破壊魔法を叩き込む。アンジェルモはいつものように戦況を見極め、仲間のフォローに回ってくれ。それでは各自準備に入れ!」
月明かりが照らす中、荒れ果てた遺跡跡に立つ男が1人。禍々しいデイドラの鎧で全身を覆い、同じくテイドラの大きな戦斧を背負っている。左腰には魔法封じの盾スペルブレイカーと付呪のされた竜の骨の片手剣。右腰には同じく下げられている。鎧の隙間から覗く白い肌と兜からはみ出た金髪がノルドであることを示している。
「これで3つ……」
男が神秘的な輝きを放つ何かの破片を荷袋にしまったその時、前方から三人の人影が彼を取り囲むようにして行く手を挟む。
「そこのお前!その場で動くな!」
フェリスが男に向かって叫ぶ。
「お前が各地で仲間を襲撃し我々の職務を妨げている男、プリズナーで間違いないな?」
「やれやれサルモールか……一応言わせてもらうが、大使館はデルフィンの指示に従っているうちに手詰まりになったから仕方なく抵抗したし、砦の襲撃はお前たちが捕虜の釈放の話し合いに応じなかったから強硬手段を取った。司法高官の連中に至ってはあちらから向かって来たんだ……別に好きでお前たちと戦った訳では―――」
「言い訳はいい! 理由は何であれ、お前が我々に被害を与えたのは事実だ! 裁きを受けるがいい!」
3人がそれぞれ剣や魔法で臨戦態勢を取る。プリズナーも周囲を警戒しながら背負った斧を両手で構え小さく囁く。
「
紡がれた竜の言葉によって、周囲に存在する全ての気配が彼の眼に視覚化される。
空気が張り詰めていく中、周囲に目を配っていたプリズナーは突然、何もないはずの背後へ斧を全力で振り下ろす。
「ガハッ……」
斧は、姿と気配を完全に消していたラセイユを捉え、一撃で額を叩き割っていた。絶命したラセイユの倒れる音だけが周囲の耳に入ってくる。
万全を期したはずの奇襲の失敗と信頼した仲間の死によって動揺が走る。
「ラセイユさん!? そんな……」
「くっ……、うろたえるな! 作戦をフェイズ2へ! あいつの死を無駄にするな!!」
フェリスの檄が飛び、動揺を必死に抑え各自が作戦に沿った行動を再開する。
雲が月を隠す暗闇の中、魔法で照らされた光明の中で4つの影が忙しなく飛び回る。
一気に距離を詰め、武器のリーチを生かして叩き切ろうとするプリズナーに対しフェリスとアンジェルモが身軽さを生かし、前後左右へと動き回り翻弄する。
今のところ何とか斧を見切っていたが、2人の剣は相手の堅牢な鎧に阻まれダメージを与えることができないでいた。
そのとき暗闇からヴィルインが放った矢が飛び、プリズナーの左肩に突き刺さる。
「ぐっ?!」
矢が刺さった傷口から毒が回り、痺れが全身へと広がっていく。膝をつくのを必死に堪えるがその隙を見逃すほどサルモールは甘くない。
「行くぞ!アンジェルモ!」
「了解、援護します!」
アンジェルモの剣が戦斧の軌道をずらし、無防備になった胴をめがけフェリスが剣を突き出す。鎧の隙間を狙った一撃はプリズナーの腹部を貫いた。
「二人とも離れて!……さぁ!燃え尽きなさい!!」
素早く2人が距離を取り、プリズナーがポーションの小瓶を口につけたのと同時に、スフィリアのダメ押しの達人魔法が炸裂する。
解き放たれた劫火の嵐は周囲を焼き払い、暗闇を太陽のように明るく照らし出した。
To be continue…
戦闘の描写が難しいです・・・他の方を参考にしているのですが生き生きと動かせないですね。