サルモール魔道士の異世界滞在記   作:半日本人

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お陰様でお気に入りが100件を超えさせていただきました!拙作をお読み下さり恐縮です!
評価も10件を超え嬉しく思います! 
 ドヴァキンなら兎も角、サルモールのキャラって需要あるのかなと思いながら始めた妄想ですがここまで続けられたことに感謝です!
 このすばもTESシリーズも中々奥深い作品なのでwikiを片手にこれからも励んでいきたいと思います。



24話 前世からの因縁

◇ %√の月 惑星ニルン サマーセット島~シロディール間の連絡船 船室にて

 

 サマーセット島を離れて数日、シロディールへと向かう船の船室にセラフィーナたちはいる。船室の窓から見える海は太陽の光を反射し、まるで鏡面のように輝いていた。

 波による揺れもほとんど感じることがなく、今後の順調な航海を予感させる天気である。

 

「お義姉様、スカイリムまではどれほどで着きますか? 私、雪というものを早く見てみたいです!」

 

「うーん・・・今は風が無いから予定よりも数日遅れれるかもしれないわ。もう少し早く出国できれば良い風を掴まえられたのかもしれないんだけど・・。そういえばおば様はシロディールには行ったことがあると伺いましたが?」

 

「ええ、帝国との戦争の時に一度。もっとも帝国の軍艦の砲撃をかいくぐりながらの航海だったのでこのような穏やかな旅は初めてですが。そういえば(サニヨン)と出会ったのもその時の船の中でしたね」

 

「え? お母様もサルモールだったのですか!? 初耳なのですが・・」

 

 風が無いということはその分、帆船の推進力が低下することである。予想より長くなりそうな航海に備え、3人はガールズトークで気晴らしをしている。約1名は女子(ガール)と呼ぶにはきついものがあるがそれは些細なことだろう。

 

 

 スフィリアの退職は順調に終わったが、一方で3人出国の手続きは難航し、申請が通るのに1ヶ月を要した。

 現在自治領は来るべき帝国との戦いに備え、物資や人の流れを厳しく制限している。

 これは自国の情報が流出するのを警戒するだけではなく、国内外にいる反サルモール派の動きを封じる狙いがある。

 

 よって、幼い子どもを連れて国外へと出国するセラフィーナたちは亡命を疑われ特に警戒されていたのだが・・。

 

「『スカイリムに展開するサルモール(同胞)への支援』夫と息子が世話になった身としては別に不審ではありません。大義はこちらにありますからね。ヴィルナは本国に残すよう食い下がられましたが・・。担当者が俗物で助かりました」

 

 幼いヴィルナは保護の名目で人質にされる可能性がある。スカイリムでサルモールに介入されずに自由に動くためには全員がまとまって行動する必要があった。

 出国管理の担当官には散々ごねられたが多少の金貨と引き換えに最終的に何とか同意させることに成功している。

 尤も、時間がかかったために風の季節を逃してしまったのは予想外ではあったが・・。

 

 

 再び、外の景色を見始めたヴィルナに聞こえないよう声を潜め、2人はこれからの予定を話し合う。

 

『しかしおば様・・。本当にあの男に会うおつもりですか? アンジェだけではなく今まで多くの同胞を手にかけて来た極悪人ですよ?』

 

『勿論、思う所が無い訳ではありません・・しかし、彼が本当にドラゴンボーンと呼ばれる存在であればサイジックが警告した異変について何か知っているかもしれません。それに正確に判断するためにはサルモールだけではなく彼の視点からの情報も必要でしょう』

 

『それはそうですが・・しかし!』

 

『それに私が得た情報では、彼と個人的に懇意にしている司法高官もいるとか・・。少なくとも話せば分かる男だと思いますよ?』

 

 サルモールにいた自分ですら知らない情報を彼女は知っている。幼馴染の母とは違う一面を見せ付けられスフィリアは呆れたように嘆息する。

 子どもに囲まれて穏やかに笑っているイメージしか無かったが、あれこれと策を練る姿は水を得た魚のように生き生きとしている。かつて、サルモールに所属しあの大戦を生き延びたことも納得できる抜け目のなさだ。

 これから待ち受けるものを考えればセラフィーナの力はとても頼もしい物だ。

 

 

『そういえば、エレンウェンさんと会うのも久しぶりね・・。もう若いとはいえませんがまだまだお元気なのかしら?』

 

『!!?』

 

 でも、心臓に悪いからできるだけ隠し事はしないで欲しいとスフィリアは切に願うのだった。

 

 

 

 

 

 

◇ 異世界 アルカンレティアの町 馬車の乗り場にて

 

 多くの人々で混雑している馬車の乗り場。その一画でお土産に買った饅頭の袋を持ちながら、アンジェルモはミツルギと言葉を交わしている。

 

「それじゃあ道中気を付けて! 僕たちは準備ができ次第里に行ってみるよ!」

 

「ああ、道中気を付けろよ? 気が合う仲間が見つかるよう祈っているぞ」

 

 袋を異空間へと収納するとフィオをクレメアは驚きに目を見開くが、詳細を知っているミツルギに特に動揺は無い。彼のその様子を見て2人も声を上げるのも思い留まる。

 

「そういえば早朝、随分と長い時間抜けていたみたいだけど何かあったのかい? 疲れた顔をしていたけど?」

 

「夜中に目が覚めてしまって、走り込みと鍛錬をするために外に出たのだが・・まぁ、色々あってな・・」

 

 夢で母親の衝撃的なカミングアウトに驚いて目が覚め、気分転換に汗を流そうと思ったのがそもそもの間違いであった。

 まだ暗い街中を走れば注意をされ、空き地で剣の素振りをすれば不審人物として衛兵に連行されてしまった。

 魔道具によって誤解が解かれて釈放されれば、一緒に捕まっていたアクシズ教徒にしつこく入信を迫られる。

 その、彼を撒いて夜明け前に饅頭屋の傍を通りかかれば、店主たちの秘密を目撃し夢が壊されるなど散々な目に遭ったのだ。

 

(まさか街中で武器を抜いただけで捕まるとは思わなかった! それにこの世界でも白いエルフの(ファルマー)の耳が取れるなど予想できなかったぞ・・アレは作り物だが)

 

 あの耳で錬金したらどんなポーションになるのかなと、考えながら乾いた笑みを浮べる。

 その表情で何となく察したミツルギも慰めるかのようにアンジェルモの肩を叩いた。

 

『男だと思って油断したわ・・まさかたった一晩であんなに距離が近くなるなんて!』

 

『わ、私たちだってキョウヤの方から触れられたことが無いのに・・!』

 

 生まれた世界は違っても共に女神アクアに導かれた転生者同士。加えてミツルギにとっては気を遣わずに済む数少ない同性の仲間だ。異性だからなのかどこか一線を引かれているように感じている彼女たちはそれが少し面白く無い。

 そんな中、悶々とする彼女たちの思いを吹き飛すような存在が人々を掻き分け・・というより避けられながら近付いて来ていた。

 

「おお、アンジェさん! 何とか間に合ったようですな! 我々に黙って去ろうなど余りにも塩対応が過ぎるというもの。危うく新しい境地に目覚めそうになった責任を取っていただきたいものですな。具体的にはこちらの書類に署名を―――」

 

「ゼ、ゼスタさん!? 一体どうやって私がここにいると・・?」

 

「ぐふふ・・何を分かり切ったことを! 女神アクア様は全知全能なるお方! その忠実な僕であるアクシズ教にかかればアンジェさんの行動などお見通しという訳ですな!」

 

『本当かミツルギ? 不敬かもしれないが、私を最初は日本人だと勘違いしていた彼女が全知全能とは到底思えないのだが・・』

 

『さ、流石のアクア様だって間違えることはあるんじゃないかな? まぁ、あの人の場合は信者の誰かから聞いたんだと思うよ? ほら、この街のどこにでもいるから・・』

 

『四六時中誰かに見張られていると考えると恐ろしい連中だな・・』

 

 サルモールにいたアンジェルモすら驚く諜報能力と行動力。仮に彼らがサルモールと敵対した場合を頭でシュミレートしてみる。そして拷問部屋でも生き生きとしているゼスタの姿を想像した所で考えるのをやめた。目覚めが悪かった頭に酷い頭痛がしてきている。

 

「―――まぁ冗談は置いておきまして・・」

 

「あ、良かった、本気じゃ無かったのですね。・・この書類は?」 

 

 いそいそと入信書をしまいながら懐から別な書類を取り出し、アンジェルモに渡す。

 認定証を書かれたそれを流し読みしていたアンジェルモの顔色がみるみる青ざめてゆく。

 

「私が執務室で今日のエリス教司祭の下着の色について夢想している時にアクア様からお告げを受けましてな! 何でもアンジェさんが再度我々との取引を考えてくれていると。そのお心遣いに報いるべく僭越ながら『アクシズ教公認付呪士』の称号を授けようと相成りまして・・」

 

「・・日記を見られたのか? いや、タムリエル語を読めるはずが・・」

 

「他にも、『剣の愚痴を言う暇があるのならアンデッド共を叩き切ってみなさい』とも仰っていましたが・・おお! その様子では何か心当たりがおありのようですな!」

 

 ほっと一息を吐いたタイミングで突き付けられたゼスタの言葉。それも自分以外の誰も知らないはずの内容に関するものだ。単に頭がおかしいだけだと思っていたアクシズ教徒だが、あの紅魔族と共に魔王軍から恐れられた存在。馬鹿をやりながらも生き残れる高い実力を有している。その事実を見せつけられたアンジェルモの背に冷たい汗が流れる。

 

「ゼスタさん・・貴方はどこまで知って―――」

 

「ふむ、様からさん付けになったということは少しは好感度が上げられたと受け取っても構いませんな! さて、私の目的も達成できた所でお暇させてもらいましょう! アクア様のご加護があらんことを!」

 

 言いたいことを言い終えるとゼスタはさっさと去って行き、嵐が去ったような静けさがその場を支配する。

 予想外のことが次々に起こってフリーズしているアンジェルモにクレメアが声をかける。

 

「ホントは言いたいことが色々あったんだけど・・とりあえず1つだけ。付き合う相手はちゃんと選んだ方がいいわよ?」

 

「ほとんどがアンジェの知り合いって紅魔族とアクシズ教徒よね? 誰と付き合うのは勝手だけど私たちを巻き込まないでね?」

 

「ごめんアンジェ君。流石に擁護できないよ」

 

 どこか責めるような3人の視線に耐え切れず、思わず空を見上げる。晴れ渡った空には太陽が燦燦と輝き、一見すれば太陽神(アーリエル)の加護がありそうな陽気となっているが、それにも関わらず今日は朝から不運が続いたため、彼の信仰心は揺らぎそうになっている。

 

(アーリエルよ・・私が何をしたというのです・・? それともここは貴方の手が届かない場所だというのですか?)

 

 少なくとも人界(ムンダス)神界(エセリウス)よりは離れていそうだと項垂れていると遠くで馬車の御者が自分の名を呼ぶ声がした。その声に我に返りアンジェルモはミツルギたちに別れを告げて馬車へと走り出す。

 目指すはアクセル。転生者にとっての始まりの地に向け馬車は動き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

◇ 30分後  アルカンレティア~アクセル間の道中  乗合馬車にて

 

 アクセルへと隊列を成して進んでいく乗合馬車の一団、その先頭を行く馬車の中にアンジェルモはいた。席を共にする全身を鎧で包んだ屈強な戦士たちだ。集団で移動することで弱いモンスターは寄って来なくなるが、それでも襲撃を受ける可能性は残っている。彼らはその時に備えて雇われた冒険者なのだ。

 

「すまないな、今回は乗客が多かったからここしか空いて無くてよ・・。だが、アンタは俺たちが守るから大船に乗った気でいてくれ!」

 

 同乗していた戦士たちの1人がアンジェルモを気遣い声をかけて来る。

 仮にモンスターの襲撃があった場合、真っ先に交戦しやすいのは最後尾の馬車とこの先頭の馬車なのだ。

 その戦士は考えた。駆け出しの街に初めて向かうと言ったこのエルフの少年は恐らく初心者だ。だから先頭の走るこの馬車に乗ることになって不安なのだろうと。まさかその彼が、修羅の国(スカイリム)にいたとは想像もしていない。

 経費削減のため馬車や馬は使えず、吹雪の中を多種多様な襲撃者に襲われながら遠く離れた場所まで歩かされる日々。それが当然だったアンジェルモからすれば屋根と壁に囲まれ護衛までいる現在の状況に不安も不満もあるはずがない。

 戦士の気遣いは全くの的外れであった。しかし、それは自分の身を案じてのことなのだとアンジェルモは気付いていた。

 

「いえ、馬車に乗せて貰った上に護衛までしてくれているだけでもありがたいです。 何か手伝うことはありませんか? 私だけが何もしないというのは落ち着かなくて・・」

 

 職場や仕事内容、果ては制服までブラックだったサルモール。加えて部隊では下っ端扱いだったこともあり、自分だけがのんびりするという状況がアンジェルモには居心地が悪い。しかし、彼の心情を知らない戦士にはただの気を利かせた言葉に思えた。

 

「ははは! 気持ちだけ受け取っておく! 若いのに良い心掛けだな! きっとご両親はアンタを誇りに思っているだろうよ!」

 

「・・そう願っています」

 

 両親の顔を思い浮かべて揺られること数分。 突如馬車が大きく揺らぎ大きな音を立てて停止する。

 

「くっ! おい、何があった!?」

 

 戦士たちは油断なく窓の外を見張っており、異変の兆候は見られなかった。しかし、馬たちの怯えたような嘶きが次々と広がり混乱は大きくなっている。御者も馬を落ち着かせるので手一杯のようで内部からでは外の様子を知ることはできていない。

 

「くそ、埒が明かん! アンタはここにいてくれ!」

 

 アンジェルモにそう伝えると次々に戦士たちが馬車から降りていき周囲を警戒し始める。

 周囲の草むらや岩陰、奥に見える森などに目を凝らす戦士たち。しかし、モンスターらしき姿はどこにも見当たらない。安堵を息を吐いて気を抜いたその時。低音の笛のような音が響き太陽の光に何かの影が2つ差す。

 影は互いに大きく旋回しながら降下してゆきシルエットが段々と明確になってくる。空へと視線を向けた護衛たちの顔色が変わる。

 

「まずい! 皆武器を取れ!」

 

「こっちに来るぞ!? 誰でもいい! 早く撃ち落とせえーっ!!」

 

 迫り来る影に向け、魔法や矢が次々と飛ぶ。 しかし、混乱し纏まりを欠いた攻撃は大した足止めにはならず、馬車との距離が次第に縮まってゆく。

 

「何て速さだ!? いい加減、当たれよ!」

 

「よりによってコイツと出会っちまうなんて! こんな仕事引き受けなきゃ良かった!」

 

「弱音を吐くな!! 戦えない連中がまだ馬車にいるんだぞ!?」

 

「そっちに1頭向かったぞっー!?」

 

 必死の抵抗も虚しく遂にその咢が遂に馬車へと迫る。その進路に突如人影が割り込んだ。

 

「させない! 《デコイ》!!」

 

 聖騎士(クルセイダー)のスキル・デコイ。敵の意識や敵意を引き付け、攻撃を自分へと誘導するスキルだ。馬車へと向かうはずだった巨体は向きを変え、大剣を盾のように構える男へと誘導される。重い衝突音が響き、サイズで劣る男が吹っ飛ばされ地面を滑ってゆく。

 

「うぐっ・・! くそったれめ・・」

 

 自分を囮にして馬車を守ったがその代償は余りにも大きい。剣に縋りつくようにして立ち上がる彼の膝は激痛で震え、罅割れた鎧の隙間からは血が滲み出す。満身創痍となった彼を目掛けて鋭い牙が迫り・・・横っ面に火球を受け大きく仰け反った。

 何トンもありそうな巨体が手の平サイズの火球によろめくというという光景に唖然とする中、音も立てずに歩み寄った影が男の背後に立つ。

 

「今、助けます! 《他者治癒》!!」

 

 子どもらしい高い声に振り返ると、馬車に残っていたはずのアンジェルモが傍に立っていた。

これからアクセルに向かうような駆け出しにこのモンスターは荷が重い。そう判断した男は慌てて避難を促す。

 

「アンタどうして馬車から出たんだよ!? ここは危ないから—―」

 

「しっ! 声を落として下さい・・《ライト・オブ・リフレクション》!!」

 

 アンジェルモと男を取り囲むように結界が張られ、魔法で屈折させた光によって周囲の風景と同化し姿が見えなくなる。2人はモンスターから姿を消したまま、必死に防戦を繰り広げる護衛たちに合流すべく移動を開始する。

 

『アンタ、上級魔法も使えたのか!? いや、でもさっきは俺の傷を・・』

 

『すみません、話は後にしましょう! 襲ってきたのはこの2頭だけですか?』

 

『あ、ああ・・。ってよく落ち着いていられるな!? あいつ等が何なのか分かっているのか?』

 

『えと・・どう見てもドラゴンですよね?』

 

『違う!? あんな恐ろしいのと一緒にするな! 飛竜(ワイバーン)だよ! 火は吹かないが俺たちにとっては十分やばい相手なんだぞ!?』

 

 モンスターの中でも常に最強候補に挙げられるドラゴン。この世界だけではなく、転生者たちがいた地球やアンジェルモがいたムンダスにおいても例外では無い。

 

『・・? 竜言語(シャウト)しないドラゴンなんかただの大きなトカゲですよね?』

 

『その耳は飾りなのか!? 思いっ切り叫び(シャウト)してるだろ!?』

 

 それでも2人反応に差があるのは、アンジェルモがいたスカイリムという場所が余りにも特殊過ぎたことにある。ドラゴンが頻繁に目撃されるようになったのはほんの2、3年ほどに過ぎないがそれはもううんざりするぐらい襲って来るのだ。始めは恐怖に怯えていた住民が、素手やダガーで排除に向かって行くほど見慣れた生き物となっている。街の衛兵に至っては天気を心配するノリでドラゴンの襲来を旅人に警告するほどなのだ。

 

 ドラゴンの襲来程度で何をパニックになっているのだろうと辺りを見回せば他の冒険者たちも逃げ惑いながら必死の抵抗をしているのが見える。

 魔王軍の襲来に嬉々として参戦していた紅魔族を見ていたため、この世界の人間も脳筋だと勝手思っていたアンジェルモ。しかし、認識を改めなくてはならない時が来たようである。

 

『・・もう少しでこの結界の効果も消えます。その時から私も参戦させてもらいますよ? こう見えてもアイツらとは何度か交戦したことがありますので』

 

『アンタは一体どんな場所から来たんだ・・。まぁ、実力は先程見せてもらったから止めないが1つだけ約束してくれ! ・・絶対に死ぬんじゃないぞ』

 

『っ!? ・・ええ、お互いに生きて帰りましょう!』

 

 生前はサルモールという組織にいたため、現地の人間たちとの仲は余り良くは無かった。共にドラゴンを撃退した時でもこちらが生きていたことに舌打ちするような者さえいた。

 だからこそ、見知らぬ人間に不意打ちで身を案じる言葉をかけられ思わず目頭が熱くなってしまった。この世界に来てから随分と涙腺が緩くなったと自嘲しながら両手の魔力を収束させていく。

 

「準備はいいですか? 3・2・1・・《二連・ファイアボルト》!!」

 

 結界が消え2人の姿が現れると同時に、威力と衝撃力が増加した火球がワイバーンに直撃する。衝撃により態勢を崩したことで隙が生まれたことでパニックに陥っていた護衛たちが徐々に冷静さを取り戻して行く。

 

「動きがとまったぞーっ! 今の内に陣形を組み替えろ! 各職業で連携して動くぞ!」

 

「アーチャーは私の号令に合わせて! バラバラにではなく面で空間を制圧するのよ!」

 

「クルセイダーは注意を引き付けろ! とにかく馬車から引き離せ! 負傷者は急いでプリーストの所に運べ! まだまだ寝てる暇はないぞ!」

 

 落ち着きを取り戻しつつある戦況を確認し、視線をワイバーンへと向ける。自分の家族や幼馴染は優雅に船の旅を満喫しているのに自分はドラゴンの襲撃を受けている。朝から不運が続いたことでアンジェルモのイライラは頂点に達しようとしていた。

 

スカイリム(あちら)だけではなくここでも私の旅の邪魔をするのか・・!」

 

 魔力を収束させて弓を生成し、標的へ向ける。集中力を増してゆくにつれ視界はよりクリアになり周囲の動きが遅く感じられる。弦を目一杯引き絞って放たれた矢は翼の付け根へと吸い込まれてゆく。

 

「今日がお前の最後だ! ドラゴンっ!」

 

 ワイバーンだぞというツッコミは戦場の喧騒にかき消されアンジェルモの耳に届くことはなかった。

 

 

To be continue…

 




 魔力の弓・・・精鋭クラスの召喚魔法で魔力の弓を2分間作り出す魔法。あるスキルを取ればかなりの威力になる上、重量も0。矢もデイドラと同等なのが100本補充されるのでお財布にも優しいが消費マジカ(魔力)には優しくない魔法です。アルトマーは破壊魔法に加え、魔力武器を使った攻撃が得意なはずなのですが、何故か劇中のサルモールは剣しか呼び出しません。スキル込みなら碧水晶の弓矢より強力なのですが何故取得していないのでしょうね? 

 このすばのあのエルフが付け耳だったのは運命を感じますね。白いエルフで耳が取れる・・つけ耳でポーションを作れば腹痛を起こす程度の効果はありそうです。日記の方でも書きましたが、スカイリムを知っている身からすれば彼がドワーフと仲良くしているのは複雑な気がしますね。

 紅魔の里で常識を学んだということはつまりそういうことです・・。容姿が目立つので余計に行動や言動も悪目立ちしていますが、アンジェ君は至って真面目にやっています。
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