サルモール魔道士の異世界滞在記   作:半日本人

33 / 36
遅くなり申し訳ありませんでした。
4月に地球の裏側まで3週間ほど行って参りますので更新が遅くなるかと思われます。
可能であれば3月中に本編をもう1話ほど上げられるようにしたいです。




25話 夜明けを告げる者

 生まれ持った力を本能のままに振るうワイバーン。足りないものを他者と補いながら集団で立ち向かう冒険者たち。両者の死闘は数で勝る冒険者側が徐々に優勢へと転じていた。

 

「皆さんお願いします!《筋力強化(パワード)》!!」

 

「・・・よし! アーチャー! 一斉に《狙撃》っ!!」

 

「後衛はそのまま攻撃に集中してくれ! 後ろには鼠1匹だって通さんっ!!」

 

 プリーストたちの支援魔法によって筋力が増したアーチャーたち。更にスキルによって狙いと威力が向上した矢が強固な鱗も貫通していく。怒りの咆哮を上げ反撃に出ようとするワイバーン。しかし、その巨体は隊列を組んだクルセイダーたちによって阻まれた。

 

 

(やはりこの世界のスキルは凄い! まさかこれほど抑え込めるとは!)

 

 敵を前衛が食い止めている間に、後衛がダメージを与えていくという王道の戦術ではあるが、それを空駆けるドラゴン種にさえやってのけているこの世界の冒険者たちにアンジェルモは舌を巻いていた。

 ドラゴンとの戦闘に犠牲は付き物。スカイリムでの数々の交戦経験からアンジェルモがそう心に刻んでいた。ブレスを吐かないとはいえ相手はドラゴン種、きっと何人かは犠牲になると予想してはいたが、それを見事覆される。

 

 自分と共に矢を射かけているアーチャー。数々の魔法で味方を強化していくプリースト。魔法を雨霰と撃ち込んで深手を与えていくウィザード。そして攻撃に晒されながらも敵の足止めを行っている前衛職たち。皆の力が1つになりその中に自分もいる。仲間たちとスカイリムを駆け巡った時に感じていた熱さをアンジェルモは感じていた。

 

(やるな、人間!・・私も負けないぞ!)

 

かつて人間を上から見下ろしていた1人のサルモールは、今は自らの意志で人間と肩を並べ、共に脅威に立ち向かっている。異世界での経験はアンジェルモを少しずつ、しかし確実に変化させていた。

 

 

 

 

 

 

 アンジェルモが異世界のスキルに感心している中、冒険者たちはこの変わったエルフの少年に注目していた。

 目立つ容姿に加え、わざわざ弓矢を魔法で生成するという予想外の行動を取ったこと。何よりも明らかにスピードが出ていない魔法の矢がワイバーンに易々と突き刺さり、苦悶の声を上げさせているという状況を見せられれば嫌でも意識してしまう。

アンジェルモに話しかけてきたエルフの少女もその1人だ。

 

「そこの貴方、スキル無しで中々やりますわね! 変わった魔法ですが、流石は私たちの同胞。弓の扱いもお手の物ですわね!」

 

「いえ・・正直、魔法の効果がなければあの鱗に刺さりもしないでしょう。この弓はとても軽いですから。正直、魔法の方が慣れています」

 

慣れている(・・・・・)ですか?」

 

 森に住んでいるこの世界のエルフに取って、弓は身近な武器の武器だ。エルフ族=弓が得意だと人間に認知されてくらい関係が深い。実際は弓が苦手な者もいるのだが、それでも目の前の少年のように魔法の方が慣れているという言い方はしない。まるで紅魔族のように日常生活でも魔法を使っていたとも取れる発言だ。彼女はムンダスのアルトマーを知らない。だからこそ、自分たちのようなエルフ族が日常生活で魔法を使っている姿など想像できなかった。

 

「貴方の一族は普段から弓より魔法をお使いになられていたのですね? 肌も体格も私たちと違いますし・・何と言いますか、その・・珍しい一族ですのね?」

 

「まさか、スノーエルフに珍しいと言われるとは・・」

 

「・・?」

 

 射撃の合図が迫り、お互いに弓を引いて合図を待つ。

 自分の横で複雑な表情を浮かべている少年を横目で観察しながら彼女は思いを馳せる。

 

(日常的に魔法を使っていたなんて・・まるで紅魔の里みたいな所にあの子はいたのね。着ている青いローブもどことなく紅魔族の物と似ている気がするわ。あっ、そういえば昨日ギルドで―――)

 

 紅魔族という言葉を頭に思い浮かべた時、ギルドで話題になった噂を彼女は思い出す。

 

 曰く、あの魔剣の勇者のパーティに新人が一時的に加わっていた。

 曰く、その新人が初心者殺しを相手に一歩も引かなかったと、かの勇者が証言した。

 曰く、その新人は紅魔の里で学んだアークウィザードで変わったエルフである。

 他にも『聖剣の賢者』という痛い2つ名があり、アクシズ教徒とも親しいという噂も飛び交っていたが、その時は本気にしていなかった。

 

(ワイバーンを見ても落ち着いていたし、あの年齢で上級魔法を使っていた! もしかしてあの噂は――)

 

「よし! ヤツが落ちるぞーっ! 総員退避―っ!!」

 

 ダメージが蓄積され遂に1頭のワイバーンが地表へと落下してゆく。地響きと共に地面に叩きつけられた巨体は、満身創痍となりながらも冒険者を近づけさせまいと暴れまわる。

 

「くっ! これでは近づけない! ここはじっくり距離を取りつつ―――」

 

「いいえ、これで黙らせます! ・・偉大なる血よ、今こそ我が内に!」

 

 落下したワイバーンが見える位置まで進み出ながら、アンジェルモは魔力の弓を消し、血の力を開放する。自分の肉体に魔力が取り込まれているのを感じつつ《エクストラポケット》から小瓶をいくつか取り出す。

 

「《テレポート》!!」

 

 小瓶を暴れるワイバーンの頭上に転移させ、膨大な魔力消費による倦怠感を抑えながら両腕をワイバーンへと向ける。

 

「炸裂しろ! 《火炎球》!!」

 

 それぞれの腕から放たれた2つの火球がワイバーンに着弾して爆発を起こし、落下した小瓶にまで引火し更なる爆発を生んで行く。度重なる爆発が収まって煙の向こうからは見えたのは、ボロボロになって息絶えたワイバーンの姿であった。爆殺というえげつない手段に周囲がドン引きする中、アンジェルモだけは淡々と魔力の弓を生成し、健在のもう1頭を指差す。

 

「さぁ、残りは1頭です。 急いで終わらせて旅を続けましょう」

 

 仲間の援護に走って行くアンジェルモを、冒険者たちはどこか憐れみのこもった目で見つめる。倒した相手に目もくれずに次の標的へと向かう姿は、まるで戦いの中で心が凍ってしまったかのようだ。まだ、幼さの残る少年に何があったのかと冒険者たちは声を潜めて話し合う。

 

「ねぇあの子、昨日噂になっていた例のエルフじゃない? ほら、紅魔の里から来たっていう――」

 

「あの容赦ない止めの刺し方、紅魔族の影響よね・・。可哀想にすっかり染まって・・」

 

「ワイバーンに止めを刺したのに平静でいられるって、やっぱりあれだよな・・。里では日頃から危険な目に遭ってたんじゃないか?」

 

「ああ、何せ頻繁に魔王軍が攻めて来る上に近辺にオークまで住んでいるような魔窟だからな・・。くそ! 誰がそんな所にアイツを送ったんだよ!?」

 

 紅魔族は圧倒的実力と独特な風習によって、人類と魔王軍双方から頭がおかしいと畏怖される存在だ。元々の悪名の高さもあり、紅魔の里でのアンジェルモに悪い影響を与えたのではというのが冒険者たちの見解だ。

 実のところ、アンジェルモの反応が薄かったのはスカイリムで嫌というほどワイバーン型のドラゴンと戦っていたのが原因である。里では3回ほど死にかけた時もあったが、内1回しか紅魔族は関係していない。つまり、とんだ濡れ衣なのだ。

 

 やがてワイバーンの討伐が終わるとアンジェルモは冒険者たちからの質問攻めに遭う。自分が憐れみの目で見られていたことにショックを受けながらも、里のためそして自分の名誉のために必死の弁明に追われるのだった。

 

 

 

 

 

◇ 12時間後 アルカンレティア~アクセル間の道中  荒地にて

 

 日も沈み、辺りが闇の帳に覆われようとしている頃に、馬車の一団は野営の準備を始めた。非戦闘員である大人や子どもたちは中央の馬車の中に泊まり、冒険者たちはその周囲にそれぞれのパーティ毎に護衛を兼ねてテントを張って夕食を取り、それぞれ見張りを立てながら眠りに就こうとしていた。

 そんな中、絶賛ソロプレイ中のアンジェルモは馬車の中で自分を気遣ってくれたクルセイダーのパーティに一時的に合流させてもらっている。なお偶然にも先程のエルフの女性も同じパーティである。

 

「―――アーチャースキルの《千里眼》は遠見と暗視ができるスキルよ。盗賊と並んで私たちが斥候として活躍するのはこのスキルがあるね。説明はこんな感じで良い?」

 

「ええ、勉強になりました! しかし、先程と随分と口調が変わりましたね?」

 

「まぁ、人目がある所ではねぇ・・。ほら私たちって高貴で礼儀正しいってイメージでしょう? 普段は頑張ってキャラを作ってるんだけど流石に疲れちゃうからね! 流石に仲間たちでの前では素の自分でいたいのよ!」

 

「というかアンタは・・じゃなかったな。アンジェはその言葉遣いで疲れないか? 年齢に気にせずタメ口でもいいんだぞ?」

 

 話しかけて来たのは先程のクルセイダーの男。パーティのリーダーを担っているだけあり細やかな所も気になるようだ。彼の心配りをアンジェルモはくすぐったく感じる。

 

「いえ、敬語はそれほど苦ではありません、幼い頃より躾けられていましたから。・・でも、流石に同年代には普通に話していました。他人行儀に感じるのでしたら改めますが・・」

 

「いや、素でやっているならいいんだ。むしろこのなんちゃってエルフよりエルフらしいというか・・」

 

「ちょっと、それどういう意味よ!?」

 

「・・あ~あ、また始まった。 ほらアンジェ、退避するよ! 退避!」

 

2人が口論を始めたことで、仲間のプリーストとウィザードがアンジェルモを促し、さっとこの場を抜け出す。その背を追いかける一瞬、2人の揺れる尾が目に留まる。

ほぼ人間の見た目であるが2人は獣人だ。

 

(この世界では人間もエルフも獣人も、お互いにしがらみ無く接しているのだな。まぁ、アレを見せられれば嫌でも実感させられる・・)

 

 後ろをチラッっと見れば言い合いをしている2人が見える。一見すれば激しく口論しているようにも、お互いにじゃれ合っているようにも見える。しかし、少なくとも2人の間にエルフと人間という種族の垣根は無いことははっきりと分かる。

 その様子に少しの羨望を覚えながらアンジェルモはその場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

「もう、いつもアツアツで参っちゃうよねあの2人! アンジェもそう思うでしょ?」

 

「いつもの様子が分からないので何とも・・というかあの2人はそういう関係なのですか?」

 

「おい、アンジェに変なことを吹き込むなって・・ 本気にしちゃうじゃないか・・」

 

「いやいや、あのホントに2人は怪しいって! 乙女の勘よ!」

 

 肩を組んで親し気にアンジェルモに絡んでくるウィザードの女性。顔はほぼ人間だが耳と尾の形から推測するにネコ科の獣人だ。自治領の一角であるエルスウェアー地方のエルフ顔の猫族(オームス・ラート)、その人間版というというのがアンジェルモの印象だ。

 一方で呆れたように腕を組むプリーストの男性はイヌ科の獣人だろうか。生前、マルカルスの城で散々吠えていた犬たちをアンジェルモは一瞬思い浮かべすぐさま

 

 その時だった。仲間をネタに盛り上がっている2人がピタリと突如会話をやめ辺りを窺い始める。

 

「しっ! はっきりは見えないけど暗闇に何かいるよ! しかも沢山!」

 

「ああ、酷い匂いがプンプンして来た・・アンジェ明かりを」

 

「・・お2人とも流石ですね。《灯明》!!」

 

 獣人の五感の鋭さに感心しながら光源を前方の闇に向けて放つ。周囲を照らす光弾がゆっくりと進み、やがて岩場に当たって止まる。淡い魔法の光が闇にうごめく者たち、すなわち無数のゾンビの姿を照らし出す。

 

「きゃあああ!?」

 

「ゾンビだぁー!? しかも数が多い! ・・うげぇ、酷い臭いだ!」

 

「うわぁ・・体があんなに腐って・・ドラウグルの方がまだ見れた物だったな・・」

 

 干からびたミイラであるドラウグルとは違い人間だった頃の面影を残しながら腐りきっているゾンビ。任務とはいえ古代ノルドの遺跡を散々荒らし、多くの人間を手にかけて来たアンジェルモであっても、ゾンビの醜悪な見た目と立ち込める腐乱臭で思わず夕食を戻しそうになるほどだ。視力や嗅覚が優れた獣人2人にとってはもっと辛いに違いない。

 

「2人は皆に襲撃を知らせて下さい! 時間稼ぎは私が―――」

 

「こんな暗闇で1人なんて無茶だ! 俺も残る! それにアンデッド退治はプリーストの仕事だ!」

 

「うう・・・わ、わ私だっでぇ・・・」

 

「声が震えてるじゃないか・・無理をせず皆を呼んで来てくれ! 俺たちなら大丈夫だ」

 

「ここは私たちに任せて、さぁ早く!」

 

 プリーストは鼻に長い布を巻きつけることでどうにか立ち直ったが、女性にゾンビはショックが大き過ぎたようだ。杖を握る手は震え、腰も引けている彼女が残れば命を落としかねないと判断し、2人は彼女を急かして仲間を呼びに行かせる。

 

 ゾンビと対峙する2人。プリーストはメイスを構え、アンジェルモは魔力を収束させながら互いに言葉を交わす。

 

「知っているだろうがアンデッドの弱点は水だ。後は聖属性の魔法・・ヒールとかでもダメージは与えられるぞ。確かワイバーン戦の時、うちのリーダーに回復の魔法を使っていただろう?」

 

「了解! 水ですね! ・・水? 炎が弱点だったような・・しかもヒールでもダメージ?」

 

 首を傾げながら、撃ち出す寸前だった炎を霧散させて水の魔法の詠唱を始めるアンジェルモの様子に不安を覚えたのか更に助言が飛ぶ。

 

「念のために言っておくけどアンデッドはこちらの生命力を察知できるの知っているよな? この暗闇はヤツラの有利に働くから注意をしてくれよ?」

 

「・・・本当に勉強になります」

 

 いざとなったら、消音効果のブーツと《透明化》で身を隠そうと考えていたアンジェルモの計画が霧散する。

 暗い中、味方を巻き込みかねない上級魔法は使えない。よって、これだけの数のアンデッドを1体ずつ倒さなければならない。体力的にも魔力的にもきつい戦いが予想された。

 仲間の準備が整うまでに少しでもゾンビたちの進軍を遅らせるべく、2人は敵陣へと飛び込んで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 多数のゾンビの群れに対しこちらは2人。奇しくもワイバーン戦と正反対な数の対比となっていた。プリーストはメイスによる殴打で打ち砕き、アンジェルモは魔法による牽制を続けるが、ゾンビは仲間を踏み越えながら前方に立つプリーストへと迫る。

 

「《ゴッドブロー》!! くっ・・昼間の戦いがなければこのくらい・・」

 

 女神の力を宿したプリーストの拳がゾンビを仕留めるが、ワイバーンとの戦いが影響して、既に魔力の残りは乏しい。魔力が自然に回復するアンジェルモとは違いスキルを使う度にドンドン追い込まれてゆく。

 やがて肩で息を始めたプリーストに代わり、アンジェルモが前衛へと移動する。

 だが、ゾンビたちはアンジェルモに構わず、脇をすり抜けてプリーストを執拗に追って行こうとする。

 

「私を無視するとは!? ・・ゾンビのくせに生意気な!」

 

 敵に素通りされたという屈辱に、アンジェルモは怒りに震えながら《エクストラポケット》からドーンブレイカーを抜き放つ。

 素通りしたゾンビを背後から一突きし、活動の停止を確認してから前方へと蹴り出す。他の個体が蹴り出された個体とぶつかって転倒するのを確認し、囲まれ始めたプリーストの援護に駆け出そうとした正にその時だった。

 

「今、そちらに―― ぐあああ!? 目が!? 耳が~!?」

 

 突然の閃光で暗闇に慣れた網膜を痛め、同時に起こった謎の爆発音が鼓膜にダメージを与える。目と耳を抑えてひとしきりのたうち回った後、ドーンブレイカーを杖代わりによろよろと立ち上がる。

 

「・・ぐっ、 一体何が? ゾンビは!? ・・逃走している?」

 

 自分が止めを刺したゾンビは地面に横たわっていたが、周辺にいたはずのゾンビは体から煙を出しながら右往左往している。それはあたかもタムリエルのアンデッド除けの魔法を受けたかのように。そのゾンビたちもやがて飛来した矢や魔法に撃ち抜かれ次々に打ち倒されていく。

 

「《クリエイト・ウォーター》!! ・・2人とも遅れてごめんね! もう覚悟を決めたから大丈夫よ!」

 

「向こうの方でもゾンビの襲撃を受けてるみたい! ここにいる連中は私たちで何とかしましょう?」

 

 ウィザードの案内で次々と冒険者たちが援軍に駆けつけ、ゾンビたちと戦闘を開始する。

 そんな中、先程のクルセイダーだけは奮戦していたプリーストの下に駆け寄り、その肩を叩く。

 

「よく持ち堪えてくれた! 後は俺たちに任せてくれ! ・・そういえばここで爆発があったみたいだが――」

 

 何か知っているかと言いかけた彼の前方で再び爆発が起こり、巻き込まれたゾンビが逃走を始める。突然の爆発に驚く冒険者たちの視線の先には、光り輝く剣を持って蹲るアンジェルモがいた。

 

「ぐっ・・ゾンビが爆発した・・? 死霊術師の卑劣な魔法か!?」

 

 呻きながら立ち上がったアンジェルモがゾンビに斬りかかって首を刎ね飛し、首なしになったゾンビがゆっくりと倒れ・・閃光を放ちながら爆発する。

 

「「・・・・・」」

 

 2人が観察する中、他の冒険者が止めを刺したゾンビは普通に倒れたままなのに対し、アンジェルモが剣で止めを刺したゾンビは眩い閃光と共に爆発していく。爆発の原因を察した

 

「派手だな、あの魔剣・・いや、見た目はむしろ聖剣か? いや、確かに凄い力なのだが・・」

 

 これでもかというほど闇夜に輝いて自己主張し、『アンデッドは滅ぶべし!』とばかりにその力を振るう聖剣。止めを刺されたゾンビを次々に爆破してゆく様はアンデッド討伐に異様な執念を見せるアクシズ教徒のそれと重なる。

 

「物凄く光る剣だとは聞いていたが爆発するなんて言って無かったぞ? もしかして初心者殺しの時は爆発しなかったのか? 明らかに持ち主が一番面食らっているし・・」

 

 ワイバーンとの戦闘が終わって互いに言葉を交わしたことで、噂の新人がアンジェルモだという事実は知っている。初心者殺しとの戦闘にもあの剣を振るったことも本人から聞かされていた。つまりあの剣は・・・。

 

「アンデッドを倒した時だけ爆発する剣ということになるな。 ・・・何だそりゃ?」

 

 アンデッドを斬っただけでは爆発はしないし、生きたモンスターに止めを刺しても爆発しない。アンデッドがわらわらと出て来る今回のような場面でなければただのド派手な剣である。他の転生者たちが持つ神器と比べると微妙と言わざるを得ない。

 

「アクシズ教徒なら喜んで使いそうだけどな。もしかして連中から貰ったのか? 親しいって噂もあるし・・」

 

 努力の方向を思いっきり間違えたようなその性能は、一般的に認知されているアクシズ教徒の姿そのものと言えるだろう。実はアクシズ教徒どころかその女神から直々に賜ったと知っていたら彼らはどのような反応を示しただろうか?更にあの剣が、その女神と同じような思考を持つ異世界の神によって生み出された物だと知ればどのような反応を示しただろう。

 少なくとも、彼らに真実を知る機会が永遠に来ないのと同じぐらいにこの戦いの後にアンジェルモが変わり者扱いされることだけは確かである。

 夜明けを告げる者(ドーンブレイカー)の名の通り、朝日が昇るその時までひたすらアンジェルモはゾンビに剣を振るい続けたのだった。

 

To be continue…




メリディア様・・・光明と生命の活力を司るデイドラ大公でアンデッドが大っ嫌いなアクア様と気が合いそうな方。実はアルトマーの祖であるアイレイド(古代エルフ)の守護神だった御方。種族もアルトマーの女性という内部設定がされており、主人公やサルモールと縁がありそうで完全に忘れ去られている悲劇のヒロイン。
恐らく色々と性質が被っている太陽神アーリエルが圧倒的な知名度を誇るのも理由の1つかと思っております。
 信者がいなくてスカイリムの聖堂が荒れ放題だったり、ドーンブレイカーの性能が微妙だったり、クエストクリア時には『メリディアはドーンスターをくれた』と日本語の字幕で表示されたりとネタにこと欠かない方ですが私はそんなメリディア様が大好きだったりします。 

なお、ドヴァキンではない方のために補足いたしますがドーンスターはスカイリムにある都市の名前です。そしてドーンブレイカーは(見た目は)カッコいいです! 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。