サルモール所属魔導士 アンジェルモ=ヴェルディによる異世界での記録
日付は現時点で不明。里の誰かに聞いても良かったが暦も知らないと怪しまれると思い聞くのは控えている。後日、里の学校に行った時にでも確認すればいいだろう。
しかし、自分が死んで違う世界に転生するなど想像できなかった。
他の3人は魂縛されていなかったはずだから無事エセリウスに行っているといいのだが。ヴィルインさんの死の瞬間は見ていないが、剣に血がついていたと考えると多分、普通に殺されたはずだ。私も剣で切られたがダガーにしか魂縛が付いていなかったはずだからな。魂石に閉じ込められたはずの私の魂がどうしてこの世界に来たのかはまだ不明。魂石が砕けたのは見えたが何か関係があるのか?
さて、この2日間で色々な事があり頭が混乱している。状況整理のためにもこの世界での記録をこの度つけることにした。
異世界生活第1日目 (死後の世界)
奴の刃が私に食い込む痛みと私のルーンが爆発した衝撃を感じたと思えば、不思議な空間に飛ばされ女神アクアと名乗る女性と出会った。特徴をあげると
1、見た目は水色の髪をした人間の女性で異世界ニッポンで死者に道を示す存在
2、私を他人と間違える、仕事場に菓子を持ち込む、酒で買収される、私を違う場所に転送するなど知能にいささか不安がある
3、一方で、見たことが無いほど強力な水の魔法を使い、《特典》と呼ばれる強力な能力を転生者に与えることができる、私の記憶を読み取りデイドラアーティファクトを再現するなど神に相応しい力を持つ。
4、彼女の信者はこの世界の住人(といっても紅魔族)からは頭がおかしい奴と思われるようだ。めぐみんをはじめ里の大人やゆんゆんまでもがそう言っていた。100万人の信徒がいると本人は言っていたが……まぁ、これは大して重要では無い
以上
死者が取るべき3つの選択肢を彼女に示され、私は「異世界に転生し魔王を倒す」という選択をした。……そういえばこの世界の人間と仲良くするようにと忠告をされていたな。こちらを敵視せず、足を引っ張らないなら別に人間でも問題はないのだが。
同日 (異世界 紅魔族の森)
転移魔法でアクセルという町へと行くはずが何故かこちらへと送られその際の衝撃で意識を失う。その時にスフィリアの夢を見た。無事なのは安心したがサイジックに喧嘩を吹っ掛けそうになった時は肝が冷えたな。
どうやら私の魂石の破片は彼女が持っていてくれるらしい。だがサイジックが去り際に意味深な事を言っていたな。いずれ来る災厄に私の魂石が鍵になるらしいが……こちらは魔王とやらを倒さないといけないのだ。厄介ごとは勘弁して欲しい。
さて、夢から覚めると何故か私の体が子供になっていた。サルモールの訓練所で受けた傷が無いから恐らく12歳ぐらいか? 魂が不完全だから体に何か影響が出ると言っていたがまさかこうなるとは・・・。
今の私の能力を確認した限りだと
1、マジカ量(この世界では魔力としか言わないので以降は魔力と記入)と筋力とスタミナが12歳の時の頃に
2、魔力コントロールはしっかり生前のまま。各技能も使用可能。体内の魔力総量が少ないので同じぐらい魔法を発動できるかは微妙
3、精霊は呼べなかった。召喚魔法がニルンとオブリビオンを繋ぐ魔法だからか? 魔力の武器生成は可能。
4、剣を片手で振るとバランスが崩れる。しばらく武器を両手で振るうかダガーで戦う
この時、めぐみんに会い、モンスターと交戦したのだったな。後でぶっころりーから聞いたが一撃ウサギと一撃熊という名前らしい。随分と安直な名だ……。
1、一撃ウサギ・・・可愛らしい仕草で獲物を油断させ額の角で串刺しにする。集団行動。肉に臭みがある。
2、一撃熊・・・かなり経験を積んだ冒険者でも危険な相手。冒険者を一撃で殺し、紅魔族には一撃で殺されるらしい。今、思えばドーンブレイカーの試し切りをせず最初から魔法で距離を取って戦うべきだったな……おかげで醜態を晒す羽目になるとは不覚だ。
危うく一撃熊に殺されかけた私はめぐみんが呼んできたぶっころりーに助けられた。その時に使った上級魔法の威力は熟練者魔法に規模も威力も上回ると見た。ぜひ覚えたい!その時から今日までこの里の族長の家に居候させてもらっている。
なお、里の学校に行き魔法を覚えたいと頼んだ所、軽いノリで快諾されて困ったが、今日聞いたスキルポイントと冒険者カードの仕組みを聞いてようやく意味が分かった。要は才能がなければどんなに足掻いても無駄だから秘匿する強さの秘密とかも無いのだろう。尚、その学校ではめぐみんが女子クラスの首席でゆんゆんが次席らしい。ならば男子の首席は私が取ってやるとしよう!
異世界生活第二日目
この日は金策と里の地理の把握。そして、ぶっころりーとめぐみんへのお礼を渡しに出かけた。
案内役は族長の娘のゆんゆん。まず、鍛冶屋でセプティム金貨を買い取ってもらったら予想以上の大金になった!この世界(あるいはこの里)では金貨だけでは無く他の硬貨や紙幣を使うらしい。なので金などの貴金属はニルンよりも高価なのだろう。因みに単位はエリス。おそらく女神アクアが言っていた後輩は彼女の事だろう。しかし、神を金の単位にするとは発想は我々と同じ・・ではないか。タロス神なんて所詮人間が考えた存在しない神に過ぎないのだから。
鍛冶屋で金貨と碧水晶の剣を換金し、金策用の装身具を作るための鍛冶セットを購入。
その後服屋で戦いで敗れてしまったローブの替えを買い(ゆんゆんに見立てをお願いしたら凄く疲れた)
食堂で昼食を取り店主に牛乳を奢ってもらった。
午後は食糧で困っているであろうめぐみんのために農家で寄り道し、野菜に追われていた彼女と奮戦している農夫を援護した。しかし、野菜が動き回るってなんだ・・遂にシェオゴラスの狂気に憑りつかれたのかと思ったぞ。
確かそのあと冒険者カードとスキルポイントについて教わったのだったな。プロセスとしては
1、冒険者カードを作成し、自分の能力の範囲内でなりたい職業を選択。
2、モンスターを倒しレベルを上げるかスキルアップポーションでスキルポイントを貯め技を身に着ける。
この2点だ。異世界人にも実に分かりやすい。
めぐみんの家に寄った後ぶっころりーの家に行き、ぶっころりー父とめぐみん妹と出会う。お礼はぶっころりー父に預けて族長の家に帰宅。今日の夕飯はクラムチャウダーと野菜サラダだったのだが、サラダの切られたニンジンが手を避けて逃げようとするのを捕まえるのは大変だったなあ。味はニルンより凄く濃くて旨みが詰まっていたが、取りに行くのが大変そうだ。
最後に紅魔族の印象だが
1、変わったノリがあるものの人懐っこく排他的ではない。
2、全員が高い魔法の素養を持ち、攻めてきた魔王軍を返り討ちにしている。
3、全員が黒髪と赤目。興奮すると目が光るらしい。
という特徴がある。こちらも嫌う理由がないし過去にエルフの敵だったことも無いから上手くやっていけそうだ。
なお個人の印象だと
めぐみん・・・学校の首席。家が貧乏で腹ペコ。ややけんかっ早い。小さい。妹がいる。命の恩人1
ゆんゆん・・・学校の次席。族長の娘。友達ができにくい。(この世界では)感性が変わり者。 めぐみんの好敵手?
ぶっころりー・・ニート(働く気のない人を言うらしい)。靴屋の倅。上記の二人からはあまり尊敬されてない? 上級魔法が使える。命の恩人2
族長夫妻・・族長。ゆんゆんの父母。娘が友達ができるか心配。上級魔法が使える。私の居候先
その他
指輪を渡すのは特別な意味があったらしくめぐみんを怒らせゆんゆんはショックを受けていた。原因を突き止める必要あり。
今後の予定
族長が空き家を改築して私が住めるようにしてくれたようだ。明日引っ越しを行う。
必要な物
調理器具・・・部隊で使っていた物を使用。火元を多少弄れば使用できると思われる。
錬金器具・・・野営地にも設営できるよう材料は持ち歩いていたので設営は可能。木材を少々あれば作成は可能。とはいえこちらには存在しない鉱石もあるようなので今後も転居の時に持ち運びができるよう小型の物にする。
アルケイン付呪器・・・インゴットやガラスや木材はあるのだが魂石が倫理的理由で女神アクアに全て没収されたため設置が不可。どちらにしろ魂石の代わりになるものが無いと付呪はおろか武器の魔力チャージもできない。魔力を結晶化したものさえあれば何とかなるのだが・・
明日は新居の設営を頑張って行きたいと思う。本日の記録はここまで。
日記でもあり、お話のダイジェストでもあります。アンジェルモ視点のため真実に気付いていない部分がちらほら。