射撃演習場にて
「失礼します!吹雪1尉!」
一人の幼い少女に名を呼ばれ、中高生程の背丈の少女が振り返った。
吹雪「朝潮ちゃん……階級呼びなんてしなくても大丈夫だよ?」
朝潮「いえそんな……1尉は1尉です!」
吹雪という少女の困ったような表情に申し訳なさと誇りを顔に宿した少女が敬礼する。
吹雪「で……なにかあったの?」
朝潮「はい!先ほど満潮ら受講艦から拳銃の発砲規約が良くわからないと報告がありました。……大変恐縮なのですが、もう少し教艦を増やしたほうがよろしいのではないでしょうか…?我々駆逐艦は、戦艦艦娘の方々とは違って質量が軽すぎます。防犯や事案を防止する為にもやはり……」
吹雪「んー硬い!硬いよ朝潮ちゃん!難しく考えなくても大丈夫だよ。そんな無理しなくてもゆっくり少しずつ覚えてこ?銃器に関してはこんど講習があるから……」
さすがに堅苦しい注文に吹雪はふっきれる。
朝潮「そうですか…失礼しました」
吹雪「と…とりあえずは講習後に私から詳しく説明を再度するつもりだから大丈夫だよ」
吹雪の説得に朝潮は不満なのか一礼すると回れ右をして射撃場に帰ってしまった。
(やっぱ教艦って大変……)
吹雪「でも…司令官不在の今、任を任されたのわたしだし…もうっ……何が練度がとても高いから心配ないなの?戦艦クラスの艦娘に任せればどうにかなるはずなのに」
ぶつぶつと呟く吹雪の背後に、一人の少女が冷たいペットボトルを吹雪の首元にさらっと当てた。
だーれだっ
吹雪「うわっ!?冷たっ!……びっくりしたー深雪ちゃんでしょーこんなことするの」
いつの間にか吹雪の後ろに居たのは、吹雪と同じ特型駆逐艦の深雪。吹雪が舞鶴に来て初めて出会った姉妹艦でなにげに今現在十一駆の中で一番仲がいい。
深雪「どーしたのさ、普段生真面目で愚痴なんか飛ばさない可愛いお姉ちゃんなのに」
吹雪「生真面目じゃないし可愛いくないです。なんでもないよ、この暑さだし勝手にイライラしてるだけだと思うから」
吹雪は深雪から差し出されたスポーツ飲料を貰うとごくごくと飲んだ。
深雪「しっかしなんで人間を撃つなんて…守ってた人類をさー…ほんと人間ってどうかしてるよ」
深雪が手の形を鉄砲に見立て、グラウンドから微かに見える町並みを狙いながら呟く。
(人間もなにも私たちも同じ人間……だと思うけど)
吹雪「簡単に言えば、私達の中でいざこざがあったりするでしょ。それだよ。それにさっき朝潮ちゃんが言ったいったと通り艤装ないとただの人間なんだから……生物学的にも外見的にも……生物学的にはちょっとちがうかもだけど」
深雪「こんな不思議な身体なのに赤ちゃんはちゃんと産めるんだもんなー不思議だよね」
(んっ!?)
深雪の想定外の発言に吹雪は飲んでた飲料水を吹き出してしまった。確かに事例は無いわけではないが我々駆逐艦には難しいだろう。
吹雪「げほっごほっ……深雪ちゃん!いきなりどうしたの!?」
顔を赤らめ深雪に説教する吹雪……だが深雪は頭の後ろに手を組ながら口ずさむ。
深雪「ひゅーー吹雪もこういう話したい癖にー」タッ
吹雪「ちょっ…ちがうって!!全然そんなんじゃ!」ダッ
吹雪は誤解を解こうと茶化す深雪を追いかけた。
次回「教科書と薬莢」