__次の日の朝
磨りガラスの部屋の窓から外の明るい光が部屋の中に射す。吹雪は夢か現実かわからない感覚にひたりながらゆっくりと目を開ける。
吹雪「んっ……はー……」
起きて下半身を布団に埋めたまま大きなあくびをして目を擦る。横を見ると二人はまだ夢の中のようだ。
吹雪「もうちょっとだけ……」
普段滅多に二度寝はしないが今日ぐらいはいいだろうと布団の中に入った。
自分の体温でベットの中は暖かかったがそうでない所はちょっと冷たい。
(いくら非番とはいえ艦娘がショッピングモールに遊びに行くのはどうかと思ったけど……治安も正直不安だし……海外ってなれないよ)
布団の中で考えていると横のベットから音が聞こえる。恐らく深雪が起きたのだろう。布団をめくって向かいのベットをゆっくり覗いたら深雪がこっちを向いていた……というか目が合った
吹雪「あっ……」
深雪「吹雪起きてたんだ……」
わたしは頷くと深雪は起き上がって高く背伸びをした
深雪「んー……っ!はぁ……おはよう吹雪」
吹雪「うん、おはよう深雪」
二人がお互い挨拶を交わすと服を着替え始めた、吹雪は古鷹を起こそうとベットに近寄ると布団に手を伸ばした瞬間手を捕まれて吹雪は勢い良くベットの中に引きずりこまれてしまった。
吹雪「わっ!ちょっ……古鷹さん!」
古鷹「あははっ!吹雪ちゃんは暖かいなー」
深雪「なーにやってんだか…二人ともー!今日出掛けるんでしょ?服着替えないとー……」
深雪の説教に二人はベットから出るとお互いを見ながら笑う。日常的で柔らかい雰囲気だがこれでいい。
吹雪「あれ……?深雪って寝るとき下着着ないの?」スルッ
深雪「ん?あーね、だってめんどくさいじゃん」スッ
吹雪「いやーそうかもだけどちょっと無防備過ぎない?」
わたしの問いに深雪は人差し指を立ててチッチッチっと指を左右に振る。
深雪「まずここ鎮守府だし……艦娘襲うやつなんていないってー!居たとしたら相当の度胸の持ち主だね。誉めてやりたい」
吹雪「んー……さすがに私たち捕まったら絶対抵抗できないと思うんけど」
古鷹「寝込みを襲われたら確かに抵抗しようがないですよね」
吹雪達は朝に似合わない会話をしながら私服に着替える。今日はショッピングモールに買い物予定のため三人はいつもの勤務中の服……わたしや深雪でいう制服ではなく私服だ。
普段勤務中は各自制服を着なければならないが非番外出に限っては私服も可なのだが……もちろん自費で自ら購入するので個人の性格がでてくる。
古鷹「わー吹雪さんそのスカート可愛いです!お洒落ですね~」
吹雪「なんか制服以外でスカート履くと恥ずかしいくないですか?」
深雪「いや、それぐらいなら全く問題ないと思うぜ?イケてるよ?」
吹雪「そ、そう?」
深雪がまじまじと見てくるのが少し恥ずかしくなり吹雪は物陰に身を隠す。
吹雪「……」
古鷹「ロングスカートはファッションにもよりますけど大人しい感じですからね……吹雪さんぐらいの子はそれぐらい遊びがあっても問題ないと思いますよ」
深雪「お、そんなんだよ~うちらは流行に乗れやすいのが利点なんだよねー」
吹雪「うーんそうかな……深雪ちゃんもショートパンツ似合ってるよ~私そういうファッション好きだし」
深雪「そ、そうか……?なんか照れるな……」
古鷹「こういう会話が生まれるから私服って素晴らしいと思うんですよね……!」
吹雪「え?」
古鷹「ん?あ、なんでもないです」
古鷹がそっぽを向くと深雪が手持ちライトを片手に吹雪に問いかける。
深雪「それより吹雪、※EDCどうすんの?持ってく?」
※拳銃、ライト、ナイフ、携帯等必需品
吹雪「あ、うん。艤装つけてない艦娘なんて生身の人間そのものだし、 念には念を……ね」カチ
古鷹「私が二人のお母さんやりますよ」
吹雪「あ!子ども扱いしないでくださいー!」
自分としては別に構わなかったがなぜかプライドの様なものが最近自分の考えを変えようとする。まるで思春期の中高生だ。
深雪「というか古鷹さんってお母さんよりお姉さんじゃね?」
吹雪「ーっ!ほんと!」
三人はその場その場の話題を盛り上がらせつつも支度を終わらせていく。時間は午前11時半程。
天気もいいし絶好の遊び日和に吹雪は深呼吸をすると鎮守府の正面玄関から町の方出る……すると早速日本と雰囲気がちがうのがわかる。入国したのが夜中で良く分からなかったがとてもカラフルな町並みだ。ハワイだけあってとても清々しい感じがする。
吹雪「うわっ!……結構風が強いですねー」
吹雪は両手でスカートを抑えると眩しそうに目を細める。
深雪「たーしかに今日は強いね……でもこんな暑い日にはむしろウェルカムだけどね……て言うかスカート超絶涼しそうじゃん!あたしもそれにすれば良かったよー……!」
吹雪「風でめくれないように気にしながら動かないといけないから……私もショートパンツ穿いてこれば良かったよ……ズボンは暑いし」
アスファルトからの蒸し暑い熱気がスカートの中に入ってくるので手でバタバタと揺らすととても涼しい……が恥ずかしいのであまりしたくないのが……熱い。
わたしはスマホをバックから取り出すとマップでデパートを探すが中々見つからない……というか太陽の反射でスマホの液晶が見えない……しばらく苦戦していると横にいた古鷹さんがわたしの肩をトントンッと叩く_
古鷹「あ、二人とも!あれデパートですよね!行きましょう!」
古鷹が指差す所には大きなモールが見える。英語でデパートと書いてあるのが見てわかる。
深雪「吹雪ー!? 早くおいでよー!」
吹雪はスマホの操作をやめると二人についていくが昼間、交通量の多い道で迷子になりかける。
吹雪「あぁ! ちょっと待ってよー!」
吹雪達はこの時ばかり職務や業務のことは忘れて、一人の女の子として休日を過ごした。
古鷹「……吹雪さん深雪さん!こっち向いてくださーい!記念写真とりましょー」
古鷹はスマホを取り出すと二人を撮ろうと近づいた。ノリノリだった深雪は返事をするやいなやそのまま近くにいた吹雪に身を寄せる。
吹雪「えーちょっと恥ずかしいよー」
深雪は雰囲気と勢いで吹雪の手を握るともう片方でピースを促した。吹雪も観念したのか笑顔でピースを決める。姉妹艦だけあって本当の人間の姉妹のように見えるようだと撮られた後に古鷹に言われた時は少し嬉しかった。
古鷹「よし……写真は後で二人の携帯に送っておきますね!」
吹雪「あ、ありがとうございます!」
……しばらくしてわたし達は一息おこうと近くの飲食店に駆け寄った。店の外側はベランダの様に解放していて自然の風や音が聞こえる。太陽の光は上のパラソルの様な布が防いでくれているから苦ではない。三人は店員に商品を注文すると和気あいあいと喋りだした。
深雪「今日は吹雪とても楽しそうだったね~」
吹雪「え、どういうこと?」
深雪「いっつもなにか気にしてる感じだったからさー悩み事してる風にも見えてたから……」
吹雪「そ、そうかなー……多分疲れてただけだよ……ごめんね心配かけちゃって」
古鷹「やっぱり吹雪さんは活気が合った方がいいです!お姉ちゃんならなおさら!」
古鷹の言葉に少し照れてしまったが確かにここ最近胸を張って歩いてなかったような気がする。
そんな心境を胸にしまいつつ目の前のジュースを飲み干した。
午後6時
あれからというものの吹雪達は1日ハワイを満喫し、日本に向かう準備を初めてのいた。行きは自分の脚で移動だったが帰りは空輸という普段長距離任務ではあり得ない移動だった。
航空機地格納庫前
女提督「あら、やっと来ましたね……そのお荷物ですとかなりおきに召されましたか?」
吹雪達三人の回りは舞鶴鎮守府の各妹へのお土産だった。キャリーバックを行きで持参してないため艤装貨物ルームに押し込むというあまり推奨されないやり方を取るつもりだがやることは変わらないさと貨物関係員は了承してくれた。
吹雪「あはは……少しはしゃぎすぎましたけど……」
深雪「提督!聞いてくれよー! 吹雪ったらお土産選ぶのに30分……?それ以上もかかったんだぜ?」
古鷹「えー……良い事じゃないですかて妹達のお土産に迷う事は姉として微笑ましいことですよー」
三人の会話を聞いて提督は微笑むと吹雪に一つの封筒を渡した。
吹雪「……あの、これは?」
女提督「舞鶴の提督へ渡してあげて。あの情報のお返事よ。なーに、そう重要じゃないし無くしても問題ないわ」
吹雪「い、いえ!しっかり受けとりました!お渡ししておきます!」
吹雪の気合いの入った声に回りの職員が反応する。吹雪は顔を赤くして回りを見渡した後深雪達の影に寄る。
深雪「真面目さーん」
吹雪「ちょっ……もうわかったから……なんだかすいません提督」
女提督「真面目なのはとても素晴らしいことですよ、恥じることではありません。……さて、そろそろお時間じゃないかしら」
提督は腕時計と時刻表を見合わせる。提督の言うとうりそろそろ飛行機に乗らないと間に合わない。
吹雪「ほんとはもう少しお話したいんですが……では、短い間でしたがお世話になりました!」
深雪「今度はそっちの艦娘達連れて来てくれよな!舞鶴の良いところ沢山教えたげるよ!」
古鷹「おー深雪さんいいこと言うじゃないですか、でも提督、今度機会があれば来てくださいね?」
女提督「ええ、もちろんよ。日本の食べ物はまた食べたいと思ってたわ。いつかまた会いましょう」
提督は言葉と共に敬礼する。
三人は姿勢を正し答礼すると笑顔で待機所に向かった。一般人立ち入り禁止エリアに足を踏み入れると三人は気持ちを切り替えた。
次回「三次元空中戦」