魔術師で暗殺者なマスターが人理を救うそうです   作:醤油味のパスタ

1 / 3
第1話 魔術師で暗殺者でマスター

少女は二本のダガーを手に木々の間を駆け抜ける。敵はどこから来るかも、何が来るかも知らされていない。このような森の中での戦闘は慣れていないのもあって、十分に警戒を強める。ただし、森と言っても、本当の森ではなく、偽物の森である。

 

「シュミレーターは初めてだけど、よく出来てるなぁ。」

 

そう言って木から枝を取り、まじまじと観察する。

 

そうしてると、剣を持った動く骨格標本――俗に言うスケルトンが三騎、少女の目の前に現れる。

 

その中の一騎が骸骨らしく奇妙な音を立てて、無機質に剣を振りかぶる。

 

「敵は骸骨三騎。武器は全員剣で飛び道具はなしと……」

 

二本のダガーで剣撃を受け止め、さらに連撃を加える。

 

「グギイギャ……」

 

腰から上が地面に堕ちた骸骨は、崩れた後に粒子になって空気に溶けた。

 

「隠れている敵がいるかもしれないから、ちゃんと警戒しないとね」

 

一歩ずつ歩きながら近づいていく。すると、静止していた残りのスケルトン二騎が剣を構えてからから、と少女の方へ向かっていく。

 

「流石に二騎の骸骨と同時に相手してたら時間がかかりすぎるな。先に片方を片付けようか」

 

片方の骸骨にダガーを投げつける。

普通、投げナイフなんて実際の戦闘で使わない。なぜなら、普通に切った方が威力が高いし、あんな綺麗にダーツみたいに飛ぶのは創作の中の超人だけだ。それに、高確率で避けられてしまう。

 

回転しながら飛ぶダガーを、案の定骸骨は簡単に避けて見せた。

しかし、続けて不意をついて投擲された二本目のダガーが骸骨の眉間を貫いた。

 

「よく出来たAIだなぁ。どんな思考パターンをしてるんだろう」

 

ダガーが刺さった骸骨は、立ったまま頭の方から粒子になって溶けていく。それに対し、もう片方はお構い無しに全力疾走している。

 

さて、残る骨の怪物は一騎、それに対し、少女は無傷だが、武器は何も持っていない。つまり丸腰である。

傍から見たら大ピンチだが、少女はうろたえず、じっと骸骨の動きを観察している。

 

「体術ばかりだと思うなよ!」

 

少女は骸骨を指差すように構えながら走り出す。

 

「ガンド!」

 

この魔術、ガンドは一時的に相手の動きを悪くすることが出来る。正確には体調を悪くするものだ。実際食らったことはないので、どう悪くなるかは知らないが…

ガンドが直撃し、動きが鈍くなった骸骨に、踏み込み、回し蹴り、後ろ回し蹴りと、脚技のフルコースをリズムよく食らわせる。

 

「グ……ギィ」

 

骸骨はよろけながらも立ち上がろうとする。が……

 

「喰らえ!」

 

全身全霊のかかと落としが骸骨の頭を真っ二つに割った。それは電源が切れたかのように地面にひれ伏し、地面に溶けていった。

 

この間わずか20秒ほど。負傷も消耗もほとんど無く、タイムも悪くは無い。

 

こんな感じで彼女の模擬戦闘(チュートリアル)は終わった。

 

 

 

 

今更だけど、私の名前は黒崎立香。十七歳の現役JK。

魔術師の家系に生まれ、幼少期にそこで基礎魔術を学んでいたけど、魔術が使える暗殺者の育成を理由に暗殺者の家系の養子になって、ついこの間まで暗殺者になるための技術うんぬんを学んでいた。

 

しかし、その暗殺者の家系は魔術を使える暗殺者を作ることを諦めた。魔術師としても暗殺者としても1人前になるには魔術か暗殺に一生を捧げないといけない訳で、両方を修めるには相当な才能が必要だった。故に、それは当たり前のことだった。

 

そんな誰のためか分からない自己紹介を何故か考えながら廊下を歩いている。あれ?…ココドコ?これマイゴ?

 

「やあ。さっきの模擬戦闘、いろいろと…すごかったじゃないか」

 

迷い始めて30分。魔術師であるレフ・ライノールに話しかけられた。評価としては招集されたマスター適性を持つ魔術師の中で中の上くらいだったが、私ほど魔術に頼らず、体術で倒した人はいなかった。それは、この模擬戦闘が唯一、レイシフト前にカルデアに自分の能力をアピールするチャンスであり、自分の得意な魔術や、専門の魔術を使う人が多かったからだ。

 

「ありがとうございますレフ教授」

「この調子で、明日のレイシフトも頑張ってくれたまえ」

「了解です」

 

レフ・ライノールはニコニコしながら通り過ぎて行った。

なんというか……あの人苦手だなぁ

なんだか笑顔が怖いし、室内なのに帽子を被ってる。というか、ここにいる限り日光を浴びることはないのに、なんで帽子を持ってるんだろう…

まだまだ言いたいことはあるが、ここまでにしておこう。

ていうか、道を聞けば良かった…

 

途中に会ったロマニの案内のおかげで、なんとか自室に着いた。カルデアが用意した、そこそこ大きく、圧倒的な白さの清潔感あふれる素敵な個室である。ここに来る前は和室の自室だったので、洋室だとすこしソワソワする。

ベットに腰掛け、ため息をつく。

 

「…………」

 

一日目を過ごしてみて思ったこととしては、

周りの魔術師が凄腕過ぎる。選出されたマスター適性者は魔術協会枠38人、一般枠が10人。私は一般枠である。

一般枠で、魔術師としても暗殺者としても半人前なマスターがヤバ人揃いの魔術協会から来たマスターに勝てるわけがない。その中でまぐれでも中の上の評価を得られただけすごいと思ってほしい。

 

とにかく、いろいろと疲れた。思考停止したい。今日はさっさと寝よう。そうしよう。

 

そんなこんなで黒崎のカルデア☆サバイバル一日目が終了した。

 

 

 

 

[……さき……か…ん……]

 

なにか聞こえる……

 

[…ろさき…っかくん……て…]

 

「んん……あと…ごふん……」

 

[黒崎立香くん!いい加減起きて!]

「!???!!はい!!」

 

そ、そうだ、今は家にいるんじゃない。カルデアにいるんだ。起床時間も守らないといけないし、だらしない所は見せられない。起こしに来てくれた人に恥ずかしいところを見せてしまっ……!?

 

部屋には私以外誰もいなかった。ホラゲかよ。ひとまず状況整理しよう。まず、私が起きてから部屋を出ていったのはありえない。何故なら、この部屋を出る方法はドア一つしかなく、そのドアの開閉音はしなかった。次に、放送によるものでもない。声が生声っぽかった。だとすると、何かの魔術か機械…?例えば、脳の中に直接声を届けるもの。しかし、魔術にあまり詳しくない私でもこの魔術が並のものではないことがわかる。そんな魔術を人を起こすためという、くっだらないことに使えるほどの魔術師……いや、これもn

 

[君、やっぱり冷静だねぇ。自分で言うのもなんだけど、私は腕利きの魔術師さ。それも、かなりのね。君の考えている通り、私は君の脳に直接語りかけている]

 

若めな男の人の声が頭の中で響く。

 

……心の中まで読まれている。魔術において、ものを放つことより、受け取る方が難しいとされているらしい。イメージ的には、近づかずに遠くにあるカゴにボールを入れることと、そのカゴに入っているボールを取ることだと、ボールを入れる方が簡単に出来る。それと同じ。とにかく、只者じゃないだろう。なんとなく構えてしまう。

 

[やっぱり、私の目は間違ってなかったみたいだ。私は敵じゃないよ。突然だが、君は私に選ばれた]

 

「えぇ……(困惑)」

 

もう困るしかなかった。

知らない男の人に脳に直接語りかける高度な魔術を使って起こされて、さらにナンパまでされるなんて、初めての経験である。

 

[アッハッハ!別にナンパのつもりは無いよ。でも、君みたいなカワイイ子だったら、ナンパしてもいいかもね!]

 

男はゴキゲンそうに話す。自分だけ楽しんで、割とイラッと来たが、そんな感情も次の言葉であっさり消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[私は花の魔術師、マーリンだ。これから起こるテロから君を救いに来た。これから伝えることを信じ、それに従って行動してほしい。そうすれば、君は助かることが出来る]

 

戦況

※毎話、わかっている味方、敵の居場所や状況を「戦況」として、まとめます。

 

カルデア

黒崎(自室)




醤油味のパスタです。
初投稿者でした(過去形)
更新頻度は半年に1回です(笑)…冗談のつもりですが、わりとまじでそうなるかもしれないです。
めっちゃ手直ししました。でも、大事なフラグとかは手直しせず、気に入らなかった表現とかの手直しなので、許してください。

感想、ご意見待ってます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。