金髪の少女の手を引き、雨の中を走った。俺は学校では学年で一二を争うほど足に自信がある。だから少女は俺のスピードについてこれているのかが心配になり、後ろを見た。
「はあ……はあ……」
よかった……。なんとかついてこれているみたいだな。ずぶ濡れになって家に着き、早速中に入った。
「ちょっと待っててくれ、タオル持ってくる」
「は、はあ……」
洗面所にあるタオルを持って、少女が待ってる玄関に向かった。
「これ使って……く……れ……」
「あ、ありがとうございます。あの……どうかしましたか?」
少女は雨に打たれたせいか、服が濡れて透けてしまっていた。そのせいで少女の下着が……
「と、とりあえず脱衣所に向かってくれ。着替えを渡すからそれに着替えてくれ」
「は、はい」
とりあえず少女を脱衣所に向かわせて、俺は少女の体に合うサイズの服を探しにいった。中学の時に着ていた服なら大丈夫だろう。着替えを持って脱衣所の前に立ち、軽くノックした。
「入るぞー」
「ど、どうぞ」
中に入ってもいいみたいだから、俺は中に入って着替えを渡す。
「俺が中学の時に着てたやつだけど、これで我慢してくれ」
「わざわざすみません」
「いいよいいよ。飯作ってくるから、着替えたらリビングのソファーでゆっくりしていてくれ」
俺はそれだけ言って、リビングのキッチンに向かった。これからは2人分を作ることになるから、買い出しも2倍の量だな。数分後、少女は着替えてきて、リビングのソファーに座って待っていた。
「もうちょっとでできるから、待っててくれ」
「あ、私も手伝います!」
「いいのか?じゃあ箸とコップと皿を運んでくれ。箸は割り箸があるからそれでいいぞ。コップと皿もなんでもいいからな」
「わかりました!」
少女が俺が言ったものを運び終えると、ちょうど晩御飯もできたみたいだ。俺はご飯を茶碗に入れて、味噌汁を入れて持っていった。その後にメインの肉を炒めたものを運んだ。
「いただきます」
「い、いただきます!」
飯の時は一言も喋らずに黙々と食べた。俺は少女の方を見ると、少女は美味しそうに食べていた。そして食べ終えて、食器を運び、洗い物をした。一通り片付いたから、風呂の準備をして、溜まるのを待った。その間に自己紹介をしよう。
「そういえば自己紹介がまだだったな。五十嵐晴樹。君は?」
「え、えっとぉ……」
「ん?どうした?」
「あの、信じてもらえないと思いますが……」
「何が?」
「お、驚かないでくださいね。私は…………
ジャンヌ・ダルクです」
「え……?」
「や、やはり信じてもらえないですか?」
「き、君!あのジャンヌ・ダルクなのか!?」
「は、はい」
「俺なんて失礼なことを!!いや本当にすみません!!俺の古着なんか着せてしまって!!い、嫌ですよね!今すぐ新しい服買ってきますから!!」
「お、落ち着いてください!!私この服装でも全然大丈夫ですから!!」
「い、いやでも……」
「ほんとうに大丈夫ですから!それより、私の予想以上に驚かれるとは……」
取り乱しすぎてしまった。まあクー・フーリンさんとかもいるぐらいだから、ジャンヌ・ダルクがいてもおかしくないけど、まさかその本人が目の前にいて、しかもこんな美人だったなんて。
「あの、晴樹君……でいいのですよね?」
「は、はい」
「あ、敬語にしなくていいですよ。さっきのほうが話しやすいですし」
「わ、わかった」
「ここに住んでいいというのは本当なんですか?」
「ジャ、ジャンヌさんがよければ」
「さんもいりませんからね。私はむしろありがたいことです。今まであの協会で寝泊りをしていたので、まともな暮らしをしてなかったので。ですからご迷惑になるかもしれませんが、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼む」
俺は手を差し出すと、ジャンヌも手を出して俺の手を握って握手をした。その直後、風呂が溜まった音がなり、ジャンヌにタオルを持たせて風呂場に行かせた。これからはジャンヌの分の服や家具を買わなきゃな。