放課後のパソコン室。
そこの前に集まっているのは俺、大輔、タケル、ヒカリの4人。
伊織くんは給食全部食べ終わるまで帰らないらしいし、京さんはまだ来ていないみたいだ。
「とりあえず俺たちだけでも入っちまうか?」
「そうだな」
俺たちはドアを開けて中へと入る。
すると前回と同じように物陰からチビモンが飛び出してきて、大輔にくっついた。
そのあとから他のメンバーも次々と出てきた。
「今日も頑張ろうぜ、ドルすけ!」
「だからドルすけじゃなくてドルモンだってば!
…あ、今はドリモンか……」
あの後、こっちに帰ってきたらブイモンたちと同じくドルすけも小さくなっていた。
この状態のドルすけはドリモンという名前らしい。
「ところで京さんは?」
「伊織もおらんだぎゃ」
ポロモンとウパモンは自分のパートナーを探してきょろきょろしていた。
2人のことを説明したら、どちらも納得したように首を振った。
「待ってりゃそのうち来るよ」
俺がそう言った直後、廊下から足音が響いた。
ドアが開き、現れたのは京さんだった。
「お待たせ―!
お土産持って来たよー!」
京さんは手に持っていたレジ袋を床に置いた。
覗き込むと、中にはお菓子やウィ●―っぽいのが入っているのが見えた。
パタモンとテイルモンを除く4体はそいつを不思議そうに眺めていた。
「そういや京さん家ってコンビニやってたよな?」
「家がコンビニとかいいよなー!
いつでもお菓子食い放題じゃん」
「そうでもないよー
学校終わって帰って来た時とか休みの日には手伝いさせられるから大変なのよ」
「まぁ……そうだよな」
俺は大輔と京さんからドルすけたちに視線を移した。
「これ何?」
「食べられるんでしょうか?」
「食べられるよ。美味しいよ」
チビモンとポロモンが感想を口にすると、パタモンはウィ●ーっぽいのを取り出して飲み始めた。
「食ってみるだぎゃ!」
パタモンにつられたのか、ウパモンも●ィダーもどきに(手が無いけど)手を伸ばした。
チビモンもポロモンも、そしてドルすけもそれぞれ好きなものを取って食べた。
「あ、この白くてふにふにしたやつ美味い……!」
「本当!?
ドリモン、オレにもちょーだい!!」
「その茶色いやつひとかけら分と交換でいい?」
「おっけー!」
マシュマロ1つと板チョコひとかけら分を交換して、ドルすけとチビモンは交換したものを口に放り込んだ。
「ところでゲートはもう開いてんのか?」
「あ、待って!」
京さんがいつものパソコンを立ち上げて画面を見た。
「開いてるわ!」
「よし、行くぞ!」
京さんの台詞を聞き、デジタルワールドへ向かおうとしてる大輔を俺とヒカリはすぐに止めた。
「待てよ大輔!」
「伊織くんがまだよ」
「伊織?何やってんだあいつ」
おいおい、忘れちゃ駄目だろ。
「伊織くんはかくかくしかじかだってさ」
「玄夢、それじゃ大輔わかんないだr「なんだよー。調子狂うなぁ」
「伝わった……だと?」
ドルすけがびっくりした顔で俺を見た。
「かくかくしかじか」で伝わんのは二次元の特権なんだぜ。覚えとけよ。
「ねぇ、テレビでもつけて待ってない?」
「さんせー」
「そうしましょう」
俺たちは京さんの周りに集まってパソコンの画面を見た。
見てみると、ちょうどニュースで天才少年の話をやっていた。
そいつの名前は一乗寺賢といって、大人相手に大活躍してる様子が次々と映し出されていた。
「見たとこ俺たちと同じくらいの年齢なのにすげぇよなー」
「それにしても、一乗寺賢さんみたいな人っているんですね」
「こんなのが近くにいたらネガティブホロウ喰らってなくても落ち込むぜ、俺
……ん?」
声がしたほうを向くと、伊織くんが俺のすぐ横にいた。
「うおっ!?伊織くんいつ来たんだ?」
「ついさっきです」
みんなも伊織くんが来てたことに気づいてなかったらしく、見た途端驚いていた。
視線を再び戻すと、本人の立った映像に切り替わっていた。
「ふん!あたしだってちょっとしたプログラムくらい書けるわよ!」
「でもスポーツ万能だってよ!」
面白くなさそうに言う京さんを大輔が茶化した。
「デジタルワールド、どうなったかな?」
「そうだね。伊織くんも揃ったことだし……」
「行こうぜみんな!」
俺たちはパソコンにデジヴァイスをかざしてデジタルワールドに向かった。
デジタルワールドに着いた途端、デジヴァイスから音が鳴った。
「これってまさか……近くにデジメンタルがあるのか?」
「どういうこと?」
俺の呟きを聞いて、京さんが俺に尋ねてきた。
「わかんねぇけど、もしかしたら俺たちの他にも選ばれし子供がいるのかも」
「いずれにせよ急いで探したほうがいいね」
「そうだな」
考えをまとめ、俺たちはデジヴァイスを頼りに歩き始めた。
「あのさ、ドルすけ」
「…………」
「……ドルモン!」
「……何だよ玄夢」
ドルすけって呼んだらシカトしやがったぞこいつ。
「昨日みたいに黒いリング付けたデジモンとあのコスプレイヤーが出てくるなんてことないよな?」
「充分ありえるかもね
だってここは……」
話を途中で切ってドルすけは足を止める。
いや、ドルすけだけじゃなくて俺もみんなも足を止めたと言ったほうが正しい。
へ?なんで止めたのかって?
目の前に例のコスプレイヤーがいるからだよ!
「あっ、てめぇ!
この前はよくも!」
大輔が奴に殴りかかる。
でも、大輔の身体は奴をすり抜けて反対側に落ちてしまった。
「これは立体映像だ!実体じゃない!」
タケルがそう叫ぶと、コスプレ野郎は不愉快そうに喋った。
「君達のようにのようにおろかな人間がどうしてこの世界に出入りできるんだ?
本来ならここには選ばれた者しか入ってこれないはずなんだよ?」
「じゃあなんでお前がここにいるんだ!?」
落ちた場所から大輔が立ちあがって怒鳴った。
そいつを聞いてか否か、グラサンアンパ●マンもさっきと変んない態度で喋る。
「それは僕が選ばれし子供だからだよ」
「選ばれし子供!?」
「あなたも!?」
コスプレイヤーという名の不審者からの衝撃の告白に、タケルとヒカリがそう返した。
「おいおい、こんな痛いコスプレ野郎が選ばれし子供だなんて世も末だな」
「黙れ」
相変わらず不機嫌そうにグラサン付きコスプレイヤーが言い放った。
「とにかく君達の存在は僕を不愉快にさせる
君達と僕がまるで同じ扱いを受けているみたいだ」
痛い奴全開な発言が聞こえた途端、突然立体映像が消えた。
木と木の間から代わりに現れたのは真っ赤な恐竜だった。