「残念だったな、ドルすけ
俺の手札はすでに2枚
ジョーカーを引いたらお前の負けだ」
「ドルすけじゃなくてドリモンね
…ならばおれはこのターン、全てを賭ける!!」
「やれるもんならやってみな!」
「言われなくてもやってやるさ!ドロー!!!
……………おれが引いたのはスペードのエース!
おれの勝ちだ!!」
「ちっくしょーーーーーー!!!」
いつもどおり俺たちはパソコン室に集まって、今回は行動組と待機組に分かれることとなった。
んで、待機組になった俺はパソコン室の床を使ってドルすけとばば抜きしてたってわけだ。
へ?上のやり取りが遊●王っぽい?
そこは気にしたら負けだ。
「本当に元気ですよねー。あの2人」
「それが何よりですよ」
横では俺と同じく待機組になった京さんに加えて、光子朗さんが一緒に麦茶を飲んでいた。
現在、デジタルワールドに行ってるのは大輔、伊織くん、タケル、ヒカリの他にもうひとり。
ヒカリの兄ちゃんで前の選ばれし子供である八神太一さんも一緒だ。
ちなみに、太一さんのパートナーはアグモンという黄色くて小さい恐竜みたいなデジモンだったりする。
もちろん俺とドルすけは太一さんともアグモンとも自己紹介済みだ。
「玄夢!あれ!」
ドルすけが指した方向を見てみると、パソコンが光っていた。
やがてパソコンから大輔たちとイシツブテみたいなデジモンが3体飛び出してきた。
「これはゴツモン!?
どうして一緒に連れてきちゃったんですか!?」
「仕方ないだろ?いつまたデジモンカイザーが戻ってこないとも限らないんだし
なぁ?」
「うん」
光子朗さんの質問に太一さんはそう返し、ヒカリに確認を求めた。
ヒカリも首を縦に振って相槌を打った。
「でも藤山先生に見つかったら、何て言い訳すればいいか……」
「『着ぐるみです』じゃごまかしきれねーぞ?」
「大丈夫ですよ
そのために練習してきましたから」
伊織くんはゴツモンたちのほうを向いた。
「はい、ポーズ」
そう指示を出すと、ゴツモンたちはそれぞれどっかで見たことあるポーズをとった。
「ね。どう見ても彫刻でしょう?」
「「…………」」
俺と京さんは思わず固まった。
彫刻のふりしてるこいつらを見てると……アレだな。
俺、人間に変身できてよかったって本っっっ当に思うわ。
「ところで京くん
悪いけど君のデジヴァイスしばらく貸してくれません?」
「え?どうしてです?」
京さんが訳を尋ねると、光子朗さんは説明してくれた。
「京くんたちのデジヴァイスでゲートが開くことは、もはや疑いないですよね」
「ああ。少なくともオレたちのじゃ無理だ
大輔たちにゲートを開けてもらってついていくことはできるけど……」
太一さんが自分のデジヴァイスを手に取ってそう言った。
こうして見ると俺たちのとは違うんだな。
「どうなってるのかちょっと調べてみたいんです
いいですか?」
「…わかりました!」
京さんはポケットから自分のデジヴァイスを取り出して、光子朗さんに手渡した。
……あ!俺もまだあのディスク渡してなかったじゃん!!
「光子朗さん。こんなときに何なんだけど、俺のディスクも頼む!」
俺も光子朗さんにディスクを渡した。
「そういえば調べる約束でしたよね
京くんのデジヴァイスの次になってしまいますがいいですか?」
「ああ。構わないぜ」
光子朗さんならきっと見つけてくれるはずだ。
「僕、ちょっとお兄ちゃんの所に行ってくるよ」
「了解!気を付けてな!」
「玄夢くんこそね」
と言って、タケルはパソコン室から外に出た。
*
タケルが出ていってから1時間ちょい。
パソコンにSOS信号が表示されていたので、京さんがタケルのDターミナルにそのことを伝えた。
しばらくしたら、タケルが自分の兄ちゃんを連れてパソコン室に来た。
前に聞いた話だと、太一さんや光子朗さんと同じくこの人も前の選ばれし子供らしい。
「選ばれし子供たち、出動!!」
京さんがパソコンを立ち上げてそう言うと、いつどおり俺たちはデジヴァイスをかざしてデジタルワールドに向かった。
今回やってきたのは石ころでできた道が続く川原。
俺たちのすぐ前で、青い縞模様が入った毛皮を着ている一本角のデジモンが倒れていた。
「ガブモン!!」
「…ヤマト……?」
「しっかりしろ!」
すぐさまタケルの兄ちゃん――ヤマトさんがそいつの名前を呼んで駆け寄った。
タケルいわく、このデジモン――ガブモンはヤマトさんのパートナーだそうだ。
「会いたかったよー!!」
「どうしたんだ?何があったんだ?」
「うん、実はね……」
ヤマトさんが心配そうに聞くと、ガブモンは自分に起こったことを話してくれた。
その話によると、例のコスプレイヤーがこの近くに黒い塔を建ててベジーモンってデジモンを操ってるらしい。
ガブモンも一度捕まったんだけど、頃合いを見て仲間と脱出しようとした。
しかしレッドベジーモンというデジモンに見つかって、命からがらここまでたどり着いたそうな。
そして、近くにあったテレビでSOS信号を出したとのことだった。
「近くにテレビがあってよかったよな」
「うんうん
SOS信号も送れるなんてすごいんだねこのテレビ」
俺とドルすけがそう言ってすぐ、そのテレビがついて、京さんの姿が映し出された。
「私、泉先輩にデジヴァイス返してもらいに行ってくる!」
「その間、私が連絡役を務めます」
京さんが画面からフレームアウトして、代わりにポロモンが出てきた。
「みんな。目的地がわかったよー」
パタモンが飛びながら言った。
一方でガブモンはヤマトさんに何か耳打ちしていた。
いったい何を話してんだろ?
*
「あのサンタゲリアって町だ
平和な町だったんだけど、デジモンカイザーがやってきて町のデジモンたちはみんな牢獄の中に閉じ込められてるんだ」
「そうなんだ……」
茂みの中にてガブモンの話を聞き、ドルすけは気の毒そうに呟いた。
町は高台にあって、見回したら一番高いとこに黒い柱が立っていた。
「あの塔、ゴツモンたちがいたエリアにもあったわ!」
「本当か!?」
テイルモンは首を縦に振った。
「あれはダークタワーっていって、デジモンカイザーが建てていったものなんだ」
と、ガブモンが説明してくれた。
「よし!行こう!」
「待て!」
町に行こうと走る大輔をヤマトさんが止める。
「もう一度念を押しておくぞ
オレたちの目的は囚われたデジモンたちの解放だ」
「わかってるよ
なーに、アーマー進化すればあっという間に片付くさ」
「わかってねーだろ大輔!
んなことやってみろ!操られた連中に気付かれて救出どころじゃねぇだろーが!!」
「それに、ヘタに戦ったら捕まってるデジモンたちが人質にされるかもね」
「だったらどうすりゃいいんだよ!?」
俺とドルすけの意見に、半ばキレぎみに大輔が聞いてきた。
「確か見張りはベジーモンだったよね?
ウンチ攻撃を仕掛けてくる……」
パタモンが木から降りてそう言うと、タケルは嫌そうな顔をした。
まぁ、ウンチ攻撃なんて聞いて嬉しい奴なんてそうそういねーよな。
ぶっちゃけ俺も女子が可愛くないうえにお色気ネタが全くないTo Lo●eる並に嫌だ。
「よし、じゃあ牢獄に潜入だ」
「了解!」
ヤマトさんを先頭にして俺たちは町に向かった。
潜入に乗り気じゃない大輔がずっと不機嫌だったのは言うまでもない。
*
「止まれ!
お前ら何者だ?」
「脱走したデジモンとその仲間を捕まえてきたわ」
テイルモン、パタモン、ブイモン、アルマジモン、そしてドルすけには偽物の黒いリングが付いている。
俺たちはというと、縄で縛られてみんなと繋がってる状態だ。
うーん、みんなが見てなかったら(できるかわかんないけど)俺がベジーモンに変身して一発なんだけどなー。
こればっかりはしょうがねぇか。
「全員まとめて牢獄にぶち込んでやる!」
「ほらほら、さっさと行くだがや」
「なんなら逝かせてあげてもいいよ
今まで散々おれの名前間違えてたし」
ちょっ……ドルすけの奴、目が座ってやがる。
あれ?演技だよね?
演技だよね!?これ!!
なんかめっちゃ怖い顔で睨んでるんだけど!!
「それにしても、偽のリングだとは気付かれなかったね」
「だからといって油断は禁物よ
私たち、これから敵の真っ只中に行こうとしてるんだから」
階段を上る途中でテイルモンがそう忠告した。
*
「おらー!ぐずぐずするなー!」
ヤマトさんとガブモンを最後に、俺たちは牢屋の中に放り込まれた。
「お前たちは全員足百叩きの刑だ―!
ヒャーハハハハ!ここまでご苦労だったな!」
「君の役目は終わりだよ」
「あんたたちもご苦労様!」
その言葉にベジーモンが振り返ったけどもう遅い。
「メタルキャノン!!!」
「ネコパンチ!!!」
ドルすけが放った鉄球とテイルモンの鉄拳が当たってベジーモンは牢屋の柵に叩きつけられた。
近くでは別のベジーモンがブイモンに殴られ、アルマジモンは上から押さえていた。
はっ倒すのもほどほどにして、俺たちは牢屋から脱出して捕まってる連中を捜した。
「あー!ストップ―!!」
曲がり角を曲がろうとしたところで、パタモンが制止をかけた。
なにせ門のとこにコンビニ前の不良みたくベジーモンがいたからだ。
「いつの間にか見張りがうじゃうじゃいるよ!」
「俺たちの出番のようだな」
「待て」
デジヴァイスを握ってそう言う大輔をまたしてもヤマトさんが止めた。
「せっかく救い出したデジモンたちまで巻き沿いにする気か?」
それには異論は無かったようで、大輔は口をつぐんだ。
「上に行こう。
あの黒い塔がある丘に行けば……」
「それに賛成!」
ガブモンの提案を聞き、パタモンは真っ先に階段の先へと飛んでいった。
俺たちもその後についていった。
*
道中、タケルがふった話が元となって大輔は自分のねーちゃんの悪口を言った。
ってもすぐにヤマトさんに叱られたんだけどな。
おまけに喧嘩になりそうだったけど、タケルが止めたおかげで喧嘩にはならなかった。
「いちいちうるせぇ野郎だなー
俺があの馬鹿女のことをどう呼ぼうが俺の勝手じゃねぇか
なぁ、玄夢」
「俺もヤマトさんに賛成だな
身内に文句を言うお前のほうが馬鹿げてるぜ」
「んだと!?」
「やめて大輔くん!」
今度は俺と大輔の間にヒカリが割り込んだ。
「自分のお姉さんのことを悪く言う人なんて嫌いよ」
その言葉を聞いて、大輔はショックを受けていた。
今まではなぐさめてきたけど、今回だけはこう言わせてもらうわ。
ざまーみろ!!