幻影狐と原始竜   作:月影星良

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今回はオリジナル話になります。
途中で視点がころころ変わるので注意。


Lv.9   黒い服を着てると蜂に刺されやすい

 

side→玄夢

 

「「ぎぃああああ!!!」」

「「うわあああああ!!!」」

「「いやああああああ!!!」」

 

上から俺とドルすけ、大輔とブイモン、京さんとホークモン。

残りのメンバーも何かしら叫んでるんだろうけど、騒音と自分たちの叫び声で聞こえない。

へ?そもそもなんで叫んだのかって?

後ろからフライモンの大群(黒いリング付き)が追っかけてくるからだよ!

 

 

 

 

話は数時間前に遡る。

俺たちは今日もあの黒い塔をぶっ壊しにデジタルワールドにやってきた。

 

「んで、塔はどこなんだ?」

「もしかしてあれじゃない?」

 

ブイモンが指した先には木の間に隠れるようにして黒い塔が建っていた。

 

「ここからだとそう遠くない距離だね」

「そうと決まりゃ、さっさと行こうぜ!」

 

大輔の一言で俺もみんなも歩き出した。

その後は……フライモンの集団に出くわして、気付かれないよう静かに立ち去ろうとした。

けど、すでにその中の一体が俺たちをじっと見てたから他の奴らにも見つかっちまって今に至るというわけだ。

 

 

 

 

「見たとこフライモンはむしタイプだからフレイドラモンとホルスモンの技が効きそうなんだけど……

この数じゃキリが無さそうだぜ」

 

おまけに羽ばたく音がうるさ過ぎて、こうして逃げるのがやっとの状態だ。

 

「…………!!」

 

先頭でタケルが遠くを指して何か叫んでいる。

うまく聞き取れなかったが、動きと表情で何が言いたいのかは何となくわかった。

 

 

 

 

俺たちがなんとか入れるくらい狭い岩壁の隙間。

そこに隠れたおかげでなんとかフライモンの集団をやり過ごせた。

 

「ちょっと様子を見てくるだぎゃ」

「僕も一緒に行くよ」

「頼んだよ。パタモン

「お願いします。アルマジモン」

 

アルマジモンの足音とパタモンの羽ばたく音が遠くなっていく。

俺の位置からじゃ見えないけど、どっちも無事に外へ出られたようだ。

 

「敵の姿は見当たらないがや」

「もう出てきてもだいじょ………うわあああ!!」

 

パタモンが悲鳴を上げて真っ先にタケルが外に飛び出した。

タケルの後に続いて俺たちも出てみると―――そこには蝙蝠の羽根がある狼みたいなデジモンが3体立ちはだかっていた。

 

「あれはサングルゥモン

デジタルワールド創世記から生きてるといわれ、自らを分解して瞬間移動できる吸血デジモンよ」

 

テイルモンの解説を聞き、サングルゥモンを見たら3体とも首に黒いリングが付いていた。

 

「うへぇ。こりゃやっかいだな」

「今回はみんな戦いましょう」

 

ヒカリの一言にみんな頷き、デジヴァイスをかざした。

 

「「「「「「デジメンタルアーップ!!」」」」」」

「ブイモン、アーマー進化ー!!

燃え上がる勇気・フレイドラモン!!」

「ホークモン、アーマー進化ー!!

羽ばたく愛情・ホルスモン!!」

「アルマジモン、アーマー進化―!!

鋼の英知・ディグモン!!」

「パタモン、アーマー進化ー!!

天駆ける希望・ペガスモン!!」

「テイルモン、アーマー進化―!!

微笑みの光・ネフェルティモン!!」

「ドルモン、アーマー進化―!!

鉄壁の絆・ラプタードラモン!!」

 

ホルスモンとディグモンは左のサングルゥモン、ペガスモンとネフェルティモンは右のサングルゥモンに。

ドルすけとフレイドラモンは真ん中のサングルゥモンにそれぞれ向かっていった。

 

 

「アンブッシュクランチ!!!」

 

 

ドルすけが全力で飛びかかったけど、サングルゥモンは細かい粒になって攻撃をかわした。

そしてドルすけの後ろに回ると、瞬時に元に戻ってドルすけに襲いかかった。

だが……

 

 

「ナックルファイヤー!!!」

 

 

横からフレイドラモンの攻撃をまともにくらって地面に倒れた。

首に付いてる黒いリングが壊れたのは、このすぐ後のことだった。

 

「よし!まずは1体だな」

「ああ!」

 

右側ではペガスモンとネフェルティモンが集中攻撃を喰らわせていた。

一方、左側ではホルスモンとディグモンがちょうどサングルゥモンを倒したところだった。

 

「とんでもない能力持ってるって聞いたからもっとやばい奴かと思ってたら、案外弱いじゃない

怯えて損したわ」

「はは……」

 

確かに京さんのいうとおり拍子抜けしたぜ。

 

「こっちも終わったよ」

 

タケルたちの後ろで右側にいたサングルゥモンが倒れていた。

首にあったリングも消えている。

 

「んじゃ、また塔目指して出発しようぜ」

「おー!」

「了解!」

 

大輔がいる方向を見たら…………京さんの後ろで細かい粒が徐々に集まっていた。

 

 

 

 

 

side→ドルモン

 

「京さん!危ない!!」

「え?」

 

タケルの声で京が振り返ると、そこには倒したはずのサングルゥモンが立っていた。

いや、こいつらはもともと4体だったんだろう。

 

「き……きゃああああ!!!」

 

サングルゥモンは右の前足を振り上げ、京めがけて振り下ろした。

俺たちデジモン組と玄夢たち人間組の距離はかなり離れてる。

ホルスモンが京の所に向かったけど間に合いそうない。

そんな時だった。

 

 

「シャドーボール!!!」

 

 

京のすぐ近くから黒い塊が放たれた。

それはサングルゥモンにぶつかり、その体躯をふっ飛ばした。

 

「え……?」

 

みんなも俺も黒い塊が放たれた先を見た。

そこにいたのは―――玄夢だった。

 

「どういう……こと?」

 

みんな呆然としていた。

一方で玄夢は2、3歩後ずさりすると、塔があるほうへと走っていった。

 

「なんで!?玄夢くんは人間でしょ!?

なのにどうしてデジモンが使うような技を使えるの!?」

「落ち着いて京さん!

とにかく、今は玄夢くんを追いかけよう!」

 

おれたちは黒い塔がある方向へと走った。

走ったその先では、玄夢が再び黒い塊を作って塔にぶつけていた。

塔にはすでにヒビが入っていたけど、倒すにはまだまだ時間がかかりそうだった。

 

「みんな!おれたちも……」

 

「加勢しよう」と言いかけたところで、玄夢の後ろにある影からサングルゥモンが出てくるのが見えた。

 

 

 

 

side→玄夢

 

とうとうやっちまった。

ゾロアだと――ポケモンだとバレちゃいけなかったのに技を使っちまった。

この先どうなるかはわかってる。

みんな俺を気味悪がって離れていくんだろう。

 

「……でも今はあの黒い塔を壊さねぇとな」

 

俺はシャドーボールを黒い塔に当てて倒そうとした。

何発かぶつけたことでヒビが入って来たから倒れるまでもう少しだ。

 

「玄夢!後ろ!!」

 

ドルすけの声が聞こえて振り返ったら、ちょうどサングルゥモンが京さんのときと同じように右の前足を振り下ろしてきた。

とっさに身構えたけど攻撃をまともに喰らっちまって、俺は吹っ飛ばされて地面にぶつかった。

 

「玄夢ーーーー!!!」

 

ドルすけの叫び声が辺り一帯に響き渡る。

次の瞬間、ドルすけはサングルゥモンにクラッシュチャージを決めて森の奥に追いやった。

 

「さてと、俺も決めるか」

 

急いで塔のところに戻り、技を出すべく構えた。

 

 

「シャドーボール!!!」

 

 

さらに黒い塊をぶつけると、塔のヒビが広がった。

あと一発喰らわせればすぐにでも倒れるだろう。

 

「うっし!とどめはやっぱアレだよな!」

 

そいつをだすべく再び構える。

 

 

「くらえ!!ナイト……バースト!!!」

 

 

暗黒の衝撃波を受け、塔は跡形もなく崩れ去った。

これでこのエリアのデジモンたちも全員元に戻るだろう。

問題はこの後だ。

 

「みんな大丈夫か?

塔はぶっ壊れたからもう安心だぜ」

 

とりあえずいつものように振る舞ってみた。

でもそれは無駄だったみたいで、みんな困惑した顔で俺を見ていた。

それだけじゃない。

なぜか大輔たちはさっきより背が高くなってるし、アルマジモンにいたっては俺と目線が合ってる状態だ。

 

「お前……玄夢だよな?」

「そうだけど、何だよ急に聞いてきて」

「だったら………どうしちまったんだよ……その姿……」

 

大輔に指摘され、俺は自分の足元を見てようやく気付いた。

そこにあるのは俺本来の―――ゾロアとしての足があった。

 

「玄夢……君は…………」

 

ドルすけが一番最初に口を開いた。

その先は知っている。

だから……

 

「待って!!」

 

考えるよりも早く身体が動いた。

気が付いたら俺は走りだしていて、みんなの姿はもう見えなかった。

ドルすけが必死に叫んで追いかけてくる音がしたけど、わからなくなるまで見えてないふりと聞こえてないふりをした。

 

 

 

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