せっかく転生したので最強の悪役を目指します。   作:Z-ONE

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今回も相変わらずのクオリティです。

どこか表現がおかしいところがあるかもしれませんのでご注意ください。

それでは本編。


process35 闇の書編、決着。政宗の最終目標。

 ゲンムコーポレーション社長室にて。

 

「さぁ、何の事でしょう?」

 

「惚けないでいただきたい! ゲンムコーポレーション社長、天ヶ崎恋殿!」

 

 社長室の椅子に座る恋の前で声を荒げているのはクロノだった。

 

「私は十六夜政宗などという人物は存じませんし、我が社がそのような人物に協力しているという事実もありません」

 

「しらを切る気ですか!」

 

「しらを切るもなにも、知らないモノを知っているとは言えませんよ」

 

 クロノの問い詰めに恋は一切動じることなく淡々とした様子で返答していた。

 

 恋はクロノに背を向けて立ち上がると窓から外の景色を眺める。

 

「お話は以上ですか? ならば、お引き取りを」

 

「待って……」

 

「これ以上! ありもしない事で我が社を陥れようとするようならば、こちらも相応の対応をさせていただきます」

 

「……ッ!? わかりました」

 

 クロノは恋のその一言を聞くと会釈をして社長室を後にした。

 

 クロノが出ていったのを確認した恋はおもむろに携帯を取り出し、電話を掛ける。

 

『……もしもし』

 

「あぁ、私だ。そちらに頼みたいことがあるんだが」

 

『手短にお願いします』

 

 電話の相手は恋を急かす様にそう言い放つ。

 

「ハハハ、厳しいね。やはり、忙しいのかね?」

 

『手短にと言いました』

 

「すまない。管理局のお坊ちゃんが我らの事を上に進言するかも知れない」

 

『心得ました』

 

「話が早いね」

 

『此方で手回しします。それでは』

 

 それだけ言うと電話の相手は一方的に電話を切ってしまった。

 

 恋を思わず携帯の画面を見てしまう。

 

「生きることに急ぎ過ぎではないかな? いや、もう”死んでいた”んだったね」

 

 恋は微かに笑うとそう言うと電話をしまい、再び社長席に座った。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 恋からの電話を切った、その人物。

 

 その人物は黒いパンツスーツに身を包む女性。

 

 髪は紫のロングストレートでその出で立ちは何処か不思議な雰囲気を漂わせている。

 

 その女性は電話をしまうと目的地に向かって歩を進めた。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 一方、その頃。

 

 政宗は拠点の椅子に腰かけ、来るべき時を待っていた。

 

 ちなみにその近くのソファにはいつもの様に寝転がるアリシアの姿もある。

 

「お兄さん、まだ~?」

 

「まだだ」

 

「退屈だよ! 私に”新しい力”をくれるんでしょ!」

 

「それはもっと後だ。今は作戦の事だけを考えろ」

 

 余りに退屈だったのかアリシアが珍しく駄々をこねだした。

 

 俺は軽くそれをあしらうが……

 

「もう! 出かけてくる!」

 

 逆に俺の態度に腹を立てたのかアリシアは拠点を飛び出してしまった。

 

 だが、俺は特に何をするわけでもなく時の流れを待ち続けた。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 時は流れて……

 

 夜の暗闇が町を包み、白い雪が空から降り注ぐ海鳴市を一望できる小高い峠。

 

 ここにはなのは・フェイト・アリサ・すずかの四人に加えて。

 

 闇の書の意志改め、リインフォースと守護騎士一同が集結していた。

 

「そろそろ始めようか、夜天の魔導書の終焉だ……」

 

「それは困るかな♪」

 

「この私の所有物になってもらうまではな」

 

 その場の全員がそこに現れた人物に目線を向ける。

 

 そこに居たのは人間状態の政宗とアリシアだった。

 

「お前たちは!」

 

「クロノス!」

 

 ヴィータが俺の名を叫んだと同時に俺はバグヴァイザードライの銃口をリインフォースに向ける。

 

「回収させてもらおう」

 

「くっ!」

 

 俺がそう言うとリインフォースは金色の粒子となってバグヴァイザーに吸収される。

 

「リインフォースさん!」

 

「目的は達成した。撤収する」

 

「おっけー♪」

 

「待て!」

 

 俺はその呼びかけを無視してその場去ろうとする。

 

 だが、そんな俺達の動きを止める声がその場に響いた。

 

「待ちぃ!」

 

 突然響いたその声は無意識のうちに俺をそちらの方向に向かせていた。

 

 なんとそこには現在、休養中のはずであるはやての姿があった。

 

「はやて……」

 

「政宗、リインフォースをどうする気?」

 

 俺に呼びかけるはやての声はかつての友人としての声ではなく、家族を守る一家の大黒柱としてのプライドや敵を見据える剣豪のような覇気が宿っている。

 

 その声に宿る気迫はこの俺さえ微かに感情が揺らぐ程だった。

 

「話す必要はないな」

 

「リインフォースを返して!」

 

「アリシア」

 

「おっけー」

 

「待ち!」

 

 はやての言葉を無視して俺は久しぶりに感じた”恐怖”という感情に従い、即座にその場を立ち去った。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

「はやてに恐怖を感じた? この俺が?」

 

「お兄さん?」

 

「……まぁいい。アリシア、時は来た。ついに我々が本格的に動く時だ」

 

「ついに世界をひっくり返すんだね♪ 楽しみだなぁ」

 

 喜んで辺りを飛び跳ねるアリシアを尻目に俺はリインフォースを入れたバグヴァイザーをパソコンに繋げる。

 

『一体なにをする気だ』

 

「君を私の所有物にするのさ」

 

 そのまま俺はパソコンを操作すると勢いよくエンターを叩く。

 

 すると、バグヴァイザー内にバグスターウィルスが放たれ、リインフォースを蝕んでいく。

 

『ガァァァ!』

 

 バグスターウィルスに蝕まれていくリインフォースは徐々にその姿を変えていく。

 

「誕生おめでとう。”グラファイト”」

 

 ウィルスに蝕まれ、完全にバグスターへと変化を遂げたリインフォースは上級バグスターの一体”グラファイト”へと姿を変えたのだった……




次回予告

ついに本格的活動を開始する政宗達。

だが、とある者達の介入によって物語は大きく動き出す……

次回 新章開幕。始動する政宗の最後の計画。

この作品の結末について自分の中ではいくつか候補があるのですが、どれが見たいですか? ぜひご協力ください。

  • 政宗消滅END(一応正史)
  • 政宗完全勝利END(現在構想とは真逆)
  • 政宗改心END(自分的にはなし)
  • 作者にお任せ(高確率で消滅END)
  • 消滅と完全勝利
  • 消滅と改心
  • 完全勝利と改心
  • 全部見たい

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