あと、席に関しては口田くんを一番後ろにさせていただきました。ごめん!!口田くん!!
USJ事件後。
僕達は1日臨時休校となった。
その時に僕は家で今後についてを考察していたのだが、唐突に郵便受けに何かが入った音がした。
薄着ではあったが外に出て郵便物を見てみると、なんと雄英からのもので、自然と顔が強張る。
飯田天哉様。相澤消太。そう手書きで書かれた封筒を丁寧に開けた。
急な連絡、すみません。
ですがとても重要な内容ですので急遽、送らせていただきました。
明日から、特別な生徒を一年A組にひきいれます。
その子の名は13号。中学一年生と思われます。
何故その子を入れるかというと訳がありまして__
相澤先生にしては丁寧な文章で書かれているそれは、息を飲むような内容だった。
まず、名前が13号という時点でおかしい。
『名前で呼ばれると反応が遅い』ー呼ばれたことが少なかったのか
『睡眠時間が少ない』ーそれほど自由がなかったのか
『おそらく閉じ込められていた可能性』ーあぁ、何故そんなことができるんだ。
同封された少年の制服姿は生地が余っていて、どれほどに痩せているかがわかった。
それよりも目立つほど、少年の…いや、13号くんの目には光がない。
つきましては、13号に交友関係を持たせること、
生徒達には傷ついた心を治す道徳的な実習を含め、13号を一年A組にいれることを決めました。
よし、と意気込み、登校したのが今日。
会話のパターンはある程度考えてきた。
自己紹介からして色々とアウトだが恐れることはない。あわよくばその名前をきちんとしたものに変え、誕生日もつくりたいところだ。
というよりなんだ、迷惑をかけないって。
小さな子は迷惑をかけてなんぼだ。
「初めまして13号くん!ところで今何歳なんだい?」
相澤先生が話をしていいと言った瞬間。
僕は良しと言われた犬のように、一目散に13号くんのところへいった。
ずっときになっていた、中学一年生だと”思われる”。
「え、えっと…飯田くん、ですよね?僕は詳しく知らないんですけど…中学一年生の勉強は終えました!」
偉いでしょ、とでも言いたげな13号くんに、僕は考える。
やはり、自分の年齢を把握していないのか…それも環境のせいなのは間違いないが、自分に関して無関心なのをどうにかしないとな…
「名前覚えてるの?すごーい!」
能天気な芦戸の声で気づく。
そうだ、彼は僕の名前を言い当てた。
「楽しみで、覚えました」
そう言ってはにかむ13号くんに、僕は俄然やる気を出す。
絶対に、この子を助けなければならない。ヒーローなのだから。
雄英体育祭。
それは、もっとも重大なもので、これで就職先が決まるかもしれない。
だからこそ、僕は手をあげて質問した。
13号くんは出るのか、出ないのか。
すると相澤先生は目を細め、出ないと答えた。
それじゃあ13号くんは蚊帳の外。寂しいんじゃないのかと思うと、相澤先生はすかさず、13号はサポートだという。どういうことだ?プリントには彼は救助が得意とかいてあるが、個性については書かれていなかった。仲間になるとして、個性の把握は必要なので追質問をした。
「見る方が早い。13号、こっちへ来い」
「はい」
返事をする彼の横顔は整っていて、丁寧な動作と光のない目も相まって、機械のように感じた。
そうやって前に出た13号くんの目の前に、相澤先生はゴミ箱のゴミを落とす。
そして、目配せで個性の使用を促した。
ごく自然な動作で13号くんの細い腕が前に出される。
そして紡がれた言葉は___
「ブラックホール!!」
は!?