憧れた存在に 完全なる黄金回転リメイク   作:黒姫凛

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とある3人の日記のようなもの

脳裏に浮かぶのは、いつもあの光景だ。

何も出来なかった俺の、なんの力を持たなかった哀れな俺の姿。

そして転がる屍、無残な死体。

穴だらけの親、胸が締め付けられる程痛々しい姿の親友の姿。

 

そう。今俺は、俺達兄妹は、村の人達の屍の上に立って生きているようなものだ。

まるで地獄絵図の如く、俺達を死に誘う霊体は、俺達が死ぬまで纒わり付くだろう。

だが俺達は死ぬわけにはいかない。

未だに存在し、今や大企業となった俺達の村を襲った組織を潰すまでは、絶対に死ぬわけにはいかない。

 

あの日、親友の死体をそのままに、一度妹の部屋に戻ってタンスの中で一夜を明かし、次の日に村人達の死体を土に還した。

既に腐敗し始めた死体を運ぶのはとても今の俺達にはキツかった。

妹達には絶対に見せたくなかった光景だった。

最初は俺だけでやろうとしたが、妹達がやって来て、手伝いたいと言ってきた。

流石に、死体の運搬はさせたくなかったから、埋めるための穴を掘ってもらった。

 

それから数日経って、やっと亡骸を全部埋めることが出来た俺達は、今村にある備品をかき集め、村から去ることにした。

あの場にいたら、多分村人の誰が生きているという事が知れるから、急いで逃げた。

山を越え、険しい谷を超え、ひと山ふた山超えて、だだっ広い平野に到着し、その平野の端っこで暮らす事にした。

まず始めたのは農業。

小さいながらも、3人で食えるには丁度いい大きさを作り、村から持ち出した種を蒔いて育て始めた。

雨風凌げる穴を発見し、そこを住居に3年間を過ごした。

 

そこに住み始めてすぐ。俺はいきなり高熱を出した。

死んでもおかしくない様な高熱だ。

腐敗した死体の病気が今頃来たかと思えば、次の日にはケロッと元気に戻った。

そして、何故か不思議な力を手に入れていた。

何かを念じると、俺の背後に現れるナニカ。しかし、そのナニカの名前を俺は知っていた。幽波紋と。

何故だか分からなかった。

だが、そのスタンドの能力はとてもじゃないけど、この世界の理に反している能力が多かった。

ポケモンならいざ知らず、その幽波紋の使い手さえ影響があるもので、ホントに自分の身体なのかと疑った程だ。

 

そして俺は肉体強化に勤しんだ。

1日中枝にぶら下がって懸垂、腹筋をし、とにかく身体を虐めまくった。

別に俺はドMって訳じゃない。

だが、その成果は十分にあった。

何となくジャンプしたら、いつの間にか空にいたし、着地の時も全くと言っていいほど痛みが無かった。

自分の身体が恐ろしいと思った事は、多分今回が初めてなのだろう。

 

そして何より、野生のポケモン達が無茶苦茶懐いてくる。

外で火を囲んで妹達と夕飯を食べていると、いつの間にか現れたポケモン達に膝の上に乗られ、更には何故か俺が食べさせられる形になっていた。はいあ〜んってヤツだ。

何が何だかよく分かんなかったが、とにかくよく分かんなかった。

 

そして2年後。14歳となった妹達は、発育が物凄くよかった。

が、やはり年月が過ぎると、外で生活している身としては服はめちゃくちゃ肝心だ。

妹達に、今のファッションを学んでもらいたいが、街に行こうとしても、頑なに嫌がる。

俺だけで行こうとしても何故か引き留められる。

なんでだろうかと思いながらも、幽波紋の能力の一つ、『クレイジーダイヤモンド』の直す力で、服をちょっとばかしオシャレに変えてみた。

着てもらったらめちゃくちゃ可愛かったので、ついつい抱きついてしまった。

殴られると思ったが、以外にも喜んでおり、その後はずっと俺の膝の上に座っていた。

二人共だ。

お陰で太ももが次の日は朝から麻痺っぱなしで辛かった。

 

数ヶ月後、平野を探索してたら、ポケモンが倒れていた。

ボロボロで倒れていたので急いで戻り、汚れを拭いた後、『クレイジーダイヤモンド』で傷を直した。

どうやら、倒れていたポケモンはクチートで、目が覚めた後ここに住まないかという申し出をし、ここに住まわせることにした。

流石にあんな所で倒れてたらなんかあるに違いなかったので、ほっぽり出すのも悪いし、俺はどうかと聞いてみたところ、なんか眩しいほど笑顔に輝いて、何度も頷いていた。

そりゃ、我が妹達の美味しい料理を食べたんだからいつでも食べたいと思うのは俺も同じだ。

そこに共感出来るところは、クチートを誘って良かったと思う。

何故か妹2人に渋られていたが何故だろうか?

 

そして、1年後。

いつの間にかあの組織は公の場で高い評価を得て大企業となっていた。

そして俺達は、その企業を潰すために、企業の本部へと旅に出た。

もちろん、ボロボロの服とかその他諸々は『クレイジーダイヤモンド』で綺麗に直し、何処に出ても恥ずかしくないような格好を妹にさせて、俺は妹達とクチートと共に、旅を始めたのだった。

 

絶対にあの企業はぶっ潰す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おにぃが冷たくなった。

そりゃあんな事があったら、辛いに決まってる。

目の前で、アキラ兄を殺されたんだから、深い傷を負うのは当たり前だと思う。

 

でも、なんか何かに急がされるように、おにぃはいつも1人で頑張り過ぎていた。

村から出て、荷物も1人で全部持ち、新しい住居でも、畑仕事なんかは全部やってた。

女の私達がする事じゃ無いって言ってたけど、おにぃだけじゃ辛いじゃない。

おねぇもいっつも悩んでた。

 

だから、おにぃに無理させてたから、ある朝ぶっ倒れたんだ。

凄い高熱で、熱が下がるどころかどんどん上がっていって、死んじゃうんじゃないかって思った。

おにぃが死んだら、多分私達はホントに孤独だ。

おにぃがいてくれたから、今の私達があるんだ。

だから私達は付きっきりで看病した。

何度も何度も汗を吹き、タオルを水で絞って何度も繰り返す。

手がふやけて血が滲んでいたけど、おにぃの辛さに比べたら大した事ない。

 

結局、高熱は次の朝まで続いた。

ホントに死んじゃうんじゃないかって、おねぇと二人しておにぃの上で泣いてたら、いきなりおにぃが起き上がった。

何事かと思っておにぃの熱を調べたら、まるで嘘のように熱が引いてた。

私達は嬉しくってつい抱き着いてしまった。

おにぃも、久しぶりに抱き締めてくれたけど、私達の手を見て、驚きを隠せてなかった。

なんでこんなになるまでしたって、おにぃは私達を叱った。

でもおにぃ。おにぃが死んだら、私達は孤独なんだよ?

おにぃがいなかったら死んじゃうよ。

涙を流して泣いた。

おにぃは、さっきよりも強く抱き締めてくれた。

嬉しかった。久しぶりにおにぃの温かさを知れて、とても嬉しかった。

 

その後、おにぃは不思議な力が使えるようになっていた。

おにぃの背後に、4体の幽霊みたいなのが現れていた。

おにぃは幽波紋って呼んでたけど、何だかおにぃが知らないおにぃになったみたいで、いつか離れ離れになるかもしれないと不安になった。

知らないおにぃって言うと、高熱出した後から、何故かおにぃが物凄くカッコよく見えた。

おねぇにも聞いたけど、おねぇも同じ事を思ってたみたいで、おにぃの目を見る度に、頬を赤く染めてた。

なんでこんなにもおにぃを見てると、胸がドキドキするんだろう?

兄妹なのに、可笑しいよね?

 

能力が分かった後、おにぃは畑仕事の合間に、身体作りを始めていた。木の枝を使って、ただひたすらに上体起こしをして、懸垂をしていた。

なんか、そんなおにぃを見てたら、またまたカッコよく思えて来た。

ダメだ私。完全におにぃに惚れちゃってるよ。

これがずっと見ていた私達が、おにぃの魅力に気付いたから好きになったのか、それとも一目惚れか。

前者なら問題ないけど、後者ならめちゃくちゃ危うい。

もし他の見ず知らずの女がおにぃの事狙ったら、血の繋がってる私達は勝負に出れない。

完全におにぃが取られる。

 

だからだろうか。

おにぃが街に行こうと誘われても、頑なに断ってしまった。

おにぃが1人で街に行こうとしてたので、それも力ずくで止めた。

私達の知らない所で、おにぃが惚れられるのは何だか嫌だ。そんな恐怖心が私達に芽生えていた。

 

でも、ホントにおにぃは優しいと思った。

街に出ない代わりに、おにぃの能力の一つで、ボロボロだった服をオシャレに可愛くしてくれた。

私のは白いフリルがついたスカートと黒タイツ、少し露出の高いノースリーブタイプの白いシャツと色香を引き立たせる黒くてピンクのラインが入った薄い上着を作ってくれた。

おねぇのは、ピンクと白のシマシマのタイツに、黒い白いラインが入ったミニスカート。私のと色違いの黒いノースリーブタイプのシャツとヤンチャムの柄のフード付きの薄いパーカーを作っていた。

 

早速着てみて、おにぃに見せた。

おにぃがいきなり抱き着いていた。

おにぃの表情を見ると、涙を堪えながら震えていた。

おにぃがなんで涙を堪えているかは分からなかったけど、おにぃは優しいから、きっと私達に可愛い服を着させられて嬉しかったのかもしれない。

だから私達は抱き着いた。

その後ずっとおにぃの膝の上に座って過ごした。

もちろんその服は着たまま。

おにぃに今までの辛さを少しでも和らげて欲しかったから、ずっとギュッと手を握って過ごした。

いつまでも、こんな日が続いたら良いのに。

 

でも、事件が起きた。

遂に怒っては行けない事が起きてしまった。

私達が、一番危険視していた事が起きてしまった。

 

おにぃがポケモンの女の子を持ち帰ってしまったのだ。

遂に、遂に起きてしまったと、私達は後悔した。

なんでおにぃと一緒について行かなかったのかと。

だが、おにぃの優しさは私達だけには収まりきらなかったらしい。

 

どうもそのポケモン、クチートは怪我を負っていた。

物凄く酷い怪我だ。

おにぃは、タオルを水で濡らし、能力の一つで傷を完全に直していた。本当、おにぃの能力は便利だ。

別におにぃを道具扱いとかしてる訳じゃない。

ただ、ホントにおにぃのおかげで私達は生きてるんだなって改めて思い知らされた。

 

傷を直した後、クチートはすぐに目を覚ました。

ここは何処だのなんだとの呟いていると、おにぃがやって来た。

そして、私達は確信してしまった。

どうやら、私達がおにぃに惚れてるのは、一目惚れも含まれてるかもしれない。

そして、私達の目の前で顔を赤く染めてるクチートも、多分一目惚れした!!

これは由々しき事態。

完全におにぃは、一目惚れで女を落とすようになってしまったのだった。

なんて事だ。おにぃは、おにぃは、女ったらしになってしまった。

しかもだ、ここに来て早2年。

外でご飯を食べてると、いつもおにぃの周りにポケモンが集まってきては、何故かおにぃに食べさせていた。

しかも、みんなメスだった。

 

これで分かった。

おにぃは、異性そのものを墜す魅力を手に入れてしまっているんだ。

もっともこれがおにぃは自覚しているのかと思ったが、案外そうでも無かった。

事ある事に、ポケモン達からの猛烈なアピールもいなし、興味本位でやった夜這いも、何故か一緒に寝るという結論に至って、全く狙いは違うが、案外幸せな気分を味わえた。

 

だけど、どうやら私達の仮説は正しくなかった。

その1年後に私達はクチートと共にここを去った。

これから親を殺した企業を潰すために、私達はその本部へと旅路を進めるためだ。

それでだ。いざ街に入るやいな、ポケモンのメスたちからは熱い眼差しを向けられてたが、女性達からはあまり向けられなかった。

どうやら、ポケモンのメスだけを誘惑するようだ。

……じゃあ私達はなんでおにぃに惚れたのだろう?

やはりおにぃの魅力が改めて分かったからだろうか?

 

でも、なんでもいい。

企業を潰した後、私達は多分何処かでひっそりと暮らすだろう。

その時、もしおにぃに彼女が出来なかったら、私達が兄妹の縁を切っておにぃと結婚するんだ。

だから、おにぃ。いつでも私達を頼って欲しいな。

願わくは、肉体的な方も頼って欲しい。

おにぃはもう思春期真っ只中。

性的な欲もしっかり満たさなきゃ。

いつでも使って欲しいな、おにぃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はホントに孤独。仲間からも見限られ、途方もない旅に出た私。

辛かった。どれだけ傷を負ったのかは分からないけど、とにかく辛かった。

そんな地獄から抜け出させてくれたのは、紛れもない今のご主人、クロヤさん。

傷を負った私を見捨てることなく、神の偉業で私の身体を直し癒してくれた。

 

目を開けて彼の顔を見た時、胸が跳ね上がるようにドキドキした。

物凄いドキドキだった。

多分私の顔は真っ赤に染まってた。

それ位ドキドキしてたんだ。

 

その後、クロヤさんにここに住まないかと言われた。

迷うこと無く私は頷いた。

これでクロヤさんとずっと居られると思うと、とても嬉しかった。

初めて死んでもいいと思った。

でも駄目。死んだらクロヤさんに会えなくなる。

でも、嬉しいのはホントに嬉しい。

 

その夜、私はクロヤさんの妹さん達に起こされた。

クロヤさんの隣で寝てた私は、クロヤさんが起きないようにそっと抜け出す。

 

外に出ると火を囲んで妹さん達、マナさんカナさんがずっと火を見つめていた。

どうしたのと尋ねると、貴女は兄にが好きかと聞かれた。

兄にというのは、クロヤさんの事だろう。

私はすぐに頷いた。

するとマナさんが、座ってと誘ってくる。

私は石の上にちょこんと座ると、何やら真剣な眼差しでこちらを見ていた。

どうやら、話すのはクロヤさん達兄妹の過去のようだ。

私は興味本位で聞きたいと言った。

言ってしまったのだ。それが、この2人にとってどれだけ辛いものなのかも知らずに。

 

聴き終わった時、私は後悔した。

なんでこんな事を興味本位とか言って聞いてしまったのだろう。

興味本位とかでそんなレベルで聞いてはいけない話だ。

この兄妹は、私と同じ孤独者だ。

唯一違うのは、私とは違って助け合う兄妹がいる事だ。

そう思うと、孤独な私は一体何なのだろう。

これから先、多分ずっと1人。

馴れ合いも多分出来ない。

もしかして、私が今ここにいるのは、孤独から抜け出したいからかもしれない。

クロヤさんの側で過ごせるという名目で、孤独から逃げる道を作ってしまったのかもしれないと。

 

許せなかった、そんな自分が。

不思議と込み上げてくるこれは、自分に対しての怒り。

自分の恩人に仇で返すような真似をしてしまった事に。

 

すると、カナさんが尋ねてきた。

おにぃの事を好きかどうか。

……さっきの事もあり、正直分からないと答える。

その通りだとも。

私は、今自分の感情が疑心暗鬼状態。

どれが正しいのかなんて分からなくなった。

 

でも、カナさんは言った。

迷うなら、おにぃの事が好きという感情を持っている、と。

 

そしてもう一つ。

おにぃは渡さないと。

 

その時少しだけ思ったことがある。

間違いなく私はクロヤさんに惚れてるんだと。

だから私も返す。

 

負けません、と。

 

こうして、私はクロヤさん達の復讐に力添えできるように、クロヤさんの隣で修行に励んだ。

とにかく目指すのは、この兄妹に力を分け与える事。

 

出発まで後、半年。

それまでに、私は自分の力を高めておきます。

必ず、この兄妹と一緒に戦えるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




順番的に、クロヤ(主人公)、カナ(マナの双子の妹)、クチート。
なかなかにこの書き方は面白かった。と思う。
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