憧れた存在に 完全なる黄金回転リメイク   作:黒姫凛

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趣味の一点張り。
特に力を入れるまでもなく、ただ自分の乏しい文章力で書き続ける作者。、


敢えて言うなら、出会いというのは、とても素敵なものかもしれない
Episode1


目と目が合えば、ポケモンバトル。

トレーナー達の中では、格言にも等しいこの言葉通り、目と目が合えば両者の了承でポケモンバトルの開始だ。

時たまにトレーナー4人のダブルバトルがあれば、トリプルバトル、ローテーションバトルと、とにかく様々なバトルが繰り広げられる。

 

そんなバトルはまた、新たな出会いも寄せてくる。

バトルがあれば、出会いがあり、別れもある。

まるで人間の生と死のように必ずあると言ってもいいその運命は、全てのトレーナーに影響を与える。

 

そして今も、1人の少女の新たな冒険が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーちょっとぉぉぉぉぉっ!!!こんなのぉっ、聞いてないわよぉおおおおおおおっ!!!」

 

ポニーテールをぴょこぴょこと激しく揺らし、思わず泣き叫ぶ少女。

急斜面の坂を思いっきりダッシュで駆け下り、後ろから転がってくる巨大な岩から必死に逃げている。

 

この岩は、この少女がやってしまった自業自得だ。

出会い頭の野生のポケモンとのポケモンバトル。

前々から可愛いと思って狙っていたメスのチリーンをゲットしようと相棒のツタージャと奮闘していたが、ツタージャのはっぱカッターが予想以上に的外れし、巨大な岩が転がるのを堰き止めていたであろう岩を粉砕し、見事に巨大な岩の発進に手を貸してしまったのだ。

そのせいと言えばそうなのだが、チリーンは逃げ、逃げ遅れた少女とツタージャはコロコロ勢いよく転がってくる巨大な岩からの鬼ごっこが開始されたのだ。

 

既に逃げ道は無く、いつの間にか追い詰められていた少女は、急いで横に飛び、急斜面からの脱出を試みたのだ。

これで逃げられただろうと思ったのも束の間。

巨大岩はそのまま更にスピードを上げて少女の方へと向きを変えて押し寄せてきた。

 

そして今にあたる。

外れてしまったのは仕方ないが、それでもその後は何だか不幸過ぎて可哀想に思える。

 

「誰かぁっ!!助けてぇっ!!」

 

泣き叫び、誰か見ず知らずの人助けてくださいと泣き叫ぶ。

しかし、助けを求めるしか無い。

今ツタージャを出しても、あの岩を破壊できる威力は持っていない。

この足ではもう限界である。

助けを呼ばない理由はない。

 

寂しいほど、その声に答えるものは誰もいなかった。

人里など無く、特に有名と言った地域でもない故、人は滅多に来ないだろう。

終わったと、少女は自分の短い人生を振り返り、せめて死ぬ時ぐらいは笑顔で終わろうと、口元を吊り上げて笑を作り、ツタージャの入ったモンスターボールを離れた場所に投げ捨てる。

 

ーーーグッバイ我が人生。来世では、幸運な事が起きますように。

 

そう願いながら少女は足を止め、ぴょんと壁を蹴った。

重力に押され、その重量およそ1tは下らないだろう巨大岩を眺めながら、目を閉じた。

 

そのコンマ一秒後、背中に衝撃を受けた。

巨大岩は、そのまま地面と接触する。

振動が森を揺らし、森の中に住んでいたポケモン達を騒がせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前で起きた事が私には理解出来なかった。

 

モンスターボールから飛び出した私は、隣にいるはずの相棒がいない事に気付いた。

フッと、轟くような音が響き、私はその音がする方に顔を向け、絶句した。

 

私のはっぱカッターで動かしてしまったあの巨大岩が、私の主人を押しつぶそうとした。

 

理解出来なかった。状況が全く分からなかったから。

でも、身体は理解していた。

何故押し潰されそうになっているとかそんなことは分かっている。

頭が動く前に、足が動いた。

手が動く前に、私のツルが反応した。

 

ノータイムで瞬間的に走り出す。

駆ける。駆ける。駆ける。

ツタージャの種族値では、ここから全力で走ったところで、追いつくことは有り得なかった。

だからと言って、諦める訳にはいかない。

私には、手の代わりにツルがある。

ツルが手の代わりのリーチになってくれる。

これで間に合うかもしれないと密かに安心感を持ち、必死に伸ばす。

 

しかし、エネルギーが巨大な方が、小さい方を吹き飛ばすのと同じ原理で、ツルは激しい風に吹き飛ばされる。

それでも何とか持ちこたえ、全身全霊でツルを走らせた。

死なせるわけにはいかないと、1本だけでもと、必死に伸ばす。

だが、そのツルは。

 

ーーー間に合うこと無く、最後に目に映ったのは、主人の笑が浮かんだ顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、突如巨大岩は真っ二つに割れ、巨大岩が落ちたであろうクレーターに、天に拳を向ける姿があった。

その胸には、ツタージャの主人を抱いて。

起こる砂煙と舞う今の破片が、その姿を微量ながら迫力を引き立てていた。

 

黒いコートを靡かせ、所々破けたズボン。重力に逆らうように、短くも頭の上から滑らかに真っ直ぐに伸びている髪。コートの下に着ている白いシャツからも分かるほどの肉体美。

男として太すぎず細すぎずと言った絶妙なバランスのとれた肉体。

その姿に、ツタージャは目を疑う程、見蕩れていた。

 

迫力があり、何より強さがある。

ひと目でわかる強者。

空手王とか可愛いぐらいに思えてしまう程のオーラと雰囲気。

 

ツタージャは心を悟った。

この胸の奥で熱くなる鼓動。

完全に、この胸の高まりは、恋心だと言う事に気付いたツタージャ。

 

普段、主人が彼氏欲しいだのほざいていたので、恋について調べたツタージャ。

説明はあまり良く分からなかったが、結局のところ、ある種の感情を抱いている異性を見ると、胸の奥がズキズキして、ずっと目で見ていたくなるのが普通らしい。

 

カッコイイと思った。凄まじいと思った。

そして何より、この手で救えなかった主人の命を救った事に、憧れと感動を覚えた。

如何せん、これは俗に言う一目惚れというものかと。

 

何故だろうか。

ここまで親近感が湧いたのは、生まれて初めてだ。しかも初対面の人に。

何故かツタージャには、あの人なら、私の事もわかるかもしれないと、訳の分からない初めての衝動が疼いた。

ここまでハッキリとだ。

一目惚れレベルのこの感情は、胸をギュッと締め付けてくる。

 

変だ。可笑しい。

自分の身体の筈なのに。心の筈なのに、何故か股の間とお腹の奥が疼き、心があの人の事を欲している。

 

女の主人とては比べ物にならないぐらいの経験。

日々日常で、経験を欲するポケモン達にとって、これはのどから手が出る程の価値がある経験だ。

 

誰が言った。

目と目が合えばポケモンバトルだと。

そして、バトルの後には、出会いと別れがあるのだと。

 

今回は別れは回避したが、出会いはあった。

それを思えば、あのチリーンとのバトルは、とてもいい出会いだったようだ。

正直、ここに来て良かったと、若干思ってしまったツタージャであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーー不思議だな。自らの運命に逆らったこの少女は」

 

 

 

運命だと、感じた。

 

 

 

 

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