Re:ゼロから始める千翼の苦難 【完結】   作:寝坊助

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5話 剣聖

エミリア達は言葉を失う。先程まで座り込み死人のように反応のなかった千翼が、自分達の目の前で今戦っているアマゾンと同じ姿になったのだ。

唯一、差異があるとすれば鎧のようなプロテクターをつけているくらい。

 

腰につけていた魔道具は人をアマゾンにするのか、それとも………

 

「千翼は……………アマゾンなの?」

 

次々と自分達の想像を超えた出来事が起こる中、エミリア達はその場でアマゾンネオと化した千翼を見守るしかなかった。

 

 

 

「ヴォウッ!!!」

 

駆け出して近づいてくるネズミアマゾンに、腰を低くした態勢のネオは逆に飛びつき床へ押し付ける。

ヘビアマゾンは驚きながらも、首を圧し折ろうとネズミアマゾンを押さえつけているネオに組みつく。

 

「ウゥ!おおおおお!!!」

 

しかし体を大きく振り回すネオにより壁に叩きつけられ、更に追い討ちの如くネオがラッシュを仕掛ける。乱暴かつ大雑把だが、それでも一発一発が重く荒々しい。

加勢に行くゴリラアマゾンも、ネオが投げつけたヘビアマゾンを叩きつけられ、プレスからの馬乗りにされてしまう。

 

「ヴゥゥゥゥゥお゛おおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオ!!!」

 

雄叫びを上げるその姿は正に獣。

しかし、その雄叫びを何処か悲痛と怒りと憎悪が入り混じったものだった。

 

その姿に、エミリアの身体は震えていた。あの千翼が、このような残虐な戦闘を見せる等。

 

「本当に……チヒロなの?」

 

エミリアにとって、今アマゾンと戦っているネオは、千翼とは違う別の何かに見えた。

 

最初は圧していたネオだが、やはり三対一という状況で段々と圧されていく。

あの3人組は人間時は仲が良かったのが原因か、アマゾンにしてはやけに連携が取れていた。

本能で素手では不利だと理解したネオは吹き飛ばされながらも、上部レバーを押し込む。

 

 

-BLADE・LOADING(ブレード・ローディング)-

 

 

ネオの手首の部分の装甲が展開し、中からアマゾン細胞によりブレードが形成され生えてくる。

跳躍し、飛び掛かってくるネズミアマゾン。そのネズミアマゾンを、カウンターのようにブレードで串刺しにした。

 

 

-AMAZON・BREAK(アマゾン・ブレイク)-

 

 

思わぬ反撃。

更に動揺を隠せない二体のアマゾン。しかし、ネオは構わずネズミアマゾンをブレードが引き抜き、パキパキと変色した死体を床に放り投げる。

 

「おおおおおおおおおおおお!!!」

 

しかしこれだけでは終わらない。死体となったネズミアマゾンを更にブレードで突き刺したのだ。

何度も何度も、滅多斬りにして串刺しに。そのあまりにも酷い光景は、エミリアをゾッと青ざめさせ、フェルトは嘔吐寸前で口を抑える程だった。

 

 

   ▼▼▼

 

 

一方その頃、盗品蔵の壁を突き破り少し離れた場所にて、もう1つの戦いが決着していた。

 

「成る程、あのベルト興味深い」

 

周りは戦闘によって破壊されたスラムの家等が散らばっており、お手頃の瓦礫を椅子にしめ寛いでいる片手に銃を持ち、黒とシアンの色が特徴の戦士、

 

ーーー『仮面ライダーディエンド』。

 

変身したカイトーが未だ盗品蔵で暴れているネオを寛ぎながら見据えていた。

 

「ぐ………かはっ……はぁ、ふふ、参ったわね。貴方、こんなにも…強いなんて」

 

ディエンドの背後には、ボロボロの身体で召喚したライオトルーパーズに組み伏せられている女ーーー『エルザ』が血を吐きながらも、うっとりとした表情で倒れていた。

 

「他に何かお宝を持ってそうだから相手したけど、がっかりだな」

 

ディエンドがパチンと指を鳴らすと、エルザを組み伏せていたライオトルーパーズが消滅する。

疑問を抱くエルザだが、本当に興味がなくなったのか、ディエンドは盗品蔵の元へ歩き出す。

 

「じゃあね。今度僕に挑む時は、貴重なお宝を持って来て欲しいね」

 

「残念、貴方はお宝にしか興味は無いのね………いいわ。いずれ必ず、貴方の腹を切り開いてあげる。楽しみにしていなさい」

 

「はっはっは♪」

 

「うふふ❤︎」

 

黒い笑みを浮かべる2人。

熱っぽい目でディエンドを見つめたエルザは、傷を負ってなお卓越した身体能力を発揮して大きな跳躍。あっという間にスラムから姿を消した。

お宝以外、興味を持たないディエンドの瞳には最早エルザを映しておらず、新しい興味へとその足を運ばせる。

 

   ーーだがしかし、

 

「ッ!?」

 

背後から弾丸が放たれ、咄嗟にそれを回避してディエンドドライバーの銃口を向ける。

 

「ふっ……ああ、君か」

 

自分に攻撃して来た相手を見た瞬間、敵意が歓喜に変わる。そこには、自分がよく知っている自分が立っていた。

 

「ナマコは食べられるようになったかい?士」

 

「海東、相変わらず何か企んでるようだな」

 

王国騎士の服を着て、首にぶら下げた二眼レフのトイカメラを持つ男ーーー『門矢 士(かどや つかさ)』。

ディエンドーーー『海東 大樹(かいとう だいき)』と様々な世界を渡り歩いて来た腐れ縁である。

 

「というか君、その格好似合わないよ?」

 

「言うな、バ海東(怪盗)!」

 

 

   ▼▼▼

 

 

場所は戻り盗品蔵。

ゴリラアマゾンの腕が、ネオのブレードにより宙に舞う。ブシュッ!と吹き出る黒い血を撒き散らしながら膝をつくゴリラアマゾンを、ネオは串刺しにした。

 

「ヴグァァ!?」

 

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

斬り、抉り、裂く。それを何度も繰り返し、辺りは黒い血が飛び散り、悲惨な光景が広がっている。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

 

暴走するようにブレードを振り回すネオ。最早、ヤケ糞のようにブレードが当たった物を壊していく。

 

「おい、何かヤベェぞ」

 

ゾッとした表情で、ロム爺を治療するエミリアの隣に立つフェルトは小気味に身体を震わせている。理性の無い獣のネオが、いつ自分達を標的にするか。フェルトはロム爺の心配とネオに対する恐怖で、頭がおかしくなりそうだった。

 

「ッ………チヒロ」

 

ロム爺を治療しているエミリアも、暴れるネオの方に気が散って上手く治療が出来ずにいた。

気付けば最後に残ったヘビアマゾンは何処かに消えていた。ネオが自分達の方へ向くのにそう時間はかからない。

 

その瞬間、よく通る声が盗品蔵に響き渡った。

 

「そこまでだ」

 

声と共に天井が突き破られ、室内は瓦礫と砂埃で充満する。その場の全員が動きを止め、何が起こったのか見極めようと煙る視界に目を凝らす。そんな中、注目を一身に受けながら颯爽と現れた一人の男。

 

「危ない所で間に合って何より。さあ、舞台の幕を引くとしようか」

 

強烈な登場を果たした赤髪の青年は、どこまでも純粋な正義感を滾らせて端正な顔立ちに微笑を湛えたまま、圧倒的な威圧感で周囲を捻じ伏せた。今にもエミリア達を標的にしかけたネオも、青年に注目する。

 

「ラインハルト…」

 

「エミリア様、遅くなって申し訳ありません。無事でなにより」

 

ラインハルトと呼ばれた青年は、エミリアに笑みを浮かべたと共に、襲い掛かってきたネオのブレードを避けて、蹴りでその場に叩きつける。

 

「腸狩りは新人の子に任せて来て見たけど……成る程、こっちも相当ヤバそうだ」

 

起き上がり威嚇するネオに、ラインハルトは困ったように頬を掻き、自然な足取りで歩き出す。

 

「ラインハルト、殺さないで!彼はーーー」

 

「分かりました」

 

直ぐにおおよその状況を理解したラインハルトと、ネオの戦端は直ぐに開かれた。ブレードで暴れまわるネオを、無手でいとも簡単に捌き切るラインハルト。

 

「ッ!」

 

しかし、無傷とはいかなかった。捌いた手がたった一撃でボロボロになる。

 

(直撃したら死ぬな、コレ)

 

『無手では死ぬ』、そう理解したラインハルトは盗品蔵の中を見渡し、床に倒れた盗品の中からおんぼろの両手剣を発掘。

柄を足で跳ね上げて、回転するそれを易々と掴むと、確かめるように軽く振り、

 

「けど幸いなことに、怪物狩りは僕の専売特許でもあるんだ」

 

ネオの装甲で固められていない部分を突き刺した。

しかしそれで止まるネオではなく、痛みがないのか直ぐに反撃に出る。

 

(凄まじいタフネス……!)

 

「ラインハルト!もうこっちは気にしないで大丈夫よ!」

 

消極的な戦い方をしていたラインハルトはその声を受けて小さく頷き、剣を構えた瞬間、空間が歪む。眩い光りに辺りが包まれた後、ネオと共に盗品蔵は吹き飛んだ。

 




こういう小説ものでよくある、原作のキャラが噛ませになるのはちょっと嫌なので、千翼はラインハルトの噛ませになってしまいました。
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