仮面ライダーBLACK RX×魔法少女まどか☆マギカ~闇を祓う光の王子~   作:タクアン(沢庵)

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本編
太陽の子だ! RX


「……ぐっ」

 

 南光太郎は、路地裏で目を覚ました。辺りには誰もおらず、彼一人だけがそこに横たわっていた。

 

「ここは一体……」

 

 直前まで、自分はクライシス皇帝と戦っていたハズだ。ならば、ここはどこだ?

 

「まさか、ここは異世界か!?」

 

 彼の鋭い勘が、すぐさまその可能性を察知する。かつて異時間同位体と共闘したこともある光太郎にとって、世界転移など珍しいとは思えない。

 

(……そうか! クライシス皇帝は自分が倒れた時の保険として、倒した相手を別次元に転送し、自身にとって脅威となる存在を消し去るつもりだったのか!)

 

 その考えに至った瞬間、光太郎の焦りも頂点に達していた。彼が異世界にいるということはだ、つまりクライシス皇帝はいまだ健在。元の世界が危機に晒され続けていることになる。

 

(世界の防衛を頼みました、十人ライダー……)

 

 偉大なる先輩達を信じ、自分は元の世界へと戻る術を探すことにする光太郎。しかしそれは、新たなる戦いへの序章(プロローグ)に過ぎなかったのである。

 

 

 狭い路地裏を抜けた光太郎は、市立と思しき病院の前 を通っていた。その時!

 

(む!? この周辺から、強力な邪気を感じる……!)

 

 光太郎の仮面ライダーとしての力が、ただならぬ気配を察する。改めて確認してみると、柱の一つに黒い小さなヒビワレがあった。邪気はそこから放たれているらしい。

 

(迂闊な行動は危険だが……やむを得ないな)

 

 手を伸ばし、ヒビワレに触れた光太郎。と、ヒビワレは凄まじい力で彼を引きずり込もうとする。

 

「ぬっ!」

 

 彼はあえて身を任せ、ヒビワレの中へと侵入したのであった。

 

 

「これは……!」

 

 ヒビワレの中で光太郎が見たのは、およそこの世のものとは思えないグロテスクでサイケデリックな景色だった。少し歩いたところで、光太郎は黄色のリボンで拘束された、独特の衣装をまとう黒髪の少女を発見する。

 

「これは!? 君、大丈夫かい!」

「……あなたは誰? あなたには関係ないわ、自力で何とかするから」

「いや、困っている人を放ってはおけない! うおおっ!」

 

 彼はリボンを引き裂こうとする……が。

 

「切れない……?」

「だから『無駄』と言ったのよ」

「ならせめて、君をこんな目に逢わせた奴を教えてくれ!」

 

 少女は少しだけ思案した後、こう告げた。

 

「……この先をまっすぐ行けば会えるわ。もっとも、あなたが着いた頃にはもう死んでいるかもしれないわね」

「何!?」

 

 いてもたってもいられなくなった光太郎は、一気に走り出した。

 

 

 光太郎は周囲の景色に驚愕する。一面がお菓子で出来ており、どこか甘ったるい匂いもする。そしてその中心で、恵方巻のような姿をした怪物が大口を開け、呆然と立ちすくむ金髪の少女を喰らおうとしているところだった。

 

「!! 危ないっ!!」

 

 光太郎は素早く飛び上がり、怪物に蹴りを当てる。怪物が注意を逸らした隙に、光太郎は少女を救出。見ると、他に二人の少女と白い生き物もいた。だが、今はどうでもいいことだ。

 

「か弱い少女を襲い、まして喰らおうとするなど……この俺が許さん!! 変……身ッ!!」

 

 光太郎が一定のポーズを取ると、彼の腰にあるサンライザーが激しく明滅。次の瞬間、光太郎の身体には黒と濃緑の装甲と、バッタをモチーフとした仮面が装着されていた。

 

「俺は太陽の子! 仮面ライダーBLACK! RX!!」

 

 仮面ライダーBLACK RX。それが戦士の名だった。

 

「行くぞ! RXキィ――ックッ!!」

 

 体幹を捻りつつ放つドロップキック・RXキックは、二メートル七十センチの鉄板をも貫く威力を持つ。

 その直撃をモロに受けた怪物は、身体のど真ん中に風穴を空けられ、悶え苦しむ。

 

「トドメだ! ……リボルケイン!!」

 

 サンライザーの左側にある賢者の石から出現する光の杖・リボルケインは、RX最大の武器である。単純な攻撃力もさることながら、この武器の真に恐ろしいのはそこではなかった。

 

「ハアッ!」

 

 左手から右手に持ち替え、怪物の顔面にリボルケインを突き刺し、光のエネルギーを体内に送り込む。この技――リボルクラッシュは、文字通り無限のエネルギーを敵の内部に直接注入することにより、どれほど強大な存在であろうと、全てをチリに変える力があるのだ。

 それはこの怪物とて例外ではない。避けることすらままならない怪物は膨張を続け、臨界点に到達。それを見計らい、RXはリボルケインを引き抜き、身体全体で「RX」の文字を描く。その直後、怪物は爆散。敵の死を見届けた光太郎は変身を解き、少女達に駆け寄った。

 

「君達、大丈夫かい!?」

「あ、は、はい! 大丈夫、ですけど……あなたは?」

 

 桃色の髪をした少女が、そう訊いてくる。

 

「俺は南光太郎。君たちは……!?」

 

 そこまで言いかけて、光太郎は周囲の変化に気付いた。お菓子の景色が溶け、徐々に元の風景に戻っていく。

 

「これは……!」

「……魔女の結界が崩壊したのよ」

「君は!」

 

 先ほどまで拘束されていた少女が、何事もなかったかのように現れた。気になることは沢山ある。しかし、青髪の少女が猛然と掴みかかったことで、光太郎の質問の機会は失した。いつの間にか制服に変わっている彼女の襟首をひっ掴み、怒声を張った。

 

「転校生、あんたって奴は! あたしはあんたがいけ好かない。だけど、マミさんを見殺しにするような真似だけはしないと思ってた、のに……!」

「……そう。でも、知らないわ。巴マミの生死を私は関知しないもの」

「ふざけんなっ!!」

「ダメだよ、さやかちゃん!」

 

 青髪の少女――さやかの右手が大きく振り上げられ、黒髪の少女――仮称、転校生の頬を打つ……ことはなく、光太郎がその手首を止めていた。

 

「暴力に頼っちゃいけないな。それに、友達同士で喧嘩したって何にもならない。それに、あの時の彼女は動ける状況じゃなかったんだ」

「そうだよ、さやかちゃん! マミさんがほむらちゃんを縛ったから、ほむらちゃんは来れなかったんだよ?」

「……は?」

 

 拍子抜けしたように手を放し、さやかは桃色の髪の少女を見つめた。

 

「じゃ、じゃあ……あたし、あと一歩で無実の転校生をぶん殴ろうとしたってこと……? うわ、うわあ……! ご、ゴメン転校生、ホントゴメン!」

「……美樹さやか。あなたはそのそそかっしさを何とかした方がいいわね。だからあなたは、いつも……」

 

 何か言いかけた転校生・ほむらは言葉を切り、金髪の少女――巴マミに振り向く。

 

「これで解った? いくらあなたでも、死ぬ時は死ぬわ。だからその命……大切になさい」

 

 そして、ほむらは消えた……ように見えただろう、さやか達には。

 

「待ってくれ、ほむら!」

 

 ただ一人、南光太郎だけはほむらを捉えていた。

 

「なッ!?」

「このままだと、君はいつか壊れてしまう……そんな気がする。だから、君は来なくちゃいけないんだ」

「な、何に……?」

「これからやる、情報の交換会だ」

 

 

 道すがら、改めて五人は自己紹介を交わす。まず、光太郎が助けた少女が巴マミ。ほむらに掴みかかったのが美樹さやか。二人の仲裁に入ったのが鹿目まどか。そして、謎多き転校生が暁美ほむら。

 五人は今、まどか達の案内で近所の喫茶店にいた。

 

「さて……まずは、俺から質問したい。マミ、ほむら。君達は何者なんだ?」

「……魔法少女。それが私達の正体よ」

 

 ほむらが答え、マミがそれを補足する。ちなみにだが、マミは光太郎に礼を述べた際、涙を流して感謝していた。その際、光太郎も一切合切を告白。ほむら以外の三人は信じられないような顔をしたが、直前の戦闘での猛烈な強さが確かな説得力を持たせていた。

 

「私達は、キュゥべえと契約して魔女と戦う使命を持っているんです」

「キュゥべえ? それはもしかして、さっきまでいた白い小動物のことかい?」

「そうよ。何故かさっきからいないけれど……ま、あいつはどうでもいいわ」

 

 穏やかなマミと、冷然としたほむら。極端に不和という訳ではなさそうだが、そこには明確なスタンスの違いが感じられる。

 

「あの生き物と『契約』? 詳しく説明してくれないか?」

「簡単な話よ。あいつは願い事を何でも一つ叶え、その対価として魂をソウルジェムに変え、契約者を魔法少女として戦場に立たせる。魔女との戦場にね」

「そうだ、その魔女ってのは? 俺が倒した怪物のことか?」

「そうです。私達が希望の象徴なら、魔女は絶望の象徴。殺人事件や自殺、交通事故が不自然に多発した時、それは魔女の仕業の可能性が高いんです」

「何だって!?」

 

 強い正義感を持つ光太郎は、血相を変える。人命、ないしはこの世全ての生ける者を守護する太陽の子にとって、魔女は絶対に相容れない存在であることは確かだった。

 

「……一つ、教えてくれないか。君達は何を願って魔法少女になったんだ?」

 

 光太郎の問いに、マミは目を伏せ、ほむらは唇を噛んだ。

 

「私は『生きる』ことを願ったんです。暁美さん、あなたは……」

「……私は失礼するわ。自分の分の代金は、自分で払うから」

 

 

 遠ざかるほむらの背中に声もかけられず、まどかは己の情けなさを呪う。

 

(ほむらちゃん……)

「……どうさたのさ、まどか。もしかして、ほむらのこと?」

「わたし、弱いなって。ほむらちゃんが悩んでるのに、声もかけられなくって……」

「いいんだ、まどか。それが君の強さだよ」

「南さん……?」

 

 光太郎がまどかの肩に優しく手を置き、続ける。

 

「自分の弱さを自覚している人間は、それだけ弱さを乗り越えようとする。そんな人間が、誰よりも強いんだ」

「そう、なのかな……」

「きっとそうなんだよ、まどか。あたしね、まどかの優しさに何度も助けられんてんだよ? 恭介の時もね」

「ほ、ほんとに? だったら、それはとっても嬉しいなって……」

 

 友情を確かめ合う二人を優しげに眺めつつ、光太郎は正義の怒りを静かに燃やす。

 

(この俺が、仮面ライダーBLACK RXがいる限り、魔女の好き勝手にはさせん!)




ヒーローは降り立った。太陽の子、仮面ライダーBLACK RX!
謎の敵である魔女を倒すため、彼は魔法少女と共闘する。新たな絶望の権化が現れる時、新たな魔法少女もまた、現れる!
変身、仮面ライダーBLACK RX!
『参上! 美樹さやか』!
ぶっちぎるぜ!
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