仮面ライダーBLACK RX×魔法少女まどか☆マギカ~闇を祓う光の王子~ 作:タクアン(沢庵)
「……どうやら、僕の見立ては少しばかり甘かったようだ。これでは、エントロピー凌駕はとても叶わないね」
とある惑星。スペアボディーでさやかを傀儡にしていたインキュベーターだったが、仮面ライダーBLACK RXとシャドームーンの活躍によりさやかは救われてしまった。
「魔法少女が魔女になれば、その分のエネルギーがエントロピーを減少させる。だけど、その逆はエントロピーが増えてしまう。これでは、ね。まぁ、でも……」
ちら、と奥を見る。そこには不気味な封印を施された巨大な魔女の姿があった。
「本当はやりたくないんだけどね。……少し予定を早めよう。さぁ、行くんだ。そして、絶望をもたらしてきておくれ」
封印は解かれ、ワルプルギスの夜は見滝原へと進撃を開始したのだった。
「……え? ほむらから話?」
さやか事件から二日が経ち、ようやく魔法少女達は一時の安息を得た。ワルプルギスの夜の襲来が五日後なのが気がかりだが、それまでは大丈夫とのことらしい。
そんな時、ほむらと光太郎から重大な話があると伝えられた。
「うん。詳しいことは来てから話す、って。何なんだろ? わたしにも関係あるらしいけど……」
「まどかにも? むぅ……頭の悪いさやかちゃんには解りかねるなぁ……」
そうこうしている内に、二人は目的地のほむら宅に到着。中に入ると、他の面々も集まっていた。
「おっす、遅いぞーさやか」
「なんであたしだけなのさ……」
「いいじゃない、佐倉さんはそれだけ美樹さんが好きなのよ?」
「ぶっ!? おいマミ、適当なこと言ってんじゃねぇ!」
「へぇ……あんた、あたしを大切に思ってるんだ?」
「ぐっ……わ、悪いかよ!」
「……ありがと、杏子」
「へっ? お、おお……」
(……平和でいいなぁ)
さやかと杏子の微笑ましいやり取りを見守りつつも、光太郎はほむらの言葉を頭で繰り返していた。
――南光太郎。私達は、あなたに頼らずにワルプルギスの夜を倒すわ。
(だとしても、俺がここで投げていいのか?)
「……全員、集まったみたいね」
光太郎以外のメンバーが和気あいあいとした空気を出していると、ほむらが人数分のお茶を持って姿を表す。
「……さて、と。今回、皆に集まってもらったのは他でもない、私自身のことよ」
「ほむらちゃんのこと……?」
「ええ。ここで話しておかなければ、きっとタイミングはもうなくなってしまう。そう思ったのよ」
「そうかい。んじゃ、話してごらんよ。あんたのことってのをさ」
ゆっくりと全員の顔を見渡してから、ほむらはまるで懺悔するように話し始めた。
「……実は私は、この時間の人間ではないの。過去から来た存在、それが私」
「過去から来た、だって? 俺にも経験があるが……」
(あるのか……光太郎さん)
「ええ。時間がないからさっさと言うわ。その目的は――鹿目まどか。あなたを救うためよ」
「えっ? わ、わたし?」
唐突に名指しされたまどかは狼狽え、ほむらの顔を見つめる。
「そう、あなたよ。これから話すのは、最初の私のこと――」
ほむらの話は、いつか光太郎が聞かされた「おとぎ話」とほぼ同一の内容だった。その中の「病弱な少女」がほむら、「ある女の子」がまどか、そして「先輩」がマミ。そしてさらに、どの時間軸でもさやかは魔女となり、まどかは死ぬことが明かされる。
「うへぇ……エグい話だなぁ」
「わたし、毎回死んじゃうんだね……」
「……大丈夫。さやかは生きているし、あなただって死なせたりしない」
その言葉には強い決意が宿っていた。
「……これなら、安心して後を託せるな」
「え? ど、どういうことですか? 南さん」
「ほむらが言ったんだ、もう俺には頼らない、ってな。自分達が希望になる、そうだろ?」
「……そう。皆も聞いて。確かに、南光太郎がいればワルプルギスの夜には勝てるわ。ほぼ間違いなくね。でも、それじゃダメなのよ。最後まで彼の力に頼っていては、私達が魔法少女である意味がない。それに、彼は元の世界にやっと帰れるのよ? 最後くらい、いいところを見せてから帰らせてあげたい。『仮面ライダーがいなくても、私達は戦える』、それを見せてあげたい……」
ほむらは罵倒されることを覚悟で、宣言した。ここで光太郎を帰せば、戦力は大幅に下がってしまう。承知している、承知の上で宣言したのだ。
「……そっか。そうだよね。あんたはいっつも、一人で抱え込むんだもんね」
「……ッ。それでも!」
「いいよほむら、付き合ってやろうじゃん」
「いいの、美樹さやか?」
「あたしさ、魔女になった時、光太郎さんに酷いこと言っちゃったでしょ? だからせめて、いいトコ見せて償いたいと思っててさ」
「……へん、上等だぜ。オッサンに助けられたのはさやかだけじゃねぇんだ、アタシも乗らせてもらう」
「あら、私だってそうよ? 最初に助けてもらったのは、多分、私ね」
「決まりね。それじゃあ……今までありがとう、南光太郎。あなたのことは、忘れないわ。さようなら……」
ほむらは短い別れの言葉を述べる。光太郎にも思うところはあったが、あえて何も言わずに手を伸ばした。
「世話になったよ、ほむら。君達と会えたこと、俺は誇りに思う。……絶対にワルプルギスの夜を倒してくれ。皆、ありがとう。さよならだ!」
魔法少女とまどかに別れを告げた光太郎は、例の建設跡地にいた。そこにはサタンサーベルが刺さっており、彼はそれを引き抜く。
「……信彦。使わせてもらうぞ」
光太郎がサタンサーベルを天に掲げると、サタンサーベルは光となって内壁に「穴」を開けた。その「穴」が何であるのか、光太郎にはすぐに解った。
「ワームホール! つまり、これが俺達の世界とこの世界を繋ぐ道という訳か……」
さしもの光太郎も、これを直接通る気にはなれない。そこで彼は、真紅の愛車の名を叫んだ。
「ライドロン!」
するとワームホールが妖しく揺らぎ、次の瞬間にはライドロンが鎮座していた。
「……よし」
沸き上がる感情を抑え込み、ライドロンのドアを開く。
――その時だった。
「……ん、何だ? 急に空が曇って……!? な、何だ『アレ』は!?」
突然降りだした豪雨。雨雲の中心に……巨大な魔女がいた。
「おいおい、ほむら! ワルプルギスの夜がもう来ちまってるぞ!?」
「想定外よ! だけど、来たならやるしかないわ!」
(彼のためにも、ね……!)
「グリーフシードは!?」
「大丈夫、溜め込んでいる分が有り余っているわ!」
「なら、行けそうね! 作戦、後で伝えておくわ。……死なないでちょうだい!」
「解ってるって! まどか、あたしが送ってくから、ひとまずは家で待ってて。後はお母さんの言うこと聞きなよ!」
「う、うん!」
さやかが変身してまどかを背負い、一気にジャンプ。残された四人も変身し、臨戦態勢に入った。
(終わらせる……今度こそ!)
決戦の火蓋が、切って落とされた……!
ワルプルギスの夜が降臨し、魔法少女達は苦戦を強いられる。
混乱する戦場で、ほむらを庇った光太郎は死亡してしまう!
絶望が皆を襲う時、謎の仮面ライダーが現れた!
変身、仮面ライダー〇〇〇〇〇!
『世界の破壊者』!
全てを破壊し、全てを繋げ!