仮面ライダーBLACK RX×魔法少女まどか☆マギカ~闇を祓う光の王子~ 作:タクアン(沢庵)
(……例え、彼がいなくとも!)
ワルプルギスの夜を前にして、ほむらは決意を新たにする。
――光太郎が元の世界に安心して帰還させる。だから最後くらいは、彼の手を煩わせない。
全員がその思いを秘め、巨大な絶望に相対する。流石に最強の魔女の称号は伊達ではなく、使い魔一体一体が弱小クラスの魔女並の力を有していた。それでも、やるしかない。
「……退きなさいッ!!」
バックラーからショットガンを取り出すと、容赦なく発砲する。周囲を見回せば、さやか達も各々の獲物で戦っていた。そしてほむらは時間停止を行い、次々に弾丸をばらまく。
「そして時は動き出す……!」
解除された時間停止。それに伴って、ばらまかれた弾丸が使い魔を貫いていく。
「そこ!」
あらかじめ用意していたタンクローリーを魔法で動かし、車体の上に乗る。そのままワルプルギスの夜に向けてタンクローリーを突っ込ませ、自らは海へと落下。リモコン操作でミサイルを発射させると、その発射台の上に立って直撃するのを確認。ワルプルギスの夜が墜落した先には、ほむら手製のリモコン爆弾が並んでいた。その数、およそ一万。
『AHAHAHAHA……!』
高笑いするワルプルギスの夜。動きが鈍ったのを見てから、マミと杏子にテレパシーを送った。
(……頼むわよ、先輩達!)
(任せて! 佐倉さん、行けるわね?)
(アタシを誰だと思ってやがる!)
(そういうことよ、安心して!)
テレパシーが切れると同時に、上空には無数のマミが大砲を構える姿。杏子の幻影魔法で、マミを分身させたのだ。またの名を「
『ティロ・フィナーレ……プロパジネ―――ッ!!』
炸裂した必殺の一撃は、さしものワルプルギスの夜でも痛かったらしい。耳障りな哄笑が止み、その隙を狙いさやかが――。
「喰らえ――――ッ!!」
魔力倍々の巨大剣が、最悪の魔女を切り裂く。
(やった!?)
――今度こそ、終わるのか?
ほむらは思ったが、その考えは甘かった。ワルプルギスの夜は醜悪な顔をほむらに向けると、一直線に光線を放つ。
(避けられ……!?)
「危ないッ!!」
回避不可能なほどの速さ。死を覚悟するほむら。しかし、光線とほむらの間に立ち塞がった男が一人。
「ぐおぁぁぁぁぁ……!!」
「う、そ……どうしてあなたが、ここにいるの!? 答えて……南光太郎!!」
時間を少し遡ろう。
光太郎は、サタンサーベルの力で現れたライドロンの前にいた。
(これに乗れば、元の世界に戻れる。だが……)
外は暗雲が立ち込めており、その中心に禍々しい影が見える。今、まさに、あの場所で。四人の少女が命を賭しているのだ。
(……ダメだ)
「俺はまだ、戻れない。ここで戻れば、先輩達や霞のジョー、それに玲ちゃんに顔向けできない! ……来い、アクロバッター!」
異世界へのゲートから、青い光機動生命体・アクロバッターが現れる。かつてBLACKの相棒として活躍し、一度は死んだバトルホッパー。その残骸がRX誕生に呼応して強化復活したのが、アクロバッターである。
『ライダー、久し振りだな』
「ああ。しかし、今の俺に再会を喜んでいる暇はないんだ……すまない。急ぐぞ、アクロバッター!」
『了解!』
アクロバッターのアクセルを強く握り、光太郎は戦場に急ぐ。そして、ほむらを見つけた。
「不味い、ビームが……!」
『待て、ライダー!』
アクロバッターの制止も聞かず、光太郎はビームの前に飛び込み、そして……。
「大丈夫、か……ほむら……」
「しっかりして、南光太郎!」
「すまない、俺には、君達を見捨てるなんて……ぐっ、できない……」
「大丈夫よね? 死なないわよね!?」
「……これを、持っててくれ……」
最後の力を振り絞り、光太郎はほむらの左手に何かをねじ込んだ。
「これは……写真?」
その写真には穏やかに笑う光太郎と、もう一人、クールな表情の青年が写っていた。
「ある男が、撮った写真だ……。ほむら、正義を信じる奴が正義なんだ。それじゃ、後は頼むぜ……」
「あ、嫌、ダメよ、あなたは……死んでは……あぁぁぁぁぁ!!」
先ほどの光線はキングストーンを完膚なきまでに破壊しており、もはや再生すら不可能だった。ほむらは絶叫する。そして、誓った。
(……あいつだけは、倒す!)
ほむらは獅子奮迅の勢いで、ワルプルギスの夜に攻撃し続ける。拳銃で、ショットガンで、ロケットランチャーで……バックラーからありとあらゆる重火器を繰り出し、攻めまくった。
……けれど、現実は非情だった。
ほむらにとっては渾身の一撃も、ワルプルギスの夜にとっては何のダメージも与えられていない。そして周囲を省みないやり方は、仲間達にも少なからず被害をもたらしていた。
「……しまっ……!! キャアァァァッ!!」
使い魔の内の一体が、冷酷にほむらを撃ち落とす。他の魔法少女達も吹き飛ばされ、四人は図らずも同じ場所に墜落した。
(……だ、め……意識が……ソウルジェムも濁って……)
このまま、終わってしまうのか? ほむらはそう思った。
(あなたの死すら、無駄にしてしまうのね……。今までの罰、かしら……)
絶望が心を覆い隠す。そのまま心の底無し沼に落ちようとした、その時――。
「ここが魔法少女の世界か」
一人の青年が、灰色のオーロラを介して出現する。見た目は二十代で、赤いタートルネックに黒いジャケットを羽織っている。
「……あな、たは……?」
「そんなことより、お前ら大丈夫か? ん、あの怪物は……なるほどな、大体解った。あれを一時的に食い止めるのが、この世界での俺の役割のようだ」
青年は笑う。ほむら達が唖然とする中、彼は大量のグリーフシードを投げて寄越す。
「色々あってな。俺はいらないが、お前らには必要だろ?」
「あ、ありがとう……」
「ついでに教えてやる。希望と絶望は裏返しだ。多くの絶望を乗り越えた先に、真の希望がある」
「誰なの? あなたは一体……?」
ほむらの問いかけに答えるように、青年は変わったベルトと携帯のようなマシンを取り出す。ベルトを鮮やかに装着する青年。次に彼は、腰のカードホルダーからカードを取り出した。
「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ! 変身!」
カードをバックルに挿入し、携帯型マシンも操作する。
『KAMENRIDE Decade!』
『Kuuga, ΑGITΩ, Ryuki, Φ's, Blade, Hibiki, Kabuto, DEN-O, Kiva! FINAL KAMENRIDE Decade!』
「さてと……やるか」
謎のライダーが左腰の装備を持つと、その装備は銃に変形した。
『ATTACKRIDE, "BLAST"』
「ハァッ!」
極太のビームがワルプルギスの夜の身体を抉り、大きく後退させる。
「な……!?」
「……俺も長くはいられないんでな。やれるだけこのことはやらせてもらう。喰らっとけよ、魔女!」
『FINAL ATTACKRIDE De・De・De・Decade!』
「紋章が……!」
「はぁっ!」
最も奥のバーコードのような
戦士、地龍、赤龍、円、スペード、太鼓、甲虫、線路、吸血鬼。その
「デヤァァァァァッ!!」
『!?!?!?!?』
キックの直撃を受けたワルプルギスの夜は大ダメージを負い、一時的に使い魔が全て消滅。それを見届けたライダーがほむらに告げた。
「いいか、仮面ライダーってのは光だ。皆の笑顔を守り、人の運命を取り戻すために戦い、殺し合いを止めさせ、夢を守り、世界と友のために運命と戦い、怪異を鎮め、天の道を往き、時の流れを守り、人と魔との架け橋となる……。俺は沢山の世界で、沢山の正義を見てきた。お前達も光になれるはずだ。後は、この世界のライダーに任せるか……」
「でも、彼はもう……」
涙を堪えるほむらに、ライダーは呆れたように言った。
「もう忘れたのか? 言ったばかりのはずだぜ、ライダーは光だってな。信じろ。それが光になる。それじゃあな。俺はまだ、自分の死に場所を見つけてないんでな。……言っとくが、ここはお前達の死に場所じゃないからな?」
やりたい放題やってから、通りすがりの仮面ライダーは消えていった。信じることが、光。ならば……。
(どこまでも、信じてやるわ……!)
「行くわよ、皆。絶対に、あのバケモノを叩き潰して……ハッピーエンドを呼ぶのよ!」
「やれるとこまで、やってみないとね! 私、もう何も怖くない……!」
「あたしの本当の力、見せてやる! 奇跡も魔法もあるって、証明してやるんだ!」
「いいぜお前ら、最後まで付き合ってやらぁ! 一緒にいてやるよ!」
再起した四人。今、叛逆の物語が始まる……!
謎の仮面ライダーの活躍により、魔法少女達はピンチを乗り切る!
奮起する四人、だがインキュベーターは卑劣な策を用いて彼女達を消そうとする。
しかしその時、曇天の空に太陽が降り注いだ……!
変身、仮面ライダーBLACK RX!
『不滅の太陽!!』!
ぶっちぎるぜ!