仮面ライダーBLACK RX×魔法少女まどか☆マギカ~闇を祓う光の王子~ 作:タクアン(沢庵)
翌日。自分のいた世界よりも電子機器類が発達しているこの世界の町……見滝原市に、光太郎は驚きの連続であった。しかし彼は高い順応性を発揮し、わずか一日でこの世界での暮らしに慣れてしまった。
そんな光太郎も、手に職なくては生きてはいけない。そんなわけで、彼はマミの「ちょっとした
今は昼休み、彼はマミの誘いもあって屋上にいた。他にはまどかにさやか、そして……。
「やあ、南光太郎。僕の名前はキュゥべえ!」
「お前がキュゥべえか」
光太郎の第六感が、「こいつを信用するな」と囁く。奇跡を起こすのは事実のようだが、どこか無機質なイメージがその光に陰りを与えているようだった。
「早速だけど、君については解らないことだらけなんだ。魔法少女とは違う変身に、僕や魔女を関知する力。何者なんだい、君は?」
「そうだな、あえて名乗るとするなら……」
ふと、思いついたセリフを口にしていた。
「通りすがりの仮面ライダー、だ」
「仮面ライダー? 君は一体……」
「ちょっと止めて、キュゥべえ。光太郎さんを困らせちゃダメよ?」
マミが割り込むと、キュゥべえは困ったような顔をした。
「そう思わせたなら謝るよ、マミ。でも僕は本当に解らないんだ。仮面ライダーという存在が何者で、何のために魔女と戦ったのか……」
極めて平坦な口調で、キュゥべえはそう言った。キングストーンが、光太郎に告げる。
――この生き物に、感情という崇高なものはない。
感情がないなら、正義の行使を疑問に思うのは仕方ないのかもしれない。それでも光太郎は、仮面ライダーBLACK RXは言いたかった。
「仮面ライダーとは……力なき人々のために戦う存在。少なくとも俺はそう思っている。だから戦う、それだけだ」
強く言いきると、光太郎はまどかとさやかを見る。
「覚えておいてくれ。力ってのは、闇雲に振るっちゃダメだ。闇雲に振るう力は、タダの暴力だ。その力には心が伴ってなきゃいけない、それが力を持つ者の覚悟だ。解るかい?」
「えと、その……まだ、解らないです。だって、そんな力を持ったこともないから……」
「……人のために使っていいなら、あたしは……」
「よく、考えて。私は契約するしかなかったけれど、あなた達にはまだ時間があるわ。焦らないで、間違えないで。一度でも間違ったら、それは取り返しがつかなくなってしまうから……」
悩むまどか、何かを決心したさやか。それを見守るマミ。三人の姿にどこか安心した光太郎は、屋上から去るのであった。
「……ほむら。見ていたのは知ってるぜ」
屋上を後にした光太郎は、視線も送らずに名前を呼ぶ。すると、屋上からは完全な死角となっている柱の陰から、暁美ほむらの氷のような姿が現れた。
「流石、と言うべきかしらね。南光太郎……」
「教えてくれ。君は敵なのか?」
「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵。あなたはどうかしら、南光太郎」
「俺か? 俺は冷静ではないさ。だけど、俺の信じる正義を貫くためなら、例え誰が相手でも容赦しないと誓っている。それが俺の誇りだ」
歴戦の戦士・南光太郎の解答に満足したのか、ほむらはどこからともなく取り出したバックラーに手をかけ、何らかの装置を発動させた。
「……やはり、あなたに時間停止は通じないようね」
「改造された時に、体感的な時間の流れを自動的に変化させられるようにされたらしくてな」
そう。昨日ほむらが驚いていたのは、自らの時間停止魔法が光太郎に通用しなかったからなのだ。
「……聞かせてちょうだい。あなたの目的は何? あなたは何者?」
「正義、仮面ライダーBLACK RX」
静かに、けれど力強く。光太郎はそう言った。一点の曇りもない真の正義の味方、仮面ライダーとして。
「…………」
ほむらは無言のままだ。狐につままれたような顔で、ただただ、光太郎の想いに圧倒されている。
「ほむら。……君が何を願ったのか、俺は知らない。だが、ありもしない希望を引きずり続ければ、それは絶望になる。君はどうだ?」
「私は……」
ほむらには何も言えなかった。光太郎は、確かに核心を突いてきた。
「……それじゃあな」
今度こそ、光太郎は屋上から去っていった。
その日の放課後。さやかは「用事がある」と言って別れ、マミとほむらは前回の件と光太郎からのアドバイスを熟慮するために帰宅。そして、肝心の光太郎なのだが――。
(青いバイクに乗って、どこかへ行っちゃったんだよね……。どうしよう、こんな時に魔女と鉢合わせたりなんかしたら……)
どうにも嫌な予感を振り切れず、まどかは内心怯えながら家路に就いていた。と、その時。まどかはもう一人の親友が路地裏に入っていくのを目撃する。
「……仁美ちゃん?」
志筑仁美。両家の令嬢でありながらも、嫌味なところがなくフレンドリーなまどかのクラスメイト。普段は快活としている彼女が、どこか虚ろな様子なのが気になったまどかは、こっそりとその後を追う。
しばらく歩いてたどり着いたのは、廃工場だった。そこには瞳の他にも、何人もの人がいた。その目はやはり虚ろだったが、どこか嬉しそうでもある。
「……何、してるのかな」
よく見てみると、手に洗剤のボトルを持った男性と、漂白剤のボトルを持った女性がいる。まさか、彼らは……。
「だ、ダメ!!」
思わず叫び、男性の一人に突進。よろめいた男性の手からボトルをひったくり、まどかは恐怖と戦う。
「ダメだよ、皆死んじゃうよっ! そんなのダメ、止めてッ!」
「……この、クソガキが」
「俺達の『儀式』を邪魔すんなよなぁ……」
「いけませんわ、まどかさん。……そうだわ、彼女を生贄にしてはどうでしょう!」
「そうだ、それがいい」
「尊い犠牲だァァァァヒャハハハハハ!!」
「何、言ってるの……? 止めてよ仁美ちゃん、イヤァァァッ!!」
両腕を掴まれ、逃げられなくなるまどか。必死にもがくが、まるで効果がない。
「助けてマミさん、ほむらちゃん! 光太郎さん……さやかちゃぁぁぁぁん!!」
結界に取り込まれる寸前、まどかの絶叫が虚空に響いた……。
(不安になってまどかの後を追ったら、こうなるとは……!)
物陰に潜む光太郎は、まどかが異空間に引きずり込まれるのを見ていた。彼はすぐにでも飛び出したかったが、ここは魔法少女の力を借りるべきと判断。マミに連絡を入れ、自身は周囲の警戒をしていた。と、その時。
(……ん? 誰だ?)
光太郎やまどかとは別の方向から、もう一人の少女が姿を見せる。夕日の逆光で、顔までは解らない。
……だが。
(!? ソウルジェムか、あれは!)
青い光が少女を包み、その姿を魔法少女に変える。そのまま結界に突入した人物は、光太郎もよく知る人物だった。
「……さやか!?」
新たなる魔法少女――それは、美樹さやかであった。
「……あぐ……!」
使い魔達が四方からまどかの四肢を掴み、引き裂こうとしていた。激痛が彼女を襲うが、それ以上に、精神攻撃がまどかを苦しませていた。見覚えのないはずの、しかしデジャヴを感じさせる映像が、魔女のモニターに映される。
――腰から下のない自分の死体。
――原型を留めないまでにズタズタにされた自分の死体。
――胸に風穴を空けられた自分の死体。
「……あ、し、死んじゃって、わたしが、わたしが……! う、あぁぁぁぁぁ!!」
「まどかぁぁぁ!!」
「え……?」
まどかが正気に立ち返った時には、既に使い魔は倒されていた。その代わり、一人の魔法少女――さやかの姿があったのである。
「さ、さやかちゃん、なの……?」
「まどか、下がってて。こいつは、あたしがブッ飛ばす!」
「俺達にも手伝わせろ、さやか! マミ、行くぞ!」
「はい!」
「変……身!」
マミとRXも参上を果たし、今ここに、魔女撃滅包囲網が敷かれたのだった。
さやか達は、圧倒的な力で魔女を撃破。
彼女が自らの命を懸けてまで願ったこととは?
そして、いまだ知れぬほむらの思惑。
絡み合う因果が、さらなる介入者を招く!
変身、仮面ライダーBLACK RX!
『狂乱! 佐倉杏子』!
ぶっちぎるぜ!