不思議なデバイスと少女   作:樹 亜斗

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第0話

 一筋の光も入らない、とても真っ暗な場所に“カレ”はいる

 

 “カレ”がいるその場所は何もない空間

 

 生き物や重力などもない、何もなく真っ暗な場所に“カレ”はいる

 

 “カレ”は思考などを止めながら、暗い空間を漂い続ける

 

 何も見たくないから、何も聞きたくないから、何も、知りたくもないから

 

 あらゆる全てから逃げる為に“カレ”はここにいる

 

 “カレ”がこの空間にきてからどれ程の時間が流れたのだろうか

 

 何日?何ヶ月?何年?何十年?それとも何千年?それか本当は数秒なのかも知れないが、それは誰にも分からない

 

 “カレ”がここから離れない限り、それは分からない事だ

 

 “カレ”は朽ち果てるまでこの場所にいるつもりだから、そんな些細な事は何も関係ない

 

 

 だけれども“カレ”はこの何もなく、とても真っ暗な空間から離れてしまう

 

 絶対に光も入らない場所から眩い光が入り、“カレ”を連れ去った

 

 まるで、“カレ”にここから離れていって欲しいように

 

 

 そして“カレ”は光り輝く太陽や月、緑の木々や色とりどりの綺麗な花、そして色々な生き物がいる場所へとやってくる

 

 “カレ”は無の空間から、いきなり色んなモノ溢れるところに飛ばされて驚愕する

 

 放棄していた筈の思考を動かす

 

 あの光は何だったのだろうか、何故自分はここにいるのか

 

 “カレ”はあらゆる原因を考えたが何も分からなかった

 

 元いた場所に戻ろうにもどこにあるのかは分からない為、“カレ”はそのままもう一度思考を止める

 

 

 それから数日してどこからか男性がやってきて“カレ”を見つけた

 

 男性は“カレ”を拾い上げると、しげしげと眺めてから持ち帰り、簡単に細工をすると値段をつけて店に置いた

 

 色々な人達が通り過ぎ、品物を見ていたが、なかなか“カレ”は売れなかった

 

 男性に拾われてからまた数日が経ち、一組の親子が通りがかると子供が立ち止まり、じーっと“カレ”を見つめていると、その様子を見た親が“カレ”を買う

 

 子供はとても嬉しそうにして、その姿を見た親は微笑ましげに見ていた

 

 

 “カレ”が売られてから一年くらい経ち、その間、“カレ”は子供といつも一緒にいた

 

 子供はとても“カレ”を大切に持っていたが、思いがけない事で出会った『少女』に“カレ”渡す

 

 子供は『少女』に、“カレ”をあげるのではなく預けるという形で『少女』に渡したのだが、その後に起こった出来事で、子供は『少女』に“カレ”をあげる事になってしまった

 

 だが、『少女』はまた会ったときに“カレ”を返そうとしている

 

 子供はもう『少女』に“カレ”をあげたのにも関わらず

 

 

 

 “カレ”は何も考えたくはなかった

 

 だけれども見たくないのに見てしまい、聞きたくもないのに聞いてしまい、知りたくもないのに知ってしまった“カレ”は思い、悩む

 

 そして“カレ”は『少女』と関わる事にした

 

 何も関わらずに滅んでいくのを待っていた“カレ”は『少女』と自分を大切にしてくれた子供の為に逃げるのを止めて、世界に関わる事で“カレ”と『少女』の物語が始まる

 

 

 

 

 





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