不思議なデバイスと少女   作:樹 亜斗

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第3話

 とても広くて綺麗な広場がそこにあった。

 

 その広場の中心には綺麗な噴水があり、決まった時間になると音楽が流れ、その音に合わせる様に噴水の水も踊り、人々はそれを楽しく見ている。

 

 この広場は噴火を除くとこれと言った名物の様な物は無かったが、多くの人がこの広場に訪れている。何故ならここは、ここに住む人達の憩いの場だからだ。

 

 

 そんな広場の端の方に一人の男性がいた。その男性はベンチが近くにあるにも関わらず、木の根元の地べたに寝転がっている。

 

 その男性に一直線に近づく青年がいた。

 

 その青年は純白の髪をしており、長さも腰よりも長く、とても綺麗な髪で、反対に瞳の色が漆黒だった。寝ている男性は髪は黒く、瞳の色は閉じているので分からない。

 

 

「何呑気に寝てんだ!? さっさと起きろ!!」

 

 

 青年が男性に向けて怒鳴ると、男性は閉じていた目を開け、グレーの瞳を怒鳴る青年に向け、へらりと笑い、言う。

 

 

「僕は寝ていないよ。ただ寝転がっていただけさ」

 

「そんなのはどっちでもいいから、さっさと仕事に戻れ!!」

 

「そんなに怒っていると禿げるよ?」

 

「禿げないし、禿げたらアンタのせいだっ!! いいから仕事に戻れ! 色々と溜まっているんだから!! お前の国の事だぞ!!?」

 

 

 やれやれ、と言うように男性は起き上がると彼はにこやかに話す。

 

 

「僕の国の補佐は優秀な人が多いから大丈夫だよ。君のように優秀な人が、ね。それにこの国の人は穏やかで優しい人が沢山いるから分かってくれるさ」

 

「……っ、だとしても! 仕事はちゃんとやれ!!」

 

 

 優秀な、と青年は褒められて照れて顔を赤くするが、今度は別の意味で赤くなる。だけれど顔が赤いのは変わらない。

 

 男性は未だにくすくす笑っており、二人の様子を見ていた人達もまたやっているよ、と微笑んでいる。

 

 青年はまた男性に怒鳴り、男性は立ち上がり、身体を伸ばし、

 

 

「君がそんなに言うのなら仕方がないから、戻るか」

 

 

 と、早々に歩き出した。

 

 青年は男性のいきなりの行動に一瞬呆気に取られ、我に返ると男性の後に慌ててついて行き、青年は「まったく」と呟きながらも、どこか嬉しそうだ。

 

 

 場面が変わり、場所は先程と同じ広場なのだが、まったく違った光景がそこにはあった。

 

 何故なら、憩いの場であった広場は見るも無惨な光景になっていたからだ。

 

 人々を楽しませていた噴火は瓦礫となり、周りには所々と水溜まりがある。地面は抉れて大きな穴が空いており、辺りには火事でもあったのか黒い煙も上っている。更には広場に来ていたであろう人々の死体がボロボロになった状態で転がっている。

 

 そう、この広場は皆の憩いの場では無くなった。

 

 そんな場所に二人の人影がいる。

 

 

「もう、お仕舞いにしなくちゃいけないな。……まさか僕の代で終わるとは思わなかったよ」

 

「…………そう、だな」

 

 

 黒髪の男性と白髪の青年はボロボロの服を着ており、男性は苦痛に顔を歪めて、青年は悲痛の面持ちで話し合う。

 

 

「皆はこの国に生まれてきて、幸せだとは思ってはいないだろうな」

 

「何故、そう思うんだ」

 

「この国の殆どの人達がアイツ等に虐殺されたからだ。無関係な者も含める全ての者を。……僕がアイツの言葉を信じたせいで」

 

「それはアレが悪いだけで、お前は悪くない。それに、そんな事を言うなよ。アイツ等に聞かれてみろ。怖くて想像もしたくねぇ」

 

「…………そう、だね」

 

 

 男性は青年の言葉を聞き、苦痛から苦笑へと変わったが、その瞳は深い悲しみしか浮かばない。

 

 男性が目を閉じて深呼吸した後、目を開け、彼は言う。

 

 

「さあ、全てを終わらせに行くよ。――」

 

「了解。我が王よ」

 

 

 二人は噴火だった物の前に立ち、男性が何かを呟くと、一人分の穴が開き、二人はその穴に入って行く。

 

 暫くすると、辺りは真っ白に輝き、どんどんその輝きは広がりーー。

 

 

 

※※※※※

 自然と目が覚めて、身体を起こすと、枕元に置いてあった携帯を見れば、後少しでアラームの音が鳴る時間だ。

 

 私は少しぼーっとしていたら、携帯から軽快な音楽が鳴り、慌ててそれを切る。

 

 

 まだ頭がはっきりしていないけど、さっきの夢を思い出すが……変な夢。

 

 うん、今日も変な夢だ。

 

 大体、夢は変なのが多いけど、この夢は妙にリアルなのが変すぎる。夢は突然に話が飛んだり、訳のわからない登場人物が出てきたり、内容もおかしいのが普通だと思うのだけれど……。

 

 ……まあ、いいか。夢だし。

 

 

 私はとりあえずベッドから下りて、顔を洗う為に洗面所に行くと、途中で夕菜さんに会う。すると夕菜さんは勢いよく土下座をして謝って来たので、私は何がなんだか訳が分からなかったけど、たぶん夕菜さんが酔っ払って私に抱きついた時に、私が気を失った時の事だろうと分かり、とりあえず何とか夕菜さんに土下座を止めさせる。

 

 夕菜さんは顔を上げると、涙目になりながら「許してくれるの?」と聞いてきたので、私は安心させる様に笑いながら頷くと、夕菜さんは「ありがとう!」と言いながら抱きついてくる。

 

 私は夕菜さんの胸のせいで苦しかったけど、かなえちゃんが夕菜さんに朝ご飯の用意を手伝って、と顔を見せずに台所から言ってくれたおかげで何とか、また気を失う事はなく、やっと顔を洗う事ができた。

 

 居間に着くと、もうご飯はできていて、真っ白なほかほかのご飯と味噌汁、焼き鮭に漬物。といった日本の朝ご飯がテーブルの上にある。

 

 

「おはよう、つばさ。今日の朝はブラックやレッドじゃなくて、ちゃんとしたつばさ何だ」

 

 

 私は何の事か分からずに首を傾げていたけど、夕菜さんは少し怯えたように笑っている。

 

 かなえちゃんは夕菜さんの怯えや、私の疑問にも構わず「さあ、皆で食べようか!」と促して、皆でいただきますをして、食べる。ちなみに夕菜さんは二日酔いの為に軽い朝ご飯になってる。

 

 

 朝ご飯も食べ終わると、かなえちゃんは後片付けをして、夕菜さんは早めに学校に行かなくちゃいけないから、ご飯を食べ終わって少ししたら、すぐに私の家を出て行った。……夕菜さん、少しふらついていたけど大丈夫かな?

 

 私はご飯を食べ終わると、歯磨きをして、自分の部屋で着替えて、飲み物を取りに行ったら、居間のテーブルの上に置き手紙があった。

 

 

〔眠いからもう一眠りする。おやすみー。気をつけて学校にいってらっしゃい。byかなえ〕

 

 

 と書いてあり、私は少し呆れて軽く溜め息を吐き、自分の部屋に戻る。

 

 

 暫くして、そろそろ学校に行かなきゃいけない時間になり、忘れ物はないか確認をする。

 

 ランドセルの中には教科書とノート、筆箱は入っている。ハンカチ、ティッシュ、後は小銭が入っている財布をランドセルに入れ、給食袋はランドセルの外のフックに掛けてっと。さて、行くか。とランドセルを背負い、家の鍵を持って部屋を出ようとして、気がつく。

 

 あっ、携帯を忘れるところだった。

 

 ベッドに置いてある、白と黒の斑模様の丸い宝石の付いたストラップを付けている携帯を慌てて取り、ズボンのポケットに突っ込んで部屋を出た。

 

 

 一応、かなえちゃんがいるけど、戸締まりをしてから家を出て、学校に向かって行く途中になのはちゃんに会う。

 

 

「おはよう! つばさちゃん」

 

〔おはよう。なのはちゃん〕

 

(おはようございます。つばささん)

 

 

 二人で歩きながら、私は携帯でなのはちゃんの挨拶を返すと、いきなりユーノの声が頭の中に響いてびっくりする。なのはちゃんはなのはちゃんで、急にレイジングハートを私に渡して来るので、それにも驚く。

 

 

(何? なのはちゃん。ユーノも連れてきたの?)

 

「連れてきてないよ。ユーノ君はわたしの家でお留守番してるよ」

 

(でも、念話してるよね)

 

(念話は遠くでも会話はできるので。でも距離が遠すぎると、念話はできないんです)

 

(へぇ、そうなんだ。便利だね)

 

 

 確かに、初めてユーノから念話が聞こえてきた時は遠い所からだったなあ。と考えていたら、なのはちゃんが言う。

 

 

「昨日は落ち着いて話せれなかったから、念話で暇な時に話してくれるんだって」

 

 

 なのはちゃんの言葉にふーん、と念話で頷き返していたら、丁度、なのはちゃんと別れる所まで来ていた事に気付く。

 

 私はレイジングハートをなのはちゃんに返して、小さく手を振り、なのはちゃんと別れ、なのはちゃんは名残惜しそうにしていたけど、なのはちゃんも手を振り返してくれた。

 

 

 私は学校に行く間に、どうにかレイジングハートなしでも念話できないとなあ。と思ったけど、まぁ、いいか。と、その考えは終わり、そういえば『レイジングハート』って長いから『レイハ』に縮めても良いかな? と考えが飛んだ。

 

 

 

※※※※※

 学校に着き、教室に入って、自分の机に座ると、雫ちゃんが私が来た事に気がついたのか、話していた山口さんと一緒に私の席に来る。

 

 

「おはよう、つばさ! 何か昨日、どっかで凄い事故があったらしいよ!!」

 

「おはよう、つばさちゃん。その事で今、みんなで話してたんだ!」

 

 

 二人とも興奮したように言ってきて、私はとりあえず、口パクで挨拶を返す。

 

 

 その事故って、もしかして、昨日のあれ、の事かな? だって、物凄い事になってたし……。

 

 

 私が昨日の事を思い出していたら、いつの間にか雫ちゃんと山口さんだけではなく、和夜君や他のみんなも私の机の周りに集まって、その事故の話しで盛り上がっていた。だけど、チャイムが鳴り、夕菜先生が教室に入って来たので、みんなは自分の席に戻って行く。

 

 先生がいつものようにみんなに挨拶をして、みんなも挨拶を返すと、先生はさっき話題だった事故の話しをして、車とかには注意をするように。と話していたけど、私はその事故は車のせいじゃない事を知っている。

 

 

 

 授業も始まり、眠気と戦っていると、ユーノの声が頭の中で響いて来た。

 

 どうやら今から昨日の事を話すみたいらしい。

 

 

(ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産なんだ)

 

 

 ユーノは話し出した。私のところも授業中という事はなのはちゃんのところも授業中だろうけど、良いのかな?

 

 そう思っていたら、なのはちゃんの念話も聞こえてきたので、良かったみたいだ。

 

 それにしても暇な時って授業中なんだ。まさかなのはちゃん、授業中はサボっているのか? と疑問だったが、なのはちゃんの今の授業は算数なのかも知れないと考えて、納得する。何しろ、なのはちゃんは算数が得意だからね。暇になるのも仕方がない。

 

 私はなのはちゃんが羨ましく思いながらも、ユーノの話しは続き、とりあえず私が分かった事は、ジュエルシードはユーノが見つけて、全部で二十一個あり、それは危険な物。だから集めないといけない。一個は見つけて封印できたから、後は二十個ある。

 

 そこまでは分かったが、なぜだかユーノは自分が悪いように話していたのが不思議だったけど、念話を返そうとして、無理だった。

 

 チャイムが鳴り、次の時間は体育で、私は体操服に着替えて校庭に出る。

 

 どうやら今日はドッジボールをやるそうだ。

 

 

 チャイムがまた鳴ると、授業が始まり、なのはちゃんは私が不思議に思っていた事をユーノに聞いていて、何となく分かった事がある。

 

 ユーノは真面目すぎる。

 

 一応、調査団に渡して保管をしたのに、何で自分のせいにしちゃうんだろう? 普通なら事故を起こした人か、ジュエルシードを落としてしまった調査団のせいになると思うんだけど……。もしかして、私がおかしいのかな? なのはちゃんも何となく分かるって言っているし……。

 

 

 そんな事を考えて、ドッジボールをしていたせいか、私は狙われていた事に気づかずにいた。

 

 私を狙っていた人はボールを投げても、私は気づかなかったけど、私の名前を呼ぶ声がして、振り返り、ようやくボールが向かって来ているのに気がついたが、遅かった。何しろ、ボールはもう、目の前にあったのだから。

 

 私は顔面でボールをキャッチして、とても痛かった事を覚えているが、その後の記憶はない。

 

 

 

※※※

 目が覚めたら見知らぬ天井ではなく、時々使う、保健室のベッドの上に私は寝ていた。

 

 私が起き上がると、しきられていたカーテンが開き、そこには白衣を着たおばさん、もとい保健室の先生がいる。

 

 

「あら、起きたのね。大丈夫かしら? もう下校の時間だから帰れたら帰っても良いわよ。つばさちゃん」

 

 

 私はこくり、と頷き、ベッドから下りると丁度、雫ちゃんが勢いよく保健室に入ってくる。

 

 

「つばさー! 生きてるかー!」

 

 

 私は雫ちゃんが勢いよくドアを開けた音に少し驚いたが、雫ちゃんと目が合い、生きている事を伝える為、笑いながら手を大きく振る。

 

 

「おお!! 無事だったか、我が妻よー!」

 

 

 雫ちゃんはそう言いながら私に抱きつく。

 

 保健室の先生はそれを見て、微笑ましそうに笑いながら言う。

 

 

「はいはい、お熱いところ悪いけれど、元気な子は保健室から出て下さいね」

 

「はーい! つばさの荷物も持ってきたから帰ろう。先生また明日ね!」

 

 

 雫ちゃんが持ってきた自分の荷物を受け取ると私は頷き、先生にお辞儀をする。そして雫ちゃんは元気な声で先生に挨拶をしてから保健室を出て行く。

 

 

 

「つばさ、今日はどこで遊ぼうか」

 

〔何かすごい事が起きそうな場所〕

 

 

 私は冗談混じりで雫ちゃんの質問を返すと、雫ちゃんは携帯の文字を見て、少しだけ悩んだかと思えば、満面の笑みで言う。

 

 

「じゃあ、高台の神社に行こう!」

 

 

 そうして、雫ちゃんと私は神社に向かう事にしたのだが、途中に雫ちゃんが何かを思い出したように声を上げた。

 

 

「あっ!? しまった!! 今日はお母さんの忘れ物を届けないといけないんだった!」

 

 

 雫ちゃんはそう言うと、残念そうに、名残惜しそうに私と別れ、また遊ぶ約束をしてから、雫ちゃんは走って行く。

 

 雫ちゃんが風のように去って行った後、どうしようかと私は悩んだ。

 

 

 家に帰るか、それとも散歩してから帰るか……。

 

 すぐに私は散歩しよう、と決めて、雫ちゃんと一緒に行こうとしていた神社に向かう事にする。

 

 

 

※※※※※

 神社に着くと、私は階段を登り、少し疲れたから、木陰で休んでいたら、小型の犬の散歩をしているお姉さんが走っていた。

 

 お姉さんは犬のリードを外すと、犬は茂みの方に行って、 遊んでいたけど、何かをくわえている。

 

 くわえている物をよく見ると、青い菱形の石でどこかで見たような物だ、と私は思った。

 

 犬はお姉さんの側に行き、青い石をお姉さんに渡そうとしたら、石が光り出す。そしたら小型の犬だったのに、なぜかとても身体が大きくなり、爪も牙も長くなって、しかも目が四つもある化け物のようになった。

 

 可愛い愛犬が化け物のように変わって、お姉さんは恐怖したのと同時にショックだったのか、そのまま倒れて気絶した。

 

 

 その光景を見ていた私は唖然とただ立っていたけど、ポケットの中から何かが震え、びっくりした後に我に返る。

 

 ポケットに入っているのは携帯だから、メールか着信が着たんだと分かって、携帯を取り出すと、メールだ。

 

 かなえちゃんからだ。内容は夜ご飯の事で、どうやらシゲじいも一緒にご飯を食べるらしい。私は分かった。と返信をして、顔を上げると、大きな犬の形をしたモノと目が会う。

 

 ヤバイ。と私は思って、逃げようとしたけど、遅かった。

 

 すでにソレは目の前にいて、とっさに腕を盾のようにして頭を庇い、大きな衝撃が来るだろうと思ったから、ギュッと目を瞑る。

 

 だけど衝撃は来なかったので、恐る恐る目を開ける。すると、銀色に輝く壁のような物に、化け物は阻まれている。

 

 この光る壁は何だろうと疑問に思っていたら、携帯のストラップの宝石が銀色に光っている事に気がついた。多分、この宝石が壁を作り、私を助けてくれたんだと分かった。

 

 

 化け物は弾かれたが、威嚇をするように私の方を窺っている。

 

 暫くの間、化け物と私は睨み合っていたけど、化け物は視線を逸らして、どこかに向かって行く。

私はほっとして、一息吐くと、ストラップに向かって念じる。

 

 

(助けてくれてありがとう)

 

 

 ストラップに付いている丸い宝石は何も言わなかったけど、私はそういうデバイス何だな、と思う事にする。

 

 

 ふと、私はあの化け物になった犬の事が気になり、追いかける事にした。

 

 

 神社の鳥居の近くに着くと、化け物の側でピンク色の光りが輝いている。

 

 どこかで見たような光だな、と思っていると、ピンクの光りが収まり、その場所を見てみれば、そこにはいつもの私服や制服じゃなくて、つい昨日見た、白い制服をあしらったような服装のなのはちゃんがいる。

 

 

 服装が変わったなのはちゃんに化け物は構う事なく、鳥居の上に上がり、助走を付けてなのはちゃんに突進して行く。だが、化け物はなのはちゃんに近づく事は出来ない。

 

 何故なら、ピンク色の壁に阻まれて、なのはちゃんに近寄れず、化け物は攻撃が出来ないからだ。だけど、化け物はピンクの壁を突き破ろうと、前に押し続けるが、壁が一瞬光ると、化け物は弾き返される。化け物は弾き返されたせいなのか、化け物は倒れている。

 

 

 その展開の早さに私はびっくりしていたけど、なのはちゃんに怪我とかがないか心配になり、側に近づく。その間になのはちゃんは化け物からジュエルシードを取り出して、化け物は元の小型犬に戻っていた。

 

 元に戻った犬は何でか私の方に来て、尻尾を振っている。

 

 私は思わず、犬を撫でまわすと、「クゥン」と可愛らしい鳴き声をする。

 

 

「つばさちゃん!?」

 

 

 なのはちゃんは私を見て、私の名前を呼んだので、私はなのはちゃんに向かって、軽く手を振る。私はまだこの犬を撫でたかったから、また撫でる。……この犬は愛されているのか、毛並みが良くて、撫で心地が良いんだよね。

 

 

 なのはちゃんは私に近付いてきたけど、まだ満足していないの犬を撫でながら、なのはちゃんに念話を送る。

 

 

(なのはちゃん、お疲れー)

 

「つばさちゃん! いつからいたの!?」

 

(なのはちゃんが変身してから)

 

「最初っからいたの!?」

 

(そうだねえ)

 

 

 なのはちゃんが驚きながら聞いてきて、私は撫でながら念話で返す。

 

 存分に撫でまわしたから、犬を解放してあげると、犬は遠くに倒れている飼い主のお姉さんの所へ走って行く。

 

 遠くから見ていたら、犬は気絶しているお姉さんの頬を舐め、お姉さんは目を覚まして起き上がり、首を傾げていたけど、幻だと思う事にしたのか、そのまま神社を出て行った。

 

 

「そう言えば、つばさちゃん。レイジングハート無しでも念話が出来るんだね!」

 

(そう言えば、そうだね)

 

「初歩とは言え、こんなに早く出来るのなら、つばささんも魔法の才能があるのかもしれません」

 

(いや、多分。念話だけだと思うから、そんなに凄くはないと思うよ)

 

 

 ユーノが褒めるので、念話が出来る原因を知っている私は少し気まずく思い、苦笑しながら言う。

 

 

(そういえばユーノ、気軽に話してよ。何だかむずむずするから)

 

「うん、わかったよ」

 

 

 ユーノが頷いたのを見て、話しが逸れた事に、私はほっとする。

 

 まだ、このストラップの宝石の事は秘密にしたいしね。だって、私の大事な物だし、大切な人からの預かり物だから……。

 

 

 

※※※※※

 その後、一緒に帰っていたなのはちゃんとユーノと別れて、私は自分の家に着くと、かなえちゃんはいなかった。

 

 買い物かな? と思いながら、手を洗う為に洗面所に行く。犬を撫でたしね。

 

 手洗い、うがいをして、自分の部屋に戻ると、ベッドに寝転んだ。

 

 

 今日はいろいろあったなあ、と私は思いながら、携帯にぶら下がっているストラップの斑模様の宝石を眺める。

 

 

 喋らないのかな? と考えていると、かなえちゃんが帰って来る音がして、私は下に下りると、かなえちゃんが紙袋やビニール袋を大量に持っていた。

 

 

「ただいまー! つばさ!! やっぱり私の住んでいる田舎とは違って、いいね!!」

 

 

 かなえちゃんは興奮したように言っていて、持っている物をちらりと見る。中はいろいろなペンと、いろいろな大量な紙。漫画や本、そして薄い本。

 

 それを見て、私は苦笑する。

 

 

「夕飯は少し待っててね、つばさ。すぐに作るから。ついでに言うと、カレーだよー」

 

 

 私は笑顔で頷いて、自分の部屋に戻り、ご飯が出来るまで、かなえちゃんが買ってきた漫画を読む。……普通の単行本だよ。薄いのは、まだ読まないよ。

 

 

 

 かなえちゃんの特性カレーも出来る頃に、シゲじいも来て、一緒にご飯を食べる。途中にシゲじいが持ってきた一升瓶を開けて、とても賑やかになる。

 

 先に私はお風呂に入って、部屋に戻り、漫画の続きを読んでから寝る事にしよう。

 

 さて、今日はどんな夢を見るのかどきどきするな。

 

 

 




おかしい部分がありましたら、教えて下さい。
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