東方魂探録   作:アイレス

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第80話

「おーい!永琳!急患1名だ!」

 

能力で一直線に帰ると即行で永琳の下へダッシュした

まあ、手際のいいことで

すでに手術室で、完全武装で待ち構えていた

なんだか物凄く張り切っていた気がしないわけでもないのだが

まあ、放って置くことにした

へたに手伝うと、面倒なことになりそうだ

 

鈴仙が手伝いに残り、私は一人縁側でたたずんで、幽香の帰りを待っていた

少し待つと、フラフラと幽香が目の前まで降りてきた

そしてそのまま、抱きつく形で倒れ込んできた

 

「おい!?優華?」

 

ただ寝ているだけだった

少しため息をつきながらも、靴を脱がせ

自分の膝の上に頭をのせてやって寝かせる

少し懐かしい

優華が小さかったころ

こうやって寝かせていた

懐かしさを感じながら頭をなでる

 

だが、頭の中では別のことを考えていた

今回の優華の暴挙

怒りの原因は分かる

自分もだいぶ腹が立った

だが、優華の場合苛烈だった

それと、どこか感じていたのもの

それは見た目よりも中身があまり成長していないとでも言うのだろうか

背丈はそれなりにある

永琳に近いと思う

だけども内面は親に依存する子供のようだ

 

 

「兄さん・・・何があったのよこれ・・・・」

 

 

スキマが突然現れ紫が出てくる

 

「見たまんまだ、幽香を膝枕で寝かせてるだけだ」

 

「えぇ・・・・幽香らしさが全く・・・てかなんで幽香とこんなに仲いいの!?私かなり避けられていたのだけれど!?」

 

こっちにも説明がいるか・・・

幽香を起こさぬよう

静かに小さな声で話す

それは十数億年前の記憶

父親として過ごした時期の記憶だ

紫はその話を聞いていた

そして頭を抱える

 

幻想郷のパワーバランスが乱れすぎ

いや、永遠亭に集中しすぎと言おうか

影陽が妙に顔が広いせいで、仲がいいところが多すぎる

紅魔館とは咲夜と血で繋がり

妖怪の山とは以前治めていた実績で、それも今も人気がある

そして、

一人で妖怪の山、紅魔館をいっぺんに相手に出来るような妖怪

風見幽香

彼女も

いや・・・彼女な場合はもっとまずいかもしれない

最悪一緒に住みかねない

なんだか、今までの幽香と全然違う

どこか近寄りがたい雰囲気がない

それどころか、人見知りするような感じになっていた

 

紫がなぜここまで言えるのか

なんてことはない

スキマに隠れてストーキングしていただけだ

まあ、全くと言っていいほど動かなかった幽香が動き

妖怪の山で一騒動起こしたのだから当たり前ではある

霊夢が動かなかったのは紫が止めていたからだ

さすがに、あの幽香に霊夢を当てるととんでもないことになりそうだったからだろう

 

「どうするの?兄さん?幽香は」

 

「今日の所は泊める。あとは・・・彼女のさせたいようにさせるが・・・私があの家に通う感じで、連れ出して他人になれさせないといけない気がする」

 

面倒臭そうな顔で影陽は答える

実際の所自力でコミュニケーションは取って欲しかった

そこまで依存して欲しくない

 

「はあ・・・・兄さん・・・お願い、本当にお願い!これ以上パワーバランス乱さないで!本気で!」

 

必死な声ですがる

あんまり意味がない気がしながらも

何かあったとき、こんなにパワーバランスが偏っているともの凄い困る

さらに、永遠亭は人里とも関わりが大きいのだ

永遠亭がその気になれば一気にこの幻想郷は永遠亭の物になりかねない

後悔している

結界の管理を一部兄に任せたことを

まさかここまで、兄の影響が大きいとは思っていなかった

 

考えるしかない

少しでも、私たちが

私が押さえられるような手段を

 


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