ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

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《ここに百合の花を挿入》
10/21 21:20 魔法描写の一部が何故か抜けてたので修正


第14話

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているのだろうか14

 

「いなづま、この子がレフィーヤ。レベル3の第二級冒険者。」

 

屋内闘技場にアイズさんに連れられて来ると目の前には自分よりも明らかに年下の見慣れない少女が居る。この子が噂のアイズさんについて回っているらしい新入団員……?

 

「レフィーヤ・ウィリディスです。いなづまちゃん、よろしくね。」

 

「いなづまです。よろしくお願いしますね。」

 

少女は持っていた武器をしまってぺこっとお辞儀をする。ここまでで特に怪しいところはない。むしろ新人にしてはきっちりしてる方だと思う。

 

「えっと…フィンが二人で模擬戦やって欲しいって言ってた。このレギュレーションで、」

 

アイズさんが二つ折りの紙を取り出して開いて見せてくる。私はその内容を見て絶句した。

 

ーーーー

いなづま

・レフィーヤが魔法を詠唱し終えてから行動開始

・魔法以外の攻撃禁止

・固有武器の展開禁止

・一撃受けたら負け

 

レフィーヤ

・一撃与えたら勝ち

 

ーーーー

 

「……レフィーヤさん?」

 

「えっとこれだといなづまちゃんがかなり不利に……。」

 

明らかに偏った制約に疑問を漏らす。噂ではレベル3とかレベル4とか言われていて……レベル5と言う話もあったがまさか有るまいと思って聞き流した。でも、これは……。

 

「いなづまはレベル5だからこれくらいは……ね?」

 

「はい、なのです。えっとレフィーヤさんって魔導師ですよね?」

 

こんなに小さいのにレベル5なんだ……。エルフ(同胞)ではなさそうだけどこの子も魔導師なのかな?魔法攻撃以外禁止なんて妙な縛りだし。まあ、ウィーシェの森出身の私には威力は及ばないと思うけどね。

 

「……うん、そうだよ。何かあったの?」

 

「えっと、模擬戦中並行詠唱しか使わないので頑張ってターゲッティングしてくださいね。問題、ないですか?」

 

並行詠唱……?こんな小さい子が本当に?ブラフでまあ、まだ並行詠唱が完成していなくてもその分私が勝つ可能性が高まるだけだけど……なんかもやもやする。

 

「うん。」

 

「それじゃ、始めようか。」

 

そして流されるままにアイズさん立ち合いのもとに模擬戦が始まる。ここで良いところを見せればアイズさんに褒めてもらえるかも?などとどうでも良いことを考えながら距離をとる。

 

「それじゃレフィーヤは詠唱を始めて。」

 

詠唱完了まで待ってくれるならこれ一択だと思う。本家よりも詠唱が長いけど威力は上の……。

 

「はい。

 

ー『ウィーシェの名のもとに願う 。森の先人よ、誇り高き同胞よ

 

対面ではいなづまちゃんも精神統一をしているのがわかる。力が集まっているのは分かっているだろうけど落ち着いている姿は相応する実力があるのだろう。

 

ー我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか――力を貸し与えてほしい

 

エルフ・リングを使って王族の魔法を召喚する私はオラリオの外なら不敬かもしれない、なんてね。ふふふっ。

 

ー間もなく、()は放たれる。忍び寄る戦火、免れえぬ破滅。

 

一節目詠唱完了

 

ー開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む。至れ、紅蓮の炎、無慈悲な猛火。

 

二節目詠唱完了

 

ー汝は業火の化身なり。ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを。

 

三節目詠唱完了

 

ー焼きつくせ、スルトの剣――我が名はアールヴ』」

 

レア・ラーヴァテイン

 

私が召喚したのはリヴェリア様の魔法。それはエルフの王族の名の元に発動される超強力攻撃魔法。

 

それを撃ちきった直後力の抜ける感覚と衝撃が私を襲った。

 

「はわわ。でも、防げなくは無いですね。」

 

よく見ると煙の向こうに影が見える。十分に距離があったはずなのにその陰はずっと近くに来ている。

 

『衝くべき魔光の精霊よ 捧げる力に舞来る(せいれい)よ 踊れよ踊れ力尽くまで 神秘の波の雷光の 無象の槍弓矢大斧如きにや 如何に劣ることあるか

 

いなづまちゃんはこの視界の悪さでも分かるくらいまで近づきながら魔法を詠唱しているようだった。急速に近づく魔法円に心拍数が跳ね上がり、次の魔法が口から出てこない。

 

足下の魔法円も消え失せ不安だけが膨らむ。そして

 

ー 刻は満ちて敵を穿つ一閃となれ 魔光の矢 クインク(5)

 

私の足下に囲むように力の迸る70セルチほどの5本の魔法の矢が刺さる。

 

「詠唱、しないのです?」

 

再び距離をとったと思われるいなづまちゃんが魔法を"溜めて"質問してくる。

 

「いや、あの。」

 

『去れ』

 

溜めていた魔法が四散する。私は座り込んでしまい自分の腰が抜けていた事に気付いた。

 

「戦場での魔導師の最大の仕事はどんなときでも詠唱を止めないことなのです。」

 

リヴェリア様も似たようなことを言っていた様な気がする。詠唱を中断すると唱え直すのに時間がかかる。唱えきらないといけない。

 

「アイズお姉ちゃん、レフィーヤさんの前衛として入って欲しいのです。動き出しは私と同時、初回のレフィーヤさんの詠唱が終わったらでどうでしょうか?」

 

「うん、そうしよっか。レフィーヤはそれでも……?」

 

アイズお姉ちゃんというときめきワードが聞こえて思考が乱れるも意識を取り戻す。えっ、いなづまちゃんってアイズさんのこといつもお姉ちゃんって呼んでるの!?

 

「はわわ、大丈夫ですか?」

 

「は、はひぃ。」

 

この後まともに受け答えできずしばらくぼーっとしていたため今日はここでお開きになった。




お姉ちゃん、お姉ちゃんってよんで。
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