ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

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《ここに百合の花を挿入》


第22話

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか22

 

「おっかえりいいいいいい!」

 

ロキ・ファミリア遠征隊が9日ぶりの地上の空気を味わいながら黄昏の館(ホーム)の目の前にたどり着くとホームの門が開き我らが主神が飛び出してくる。ほぼ文字通り飛んできた主神を的確にかわしていく第一級冒険者(レベル5・6)。一方近くにいたためにロキに補足され回避に失敗したレフィーヤ(レベル3)

 

「え?」

 

「みんなーー無事やったかーーーーっ!?うおーーーー寂しかったーー!!」

 

レベル3の魔導士エルフに襲いかかりながら安否確認をする主神に一同呆れ顔だがいつものことなので第一級冒険者組はスルーである。

 

「ロキ、今回の遠征での死者はいないよ。怪我は出たから詳細は後で報告する。」

 

フィンの簡単な報告でも子供たちが無事に帰ってきたことがうれしいのだろう。上機嫌な彼女はレベル3の彼女の年の割には豊かな胸部を丁寧に揉みしだく。まあ、とにかく揉んでいる。

 

「せやか、了解やで。あとーーおかえり、フィン。」

 

「あぁ、ただいま、ロキ。あと、レフィーヤが困ってるからそれくらいにしておいてくれ。」

 

「おおっと、すまんなレフィーヤ。」

 

揉むことはやめるが顔は相も変わらずエロジジイといわれれて当然のひどい顔であるし、今にも飛びかかりそうな雰囲気を隠そうともしない。

 

「お、ティオネ、その胸の……」

 

レフィーヤを離れた後ロキはティオネなどの筆頭女性冒険者に襲いかかり返り討ちにあった。当然である。一通り回り終えたのか最後にアイズといなづまのところにロキが近づいてくる。

 

「おかえりーアイズにいなづま。」

 

「……ただいま、ロキ。」

 

「ただいまなのです。」

 

すっとアイズに近づくと労るようにアイズの肩を二、三度叩き、踵を返す。

 

「身体ズキズキ痛むなー、ちゃんと休まんとあかんよ?」

 

「……うん。」

 

そのままリヴェリアの方に行ってしまったロキの背中を見ながら妹に掴まれた右手が暖まっていることを感じる。外気にさらされて少し下がっていた体表面の温度を少女の体温が引き上げていく。

 

「ふふん。普段はあれでもロキさんもちゃんと神様ですからねっ。」

 

「……そうだね。」

 

ニコニコ笑顔のいなづまはアイズの腕をしっかりホールドしながらこちらを見上げてくる。嬉しそうな表情にうっすらと溶けている私を心配する気持ちに丁度いなづまの"ゆっくり休まないとだめなのです。"とロキの"ちゃんと休まんとあかんよ?"が重なった。いなづまにはロキと同じものが見えているのかな……。

 

もしかするとあの白い男の子もこんな気持ちだったのかもしれない。顔見知りでも事情を知ってるわけでもないなら恐怖しか残らなくてもおかしくはない。

 

「別にアイズお姉ちゃんもこっち側に来れるのです。今はまだその気がないだけで。あ、でも無理してこなくても良いのですよ?ダンジョンに潜りにくくなりますし。」

 

「え、いなづま……?」

 

こっち側ってどういうこと……?

 

「はわわ、間違えたのです?まあ、いずれにせよお姉ちゃんが離れない限り、私はお姉ちゃんから離れていくことはないので安心して……甘えさせてほしいのです。」

 

いなづまは何かがあったのか百面相しながら可愛いことを言って、そして自分で言うことが恥ずかしくなってきたのか目を逸らし俯き加減になる。

いなづまははっきり言って思いつく短所が身長の低さと部屋の片づけくらいの良くできた存在だ。本当は私みたいな戦闘しか出来ない姉なんて足枷でしかないんじゃないかって思うときがあった。さっきもそうだった。もしかするとさっきの白い男の子の時からの"怖がられているかも"という思いが視界を曇らせていたのかもしれない。

 

「うん、ずっと離さないからお姉ちゃんに、ずっと甘えてね。」

 

でも今気付いた。いなづまはそんなことどうでも良かったのかもしれない。いなづまは甘え、時に頼られる互恵的な姉妹関係を望んでいた。直接聞いた訳じゃないけど多分別の"お姉ちゃん"も今までに存在した(・・・・)んだと思う。何となくわかる。いなづまは甘え上手で頼られ上手だ。でもそれは過去の"お姉ちゃん"から学んだことでその"お姉ちゃん"との別れから学んだことだろう。でもそんなことは気にしない。

 

「なのです。末永くよろしくお願いしますね。」

 

今この瞬間いなづまと義姉妹の関係であることだけが結果で過去の"お姉ちゃん"がいなづまを育ててくれたとしたら、私はお姉ちゃん達の思いを引き継いで、いなづまと時を紡ぐ事だけがいなづまと過去の"お姉ちゃん"達できる精一杯のことなんだ。

 

「うん、改めてよろしくね。」

 

お日様の高いうちからわいわいと騒ぐファミリアの面々と主神がホームの門をくぐる。

これがロキ・ファミリア。オラリオ最大級の探索系ファミリアで私の大切なものを見つけた大切な場所。そしてこれからもっと大切になる時間を過ごす場所。

 

「私の妹はこんなにかわいい」

 

ギリギリ聞き取れない声量でつぶやいた音に反応して再び顔を上げるいなづまのほっぺに空いてる手で触れた。確かにそこにいる。

 

「どうしたのです?」

 

「何でもないよ。」

 

きょとんとした表情の彼女に笑顔を返すと世界で一番大切な笑顔が返ってきた。




いつも閲覧・評価・感想等ありがとうございます。
やっと第二章が完結です。
ようやく一巻の時系列に追いつきました。来週投稿分からは新章に入ります。今後もこの作品をよろしくお願いします。
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