ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

23 / 63
《ここに瑠璃溝隠を発見》


私のお姉ちゃんは頑張り屋
第23話


ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか23

 

ーアイズといなづまの部屋

 

「……。」

 

アイズお姉ちゃんはロキさんの言うとおり早めに寝てしっかり休めたようで、見える範囲ではかなり回復しています。なんだか良い夢を見れたようなので寝起きにしては明るい雰囲気で、起き上がってもなんとなくうれしそう。何かを懐かしむような表情も見逃せないのです。It is not bad at all.

どうでも良いですけどアイズお姉ちゃんのベッドはふかふかな上にお姉ちゃんを感じられるので素晴らしいので一日中もふもふできます。お姉ちゃん本体も同様なのです。

 

(何年も思い出すことさえ)(なかったのに……何故今になって?)

 

「アイズお姉ちゃん……お寝坊さんですねっ。」

 

もうそろそろティオナさんが呼びに来る頃合いなので声をかける。はっとした表情のお姉ちゃんもとても良いものなのです。

 

「あ……おはよう、いなづま。」

 

「おはようございます。ささ、早く着替えるのです。急がないと誰かが突撃してきますよ?」

 

身体をほぐすのとお姉ちゃんの着替えを実況するのは少しばかりあれなのとで、お姉ちゃんを急かしてから直ぐに部屋を出る。すると廊下の曲がり角の方から人の気配が……。アマゾネス姉妹の妹の方の最近何かと接点が増えているティオナさんだと思うのですが……。

 

「あ、いなづまだ。アイズは?」

 

「お着替え中なのです。もうすぐ出てくると思うのです。」

 

「そっか、ここで待ってても良い?」

 

「なのです。」

 

短いやりとりの後、ティオナさんはドアを挟む微妙な間合いで壁に寄りかかった。"アマゾネスは外見だけじゃない、中身で勝負"というだけあって心理的な距離ぴったりに付けてくる。

 

「いなづまは何でアイズをお姉ちゃんって呼ぶの?」

 

それで心理的限界に全力で踏み込んでくる。思い切りの良い踏み込み方なので割と口が軽くなる気がする。

 

「お姉ちゃんっぽいから、なのです。」

 

「それじゃ、出会った冒険者がティオネだったら?」

 

ちょっと回り道をして探ってくるのはいつも通り。行動はかなり直情的なのに、こういうところでは直線で踏み込んでこないのは無配慮と無遠慮の境界線を感じますね。

 

「ティオネお姉ちゃん……でしょうか。うーん、悪くないですね。」

 

「頼まれてもティオネはあげないよっ。」

 

えへへと笑ってみせると流石に妹なのか慌てた感じで抑止してくる。逆の立場でも多分同じ事を言うとは思うのでその気持ちはよくわかるのです。

 

もし誰かが居なかったらという想像は、結構大変というか……見落とす要素が多いので、実際との乖離がすごく大きくなりがちなのですが、"お姉ちゃんが居ないと生きていられない"事は、自明なので深く考えずに答えられますね。

 

「盗る気は無いので安心して欲しいのです……。」

 

「そうだよね。いなづまにはアイズが居るもんね。」

 

「お待たせ、あ。」

 

ティオナが手を伸ばそうとしたとき、丁度アイズが部屋から出てきた。服装はダンジョンに潜るときに防具の下に着ているいつものー造りはワンピースタイプながらボディラインに沿って細目に作られていて動きを阻害しないー服で昨日より軽い足取りで部屋を出てくる。

 

「おはよう、アイズっ。ぐっすり休めたみたいだね。」

 

「うん。」

 

同僚に返事をするアイズの顔色は昨日に比べて随分と良くなっていた。

 

「朝食の時間が終わる前に早く行きましょう、ね!」

 

「そそ、ほら早く行くよ。」

 

「う、うん。」

 

電とティオナがアイズの手を引く。妹たちによる強力な牽引でアイズの相対姉力は大いに向上して、アイズのもつ絶対姉力を上回る姉力が発揮される。妹に振り回される姉というものは良い。妹が強く押すと断れない駄姉ちゃんも姉妹の間柄なら許される。

……但しティオナの歩幅に負けて電も地面から浮いているが気にしないこと。

 

ーーーー

黄昏の館(ホーム)

 

「夜は打ち上げやるからなーーーー!遅れんようにーーーー!」

 

「行って、きますね……。」

 

主神(ロキ)がホーム正面入り口の張り出した屋根の上に立ってダンジョン探索の後処理をしに行くのを見送っている。電は内心冷や冷やしながらも送り出してくれる存在が居ることの嬉しさもあって一瞬だけロキの方を向いて手を振ると直ぐにアイズの側に戻った。

 

「お姉ちゃん、あのロキさんは危なくないのですか?」

 

「うーん、いつものことだし多分大丈夫、だとおもう。」

 

いつもなのですか……。神に老化はないので素の身体能力に十分体を鍛えていれば大丈夫ではあると思わなくはないのですが、心配なものは心配なのです。まあ、今回はお姉ちゃんに免じて心配しないでおくのです。

 

「わかったのです。それで、えっと、今日はダンジョン探索の後処理とのことなのですが、何をするのです?」

 

「あー、いなづまは初めてだもんね。主な後処理は

ギルドに魔石を売りに行くのと

戦利品のうち自前で加工しないもの……ロキ・ファミリア(うち)の場合、ほとんど全部を専門の商業系や加工系のファミリアに売りに行く。

あとは武器や道具の整備補填。

到達階層を更新したときはギルドに報告しなきゃいけないからやることが増える、くらいかな。」

 

「はわわ、やることがいっぱいなのです。」

 

そういえばファミリアが大きいと後処理でバカにならない量の戦利品を市場に出すことになるけど大丈夫なのでしょうか?この量の素材の買取額を流石に高額につり上げすぎるのは少々危険な気もしますが……心配事は尽きないのです。

 

「うん、えっといなづまは……」

 

「ディアンケヒト・ファミリアに行くグループなのです。お姉ちゃんと一緒なのです。」

 

当初はギルドの方について行き団長と行動を共にするつもりだったのですが、回復薬の素材のうち幾つかが過剰で腐らせてしまうのも勿体ないのでついでに換金してしまおうかと団長にお願いしたのです。"ティオナが暴走しないよう気にかけて欲しい"とのことだったのですが、どういう意味なのでしょうか?

 

「そっか。良かった。」

 

今は意味深な言葉よりもお姉ちゃんの嬉しそうな横顔を眺める方が大事なのでじーっと見つめてしまいますね。はぁ、お姉ちゃんは良いのです。




第三章開幕なのです。
お姉ちゃんの活躍に乞うご期待、なのです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。