ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているのだろうか29
「ふにゃぁ……」
膝の上の茶色い頭から聞こえてくる気の抜けた声に姉は小さく微笑んだ。完全に脱力し自身とベンチに全体重を預ける少女は妹で、でも血縁で結ばれているわけではなかった。その中で幸運だったのが姉も妹も広義の家族の感覚を持ち合わせていて、両者の需要供給が完全に一致していたこと。
強い
「ねぇ、いなづま。」
良く通る透明感のあるお姉ちゃんの声が空から降り注ぐ。直接顔は見られなくても、
「なのです?」
「ありがと。」
ちょっと気恥ずかしさがにじむ声に
"ドキドキ大盛りへいお待ちぃ!らっしゃいませ、今日はお姉ちゃん成分増量中。一度でお姉ちゃん分お得ダヨーン"
はぁ?わけわかめなのです。というくらい心の平静が乱されているのです。すき(挨拶)
「どうかしましたか?」
「いや……昨日のこと。気付いてくれて、ありがとう。」
あー、白髪冒険者君に気付いて引き留めた上にベートを干したあの、あれですか。白髪冒険者君の将来性を青田買いしようとしたら相手が弱小(というか彼一人)ファミリアで主神の問題もあっていろいろ保留になっちゃったあれ、なのです?
まあ、お礼は受け取っておくのです。多分お姉ちゃんは引き留めたところまでしか考えてないと思うのでそれ以外のことは細事でしょう。
「どういたしまして、なのです。」
「えへへ、いなづまはやっぱりかわ、あっ。///」
かわ、かわわ?わわわ?
少し動いてお姉ちゃんの顔を見ると何時もの表情の読みにくい顔ではなく、真っ赤に染まり口を所在なく小さく空けたまま止まっていてうれしさと戸惑いのコンチェルト。お姉ちゃんがかわい過ぎて反動がやばいのです。
「……なのです?」
「……なんでもないよ。」
目をそらして控えめに頬をかくのを眺めるのも良いものです。特にお姉ちゃんは剣士としての日々の努力が滲む身体 ー細いながらも必要な筋肉で構成されて無駄がない、女性的な柔らかい美しさも備えた、大変燃費が悪いそれー は見事で、専門家ではない
「お姉ちゃんはどっちかというと綺麗系ですよね。」
「……さっきの聞こえてたの?」
恐る恐るといった表情でこちらを伺ってくるの無限にかわいいですよね。ビクッとなって一瞬膝から落ちそうになったのですがそれも含めて点数が高いのです。
「えへへ、ちょっと照れちゃいます。でも、お姉ちゃんのほうがかわいいですよ?」
「ふにゃぁ……。」
ぐったりとうなだれるお姉ちゃん。はぁ、語彙力が失われるかわいさでは?完全に空を向くとお姉ちゃんの透ける金髪とその裏の青空をみる。日差しがホームの建物に遮られて心地よい温度の日陰を作る。陰の一部を担う橋の上にちらっと見えるロキさんの背中とリヴェリアさんの顔。目は合ってないけどこっちのほうを見ているようだった。
リヴェリアさんが降りてくる。そしてベートさんが縄を抜け、ホームの屋内へと続く道の壁に背中を預ける。準備を整え、時は動き出した。
「アイズ。」
「……リヴェリア。」
色々あって後半を来週分に回すことに……。遅れた上に短いですかご容赦ください。