ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか33
お姉ちゃんが持つのは神ゴブニュから借りた細く威力が高く、そして壊れやすい剣。
長く戦い続ける事を至上とするお姉ちゃんにとって壊れやすいことは小さくない負担なのです。
でもまぁ、よく壊さずに20階層まで降りられたものなのです。やっぱり調子が良さそうなのです。
「ベル君……。」
「……?」
あの白い男の子、でしたっけ。
将来性と運を備えてベートをかませ犬にしそうな(しつつある?)かわいい男の子だったと思うのですが、そんなに気になっているのです?
「彼は今もダンジョンに潜ってるのかなぁ。」
「そう、だと思うのです。」
もっとも、彼は装備が貧弱すぎる。20階層には居ないだろうし、居たら今頃……。まあ、流石に新人ならギルド側で何らかのアドバイスはしてると思われるのでさすがに大丈夫でしょうけれどね。や、自分も新人ではあるのですが、ね。
「どこにいるかなぁ」
「流石にこの階層には居ないと思うのです。」
片手間にモンスターを狩りながら思案顔のお姉ちゃん。かわいいですねぇ。うん。
「そ、そうだよね。もう少ししたら上の階層に居こうか。」
「な、なのです。」
あ、あの、お姉ちゃんが、ダンジョン侵攻を、切り上げるのです?
男の子、お姉ちゃんに影響与えすぎでは?
「あ。」
「いなづま、どうしたの?」
モンスターを捕まえて調教していると思われる一団を発見したのです。はわわ、びっくりなのです。
「あれは?」
「……ガネーシャ・ファミリアかな。多分モンスターフィリアに出すモンスターだと思う。」
「モンスターフィリア……
怪物祭、なんかモンスターが居なくても祭りの名前になりそうな名前ですが、どんなお祭りなのか気になります。でもお姉ちゃんはそこで話をやめて上の階を目指すようです。あとはお楽しみと言うことでしょうか。
「うん。それじゃあいこうか。」
「なのです。」
お姉ちゃんの左側のモンスターが減った隙を見てお姉ちゃんの左側を確保しモンスターを狩る。私たち二人の高い機動力をもってして鈍足なモンスターは二回目の行動の前に魔石に還元される。
艦娘である分下駄を履いているとも言える私のさらに先をいくお姉ちゃん。そこまでの高みに上るまでの努力はいかほどのものか。
「
"エアリアル"
お姉ちゃんが持つステータス内魔法で内容は風の使役。言い換えるなら風精霊との使役契約を履行できる魔法。ステータス内魔法はステータス外魔法に比べると随分と短く本質的な魔法。だから目覚めよという詠唱からも分かるとおり、お姉ちゃんの本性が覚醒すると行った方が正しいような、そんな魔法。
「機関原速。」
私の艤装から生み出される力が緩やかに上昇しお姉ちゃんに追従するに足る推力となる。
階層を上るにつれ、地上が近づくにつれて冒険者が増えてくるのでぶつからないよう、彼を見逃さないよう速度を落とす。
「や、やった。」
見つけた。血と汗にまみれて奮闘する男の子の周りは魔石もとられずに放置されたモンスターの死骸と独特の空気が漂っていた。
「……。」
それを見るお姉ちゃん。より威圧感に遠ざかる冒険者。結果的に多くのモンスターに対峙する男の子。
囲まれては突破し囲まれては突破。じっと見つめるお姉ちゃん。気づかない彼、私。
図らずも決して高くないレベルとはいえモンスターパーティーもどきを体験する彼。
そんな彼も人である以上限界がある。
「あっ。」
ふらついた彼に襲いかかるモンスター。
誰もいなければ、いやこの階層にいる程度の冒険者では、彼はあっという間にあの世行きだっただろう。
でも
「
「機関全速」
お姉ちゃんからのアイコンタクトに答えモンスターの半数ずつを亡き者にする。余波がダンジョンの壁をいくらか削ったが男の子は全くの無事だった。
「あ、アイズさん。いなづまさん。」
「奇遇なのです。」
「君を捜してた。」
「えっ、あの……///」
お姉ちゃん、なんでそんな真顔でそんなこと言えるのですか?私なら勘違いしちゃいますよ?勘違いじゃない?本気ならそれはそれで歓迎なのですが、って相手は男の子ですよ?ほら男の子顔真っ赤にしちゃって、絶対勘違いしてるのです。間違いないのです。はぁ、どうしましょうか。