ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか37(改)
「ロキさん?」
「おう、ちょっと手伝ってな。脱走したモンスターのうちアイズといなづまが討ち漏らしてたら叩いてほしいんやけど。」
焦った顔で状況も分かっていない3人にお仕事を投げる鬼畜主神。
「結構無茶言うわね。それでアイズといなづまはどこ?」
状況が分かっていないだけならまだしも3人は丸腰である。それに肝心のアイズと電が見つからない。
「アイズは上から敵を探してて、いなづまはそこの物陰にいる。なんか地下が変らしいんやけど、分からん。」
「上にいる?」
「あそこや。」
上?と思ったらロキの指す方の屋根の上の柱にアイズがちらりと見える。
短いスカートでそんな高いところに立っていて大丈夫なのかという質問はごもっともだし、さっきそこの
「やっぱり地脈の気が乱れてるのです……。」
そんな中、電はふらっとロキの背後の柱の陰から出てくる。なぜか電の足下だけ波打っているように見えて、自分達の立つ地面が不確かなものに感じられる不思議もあるが3人は気にしないことにした。
それにしても不穏な一言ですね、地脈の気が乱れてるなんて。 地脈の気が何か一介の魔導師エルフにはわからないのですけど。
「どういうこと…?」
「いなづま、何かあったんか?」
さっきまで地面が波打っていたことが嘘みたいな普通の地面に立つ電は体をほぐしながら、どこからか出した
「地下に何かが潜んでいるのです。すぐには出てこないはずなので、とりあえず皆さんは準備しながら足下に気をつけてその辺りでお姉ちゃんの活躍を見ておいてください。」
電が言い終わると同時に4人と主人に一瞬影がかかる。風を纏った剣姫の陰だ。
アイズは少し離れたところで逃げ遅れた人を襲うモンスターに斬りかかる。借り物の剣ではなかなか本気を出すことが難しいが本気でやるまで強いモンスターはいなさそうだった。
まだ地下のモンスター?がいるらしいからどうなるかわからないですけどね。
「うわー、本当に出番なさそう。」
「目の前に餌を置かれてるのにお預けを食らってる感じだね。」
「武器も無いのに何でそんなに余裕なんですか。地下いるモンスターの詳細もわかってないのに。」
「今のところわかってるのは、多分細長いのです。とりあえずティオネさんにナイフいくつか渡しておきます。ティオナさんにはこれを」
「どうも。ありがたく使わせてもらうわ。」
「巨大斧だ。使ってみたかったんだよね。」
どこからか取り出したナイフと背中に担いでいた斧をティオネさんとティオナさんにそれぞれ渡したいなづまちゃんは私の方に振り返る。
「これ、何も無いよりは魔法も打ちやすいと思うのでどうぞ。何枚か渡しますが使い捨てなので、使い切っても良いですよ。」
「あ、ありがとう。」
一飛びで屋根に飛び乗ったアマゾネスと艦娘と違ってなんとかよじ登ってきた魔導師は息を切らせながらお気楽アマゾネスに愚痴を漏らす。ただ、レフィーヤは気づいていた。この3人はこの場を乗り越えられるだけの実力を持っていることを、そしてレフィーヤ自身はまだそこまででは無いということを。
まだまだ憧れの背中に届かない。でも私はそう魔導師だから一人で戦うことはできなくても、みんなとなら。この紙?の使い方はわからないけど。
「……ねぇ、なんか地面揺れてない?」
「あっ、来る。構えてください。」
「……揺れてるわね、って来るの?」
ティオナと電の声が重なり、レフィーヤには少々聞き取りづらかったがすぐに事構えることは理解できた。不安定な足場にやっと立ち上がったとき少し先の通りから爆音噴煙の中にモンスターのようなシルエットが浮かぶ。いくつもの触手のような異形がうねうねとグロテスクな姿をさらす。3人はこれに先日の遠征でアイズが討伐した新種と思われるモンスターを思い出す。
「何あれっ、新種?いや細長いけどさ、ね。あれ、いなづまは?」
「いなづまは向こうにもおんなじのが出たみたいで、もうそっちの方に飛んでるわ。」
誰かがが固唾を飲んだ、そんな気がする一瞬の間を挟む。
「つまり。」
「私たちでなんとかするわよ。レフィーヤは後方で詠唱してて!」
「は、はい!」
見物客とモンスターの間に割って入った二人のアマゾネスがモンスターへと立ち向かう。投げることを考えていない設計のナイフといつもと重心が違う大型の斧であるからかうまく力が入っていない。
これティオナさんティオネさん本当に大丈夫ですか?慣れない武器のなかで徐々に動きが良くなってるのはさすがレベル5だと思うのですけど。
「ぃったい。何これすごく堅いんだけど。いや芯を捉えられてない?」
「んぁ、まっすぐ飛んでっ。」
一方後方で魔法を準備するレフィーヤ。彼女が選んだ魔法はアルクス・レイ。単射の自動追尾魔法で高い貫通力が期待できる。ただし詠唱中に狙撃対象を切り替えることは難しく基本的には再度詠唱することになる。
ー 解き放つ一条の光、聖木の
杖が無いのにいつものように魔法が準備されていく。ポケットの中の紙が淡く光ったような気がした。
いける、いまなら。レフィーヤがそう確信し、いざ魔法を発動しようとした途端
えっ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
「ぁ、ぁ。」
足下が割れ地面から生えてきた一本のモンスターの尻尾らしきものが彼女の脇腹から体の中心に向かって突き立てられそのままの勢いで彼女の足は地面を離れる。そのまま空に向かって伸びる尻尾に突き上げられるレフィーヤ。
「何あれ、尻尾?って、レフィーヤ!!」
じりじりと後退してきていたアマゾネス姉妹はモンスターの攻撃によって重傷のレフィーヤを見る。一度空に打ち上げられ地面にたたきつけられた彼女はおそらくレベル3で
一方モンスターの尻尾らしきものはレフィーヤから一度離れると一瞬その場にとどまる素振りを見せる。レフィーヤから離れる機動さえもアマゾネス姉妹を遠ざけさせる威力が込められているから恐ろしい。しかし問題はそんなことでは無かった。
「咲い……た?」
「これ蛇じゃ無くて花なの??」
モンスターの次の一手は開花。すべてはこの為だったかのように、祝福をあげるようにその文字通り牙を剥く人食い花が咲き誇り周りの地面から一斉に草が芽吹く。邪魔されたくないのか周りに現れたツタによってアマゾネス姉妹は拘束される。ナイフで切っても切っても減らず、巨大斧では大きすぎて十全に振ることはできない。
「ああ、もう邪魔っ。」
「レフィーヤ起きてっ。」
間に合わない。アマゾネス姉妹は拘束されている。アイズは遠くで戦っている。電はさらに遠い。嫌、嫌だ。まだ死にたくない。一、二歩分後ずさりするもさっき受けた傷で体が言うことを聞かない。もう動けない。いやはやここまでか。
ここで思い出すのは憧憬の彼女、アイズ・ヴァレンシュタイン。まだレベル3になる前のレフィーヤをミノタウロスから守った憧れの背中だ。
「えっ。」
まさか目の前に遠くで戦っているはずの彼女の背中があるわけが無い。
「お待たせ、レフィーヤ。」
そうしてまたきっと私は彼女に守られる。
えっとですね、設定が混じってなんかおかしいものが出来上がってしまいました。
読み直して意味がわからなかったので当該箇所を書き直してあります。誤字報告いただいた分は反映して修正してあります。いつも報告ありがとうございます。
来週の更新は土曜日7日の21時45分の予定です。よろしくお願いします。