ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

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《ここに地下迷宮の息吹》


第46話

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか46

 

階層主ゴライアス

それは17階層に出現する「迷宮の孤王」。ほかのモンスターを圧倒する、次元の違う存在。

但し一度討伐するとしばらくの間、新たにゴライアスが生まれることはない。そういった意味でも特殊なモンスターだ。

 

「ありゃ?階層主(ゴライアス)いないけど誰か倒しちゃったの?」

 

「街の冒険者が総出で片付けたみたいだ。交通が滞ってるからって。」

 

街というのは以前アイズといなづまでカレーを作った場所は18階層。17階層の直下で安全地帯(セーフポイント)の為、腕自慢の冒険者らが集まって街を形成している。時々ゴライアスを突破できない冒険者ら(パーティー)が続き交通が滞るとこのようにゴライアスを撃破することがある。それほどに腕の立つ冒険者らが街を構成している。

 

「へぇ、それじゃあしばらく待たないと駄目かぁ。」

 

「残念そうにするな、これからが本番なのだから。」

 

力の行き場を失ったウルガを振り回すティオナ(アマゾネス妹)とそれを窘めるリヴェリア。戦闘体制を解除して妹と手をつなごうとする姉とそれを歓迎する妹も観測される。となりにいるレフィーヤも前回とは違い穏やかな表情だ。それがアイズと一緒にダンジョンに潜れることがそんなにうれしいのかいなづま(ししょう)と関係を改善したからなのかは不明だが、今はどうでも良いかもしれない。

 

「明るいですね。」

 

「予定よりちょっと遅いくらいか。まあ、問題ねぇ。」

 

「ダンジョン内でずっと戦闘してると時間が分からなくなるね。」

 

「……なのです。」

 

そう、実はもっと早くに18階層に到達しているつもりだったのだ。ゴライアスの討伐を考慮しても18階層の『昼前』には到着しているはずだった。誰かと待ち合わせをしているわけではないので問題ないが、それでも()()()だった。少なくとも電はそう感じていた。もう既にいくつものフラグを見せつけられている彼女は少し過敏になっているかもしれないが、それくらい不自然なことだった。

 

「ここの川魚、なんかおいしそう。」

 

「帰りに食べましょうか。団長さん良いですか?」

 

脇道にそれた場所にある、最高より少し暗いくらいの空を映す川をのぞき込むアイズは少しお腹を空かせていたのかもしれない。ダンジョンアタック中はセールスポイント以外での食事が不定期になりがちだ。成長期の少女には空腹になるタイミングも出るだろう。

 

「うん、かまわないよ。それにしてもお昼時は確実に過ぎてるしいつもよりは飯屋も空いている筈だけど、妙に騒がしいな。」

 

18階層には昼夜がある。今は、フィンの見立てでは昼を過ぎて夕方にさしかかっている位。()()()()()()()()()()()の天気とはいえ、概ね正確に判断できるのは豊富な経験と高い技量がなせるワザ。同じだけダンジョンで過ごした第一級(レベル6)のリヴェリアやガレスも同様である。

 

「お、おいあれ。」

 

「何だあれは。」

 

「道が封鎖されてる?」

 

「え、どういうことよ。」

 

18階層に街があると言ったばかりだが、その街は決して18階層の多くを占めているわけではない。むしろ街の外の領域の方がずっと広いのだ。草原や草木に覆われた森が存在する地獄の中の天国(ユートピア)は開けた土地が街に、広場に、『遠征』の拠点にと様々に使われてきた。時には上下の階層からあふれてきたモンスターが暴れたり、冒険者が暴れたりして()()されているが。

 

「こら、ティオナ。先に行かないの!」

 

「えー、先にあの人達に話を聞いてくるだけだもん。」

 

「駄目よ。あなただと何かやばい人だと思われて捕まるのが関の山だわ。」

 

そんな()()()階層の一画を占める街の入り口が不思議なことに封鎖されていた。

 

「っ誰が見てやがる。」

 

「え?」

 

「レフィーヤ、気をつけて。」

 

レフィーヤは気づかない。ベートの視線の先は街に向いているようで向いていないことに。レフィーヤは気づかない。自分以外がその視線に気づいていることに。

 

「え?」

 

レフィーヤは気づかない。

 

その視線が誰を狙って()()()を。




今回は分割1話の中編になります。
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