ラノベと私とラブコメと。 作:厨学弍年生症候群
私は現在、奉仕部の入口である扉の前にいる。
と言うのも結衣さんのはからいで、八幡さんとお会いした後、何故か八幡さんから奉仕部の入口で待機するようにと言われたからです。
それについては八幡さんが言うには、材木座さんは人見知りが激しく、得に初対面の女性には視線すら合わせられないらしいです。
その為、最初は自分達が材木座さんに感想を言った後、しばらくしてから結衣さんにでもメールやLI○E、を通して呼び出し、その後は入口の前で待機して欲しいとの事でした。
とりあえずその時の私は、結構詳しいんですねと、感心したように言ったのだが、彼は奉仕部に最初に依頼しに来た時の様子や態度を見てたら嫌でも分かるとか言ってました。
とまぁ⋯⋯そんなこんなで結衣さんからL○NEを受け取った私は入口の前にいる訳です。
「さて、では感想を聞かせてもらうとするか」
奉仕部の教室から聞こえる私が好きな人、材木座さんの声。
「ごめんなさい。私にはこういうのよく分からないのだけど⋯⋯」
「構わぬ。凡俗の意見も聞きたいところだったのでな。好きに言ってくれたまえ」
そして、雪ノ下さんがそうと一言呟いたのを耳にして少し間が空き──
「つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶するつまらなさ」
「げふぅ!」
私は部屋の中で起きているだろう状況を想像しながら、思わず苦笑いを浮かべる。
いや⋯⋯確かに材木座さんの作品は、色々とこれは酷いといった出来栄えですから、完全に否定は出来ないのですが、まぁ⋯⋯ストレート過ぎだと思うと言いますか⋯⋯少しばかりオブラートに包ん出あげても良いのではとは思うのですよ⋯⋯。
「ふ、ふむ⋯。さ、参考までにどの辺がつまらなかったのかご教示願えるかな」
材木座さんは自らの勇気を出して自ら地雷原へと足を踏み入れる。
私なら最初の心が完全にへし折れてるのに彼はめげずに前向きに聞こうとする所は、本当に頑張れる人なのだと改めて実感が出来て嬉しくもあるが、今回ばかりはそれが不運にも悲劇の火蓋を開く結果となった。
そこからは本当に悲惨だった。なにせ雪ノ下さんは見事に丁重に駄目な所をことごとく細かに説明していく⋯⋯私はもはや心の底から辞めて! 材木座さんのライフはもう0よ! と叫びたい気持ちにすらなる程に余りにも悲惨だった。
「その辺でいいんじゃないか。あんまりいっぺんに言ってもあれだし」
比企谷さんがそんな中で何とかフォローを入れる。対して雪ノ下さんはまだまだ言い足りないとか怖い事を呟く中⋯⋯由比ヶ浜さんにバトンタッチをする。
「え、えーと⋯⋯む、難しい言葉をたくさん知ってるね」
「ひでぶっ!」
その後は悲惨と言って良い⋯⋯由比ヶ浜さんは⋯⋯普段は良くも悪くも真っ白な子だからか案の定、適当な感想と言いますか⋯⋯作家志望の材木座さんに見事な会心の一撃⋯⋯そして慌てて由比ヶ浜さんは投げやりに八幡さんへバトンタッチした。
「ぐ、ぐぬぅ。は、八幡。お前なら理解できるな? 我の描いた世界、ライトノベルの地平線がお前にはわかるよな? 具物どもでは誰一人理解することができぬ深淵なる物語が」
材木座さんはもはや蜘蛛の糸に縋る勢いで、八幡さんにそう言う、そして⋯⋯。
「で、あれって何のパクリ?」
おもいっきりとどめを刺しました⋯⋯その後、教室内では物凄い物音が響き、やがて静まり変える中、二人はドン引いたような言葉を口にする。
私から言わせたら⋯⋯雪ノ下さんも由比ヶ浜さんも変わらないんだけどなぁ⋯⋯。私はそんな事をおもしながら少し遠い目になった。
「まぁ、大事なのはイラストだから。中身なんてあんまり気にすんな⋯⋯」
八幡さんはそう締めくくるとしばらくして、雪ノ下が口を開いた。
「そうね⋯⋯それに今回はまだ⋯⋯最後の読者が残ってもいるしね⋯⋯」
そして、入って来なさいと言う声に私は一瞬、驚く中⋯⋯私は恐る恐る扉を開き中に入るのだった。