では、続きをどうぞ
真っ暗な公園が、昂の放つ雷で明るくなる。衝撃波で、侑の身体は吹き飛び、木にぶつかる。
堕天使「グアアァ!」
侑「ぐぅっ!!」
侑の口から二つのうめき声が出る。そして、その場にぐったりと崩れ落ちた。
絵里「侑!!」
昂「絵里さん、駄目だ!」
絵里は、昂の制止を振り切り、侑の元へ駆け寄る。苦痛で顔が歪む侑。絵里は侑の頬に触れ、頭を優しく胸元に引き寄せる。いきなりの出来事に侑と堕天使は絵里を見上げた。
侑「絵里、何してる!俺から離れろ!」
堕天使「……オレハ、オマエヲコロス」
左手が絵里の首を掴む。それでも絵里は侑を離さない。右手が絵里の首を掴んでいる左手を掴み、引き剥がそうとする。そんな状況の中、絵里は左手を優しく撫でる。びくりと反応する侑の左手。掴んでいた首を離し、絵里の頬に手を伸ばした。
次の瞬間、周りが騒がしくなる。どうやら、昂が放った雷を、爆発物と勘違いしたようだ。消防車やパトカーのサイレンが聞こえてくる。
昂「侑、このままだとマズイ!一先ず、場所を変えよう!」
侑「どこへ行くつもりだ?場所を変えても、また周りが騒ぎ出すぞ!それに組織に見つかったら」
二人が悩んでいると、絵里がどこかに電話していた。
絵里「私について来て」
侑「どこに行くんだ。」
絵里「私が通っていた学校よ。良いから早く」
絵里に促され、侑と昂は絵里と一緒に走った。
音ノ木坂学院~アイドル研究部部室~
絵里「ここなら、誰も来ないわ。」
そう言って絵里は部室の中に入る。侑はゆっくりと同じ様に入り、昂も入った。
侑「絵里、コイツに命を狙われているのが、分からないのか」
侑の目は左右違う。右側は金色、本来の侑の色だ。しかし、左側は真っ赤な色をしている。その目は、ずっと絵里だけを捉えて、他に見向きもしない。
侑「今、コイツは俺が何とか抑えているが、いつ動き出すか分からないんだぞ。」
そんな事を聞いても絵里は普通に侑に触れた。しかも左側に。
絵里「どうして私を殺そうとするの?」
絵里は問い掛ける。侑の中にいるもう一人の侑に。
堕天使「オマエハキケンジンブツ。ダカラ、コロス」
話を聞いて、絵里はクスクス笑う。堕天使は戸惑った。
堕天使「ナニガオカシイ」
絵里「だって、私が危険人物なんて言うから」
侑「絵里、コイツに何を言っても駄目だ。」
侑は絵里から離れようとする。それでも、絵里は侑の中にいる彼に話し掛けた。
絵里「私は、危険人物じゃないわ。貴方だって、本当は気付いているんでしょ?」
微笑み掛ける絵里。真っ赤な目が揺らぐ。絵里が話をしようとした時、部室の中に入る数人の人影。それは、元μ,sのメンバー達だった。
絵里「あら、みんな。来たのね」
にこやかに絵里は言った。
海未「こんな夜更けに電話してくるなんて、何か問題があったのですか?」
穂乃果「う~ん、眠いよ~」
ことり「穂乃果ちゃん、起きて~」
凛「あれ?絵里ちゃんの彼氏さんと、誰かにゃ~?」
花陽「ちょっと凛ちゃん。失礼だよ」
にこ「って言うか、絵里の彼氏。見た目が変じゃない?」
真姫「変じゃない?じゃなくて、変なのよ!」
希「絵里ち、説明してくれへん?」
希の言葉に絵里は頷く。
絵里「ちょっと話が長くなるけど」
そう言って、絵里は今までの経緯を話したのだった。
海未「つまり、侑さんの中にもう一人の人格があるっと言うことですね?」
侑「……まぁ、そんなところだ。」
金色の目が、メンバーを見た。その間も赤い目は絵里を見続けている。絵里はずっと左側の手に優しく触れていた。
ことり「お名前は?」
ことりの質問に、ようやく左側の目が反応する。
堕天使「オレニ、ナナドナイ。タダ、ソシキニツケラレタ、ダテンシトイウナダケ」
それだけ言うと、また絵里を見つめる。
侑「コイツは、組織の命令で絵里を殺そうとしている。だから」
侑は立ち上がろうとしたが、左側が動かない。絵里の腕を掴んでいる。
堕天使「エリ」
そう言った。そして、絵里を見つめたまま。
堕天使「エリガホシイ。エリヲダキタイ。」
絵里「っえ?」
侑「はぁ?」
二つの反応が重なる。昂もメンバーも、一瞬何が起こったのか分からずにいた。
侑「お前、何言って」
堕天使「エリガホシイ。ツナガリタイ」
言いながら、絵里の首筋にすり寄り、徐々に絵里の身体を押し倒そうとしていた。絵里は抵抗しない。
侑「ちょっと、絵里」
絵里「ごめん、侑。ちょっと黙って。昂さん、悪いんだけど、お願い出来るかしら?」
絵里の言いたい事が理解出来た昂は、メンバーにその外に出るよう促す。
昂「二時間くらいで大丈夫かな?」
絵里「そうね……。多分、大丈夫よ。」
早々に会話を終わらせ、昂は部屋を出ていった。絵里の身体は、床の上で横になっている。
侑「絵里、まさかコイツに抱かれるなんて言うなよ?」
絵里の上に覆い被さったまま、侑は問う。
絵里「いけないかしら?」
侑「正気か?絵里を殺そうとしているヤツだぞ!」
絵里「そうね。でも、今は違うわ。」
侑「どうして、そんな事が言える」
右側の顔が歪む。
絵里「だって、今の彼には殺意が無いもの。その証拠に、こんなに優しく触れてくれてる。」
侑の左手は、絵里の頬を撫でている。
侑「……分かった。絵里がそこまで言うなら黙って引き下がるけど、でも、何か異変が出てきたら、分かっているな?」
絵里「ええ」
そして、二人の唇が重なった。
二時間後
侑に呼ばれ、昂とメンバーが、部室に戻ってきた。部屋に入ると、乱れた髪と服を直している絵里の姿に、みんな顔を真っ赤に染め、視線を反らす。侑が床に座り込んだままの絵里に手を差し出した。
侑「立てるか?」
絵里「ちょっと力が入らないけど、多分。」
足をガクガク震わせ、何とか立ち上がろうとしたが、力が入らず、侑に抱き抱えられ、そのまま侑の膝の上に座る絵里。その様子をメンバーはチラチラ見ながら、直視出来ずにいた。左手が絵里の胸元に向かう。それを絵里は優しく平手打ちした。
絵里「今はダ~メ。」
そう言って微笑む絵里は美しかった。
書いていて、とてもムフムフしていました。危うく、詳細を書きそうになり、危ない!危ない!さて、堕天使が絵里にゾッコンになったところで、次回は組織の目的が分かります。お楽しみに!
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