では、続きをどうぞ
自分の気持ちに気付き、想いを伝えた昂。いきなり、唇を奪われ、狼狽える真姫。二人の反応は対称的だった。真姫は、昂に想いを伝えられていない。そればかりか、唇を重ねた事で、思考が止まり、その後の事を覚えていなかった。
数日後~大学構内~
最近の真姫は、研究室に籠る日々だった。今、研究しているのは、新たな腎臓病に効果がある新薬の検証だ。色々な細胞を採取し、それらで試している。
???「それ、いつ終わる?」
真姫「ふぇ!?」
突如、背後から聞き慣れた声が、真姫の耳元で話し掛けられた。あまりの驚きに、真姫は狼狽え、その場から一瞬で扉の前に移動。声の主を見た。声の主はやはり、昂だった。作業服を着たままの昂。どうやら、仕事終わりにここへ来たようだった。
真姫「貴方、どうやって中に入ったの?」
昂「別に、普通にそのドアから入ったけど?」
そう言って、真姫の後ろの扉を指す。
真姫「……え?そんな筈…この扉はロックが」
昂「ああ、電子ロックとか、セキュリティー機能が付いた物とか、俺にはそんなの関係ないから」
真姫は愕然とする。
昂「それで?いつ終わる?」
目を輝かせ、昂は言った。真姫は溜め息をつく。
真姫「ちょっと待って、私、今忙しいの。だから、帰るのは遅くなるわ」
昂「……分かった」
それだけ言うと、昂はスタスタと扉に向かい、そのまま部屋を出ていく。真姫は呆然と立ち尽くした。
真姫「イミワカンナイ」
日も暮れて、もうすぐ日付が変わる。真姫は、大学の警備員さんに『あんまり遅くまでいてもらっても困るんだよね』と、小言を言われ、仕方無く帰る。大学の正門を抜けると、街灯の灯りに照らされ、人影がこちらに向かってくるのが見えた。真姫に緊張が走る。人影は真っ直ぐ真姫に向かって来ていた。
???「今帰り?」
真姫「……貴方、もしかして」
昂「はは、ずっと待ってた。これって、ストーカーだよな。」
真姫「そうね、立派なストーカーね。自覚あるなら、やめたら?」
昂「ん~、やめても良いけど。君の事が心配で寿命が縮むな」
真姫「……それはそれで困るわね」
呆れながら、苦笑する真姫。そんな真姫に優しく微笑む昂。
昂「とりあえず、家まで送るよ」
ごく自然に二人は肩を並べて歩き出す。真姫はチラリと昂を見た。真っ直ぐ前を見つめる昂。真姫の横には触れそうな程近い昂の腕がある。お互いの手が触れた。昂は真姫の手を、自分の手と絡めた。真っ赤な顔に染まる真姫。
昂「そう言えば、告白の返事くれるの?」
手を繋いだまま、昂は真姫に質問をした。真姫は視線を落として黙り、表情が見えない。
昂「無理なら、別に無理して答えなくても良いけどさ」
真姫の手を離す昂。そのまま歩き出した。真姫が昂の手を掴む。
真姫「………き…」
昂「はい?」
真姫の口元に耳を近付ける昂。真姫の息遣いが聞こえる。懸命に深呼吸を繰り返し、何かを落ち着けているようだ。真姫が顔を上げる。暗がりなのに、真っ赤に染まった顔が見えた。昂はじっと真姫を見つめる。
真姫「……好き」
昂「もう一回言って」
真姫「……貴方が好きって言ったの!もう、良いでしょ!」
昂は真姫を抱き締めた。昂の腕の中で身動ぎする真姫。昂はさらに強く抱き締める。
真姫「……く、苦しい」
昂「っあ、ごめん。」
抱き締めていた手を離す。そして、真姫の頬に撫でるように手が動く。そのまま顎を持ち上げ、唇を塞ぐ。真姫の身体が固まった。どのくらい、唇を重ねていたのだろう。一瞬だったのか、長かったのか。真姫の思考は働かない。ただ、唇を重ねて、昂の体温を唇から感じている。それだけだった。昂が唇を離すと、ふやけた様な真姫の表情。目が催促している。昂は再度唇を重ねた。今度は口角を変え、舌を使い、真姫の舌を絡めとる。すると、真姫の体温が上がるのを昂は感じた。一旦、唇を離し。
昂「今から俺の家に行く?」
冗談半分で聞いてみた。熱に浮かされた真姫。
真姫「……行く」
その一言だけだった。昂は思考がふわふわしている真姫を連れ、自分のアパートに向かうのだった。
次回は、二人の結婚前の話です。
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