今日は、昂と真姫が交際を始めて、ちょうど一年である。今日は、知り合いが経営しているホテルで、結婚披露宴の準備をしている二人。一日の流れはあっという間だった。お互いの気持ちを確かめたあの後。昂の住むアパートで二人は初めての朝を迎えた。最初は、真姫の狼狽える姿に昂は面白がって、しばらくの間、真姫は昂から距離を取ったりもしたが。何度か朝を迎える頃には、真姫が可愛らしく昂にすり寄り、昂の方が狼狽えたりした。そして、三ヶ月前。
昂『真姫、俺と結婚して欲しい。俺には、両親や過去の事なんて、何一つないけど』
真姫『……過去の事なんて、別に気にしてないわ。昂こそ、私なんかで良いの?』
昂『なんで、私なんかって言うかな。俺は真姫が好き過ぎて、死ぬまで一緒にいたいって思ってんのに』
昂の言葉にクスリと笑う真姫。
真姫『冗談よ。私だって、昂の事が好き過ぎて困ってる。』
昂『ツンデレだもんな。天の邪鬼だし』
真姫『五月蝿いわね!』
昂『プロポーズの返事は?』
真姫『…………仕方無いから結婚して上げるわよ』
ゆっくりと唇を重ねる二人。街の灯りが二人を照らす。プロポーズの場所は、真姫のお気に入りのあの丘だった。
今日は、二人にとって待ちに待った結婚披露宴だ。新婦側の招待客は、真姫の両親の関係者が多く、病院関係者や資産家達である。新郎側の招待客は、侑と。侑の奥さんで、真姫の友人である絵里と元μ,sのメンバーだった。最初は滞りなく披露宴は進んでいたが、次第にお酒が入り出すと、新婦側の招待客から、こそこそ陰口が出始める。
客1「おいおい、新郎側の関係者は子供の集まりかよ」
客2「両親どころか、親族もいないらしいぞ」
客3「素性の分からない奴と結婚すんのかよ。西木野家も落ちたな」
そんな内容だった。その言葉に二人は怒りと、友人達に対して申し訳ない気持ちでどうにかなりそうだ。
真姫母「あら、それは私達の娘に対する侮辱かしらぁ」
柔らかな声で真姫の母が、進行役からマイクを取り上げ言った言葉。表情は穏やかなまま。
真姫母「招待客の皆様は、相手の素性が分からないとお祝い出来ないの?」
客2「そんな訳では」
真姫母「なら、どうしてそんな事が言えるの?」
無言で俯く招待客達。
真姫母「私達の娘、真姫は。天の邪鬼だけど、人を見る目はちゃんとある子よ。その証拠に、こんなに素晴らしい友人達と伴侶を見つけられたんですもの。」
そう言って二人に微笑み掛ける真姫母。二人の目には涙が滲む。
真姫母「二人がお互いを尊重し、心から愛し合っているのに、お祝いしないとバチが当たるわ。それに、昂君はお婿さんですものぉ。立派な西木野家よねぇ」
緩みに緩んだ微笑みを向ける真姫母に、二人は苦笑するのだった。
昂の住むアパートにて
二次会が終わり、ようやく家に帰ったのは、朝方近くだった。二人はゆるゆるの部屋着に着替え、真姫は化粧を落とす為にお風呂に入っている。昂は襲い来る眠気と懸命に戦っていた。しばらくして、真姫がお風呂から上がる。
真姫「昂、上がったわよ。」
返事がない。リビングに向かい昂が、ソファーに腰掛けているのを見つけ、安堵する真姫。
真姫「昂、寝てるの?」
肩を揺すると、間抜けな表情で真姫を見る昂。
昂「あぁ……、お風呂上がったのか」
そう言って目蓋を擦る昂が、なんとも小動物っぽく。真姫はクスクス笑う。
真姫「今日は、昨日でもあるか。お疲れ様」
言って昂の頬にキスをする。すると、昂の目がギラつき、真姫をソファーに押し倒した。
真姫「ぅえ!?」
昂「真姫、今からスるぞ!」
昂の言葉に、真姫は反応出来ない。覆い被さる昂を何とか止め。
真姫「い、いきなり何?」
昂「お義母さんから、許可貰ったから、子作りするんだよ」
真姫「許可って何よ!私、聞いてないけど!」
昂の言葉に狼狽える真姫。
昂「なら、お義母さんから伝言『病院継ぐのはゆっくりで良いから、早く孫の顔見せてね!』だそうだ」
真姫「……な、なんで!そんな事になる訳?イミワカンナイ!」
真姫の心の叫びと共に、二人は子作りに勤しむのであった。
終わり
特別編、終わりました!真姫のお話は、絵里の時と違って面白かった~!
次回は書く予定はありませんが、今後、絵里と真姫のその後の話が書ければな。と、思っています。
また、サイドストーリもありますので、そちらも宜しくお願いします。
追記、オリジナルの方も宜しくお願いします。