れでぃ×ばと?   作:ガラフ

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第一話之二

え?いやいやいや、ここが食堂?

 

コンクリート打ちっぱなしとは言わないまでも、もっとこう、安っぽいというか飾り気がないというか……

 

上手く言えないけど、食堂といえば何かそんなイメージがあったんだけど?

 

「ここが学校の食堂?」

 

天井高すぎでしょこれ

 

三階の天井くらい高さあるんじゃないか?

 

しかも光源がシャンデリアてお前、いくら何でもやりすぎでしょう

 

「そうよ。あと、少し人がいるから口調に注意なさい」

 

ああ、ほんとだ、人いるわ

 

高そうなテーブルに意識がいってて気付かなかったわ

 

「申し訳ございません」

 

っていうか場所によってテーブルが違うって無駄じゃね?

 

何で同じ部屋の中で違うテーマの空間作ってるの?

 

あ、メニューがある……分厚くね?

 

うわ、パンで1ページ埋まるとか意味わかんねえ

 

「ここって家庭的な料理ってあるのか?」

 

「家庭的かどうかはともかく、和食も豊富だから安心なさいな」

 

独り言に答えてくれてありがとう

 

でもそれ微妙に安心できないよ

 

鯱ばった料理なんか食べても安らげないだろ

 

それにしても、

 

「これほど種類が多いと用意するのも苦労するのでは?」

 

厨房っていうか食糧庫の広さが真剣に心配になるレベル

 

あと毎日どれだけの食材が使われないまま捨てられてるのかも

 

「そうですね。なので手間のかかるメニューは曜日限定になっています」

 

そうなのか

 

「……ああ、メニューの後ろに付いてるこの火とかって曜日表記か」

 

それにしてもやっぱり多いし

 

いやまあ、庶民感覚じゃわからないこだわりか何かがあるんだろうな

 

しかしあれだな

 

食堂とかはただで利用できるって聞いてたけど、これ本当にただなのかな?

 

高級料理に縁のない俺でもわかる名前がちょいちょいあるんだけど……

 

「食堂は原則無料で利用できると伺っているのですが、本当なのでしょうか?」

 

「ええ、本当ですよ。値段が書かれていないでしょう?」

 

あ、値段がないのってそれでなのか

 

いやいや、そのくらい気付よ俺

 

思ってた以上にあっぷあっぷしてるな……

 

周りを見て落ち着け俺

 

「……んん?」

 

何か変なものが見えたような?

 

……あれ?本格的にヤバくなっちゃったのかな?

 

「あのー、あれは?」

 

おう、独り言でもないのに敬語じゃなくなってるじゃねえか

 

「従育科の生徒ですよ。土日は事前申告をすることで、ああして訓練がてら給仕役をできるようになっています。希望者が足りない場合は本職の方が入られますが、本日は従育科生のみのようですね」

 

なるほど、休日に登校して教室で勉強するようなものってことだな

 

確かにそういうやつはいるよな

 

しかし俺が聞きたいのはそういうことじゃなくてだな

 

「あの服装はいったいどういうことなのでしょうか?」

 

どう見てもあれはメイド服じゃん

 

手首まである長袖に踝まであるロングスカート、深い藍色の服に真っ白なエプロンって

 

世の中にはメイド喫茶なるものが存在するらしいけど、ここそういう場所じゃないよね?

 

「あれが従育科の女子用制服ですよ?ご存じなかったのですか?」

 

あら吃驚!みたいな顔で言うな!

 

そんな奇天烈な制服なんて予想できるか!

 

「一応確認しておきますが、男性は確かモーニングコートですよ?」

 

それは何の確認なのでせう?

 

まさか俺が男子制服もアレだというありえない発想をしていないかどうかの確認じゃないよね?

 

「きちんと着用できますか?」

 

あー、そういうことね

 

うん、そうだよね、知ってた知ってた

 

「あいにくとモーニングコートなるものがどのような衣服なのかも存じておりません」

 

モーニングっていうからには朝が関係してるのかな?

 

「そうですね、タキシードのようなもの、といえばわかりますか?」

 

それならまあわかる

 

……わかるんだけど、

 

「結婚式や舞踏会で着る上等な衣服だったと記憶しておりますが」

 

「ええそうですね。もともと執事というのは貴族の三男坊などしか就けない仕事でしたので、その名残なのでしょう」

 

マジで?

 

そんなん初耳だわ

 

その辺の庶民は就けない仕事だったのか

 

「一つ伺いたいのですが、貴方は編入に際して制服のことは調べなかったのですか?」

 

「どこかで買うならいざ知らず、支給されるという制服のことなど意識の外でしたね」

 

いやぁ、これはとんだ落とし穴があったもんだ

 

本格的に転校を考えるべきかしら……

 

まだ初日だし授業一個も受けてないのになぁ……

 

「ところで、こちらも一つ伺いたいのですが」

 

「何でしょうか?」

 

「いやに耳目を集めているようなのですが、これは一体?」

 

ここに来たときはもっと話声とか聞こえてたし、こっち見てる人もいなかったと思うんだよね

 

なのに今は話声なんて聞こえないしみんなこっち見てるし……

 

音楽が流れてるのに何か緊張で汗が出るくらい静かっておかしくない?

 

「そうですね。しかし、仕方のないことですわ」

 

仕方ないことなのか?

 

「ここは昨年まで男子禁制の学校でした」

 

それは知ってる

 

「生徒数も少なく、高等部は三学年合わせても150名程度です」

 

それは知らんかった

 

しかしまあ、敷居の高さを考えればそんなもんかなって気もするな

 

「その中で今年新設された従育科は当然一年生しかいません」

 

まあそうだわな

 

ただの普通科ならともかく、職業養成所の側面があるんだからいきなり高学年の生徒が入るとかありえんわな

 

「その人数は20人程度です」

 

またえらく少ないな

 

ただなんだから応募はそれなりにあっただろうに

 

「その中で男子はたったの3人しかいません」

 

……は?

 

いやいやいや、おかしいでしょ

 

何でそんなに偏ってるの?

 

「上育科の男子はもっと少なく、たったの1人しかいません」

 

そっちはまあ、わからんでもないかな

 

理由があってるかどうかは自信ないけど

 

「つまりですね、貴方を含めても全校合わせて男子は5人しかいないんです」

 

そりゃ確かに耳目を集めるな

 

単純計算で30人に1人しかいないんだもの

 

「おまけに、ここの敷地内には中等部もあります」

 

中学生には専門コースなんて用意できんわな

 

ってことは男女比はもっと酷いことになってるのか

 

「その人数だと男子寮は……」

 

「上育科の男子寮は用意されていますが、従育科の男子寮は同女子寮と共用です」

 

何で1人しかいない上育科用があって従育科用はないんだよ!

 

いや、学校に金払ってるのは上育科だけだから、まあ、妥当な判断ではあるんだろうけどさ

 

「もしかしなくても男子って立場弱い?」

 

「ええ、非常に弱いですね。ただでさえ共学化には反対が大きかったのですが、ここ最近生徒の盗撮写真が出回っているという噂があったり、私物がなくなったという報告があったりもしますので」

 

何それタイミング最悪じゃん

 

校門の物々しさ考えたら内部犯しかありえないって気がするし

 

「ですので、上育科の生徒と接する際には十分な注意を怠らないようにしてくださいね」

 

それが自分の身を守ることになるってことか

 

早く捕まれ盗撮犯!




続いた!
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