れでぃ×ばと?   作:ガラフ

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第一話之六

はあ、逃げたい

 

このまま職員室に行って挨拶済ませて寮部屋に引きこもる……

 

あ、寮は相部屋とか言ってたっけ?

 

じゃあルームメイト次第じゃ部屋でも安らげない可能性があるのか

 

「ちょっとそこの貴方」

 

静かな相手じゃなかったらどこで休めばいいんだ?

 

「ちょっと、聞こえてませんの?貴方!」

 

こういう感じのやつがルームメイトだったら泣けるな

 

「私を無視するとはいい度胸ですわね!」

 

誰だか知らんが早く相手してやれよ

 

「貴方ですわよ!あ・な・た!」

 

「イタタタタタ?!」

 

何?!何なの?!

 

「貴方何者ですの?視たところここの生徒ではないようですけど、どこから入ってきましたの?」

 

人の耳引っ張りながら聞くことがそれか?!

 

「俺はここの編入生だよ!耳離せ!」

 

ったく

 

耳から嫌な音したじゃねぇか

 

「おー痛ぇ。凶暴なやつも居たもんだな」

 

「私のことを無視するからですわ」

 

それだけで耳引っ張るやつは間違いなく凶暴だよ馬鹿野郎

 

「何ですの?その目は。今の時期に見知らぬ男がいたとなれば警戒して当然ではなくて?」

 

当然ではなくて?

 

いやいやねーから

 

「あら?貴方もしかして最近の不審者騒動についてまだご存知ないのかしら?」

 

そういえばそんなこと言ってたな

 

それで男子の肩身が狭いんだとかなんとか

 

「確かに一人でいたら不審者か。迂闊だったな」

 

とはいえあの中から付いてきてもらうとしたら消去法でピナ一択だろ?

 

それはそれで不審者っぽくね?

 

「納得したなら早く職員室にお行きなさいな。場所がわからないなら連れていってさしあげてもよろしくてよ?」

 

何だろう、この微妙な感じ

 

親切で言ってるみたいだけど、耳の事があるから嫌味にしか聞こえねぇや

 

「人を待ってるんでね。後でそいつに案内してもらうから大丈夫だよ」

 

しかしまぁ、改めて見るとえらい別嬪さんだな

 

「つーか、何でドレス?」

 

パーティーでもあるのか?

 

「あら、外へ出るときに着飾るのは当然ではなくて?」

 

確かに女ってそういう生き物かもしれんが、限度があるだろ

 

その言い種だとドレス=私服ってことだろ?

 

「目のやり場に困るんだが」

 

不審者ってお前のせいで発生したんじゃね?

 

いやまあ、こいつとは関係ない所で被害出てるし、流石にそれはないか

 

「あらあら?サマードレス程度で目のやり場に困るようでは執事は務まりませんわよ?」

 

何その小馬鹿にしたかんじ

 

あとその然り気無く肢体を魅せるのやめろ

 

「襲ってやろうかこの野郎」

 

「そうなったら死罪ですわよ?」

 

にっこり笑顔で恐ろしいこと言うな

 

あとその素振りさ、どう見てもお嬢様のへなちょこパンチじゃないんだけど

 

格闘家並みにガッツリ腰の入ったパンチなんだけど

 

「えらく本格的なパンチだな。ドレスよりレスラーのリング衣装の方が似合うんじゃないか?」

 

お色気路線の衣装にネタじゃ済まないパンチ

 

それなりに固定客取れそうじゃん

 

いやでもレスリングは格闘技じゃなくて見世物だからパフォーマンスができないとダメなんだったか

 

「貴方、私のことを馬鹿にしていますの?」

 

その怖い笑顔やめーや

 

「悪かったって。耳の分だ、許せ」

 

「わかっていますわ。そうでなかったらその言葉遣いに文句をつけているところでしてよ」

 

言われてみれば言葉遣いには文句を言われてなかったか

 

そういうの煩そうなのにな

 

「これは失礼いたしました、お嬢様。ワタクシ、藤原清衡と申します。以後お見知りおきを」

 

「セルニア・伊織・フレイムハートですわ。好きにお呼びなさい」




出番キャンセルされたはずが、散歩の休憩に来たらしい

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