ルーデウス来たら本気だす~改訂前&失敗作置場~ 作:つーふー
プロローグ 『それまで無職だ』
私の名前はリベラル。
性別は女。
種族は龍族と魔族と人族のミックス。
チャームポイントは、緑と銀色のメッシュな髪型だろうか。
あまり伸ばしすぎると頭洗うのもめんどいし、邪魔くさいのである程度短く整えている。
そして私は美人だ。
これ大事ね。
鏡の前で思わずポージングをとってしまう程に、美人なのだ。
肌も何故か日焼けしないから真っ白だし。
褐色もいいけど、私はやっぱり色白が好きだ。
そんな私のコンプレックスは瞳である。
見るものを恐怖に陥れる三白眼だ。
ボーッとしていたら「睨んでんじゃねぇよ!」ってチンピラに絡まれたことがあったりする。
わけわからん。
目元を引っ張ってどうにか笑みを作ろうとしたらキレられた。
勿論、返り討ちにしたが。
それはさておき。
唐突なカミングアウトをさせてもらうが、私には前世の記憶というものがある。
日本でちょっと頭おかしく過ごしていた頃の記憶だ。
まぁ、そんな昔のことはどうでもいいだろう。
男か女かもどうでいい。
どうしてそうなったのか心当たりはあったりするのだが、取り合えず転生をしていた訳である。
しかも、ここはとある人物の作品で見たことのある世界だった。
『無職転生―異世界行ったら本気だす―』
タイトルで損していそうな作品だ。
もう少しカッコいい名前でも、良かったんじゃないかと思う。
しかし、中身は大変素晴らしいの一言に尽きる。
前世では腐れニートであった主人公ルーデウス氏の成長物語だ。
過去の失敗を繰り返さぬよう、本気で生きていくことを誓った男の物語である。
そんな世界に、私は転生したのだ。
そして、更に驚く事実もある。
私の親はラプラス。
魔龍王ラプラスだったのだ。
彼はこの世界において、魂を真っ二つにされたことで魔神と技神と呼ばれる存在になるキーパーソンだ。
緑と銀色の斑模様をしたキモい髪をしていたので、すぐに分かった。
いや、親に対してキモいとかどうなんだって思うだろうけどさ、
ラプラスが動く度に斑がウゾウゾ蠢いてるように見えるんよ。
申し訳ないが、変な細菌が纏わりついてるようにしか見えん。
それと母親は、既に死んでるのでいいだろう。
ラプラスの実験が原因で、とうの昔にポックリ。
私を生むと同時に死んだらしい。
とは言え、顔も見たことがないので、正直そのことを悲観することもなかった。
そう、私は過去を振り返らない女なのだ。昔のことは気にしないことにしている。
それで、だ。
原作知識を持ってる私は、ラプラスが子供を作っていた事実に困惑していた。
彼は未来に転生するであろう龍神の息子であるオルステッドに、自身の持つ技術や知識を伝えることを目的としている。
全てはモザイクマンことヒトガミを打倒するために。
人神の打倒は龍族の悲願である。
奴はたくさんの人々を騙し、己の目的の為にゲスな企みをよくしている。
ヒトガミによる被害者は故郷を失ったり、恋人を失ったり、世界そのものを失ったりしているほどだ。
人神はたまに被害者面をしているときがあるが、自業自得だろう。
話がずれてしまった。
とにかく、そんなヒトガミを打倒せんとするオルステッド社長に、龍族の技術と知識を伝えるのがラプラスの役目である。
そしてそこに、私という存在は必要ない。
そもそも彼には転生法と呼ばれる裏技があるのだ。
子孫を残さずとも生き長らえる手段がある。
なのに、どうして私を生み出したのやら。
なんて深く考えていたが、理由は単純なものだったけど。
保険。
それが私の存在理由だった。
もしも、なんらかの理由で使命を果たせない時の保険。
そんな事態に備えて、私を生み出したらしい。
実際にラプラスは人魔大戦にて闘神に魂を真っ二つに“されちゃった"訳なので、その保険には意味があったのだが。
が、龍神の意思を継いだ私のパパンにも1つの誤算があったわけで。
私だ。
本来ならば、私はラプラスの娘であるリベラルとして誕生していた筈だった。
娘に己の技術と知識を授け、共にボッチな人神を苛めるために。
けれど、イレギュラーな存在である私が、本来のリベラルちゃんの魂を乗っ取っている。
まぁ、彼ら龍族の転生は魂を乗っ取るらしいので、それが自分達に返ってきたと思っておこう。
自業自得だろうって。
そう思わないとやってられないし。
しかし、子作りをしているとはラプラスさんもやることやっちゃってるんすね。
さて。
本題だが、私はラプラスの意思を継ぐつもりはない。
オルステッドは放って置いても無限ループの中で勝手にスクスク育って最強になるし、私から技術を伝える意味などない。
それどころか、下手すれば社長に殺されちゃう。
私は少し、多少、結構、それなりに歴史を改変してしまっているのだ。
つまり、ループ開始時点で、オルステッドの知る歴史から外れてしまっている。
私という存在はあまりにもイレギュラーだろう。人神の使徒と勘違いしていることは間違いない。
それに、現龍神の相手などしてられない。
あんなのと付き合うのはお断りである。
ドチャ。
グハッ。
チーンよ。
胸を貫かれる未来が見えるな。
ワンパンだよワンパン。
それは嫌だな。
なので、オルステッドからは隠れることにした。
そして、ヒトガミに関してだが…。
これに関してはどうしようもないで、放置している。
だって、こちらから干渉出来ないのだから、為す術ないし。
それに、何故か知らないが、第二次人魔大戦以降、人神からの干渉がないのだ。
理由はよく分かっていない。
ヒトガミは転移事件と呼ばれるものが起きるまで、主人公であるルーデウスの存在を知覚することが出来なかった。
その理由は恐らく、未来でルーデウスはヒトガミと敵対することがなかったからだろう。
もしくは、未来で改変が起きなければルーデウスが誕生せず、死産となっているから。
どちらにせよ、転移事件が始まりのターニングポイントになる。
それに、ヒトガミは強力な未来視を持ちこの世界を見渡してるみたいだが、モブの一人一人を見ている訳ではないだろう。
興味のある存在や、その周辺にいる者を観察しているくらいの筈だ。
人間観察が趣味みたいな痛い奴である。
ボッチもそこまで極めれば凄まじいものだ。
話がずれてしまったが、つまり、私は人神の驚異になりえないと判断された可能性がある。
人神が見ているのは未来なのだ。だからこそ、行動を起こされる前に芽を摘み取る。
既に未来への布石は打たれており、私は対応済みになっているのかも知れない。
この辺りのことは人神に直接聞きでもしなければ分からないだろう。
そして、ヒトガミはオルステッド社長だけではどう足掻いても倒すことが出来ない。
ルーデウス・グレイラット。
七星 静香。
篠原 秋人。
恐らく、この三人の存在が無ければ無理なのだ。
例え、何千何万と世界を繰り返そうが、オルステッドだけでは倒せない。一人では、倒せないのだ。
ヒトガミはボッチなくせに、それほどまでに強大なのだ。
そもそもな話、オルステッドは呪いが原因で、誰かとコミュニティを組み立てることが出来ないのだ。
なので、ルーデウスによるオルステッドコーポレーションの建設は必須条件である。
つまり、そう言うことだ。
私はヒトガミと敵対しない。
敵対しないから、ヒトガミは干渉してこない。
敵対しないから、オルステッドとは関わらない。
ラプラスの無念は理解しているが、こればかりは許して欲しいのだ。
私は負け戦を仕掛けるほど、執着心はない。
死ぬことに恐怖はないが、無駄死にはしたくない。
だからこそ、ラプラスを…闘神に敗北する父親を見殺しにしたのだ。
けれど、許して欲しい。
全ては悲願のために。
これは一度きりの奇跡だ。
それすらも無為にする可能性があることも自覚している。
私という特大のイレギュラーが混じり込んだ世界。
原作知識などという、観測者としての記憶を持った奇跡。
けれど、それだけでは足りない。
足りないから、仕方ないのだ。
倒せないのであれば、奇跡に価値などないから。
私は動くつもりなどない。
働きたくないでござる。
タイトル通り私は無職でいい。
無職に転生だ。
そのスタンスを貫く。
けれど、もし。
もしも。
甲龍暦500年に改変が起きるのであれば――。
甲龍暦417年に転移事件が起きるのであれば――。
甲龍暦407年に奇跡が誕生するのであれば――。
その時が、物語の始まりだ。
人神と龍神の長い因縁に決着をつける時。
――そう、だから私は、
「ルーデウス来たら本気だす」
それまで無職だ。