ルーデウス来たら本気だす~改訂前&失敗作置場~   作:つーふー

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失敗作ドーン!
存分に白けやがれぇ!


~ボツ集~
ボツ作品 『ラプラスとロステリーナの二人と戯れるお話』


 

 

 リベラルが嫌われていたのは、その身に呪いがあったからである。

 

 他者に畏怖され、憎悪されてしまう呪いだ。

 だからこそ、つい最近までロステリーナと仲良くなれなかった。

 

 しかし、それももう終わりだ。

 

 

――――

 

 

 

 

「フンフンフフーン♪フンフフーン♪」

 

 ラプラスと和解することの出来たリベラルは、鼻唄をしながら上機嫌な様子で、家の中を歩いていた。

 先程まで『龍神の神玉』について研究していたのだが、少しばかり詰まってしまったので、息抜きをしていたのだ。

 と言っても、家の中はそれほど広くもないので、途中からは部屋の掃除へと切り替わっていた。

 

「お?」

 

 ふと、家の外を眺めたリベラルの視界に、少女となったロステリーナの姿が映る。

 どうやら、洗濯物をしてくれていたのか、服をカゴに入れてえっちらおっちらと歩いていた。

 

「んー…」

 

 リベラルは以前のことを思い返し、自身の手に着けた腕輪を見る。これのお陰で、今の彼女は呪いの影響を周囲に与えることがない。

 今ならば、かつて出来なかったロステリーナの手伝いが出来るだろう。好感度上昇イベントだ。きっと、うなぎ登りになる筈だ。

 

 そうと決めたリベラルは、早速家から飛び出し、ロステリーナの元へと駆け寄った。

 

「ロステリーナ、私も手伝いますよっ!」

「ひゃ!」

 

 リベラルが後ろから突然抱き付きついたためか、ロステリーナはビクンとからだを跳ねさせ、驚いていた。

 しかし、そんなことお構い無しで、リベラルはその手を離さない。

 

「リ、リベラル様! 動きにくいです!」

「ハハハ、何言ってるのですか。ロステリーナごと私が運んで上げますよ」

 

 そして、リベラルは洗濯物を抱えたロステリーナごと持ち上げる。

 

「降ろしてください!」

「まあまあ遠慮しないで。私に全部任せたまえ!」

 

 リベラルは嫌がるロステリーナを無視し、脇の下から通した腕を自身の側へと抱き寄せた。

 そのままぺちゃんこなおっぱいの感触を堪能していた。

 

「ひゃあ! どこ触ってるのですか! くすぐったいですよ!」

「うへへ、不可抗力ですよお嬢様ぁ…仕方ないことなので諦めましょうや」

 

 暴れたところで、龍族であるリベラルには力で敵わない。それどころか、ラプラスに伝授された技術もあるのだ。

 龍族秘伝の拘束術により、ロステリーナはもがくことすら困難であった。

 それに、もしも洗濯物を地面にばらまいたりしたら大変である。ロステリーナは抵抗を諦めた。

 

「さあ、行こう子猫ちゃん。私たちのユートピアへ」

 

 ロステリーナはお持ち帰りされてしまった。

 

 

 呪いがあった時は、そもそも近寄ることすら出来なかった。関わろうとすれば泣き出し、明確な拒絶を受けてしまう。

 そのような反応をされれば、流石に自重はするし、そもそもそんな気分にもならなかった。

 ラプラスと和解する前は、空気が重たすぎた。それに、そんな馬鹿なことをしていれば、間違いなくラプラスに殺されていただろう。

 それくらいの空気は読めるし、やはりその時も気分が乗る訳がなかった。

 

 しかし、その枷は取り除かれた。

 

 呪いは抑えられているし、ラプラスとは和解した。それに、やりたくもない鍛練をする必要もなくなった。

 リベラルは素晴らしい解放感に包まれ、充実した気持ちに満たされる。そう、ようやくリベラル《自由》になれたのだ。

 つまり――今やリベラルの中から自制の文字が消え去っていた。

 枷から解き放たれた以上、そんなくだらないものに縛られるリベラルではなかった。

 

 

――――

 

 

「ふー、お仕事終わりです!」

 

 数日後、サレヤクトへの水やリを終えたロステリーナは、額の汗を拭い、一息ついていた。

 

「いっぱい汗かいちゃいました…水浴びがしたいのです…」

 

 サレヤクトへの水運びは、運べる水の量の問題により、1往復では終わらない。重たいバケツを持ちながら何往復もして、ようやく終わるのだ。

 疲れてしまうのは当然のことだろう。それなりの重労働をこなしたのだ。だからこそ、ロステリーナは汗をびっしょりとかいており、服をからだに張り付かせていた。

 

「……大丈夫ですね。お洗濯もお掃除もバッチリです!」

 

 グッと拳を握り締め、笑顔を溢す。

 他にもやるべきことがあるのかを確認出来たロステリーナは、汗を流す時間があったことに、ちょっぴり喜ぶ仕草を見せていた。

 

「お?」

 

 その時、ふと近くから声が聞こえる。銀と緑の髪色をした、青年ほどの少女が近くにおり、ロステリーナへと駆け寄っていた。

 リベラルだ。

 

「水浴びするのですか? アラ、いいですね。びっしょりと滴る汗から、子供とは思えないほどのフェロモンを感じますよ! 大変そうなので私もお供します!」

 

 リベラルはそこはかとなくいやらしい感じの笑みを浮かべ、そんな提案をしてくる。

 しかし、ロステリーナは以前に洗濯物を運んでいた時のことを思い出し、無意識の内に表情を歪めていた。あの時、何度もからだをくすぐられたりして、大変だったのだ。

 ロステリーナの純粋な心に、僅かな陰りが出た瞬間である。

 

「では、お風呂に行きましょう」

「ひゃ!」

 

 以前のように、リベラルはロステリーナをひょいと持ち上げてしまう。こうなってしまった以上、もはやロステリーナに抵抗する術はない。

 

「いやー、偶然一緒になっちゃいましたね。でも、偶然じゃ仕方ありませんよね。一緒に洗いっこしましょう!」

「ひっ」

 

 あっという間に浴場へと辿り着いたリベラルは、瞬く間にロステリーナの服を脱がせる。

 かつてリベラル自身も味わった、ラプラスの武器を奪う技術の応用技だ。ろくに強さを求めていない割には、このような実用的なことだけは、ちゃっかりとマスターしていた。

 自分の服も脱ぎ去り、ニチャっとした顔をする。

 

「ムフフ…」

 

 気色悪い笑みを溢しているリベラルを他所に、ロステリーナはどうしてこうなったのだと溜め息を溢す。

 最近の彼女は、どうにもスキンシップが激しくて困っているのだ。それに、どれもこれもが強引であり、抵抗する術なく連れ去られてしまう。

 とは言え、ロステリーナ自身も、こういった他者との触れ合いに憧れていたりするので、強く拒絶することも出来ない。

 

 ロステリーナもまた、呪いをその身に宿す存在だ。生まれ育った故郷ではろくに他者と関わることが出来ず、ラプラスに拾われるまでは孤独であった。

 なので、彼女としても呪いを抑えられたリベラルの強引さに、納得をしている。他者と触れ合いたい気持ちが分かるのだ。

 故に、ロステリーナは抵抗を止めて、なされるがままに受容する。

 

「おやおや、大人しくなって…私の按摩術の虜になってしまわれましたか?」

「…………」

 

 だが、許容するにも限度と言うものがある。

 

 いやらしい手捌きで全身を撫で回すリベラルに、ロステリーナは気持ち悪さによる鳥肌を立てていた。

 ゾワッとした感覚だ。身の危険を感じ取り、彼女は目に涙を浮かべてしまう。

 

「き……」

「き? 気持ち良いですか!」

 

 そんなことに気付かないリベラルは、ふと漏れ出したロステリーナの言葉に、過剰とも言える反応を見せるのだったが、

 

「キモいですリベラル様…」

「グハッ!」

 

 当然とも言える言葉に、吐血する勢いで倒れ伏せるのであった。

 

「も、もう止めてください…リベラル様…」

 

 ついに涙を溢し、泣きながら懇願するロステリーナに、リベラルはワタワタと動揺してしまう。

 今更ながら、調子に乗り過ぎたことに気付くのであった。これが欲望に目が眩み、引き際を誤った者の末路である。

 

 泣き出してしまったロステリーナを、なんとか宥めようとするリベラルであったが、効果はいまいちのようで泣き止んでくれない。

 それどころか、益々リベラルを拒絶する色を出し、事態が収まるどころか悪化していた。

 

(クッ、しくじりましたか…宥める時に『ハハッ、軽い冗談さ。でも、君がそれだけ魅力的なんだ』なんて言いながら、お尻を揉んだのは失敗でしたね……)

 

 どうやら、ただの自業自得であった。

 

「まあまあ、ちょっとした冗談です。泣き止みましょうよロステリーナ」

「ヒクッ…」

 

 言っている台詞が、完全にクズ男のようになっている。そんなもので、ロステリーナが泣き止む訳もなく、

 

「グスッ…リベラル様なんて…大っ嫌いです…!」

「なん…だと…!?」

 

 真っ裸で泣いてる少女の前で、悪い笑みを浮かべている少女。虐めのような現場である。女の虐めが苛烈だと分かる一場面だ。

 しかし、ロステリーナに明確な拒絶を受けてしまったリベラルの衝撃は計り知れない。まるでこの世の終わりのような表情を浮かべ、絶望する。

 

「おや? 二人とも水浴びをしてるのかい?」

 

 そこに、響き渡るひとつの声。ラプラスだ。

 浴場から響く声を聞いたラプラスが、二人がいるのか確認しに来たようである。恐らく、泣き声も聞こえたのであろう。だからこそ、態々やって来たのだ。

 

「ラプラス様ぁ!」

「おっと」

 

 そのことに気付いたロステリーナは、動揺していたリベラルの拘束を振り切り、素っ裸のまま浴場から飛び出した。

 そのままラプラスへと抱き付き、彼の胸に顔を埋めて泣き出す。

 

「どうしたのだい? 服も着ずに飛び出して」

「リベラル様が…リベラル様が何だか怖いんです…」

「怖い? リベラルがかい?」

「はい…全身を撫で回してきて、何故か舐めようとしてくるのです…」

「なに…」

 

 その話を聞いたラプラスは、絶望にうちひしがれて裸のまま四つん這いとなっていたリベラルへと視線を向けた。

 

「何をしているのだリベラル…」

「あ、ラプラス様…どうやら私にはまだ呪いがあるようです…」

「訳の分からないことを言わないでくれ」

「でも、ロステリーナに逃げられました…」

 

 どうやらそのことが余程ショックなのか、リベラルは錯乱状態に陥っていた。

 

「私、ロステリーナに嫌われてしまいました…もう生きてけません」

「短絡的だな。理解に苦しむよ」

「えへへ、だって、私、子供、好き、愛でる、大好き」

「何で片言になってる…」

 

 そこで、リベラルはハッとした表情をする。

 

「あ…ラプラス様…ラプラス様だ…うへへ…格好いいなぁ…」

「おい」

「お父様…近親…禁断の愛…」

「おい」

「ラプラス様となら、私…構いません…」

 

 四つん這いの姿勢を崩し、意味不明な言葉を発しながら赤面するリベラル。これには流石のラプラスも狼狽えた。

 

「ラ、ラプラス様…リベラル様が怖いです!」

「……何だこれは…どうすればいいのだ…」

 

 人は、理解出来ぬ事態を目の当たりにした時、思考することが出来なくなる。

 その硬直の瞬間を見切ったリベラルは、カッと目を見開き、四つん這いのまま二人に飛び付いた。

 これこそが、北神流『四足の型』の原点となる誕生であった。

 

「うひょおお!」

「ふんっ!」

「ぷぎゃあ!!」

 

 が、当然ながらそんなものを食らうラプラスではない。飛び付いてきたリベラルの顔面に、反射的に拳を叩き込んでしまう。

 リベラルは鼻血を撒き散らしながら吹っ飛び、幸せそうな表情を浮かべて気絶した。

 

「ハァ……どうしてこうなった…」

 

 娘の残念っぷりにラプラスは父親として悲観し、溜め息を溢す。娘のこんな姿を見て、喜べる訳がない。

 絶望だ。かつて龍神様を目の前で殺されたのとは、別ベクトルの絶望である。

 

「ロステリーナ。リベラルには極力近寄らないように。コイツは君の教育に悪影響だ」

「は、はい…」

 

 結局、リベラルは呪いの影響を受けていた時と同じように、ロステリーナから避けられることとなった。

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