ルーデウス来たら本気だす~改訂前&失敗作置場~   作:つーふー

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1話 『取り敢えず殴ろう』

 

 

 

 アスラ王国の貴族には変態が多い。

 これ重要ね。

 

 過去に暇潰しの一環として、グレイラット家の侍女をしたことがあった。

 その時に「その眼で俺を蔑んで罵倒してくれ!」等と、意味不明なことを頼んでくる奴がいた。

 逆に「その生意気な眼を恐怖に歪ませて屈服させたい」とか言って、私兵を使って襲い掛かってくるアホもいた。

 よりにもよってこの私を性奴隷にして、18禁のようなあんなことやそんなことをしたいと。

 あいつら怖いよ。

 モラルってものがないのだ。

 しかも、だ。

 ちっちゃい子ですら突然背後から抱き付いてきて、

 

「なぁ…スケベしようや…」

 

 とか言い出す始末。

 何か固いものを私のお尻に押し付けて来やがる。

 進みすぎだろ。

 ショタはいける口だが、実際に手を出すつもりはないぞ。

 で、そんな襲い来る狼に怯えてる私は、

 

「にゃんにゃん」

 

 現在、フィットア領にある城塞都市ロアで過ごしていた。

 私が開発した猫耳カチューシャを付けてポージング中だ。

 尻尾も魔術などと言う万能な力を使えばあら不思議。

 立派に動かすことが出来ます。

 狂龍王カオスの技術を惜しみ無く注ぎ込んだ逸品だ。

 私の宝物である。

 

「……なんだ、お前は」

 

 そんな私の目の前には、褐色できょぬーなお姉さんがいた。

 更には私と同じ様にケモ耳と尻尾をつけてる、正真正銘の獣族だ。

 露出度も高く、傷だらけなからだとムキムキな筋肉が見える。

 眼帯とかもつけて厨二な格好をしているように見える。

 が、決してカッコつけてるわけではない。

 彼女は『魔力眼』と呼ばれる魔眼の持ち主なのだ。

 

 ギレーヌ・デドルディア。

 それが、彼女の名前。

 『剣神流』と呼ばれる流派で四番目に強い女性だ。

 

「にゃんにゃん」

「…お前は獣族ではないだろう。何者だ。何故そんな格好をしてあたしたちに近付いた?」

 

 そんな彼女は、にゃんにゃんと鳴き声を上げる私に対して、殺気を剥き出しだ。

 その背後には、赤毛の女の子がいた。

 口をへの字に変え、私を睨み付けている。

 ちょっと生意気そうな感じが可愛い。

 このフィットア領の領主の娘、エリス・ボレアス・グレイラットだ。

 パチッとウインクしたら更に目を細められてしまった。

 

 馬鹿な。

 まさか私の身には嫌われ者になる呪いでもあるのか。

 

「アルバイトしに来ましたにゃん」

「あるばいと? 何だそれは。暗殺術のひとつか」

 

 一体いつからアルバイトは暗殺術になったのだろう。

 おかしい。

 何故私はここまで警戒されてるのだ。

 ギレーヌは剣に手を掛けていた。

 早く弁解せねば。

 

「いえ、違います。ボレアス家の侍女を募集していないかと思いまして。出来ることならばそこで働きたいと思っております」

「なら、何故そんな格好をしている」

「この様な格好が好みだとお聞きしましたので」

「ふむ、なるほど」

 

 ボレアス家はケモナーだ。

 記憶が正しければ、メイドさん皆が獣族だった筈だ。

 そして、淫行をにゃんにゃんと強制されていた。

 私はそんな彼女たちを救いに来たのだ。

 なんてね。

 

「と言うことで働かせてくれませんか?」

「あたしにそれは判断出来ない」

「では、分かる方にお取り次ぎをお願いします」

 

 この時期のギレーヌは頭まで筋肉で出来た脳筋だ。

 ルーデウスもいないので算術も文字を読むことも出来ない。

 もしかしたら、訳の分からないことを言うなと叫び、この提案すら蹴られて襲われるかも知れない。

 一応、身構えておくか。

 

「分かった。付いてくるといい」

「いいのですか?」

「お前が願ったことだろう」

 

 殺気が霧散した。

 警戒していたのだが、どうやら杞憂で済んだようだ。

 にゃんにゃん。

 

 なので、私はギレーヌを背後から襲った。

 ついでに隣にいたエリスお嬢様も。

 

 

――――

 

 

 甲龍暦411年。

 この世界で私は、各地を転々としていた。

 ある時は魔大陸で魔物をぶち殺し、

 ある時は大森林で獣族とにゃんにゃんしてから魔物をぶち殺し、

 ある時は中央大陸の紛争地帯で傭兵として人々をぶち殺したり。

 よくよく思い返せば物騒な生活しか送ってなかった。

 

 けれど、そんな私には身元保証の出来るものがない。

 冒険者でもないので。

 いや、正確には出来るのだが、そんなことをすればアスラ王国とミリス神聖国。

 ひいては甲龍王ペルギウス・ドーラを敵に回しかねない。

 だって私ラプラスの娘ですもん。

 400年前に大戦争を引き起こした魔神の娘でっせ。

 そんなことを公言すれば、魔神殺し(殺してない)の三英雄であるペルギウスさんが絶対殺しに掛かってくるよ。

 

 あーあ、ラプラス戦役に参加してたらこんなことにならなかったのになぁ。

 でも、自分の父親とはあんまり戦いたくなかったし、かといって魔族側に付くのもお断りだった。

 私という存在がいる時点で、歴史を改竄してしまっているが、大まかな流れまで無視するつもりはない。

 

 話がずれた。

 身元不明の私だが、過去にアスラ王国の貴族の侍女をしたことがあると言ったな。

 その方法は幾つかある。

 例えば、奴隷にでも身を落とせば簡単になれるのだ。

 豚みたいな容姿をしたオッサンが「ブヒ、この女は上物だ。私が買い取ろう。ふひひ」って餌に掛かってね。

 後は豚を飼い慣らせばいいだけの簡単な作業だ。

 勿論、今回はそんな方法は使わないが。

 てか使えない。

 

 なので、実力行使だ。

 

「貴女がギレーヌ殿の仰られていたお方ですね?」

 

 待合室みたいな場所で待っていた私の元に、執事姿の男が現れた。

 確かこの人はトーマスだったかな。

 機関車みたいな名前をしていたから覚えているぞ。

 数年後に何をするのかもな。

 

 その様子を、壁の隅にいたギレーヌが眺めていた。

 先程初めて出会った時とは違い、彼女からは覇気が感じられない。

 いやー、どうしちゃったんだろうねギレーヌ。

 心なしか目が虚ろだ。

 レイプ目になってる気がするよ。

 

「初めまして。リベラルと申します」

 

 取り合えず私はアスラ貴族に伝わるお辞儀をしておいた。

 けれど、彼はそれに反応を示さなかった。

 

「失礼ですが、その髪は…」

 

 トーマスは私の頭を見つめていた。

 なるほど。

 スペルド族と同じ緑色の髪が混ざっているのは頂けないと。

 

「ふふふ、見惚れてましたか?」

「いえ、そうではありません」

「私の自慢の髪です。どうぞ、もっと近くでご覧ください」

 

 ささっと席から立ち上がり、トーマス執事に近寄る。

 いきなり何だこいつって顔してるな。

 まぁいい。

 

「特技は腹パンです!」

 

 私は困惑した様子を見せる彼の腹に一発拳をかました。

 

「ぐはっ!?」

 

 そのままKO。

 トーマスは立ち上がることなく倒れた。

 一発で寝てしまうとは情けない奴め。

 かなり強引に事を運んでしまったが問題ないだろう。

 ギレーヌはその場で棒立ちしてるし。

 

「よしよし、では私はこれからこの屋敷のメイドさんですよ」

「……はい」

 

 彼の瞳を覗き込みながら、ヌカ族と呼ばれる魔族に伝わる魔術を発動させた。

 その瞬間に、彼もギレーヌのようなレイプ目に変わった。

 

 よかったよかった。

 上手くいったみたいだ。

 催眠術。

 

 そう、催眠術ですよ!

 エロゲーでもよくあるシチュエーションですよ!

 態々ヌカ族の集落にまで向かい、取得した甲斐があるものだ。

 未来ではオルステッドがザノバ王子に使っていたので、同じ龍族の私も使えるんじゃね?

 と思って取得したのだ。

 

 もっとも、そんな万能なものでもない。

 使い勝手は非常に悪かった。

 なので、私が現代知識を用いて少し改良したのだ。

 その結果、意識が混濁している相手をちょっとの間だけあんなことやこんなこと出来るようになった。

 ギレーヌ相手に出来るか不安はあったが、隙を見せてくれたのでありがたく襲わせてもらったのだ。

 

 と言うことで、ギレーヌとトーマスを目の前に座らせた。

 

「…………」

 

 あっ、ヤバい。

 どうしよう。

 なんかドキドキしてきた。

 

 ギレーヌの鍛え抜かれたからだを凝視する。

 抱き付いておっぱいを枕にしたい。

 私はちっぱいだからな。

 大きいのに自然と目がいってしまうのだよ。

 

 トーマスの顔を凝視する。

 結構ダンディな顔をして渋い。

 レイプ目のくせに仕事が出来そうなオーラを晒してやがる。

 思いっきり苛めて屈服させたいかも。

 乱れるところを見てみたい。

 私はSなのかも知れない。

 

「ハァ…ハァ…」

 

 息が荒くなる。

 いかん。

 男でも女でもノンケでも構わず食っちおうとするなんて、ビッチで有名なエロフのエリナリーゼ並の淫乱じゃないか。

 あれ、エリナリーゼって同性もいけたっけ?

 

「ギレーヌ! どこ行ったのよ!!」

「はっ!?」

 

 部屋の外からエリスの大音声が響いた。

 おれはしょうきにもどった。

 いや、そうじゃなくて。

 エリスに掛けた催眠が解けたってことは、ギレーヌに掛けた催眠ももうすぐで解けちゃう。

 早急に後始末をせねば。

 

「コホン、私と貴方たちは仲良くしておりました。

 なので、私に襲われたりなんてしておりません。

 だから、貴方たちに欲情もしておりません。

 そして、私はメイドさんとして採用です」

「はい」

「分かった」

 

 よし、これでOKかな。

 これで私も今日から猫耳メイドさんだ。

 サウロスお爺ちゃんの世話をしつつ、エリスを愛でるのだ。

 けど、一年後に私がどうするのか決まる。

 ブエナ村にルーデウスが生まれているのか、私はまだ調べていない。

 最近までは別の大陸にいたので、新たな水聖級魔術師が誕生したのか知らないのだ。

 

 取り合えず、甲龍暦412年にルーデウスがエリスの家庭教師とした現れなかったら退職しよう。

 そして、龍鳴山に帰って引きこもる。

 彼がいなければオルステッドは一人っきりだ。絶対に人神に勝つことは出来ない。

 なので、人神にもオルステッドにも、関わる理由がない。

 この世界線はなかったことにしよう、って奴だ。

 

 こうして、私はボレアス家のメイドさんになった。

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