真剣で私に恋しなさい!S~鳴く少女のマジ恋!~   作:Celtmyth

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 ここで原作プロローグ編終了になります。


あらすじ
『歓迎会当日。急に行きたくないと言い出した与一を説得するために大和は彼のところへ向かった。そして改めて与一の中二病の規模を痛いほどに理解する。
 なら自分も! とスイッチを入れかけたところで健美が乱入。彼女が歓迎会準備を手伝ったことを伝えると与一は参加してくれることなった。小さな活躍が、成功を収めたのだった』


第八話「ここから始まり」

 

 

 

「歓迎会、楽しかったな!」

 

 歓迎会を終え、義経は大扇島にて感謝と歓喜を口にした。

 

「そうだねぇ。与一が素直に来ていたならもっと気持ちよく始められたんだろうけど」

「ここでそれを言うか、姉御? ちゃんと来たんだからもういいだろ」

「文句でもあるのかい?」

 

 反抗的な与一に弁慶から殺気が漏れる。今すぐにでも仕置きと言う制裁が行われそうだった。

 しかしそれを、健美が2人の間に入り込んで止めた。

 

「ピ」

「……『許してあげて』、か。与一、可愛い妹分に感謝するんだな」

 

 穏やかに弁慶から殺気が霧散する。与一も見てわかる程にホッと息を漏らしていた。

 

「そう言えばあの歓迎会は健美も手伝っていたな。ありがとうな」

「そうだね。それとお前が作ったって言うお菓子、なかなか良かった。ビリッとしていたけど」

 

 思い出したかのように義経がお礼を言いつつ頭を撫で、それに乗っかった弁慶は抱き付いて頬ずりをする。絵になる、微笑ましい光景だった。

 

「ピィ」

「ああ、お前はちゃんと頑張っているぞ。これならお前は英雄になれるさ」

 

 義経の言葉に、三人から少し離れていた与一が健美を見る。健美は義経に褒められて嬉しそうだったが、与一はその笑顔の奥にあるモノを見ていた。

 

「でもまだまだこれからだね。ところで健美、この一週間で思った事なんだがろくに決闘とかしてないな? 挑戦者はいないのか?」

「ピ」

「……好敵手より愛玩動物として見られているのか。まぁ気持ちはわかるけど」

「なんと!」

 

 ここで改めて浮上してきた事実だった。偉人の存在を置くことで未来の人材たちに競争意識を高めさせ、切磋琢磨させる『武士道プラン』。それなのに健美だけがその対象に見られていないのは問題だった。

 

「でも健美はこう可愛いし、切磋琢磨する好敵手にしては迫力はないからな」

「た、確かに」

「いやそれで納得するなよ、義経。でも確かにこのままだとマープルの小言確定だな」

「なんだ与一。お前も心配なのか」

 

 弁慶が茶化すと与一は何も言わずそっぽを向いた。下手に言い返しては物理的にやられるし、何より上手い言い方を見つけられなかった。

 

「だんまりか。まぁいい、今は健美の今後だな」

「とりあえず来週で誰かと決闘をしてくれるようにお願いをするか?」

「まぁ最初の出だしはそれがいいかのね。ただその後はどうするか……」

 

 話は戻り、英雄を目指す健美のこれからについて考える二人。しかし健美を英雄として押し上げる為には決闘だけではなく、もっと別の何かが必要だ。それがどういった物なのか、思いつかなかった。

 

「おい与一、何か案はないのか?」

「って俺かよ!?」

「妹分が困ってるんだ。力になりな、これ命令」

「しかも拒否権なしかよっ!?」

 

 ――ポンッ。

 

 弁慶が与一を巻き込んだ所、健美が拳を手の平の上に軽く叩いた。

 

「健美、何かいい案が出たのか?」

 

 健美は義経の問いに、コクリと頷いた。

 

 

 

 

 ――その夜。

 

「――なるほど、俺に頼みたいと」

『そういう事。健美がお前に頼みたいそうだ』

 

 廃ビル屋上。金曜集会にしてパーティーの二次会から抜け出した大和(※実は入れかけた中二スイッチが完全にOFFになってなかったようであり、先ほどついそれを出して皆にからかわれた後である)は携帯電話で弁慶と話していた。

 

『人脈の広さ。適材適所の手腕。なにより健美はお前に懐いている。だからこそ本人はお前に頼みたいらしい』

「そりゃあ先輩として嬉しいね」

『そうだな。恐らく健美は今日の歓迎会、紋白の頼みだった今日のイベントを成功させた事も含めてるんだろ』

「紋様とは仲が良いのか?」

『歳が一番近いからね。と言っても健美があんなんだから紋白が引っ張る感じだけどね』

「それは、目に浮かぶな」

 

 大和が思い浮かべたのは健美の手を引っ張りながら前を歩く紋白の姿。それは微笑ましい光景だと思うと同時、ロリコンのハゲが暴走しかけるだろうと思っていた。

 

『それで大和、やってくれるか?』

「構わないよ。その代わり、こっちに何かがあったら遠慮なく頼らせてもらうから」

『抜け目ないな、お前。まぁ妹分の面倒を見てもらうんだ。その時はおつりが来るくらいの頑張りをしてやるよ』

「珍しいな。弁慶がそんな事を言うのは」

『私だってやる時はやるし、家族が受けた恩は倍返したいのさ。――それじゃあ詳しい話は次の学園で』

「ああ」

 

 そこで通話は終了した。

 

「健美ちゃんを英雄にする為のプロデュース計画、って所かな?」

 

 まさにアイドル育成のようだ、と大和は笑う。

 

(でもこの一週間の騒動の中だと、あの子の事が浮かぶんだよな。多分、気になってるだと思う)

 

 その気持ちにいくつかの心当たりを思い浮かべるが、そのどれかに決めるにはまだハッキリしていない。それを確かめるために、弁慶からの電話はいい機会だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ――正体不明のオリジナルを持つクローンの少女。

 

 ――彼女と共に行動することが決まった大和はただ静かに思いを馳せる。

 

 ――健美の正体を知ったその日、彼の心はどう固まるだろうか。

 

 ――静かに、そして満ち足りる夏が始まる。

 

 

 

 

 




 以上、プロローグ編の終了です。分岐する前に決まった感じですが、この作品は大和×健美なのでご容赦を。

 この作品における大和の立場は『自分の手腕で健美を英雄にする事』です。A-2の葉桜清楚√に近い感じです。ただしそれとは違うやり方で名を広めていくので、楽しみにしてください。
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