真剣で私に恋しなさい!S~鳴く少女のマジ恋!~ 作:Celtmyth
あらすじ
『
歓迎会後、義経たちは英雄を健美の事を想ってこれから先についての話題を出す。しかしいい案が浮かばなかった三人は歓迎会の幹事をやっていた大和に頼むことにした。
真夜中にその旨を伝えると快く受ける大和。そしてそれが、彼と彼女の物語の始まりだった』
休みの土日飛んで平日の月曜日。
「それじゃあ頼むよ、大和」
「ピピッ!」
「ちなみに今のは『よろしく、先輩』と言ってるよ」
「うん、よろしく」
昼休みの休憩時間初めから弁慶は健美を連れて大和の所にやってきた。ちなみに教室ではなく、廊下での合流だ。
「それでどうだい? 金曜は丸投げした感じだったけど」
「うん。最初のアピールは弁慶たちが言ったように決闘がいい。この学園なら武の実力を魅せる事が一番だからね。対戦相手も決まってる」
「それって風間ファミリーかい?」
「いや、違うよ」
「んん?」
その否定に弁慶は『違うのか?』と言わんばかりに驚いた顔をしていた。
「それはどうして?」
「俺も最初はワン子やクリスにお願いしようと思ったけど、多馬大橋での一連を見たからね。過大評価をするわけじゃないけど健美ちゃんの実力はかなり上だと思ってね」
「そこまで評価してくれるなら逆にありがたいさ」
「ピ」
「これは『ありがとう』って言ってるよ」
「どういたしまして。――それじゃあ決闘をしてくれる相手を紹介するからついて来て」
大和は手招きをしながら歩き始める。その次に健美、そして弁慶と後から続いていく。
「ってあれ?」
その途中、弁慶がこの方向がある場所に向かっていると気付く。が、指摘するのも面倒だったので黙っておくことにした。
そして大和が案内し場所、そして相手は――。
「来ましたか。ではすぐに始めましょう」
「ああ、よろしく頼むよマルギッテさん」
2-Sでそこに在籍するドイツ軍人マルギッテ・エーベルバッハだった。
決闘の礼儀に従い、健美とマルギッテは互いの校章ワッペンを重ね合わせた後、すぐにグランドへ移動していた。マルギッテは愛用のトンファーを持ち、健美は動きやすいように体操着に着替えていた。
「で、なんでマルギッテが相手なんだ?」
弁慶はこれから始まる決闘にて、特等席になるだろう場所でそう尋ねた。他には義経と与一、そしてクリスがおり、そして源氏組はこの采配が気になっている様子だった。
「さっきも言ったけど俺は健美ちゃんの実力はかなり上だと思う。でもそれだと学園内から対戦相手は限られるんだ。それこそ弁慶たちクラスぐらいじゃないと」
「そこでマルさんが適任だと大和は考えたんだ。自分としては先に戦いたかったが、マルさんは前から戦いそうにしていたから譲ったんだ」
「ああ、だから今朝から闘氣が出ていたんだな、エーベルバッハさんは」
義経が納得したと言わんばかりにうんうんと頷いた。
こうしてマルギッテを選んだ理由を一通り伝えた大和は次に、この決闘における勝敗について語った。
「それにマルギッテさんなら勝敗がどうあれ、それなりの戦いを見せる事が出来ればそれだけ健美ちゃんの実力は証明できると思ってる」
「確かに勝ち負けは重要じゃない。ここで皆に見せたいのは健美の実力だからね」
弁慶が校舎へ目を向けると、そこには多くの生徒たちが観客として今か今かと決闘を待ち望んでいた。見る限りほぼ全校生徒が観ている状況だった。ただし昼時なので昼食を片手に見ようとしてる生徒もいる。
「でも義経は健美を信じているぞ!」
「自分だってマルさんを信じてる!」
そこへ義経とクリスが2人の勝利を信じる言葉が響いた。身内びいきに聞こえるが、彼女たちは純粋に応援したい気持ちでいっぱいだった。
「まぁね、私たちの妹分はあまり舐めない方がいいからね」
「……まぁ、そうだな」
「おお、与一。お前も健美を応援してくれるんだな」
「うっ、うるせぇよ。でもまぁ、頑張れぐらいは言っておいてやるよ」
「なら自分はお前たちより上に応援してみせる」
妹分を思う源氏組に対しクリスは対抗意識を燃やす。ここでも一勝負置きそうであった。
そんなこんなをしている内にグランドの空気が変わり始める。
「それじゃ始めるヨー」
監督役はルー・イーが取り仕切る。いつでも対処できる事と、二人の決闘に際して被害を最小限に出来る事からだった。
大和たちは口を閉じ、観客たちは鎮まる。そしてこれから戦う二人は静かに戦闘態勢を取った。
「レ―――ッツ、ファイ――――――!!」
火蓋が、切られた。
(まずは小手調べ――)
合図の直後、マルギッテは先手を打とうとしたが軍人の経験がそれを止めた。そして同時にこう告げる。
『防げ』、と。
その経験がマルギッテは先手を打つのを止め、横顔をトンファーでガードした。そのコンマ0.1秒後、腕が痺れる以上の衝撃が撃ち込まれた。
「くっ!?」
痛みに耐えながらガード先を視界に捉える。そこには離れて目の前にいた筈の健美が、右足をトンファーに当てている光景だった。
「速い……、いや『迅い』!」
そう、言葉を直したのは理由がある。一つは健美がいた場所から今いる場所までの地面は沿って抉れたようなあった事。もう一つはトンファー越しに伝わり、そして何より目で見える程の雷がる事。
これはまさに『迅雷』と呼ぶにふさわしいと、そう感じたからこそ言い直した。
「はぁっ!!」
マルギッテはトンファーを振り上げて張り付いた健美を飛ばす。健美は空中で身を丸めて回転し、落下した所で後転跳びを繰り返して距離を取る。
「ピュウ……」
健美から声(※口笛じゃないよ!)が漏れる。彼女もまたマルギッテの実力に驚いていたのだ。
「……
そんな誰にも聞こえない程に小声で呟くと健美の手足から荒々しいほどの雷が発生するしかしそれは徐々に落ち着いていき、手足を纏うような形で治まった。
「――!!」
今度は鳴かず、宣言もないままマルギッテに向かっていく。しかし動くたびに轟く雷がその代わりを果たしていた。
「――ハハッ!!」
その音を聞き、そして健美が向かっている相手のマルギッテはただ笑った。彼女は歓喜していたのだ。久々に強い相手と戦えていると。それは健美の実力を認めた証拠だった。
「hasen! Jagd!」
「―――!!」
叫ぶマルギッテと、黙ったままの健美。二人は同時に一撃を放ち、そして空気が震えるほどの音を出した。
「すっげ―――――――!!」
「ああ、最初っからクライマックスな決闘だ!!」
観客の生徒たちは二人の決闘に声を張り上げていた。弁当片手に観ようとしていた生徒たちもそんな事は忘れ、ただただ見入っていた。
それは武神・川神百代も例外ではなかった。
(雷を応用した攻撃力と素早さ。だが何よりすごいのは動物のように出鱈目な動きに洗練されたキレがあること……)
この評価は百代でなくとも武道を嗜む者ならわかる事だった。
その理由は相手がマルギッテと言う事。彼女は軍人であり、戦い方も必然と型に嵌った様な動きをしている。そんな彼女が相手だからこそ、健美の動きがどれだけお粗末なのかが見てわかるのだ。
その上で百代はこうも思う。
「今は『武人』ではなく、『強者』の部類か」
健美が転入した日、『武人に、英雄になる』と言った意味を理解した。健美には『模範』にあるべき戦い方を持っていない。古の時代ならまだしも、現代の世でただ強いだけでは皆から認められない。ただし自分は例外だと思っている。
「それなら釈迦堂さんに近いが、健美ちゃんなら大丈夫だな」
「ほぉ。武神さんからの太鼓判とは、将来有望だね」
「ぬ?」
そこに燕が割って入ってきた。彼女は小悪魔的な笑みを見せて愛嬌があったが、油断ならない気配も漂わせていた。
「燕か。どうだ、お前からみて健美ちゃんは」
「凄いねぇ。あの実力が歴史として残っていたんなら間違いなく英雄って呼ばれてたなって思うくらい」
「私もだ。あれで歴史にないのは惜しいくらいだ」
「まぁ時代が時代だし、仕方がないかもね」
「ぬ?」
燕の発言に百代は眉を顰めた。それはまるで、察しがついているかのように。
「お前、健美ちゃんの正体の見当がついているのか?」
「フフフ、それは秘密だよん」
小悪魔的な笑顔で黙秘する。それは声をかけた時よりも底が見えないものだった。
不審と思うべきその笑顔を見て百代は、笑い返した。
「なんだかお前と戦う日が待ち遠しくなったな」
「そう。楽しみだね、それは」
百代は闘争に、燕は策謀に従って笑いあった。
「でも今は決闘の方を観戦しましょうか」
「そうだな」
しかしすぐに二人は校庭の決闘の観戦へ戻る。今は二人の戦いを観る事が先決だった。
一撃、二撃、三撃。と数えた後からすでに正確には図っていない。見積もって四十撃以上を二人は打ち合い続けていた。健美は雷を纏った拳を、マルギッテは愛用のトンファーを、衰える事無く。
「ッ!」
しかしここで健美が引いた。地面を滑る足が土を抉り、深く溝を作り出す。そして静止した同時に水を払う様に両手を振る。
「~~~~!!」
そして表情はすごく痛かったと言わんばかりに涙目だった。
「フッ、雷を纏っても硬化している訳ではなかったようですね。そんな手で私のトンファーは打ち破れないと知りなさい」
マルギッテは優勢であることに笑う――と思えたが汗が一筋に流れた。先ほどまでの打ち合いは彼女の側にも被害を被っていた。
それは彼女のトンファー。硬い打撃ではないものの、雷撃を纏った攻撃を打ち続けられたそれは焦げ跡とヒビをつけていた。
(もう防御には使えないな。それに終わっても修復に出さないといけませんね)
ここで愛用の武器を大破させるのは忍びないマルギッテは早くも決闘後の事と戦闘スタイルの変更を考える。
「……らいじん、めっさつ」
そこで健美の声が聞こえ、すぐにその方向を見る。そこには健美が自分に向かって踵落としをやろうとしていた。防御を止めたマルギッテはこの一撃を紙一重で避ける事にした。
「きょっ、こうそう」
覇気のない声で技を呟き、健美は足を振り落とした。しかしマルギッテはそれを紙一重で避けてみせた。
そして外れた健美の踵落としは、軌道の延長線上に沿って斬撃のような傷跡を地面に残した。
「っ!?」
それを見てマルギッテは恐怖と安堵の感情が生まれた。この一撃は防御していては間違いなく破られてしまい、やられていたと。すでに防御を止めて回避を選んでいた良かったと。
「……ピ」
蹴りの形をした斬撃を放った健美は距離を取る。そして一定の距離を得るとまっすぐ立ち、何かを取り出した。
「鉄球?」
遠目だったが光を反射したことでマルギッテは鉄球と判断する。パチンコ玉より大きく、弾丸並であると。
何をする? と警戒するマルギッテ。
「……ヒュ」
健美は鳴き声と同時、鉄球を弾いた。
その直後、マルギッテの回避動作を超えた一閃の雷が彼女に向かって迅った。
いいところで切ってしまい、申し訳ございません。ですが以前、『展開が早すぎ』と言う意見を頂いたことがあったので、それを踏まえて『少しじれったく』してみました。ですが前書きにもあったように意見があれば遠慮なくお願いします。辛口でも耐えます。
と言うか意見がないとみなさまが楽しんでくれているかわからないので、むしろお願いします。
それではいったん、失礼を。
追伸
健美が使った技について
「らいじんめっさつ、きょっこうそう」=元ネタはリリ○のB○Aの青髪っ娘
健美が放った一閃の雷=元ネタはお分かり、と○る科学の第三位さん