真剣で私に恋しなさい!S~鳴く少女のマジ恋!~ 作:Celtmyth
あらすじ
『
明日に本場を控え、三人で最後の打ち合わせをしていた大和、健美、燕。そんな彼らが夜道を歩いているとヒュームが立ちふさがり、そして健美とのバトルがはじまった。 結果はヒュームに軍配が上がった。すると彼は健美に向かって遠慮ない言葉を向ける。
しかしそこへ大和が反論する。自分は彼女を支えると。告白に近い宣言をした。そして同時に、燕は百代を倒すために健美を選んだことを伝える。彼女の正体を当てて、その上で協力を申し込んだ。
大和の告白は置き、健美は燕の申し出に対しては何もしなかった。
』
「行くぞ!! 我こそは――」
「ピュイン」
「ぬあぁあああああああああああああああ!!!」
名乗りを上げようとした、カンフー風の男性が容赦なく落雷に当てられた。正確には川神学園女子制服の少女の指先から発生した電撃が弧を描いて命中した。
『健美選手の雷攻撃が落ちて撃沈!! 勝者、チーム欣喜雀躍!!』
実況からの宣言から観客が沸き立つ。
今日は待ちに待った若獅子タッグトーナメント。その予選を、実力者たちは着々と本戦へと勝ち上がっていた。
一試合を終えたチーム欣喜雀躍こと燕と健美は控室から離れて自動販売機コーナーにいた。
「いやー。見事な一撃だったね。私が動く暇なんてなかったよ」
「ピュイ」
「えっ、『最初から動く気なんかなかったんじゃないか』って? まさか~、そんなとないよ~」
「…………」←いっさい信用していない眼差し。
「……ごめんなさい。その通りです。だからその目を止めて頂戴」
地味に来たのか、小悪魔的な笑顔から一転して燕は自身の嘘を認めて謝った。それを見て健美は大げさなくらいに胸を張って頷いたので許してくれたようだ。
「でもこれであと一試合で本線進出が決まるよ。大物と当たらなくて幸運だったね」
「ピュイ、ピ」
「『なんで当たらないんだろう』? うーん、神さまのお導き?」
「ピ」
「別にキリスト教徒でも神道に精通していないからね」
少しボケた内容が混ざっているが、彼女たちもあと一試合で予選通過となり、本選出場となる。そして燕が言ったようにこれまで苦戦を強いられるようなチームとぶつかることなく進められたのでまさに幸運だったと言えるだろう。
「そう言えば義経ちゃん達もチームも順調に勝ち上がってたね」
「ピ」
「ほぉ。意外にライバル心メラメラだね。『戦うのが楽しみ』だなんて」
「ピュイ」
「なるほど。青春だね」
ニヤニヤと、健美が最後に言った言葉を聞いてそんな評価を呟いていた。燕の様子から本当に青春チックな甘い言葉だったのかもしれない。
「あ、でも今度は私にやらせてね。私としても家名を上げるだけあげたいからさ」
「ピ」
「うん、ありがとね。――で、昨日の返事は?」
そして唐突に今日の試合の話から昨日の申し出に切り替わった。
「……ピ」
「確かに『気があったら』って言ったよ。だから今日また気が変わってないか確認したの」
「ピッピ」
「なんでそこまで拘るのかって? 実は今まで色々な手回し・下見はしてきて隙や弱点を見つけられたけどやっぱり足りない。百代ちゃんのメンタルを揺さぶりでもすれば可能なんだけど、さすがにそこまでは出来なかった。残されたのは外部戦力しかない」
「ピピ」←自身を指差している
「うん、健美ちゃんが一番の戦力だって判断した。雷の属性だし、それにマルギッテとの試合で『全力』じゃないって気付いてたからね」
その言葉に健美の髪がピンと立った。本人にしてみればその時に見破られていたのかと言う驚きだった。
「あの時は確かにうまく隠していたみたいだけど、残念だけど私もそっち系だよ」
「ピィ」
「そっけないね。まぁそう言う訳だから健美ちゃんを選んだわけ。ヒュームさんが言ってたように『本性』を隠している健美ちゃんを。もしかしたら百代ちゃん並の闘争心に匹敵するかもしれにゃいっ!?」
いきなり燕が悲鳴を上げた。原因は健美が出した雷(微弱)が彼女の体に感電したせいであった。
「ピピ」
「『誰がいるのかわからないから、余計な事は言うな』ね。ごめんごめん、確かにその通りだわ」
自分らしくなかったな。そう反省しながら燕は痺れた所を優しく撫でる。しかし逆に勘あげればそれだけ自分が焦っていると言う事でもあり、意志を持ちようを気を付けるべきだと気付くことが出来たと思う事にした。
「おっと、そろそろ次の試合の時間だ」
「ピュウ。ピィ」
「次の相手? えっと確か――凸凹マシンガンズだっけ」
「西方十勇士が一人宇喜多秀美!」
「おなじくあまごはる!」
次の対戦チーム凸凹マシンガンズは天神館の二人だった。パワー系の秀美とスピード系の晴、その他色々な対極の長所をそれぞれ兼ね備えているから凸凹なのだろう。
「西方十勇士か……。今までの相手チームより強いだろうね」
「ピピ」
「うん、さっき話した通り。私がやるよ」
「ピ」
健美は譲る様に一歩下がり、燕は挑むように一歩出た。
「私が相手だよ。健美ちゃんばっかり頑張らせたくないからね」
「えっ、マジで! ウチとしてはその小鳥娘より松永さんと戦ってみたかったんや!!」
「それはちょうどいいね」
「おい、わたしをわすれるな」
二人だけで盛り上がりそうだった所を晴が諌める。が、その目は鋭く燕を捉えていたのでこちらも戦いたくて仕方がなさそうだった。
「モテモテだねぇ~。でも時間をかけちゃ衆目は集められないんだよね」
「ピュイ」
「ん、『礼を欠かない』? う~ん、それもそうだね。なら、二人同時に行こうか」
燕はこの試合での立ち回りを決め、軽快にステップを取る。
そして、試合の合図が鳴った。
「ほな、行くでぇえええええええええ!!」
「こら、さきばしるな!」
合図と共に秀美が燕に襲い掛かる。晴はその猪突猛進な行動をとった相方に対して怒鳴るも、その動きは彼女の隙をフォローするかのようだった。
「どっせぇいっ!」
そして秀美は勢いをそのまま乗せたハンマーを振り下ろした。会場が揺れ、ハンマーを振り落とした跡から煙が舞う。
「ふぅ、一撃で終わったか?」
「ばか、まだ――」
「ん?」
勝利を確信した秀美。が、そこへ晴が何かを伝えようとしてその言葉が途中で途切れた。
秀美が振り返ると、相方である晴が倒れていた。
「あれ、いつのまに!?」
「――ついさっき。てなわけで貴女にも一発」
驚く秀美の後ろから燕の声。そして彼女は対応させる間もなく、鍛えられぬ箇所に一撃を与えた。
「あうぅ……」
秀美の巨体は音を立てて倒れた。
『なんと!! 同時に二人も気絶させた燕選手!! ルール上一人だけでいいのだが、こちらが確認する間もなく同時撃破だ!!』
『単純に無駄なく動いたんだ。宇喜多のハンマーを避けた後、尼子に接近して手刀。その後すぐに戻って宇喜多を沈めた。見事だ』
興奮した実況が大々的に叫び、それに合わせ百代が簡潔に詳細を伝える。それには観客たちも大きな歓声を上げるのだった。
『これまで夜響選手の瞬殺だったが相方の松永選手も負けてはいない! チーム欣喜雀躍、雀が踊るチーム名にしてはすごすぎだぞ――――――!!』
実況の声が響き、二人の名前が多くの観客、さらにTV中継で観戦している人々にも印象深く残された。
そして、彼女らは明日の本選出場が決まった。
大和が出ません。なぜかって?『関係者の方以外の立ち入りを禁止します』的なあれで選手控え室には顔を出せませんでした。ある意味常識です。彼は観客席でめいいっぱい応援していますので、あしからず。
そして次回から本戦開始!! まじバトルだよ!! マジ決戦だよ!!
次回もよろしくお願いしまっす!!