真剣で私に恋しなさい!S~鳴く少女のマジ恋!~ 作:Celtmyth
あらすじ
『
若獅子タッグトーナメント開幕!
健美と燕は順調に試合を勝ち残り、本戦へ向けて進んでいく。その休憩中、燕はまだ百代討伐協力を諦めていない事を伝える。同時に健美を選んだ理由と考えを伝える。しかしそれでも答えはもらえなかった。
そんなこんなで最後、凸凹マシンガンズを倒した二人は本選出場が決まった。
』
翌、8月3日。タッグトーナメント本戦当日。
「それじゃあ大和クン、行ってくるね」
「はい、頑張ってください」
「ピュイ」
「うん、健美ちゃんも頑張って」
本戦に勝ち残った燕と健美は入場待機の為に控室へ向かう前、大和からの応援を貰っていた。予選と同じく大和は直接的なサポートは出来ないので今日も観客席での応援と言う形となっている。しかし電話でやり取りをするくらいの事は可能である。(昨日は特にアドバイスがなかったのでしなかっただけ)
「燕先輩、もし情報か何かあれば電話してください。スグルが映像を撮るらしいので」
「わかったよ。じゃ、私は行くね」
先に燕が一般人立入禁止区域に入っていく。少し急ぎ過ぎではないかと思うが彼女の事だ。先に入って拾える情報は拾う腹積もりなのだろう。
「健美ちゃんも何かあったら連絡を入れてね」
「…………」
「健美ちゃん?」
同じく健美にも一言伝えたが、どういう訳か彼女は大和をジッと眺めている。少し前なら何かあるのかと思うが、開幕前夜の事もあるので大和はかなり照れくさい。
「……しつもん」
「へっ? あっ、ああ、うん。なに?」
人語で声をかけられたので大和は驚いたがすぐに落ち着いて返事をする。
健美は大和に向かってこう言った。
「おとといの、ホント?」
それはちょうど開幕前夜の事だった。
それを聞いて大和は言葉が詰まるほど動揺し、顔にも熱が上がっていく。なんでこんな時にと思ったが、その理由はすぐに察した。
(ヒュームさんが言ってた事、だよな)
健美は恐れられる事を避けて『本性』を隠している。その起源は与一から聞かされた、研究員に『化け物』と言われた事。最初こそ憤りはした大和だったが、
しかし大和自身の気持ちはすでに『今さら』と呼べる域にあった。
「ホントだよ。俺は健美ちゃんを支えてあげる」
すでに大和の気持ちに揺るぎはなく、目の前の少女の為に頑張ると決めていた。それはもう、『恋』と呼べる域であることも自覚している。でも本気の告白は今日の戦いが終わってからしよう。そんな決意が今まさに固まった。
「……ん」
返事も人語で、珍しい物だった。こう言う場面は初めてなので健美がどんな状態なのか大和はわからないが、彼女が笑顔であったので良い感情を抱いているのはわかった。
「じゃあ健美ちゃん、がんば――」
―――チュ。
今一度、一言添えようとすると頬に柔らかい感触。そして気付く両肩に感覚。
大和は、自身の肩を使って軽い跳躍をした健美にキスをされていた。
「へ?」
「ピュイ」
声が出たのは健美が着地した後で、しかも彼女はそのまま立入禁止区域へと言ってしまった。
「………へ?」
大和は不意打ちの連続でしばらく思考が混乱して立ち往生することになった。
健美の不意打ちからしばらくの時間が経ち、いよいよ本戦開始となった。会場は観客の熱気で空気が震え、声が場外にも届く。そんな中、大和は熱を冷める為に戻るまで時間がかかったのでクラスメイトから怪訝な表情をされていた。
まぁそんなラブコメな話は置いておき、実況の田尻が本戦出場の選手たちを紹介していく。
源義経と椎名京の『源氏紅蓮隊』
長宗我部宗男と島津岳人の『400万パワーズ』
黛由紀江と武蔵小杉の『ザ・プレミアムズ』
那須与一と葉桜清楚の『桜ブロッサム』
福本育郎と鉢屋壱助の『無敵童貞軍』
正体不明の『ミステリータッグ』
マルギッテ・エーベルバッハとクリスティアーネ・フリードリヒの『大江戸シスターズ』
武蔵坊弁慶と板垣辰子の『デス・ミッショネルズ』
不死川心と榊原小雪の『KKインパルス』
九鬼英雄と井上準の『フラッシュエンペラーズ』
板垣亜巳とクッキー2の『アーミー&ドック』
川神一子と源忠勝の『チャレンジャーズ』
大友焔と風間翔一の『ファイヤーストーム』
武田小十郎とステイシー・コナーの『ワイルドタイガー』
羽黒黒子と板垣天使の『地獄殺法コンビ』
そして最後、松永燕と夜響健美の『欣喜雀躍』
以上16チームが田尻の高らかな紹介で会場に現れた。軽く解説の百代と三郎が本戦突破における説明を加えた後、いよいよ対戦トーナメントが発表された。
『欣喜雀躍』は第三試合。相手は、『デス・ミッショネルズ』だった。
「うわっ、こりゃあくじ運が悪いわ」
一戦目が優勝候補相手に苦い顔をする。他に叫んでいる者もいるが今は特に関係ないので放っておく。
そんな中、田尻から更なる説明が伝えられる。
「なお、これはあくまで仮のトーナメント表になります。正式な決定は30分後になります」
これを聞いて燕の顔は普段通りに戻った。田尻が言ったのは交渉次第でチームの入れ替えが行える事であり、初戦からの大物食いやその逆も出来る事だった。
(こりゃあすぐにどこかのチームと交渉した方がいいかな。一番交渉がしやすそうなのは『ファイヤーストーム』か『チャレンジャーズ』ぐらいかな)
選定基準は主に『強者と戦いたいそう』と『二つ返事で受けてくれそう』の二つ。もちろん他のチームに対しても交渉次第で何とかするつもりだった。
そんな事を考えていると手首を健美に掴まれた。
「ん、なに?」
「…………」
燕は応じるが健美は何も答えずジッと見つめている。何かと首を傾げたが、燕はまさかと思う可能性が一つ。しかしあり得る可能性でもあった。
「健美ちゃん。もしかして……」
「……ンピ」
あえてその可能性を言葉にして口に出すことはなかったが、健美は察してくれたと判断して堂々と頷いた。それを見て燕は掴まれた腕を引っ張ってみる。しかし解けない。次にこの状態のまま移動してみる。自分が背高いのにまったく動けない。
「…………はぁ」
それは諦めから出たため息だった。
そして時間は過ぎ、正式なトーナメントも決定した後、燕と健美は舞台の上に立っていた。
「さてさて、やっちゃったからには責任とってよね」
「ピ」
「うん、じゃあ行こうか」
気を引き締めて二人は対戦相手対峙する。すると対戦者の方が声をかけてきた。
「妹分でも手加減しないよ、健美」
「頑張る~」
相手は弁慶と辰子。『欣喜雀躍』は入れ替えを行わず『デス・ミッショネルズ』との試合に臨んだ。その原因は健美が、弁慶と戦って勝ちたいとしていたからだった。
初戦からの大物食いとなった健美と燕。困難な壁だが、打ち破れないものとは思ってもいなかった。
余談。
健美たちの試合は一回戦第三試合なので、第一、第二の試合もあった。その結果は以下の通り。
第一試合、『地獄殺法コンビ』VS『ワイルドタイガー』。
両チームの試合はある意味で幸運な結果と言えた。試合開始直後、黒子がステイシーに向かっていくも銃で反撃をされる。しかし黒子はその乱射に耐え、その隙に天使が小十郎と対峙して彼をノックアウト。
勝者は『地獄殺法コンビ』となった。
第二試合、『400万パワーズ』VS『無敵童貞軍』。
こちらの試合は忍者がいたにも関わらずあっさりした決着だった。壱助は何か小細工をしたようだったが、宗男が何事もなく油を被った事で不発だったことがわかる。結局、壱助は事実上の1対2の試合となり、忍術を駆使するも敗北した。
勝者は『400万パワーズ』だった。しかしその反面、忍術のオンパレードや育郎を守り切った事から壱助自身と天神館、そして忍者の名が高まった。
ちなみに不発の原因はこちら。
1. 壱助、本人にフェイントをかけつつ宗男の樽に爆薬を仕掛け終える。
2. 何事もなく立ち去った後、そこに燕を抑え続けて気分転換をしていた健美が出現。
3. 火薬の臭いを嗅ぎ取り、それが唯一火薬を使う焔の物ではないと気付く。
4. 不審な危険物として九鬼の関係者に渡す。
5. 樽を取りに行った宗男だったがない事に気付き、急遽予備を使う事になった。
以上。
はい、トーナメントはいきなりこの二人のバトルになります。理由としては、『このまま変えなかったらクロ-ン組と闘うな』と気づいたから。だからこのままにした感じです。ついで、第二試合は主に、やりたかったから。
それプラス、健美のキスは背伸びした感があると思いましたが、それがいいとどこかの自分がささやきました。ちなみに大和はこの時点で健美の正体に辿り着いています。その上で大和は健美を支えます。さっさと告白しろ軍師。
でも次回、弁慶との戦いは熱く行きたいと思います。熱くなかったらそれは私の未熟さです。先に謝ります、未熟でごめんなさい。
それでは次回、楽しみにして下さい。