真剣で私に恋しなさい!S~鳴く少女のマジ恋!~   作:Celtmyth

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 以前の投稿ペースにはまだ戻れていませんが、なんとか投稿を続けています。やっぱり戦闘シーンンは難しいです。では本編へ、。どうぞ。


あらすじ

 弁慶を倒した健美はじっくりと休んで次の試合に備えていた。その試合の相手は那須与一と葉桜清楚の同じクローン同士の戦いだ。しかし今度は一回戦のような激しい戦いにはなからなかった。
 与一が燕に健美との一対一を申し願い、彼女はそれを承諾した。そして始まった二回戦は与一たちが一回戦で見せた内容とほぼ同質。観客も息を飲んで見守った。互いに最大の力を練り上げ、真正面から向かい合った結果、
 軍配は健美側となった。そして欣喜雀躍は順調に勝ち上がった。
 』


第二十一話「VS源義経」

 

 

「うぉおおおおおおおおおおおおお!!」

「ふぉおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 雄叫びを挙げて突進してくるのは力自慢の岳人と宗男のコンビ。小細工なしの真っ向勝負。しかし――

 

「ちょいや」

「ごふっ!」

「がふっ!」

 

 真っ向勝負し過ぎてあっさり燕に片足を挫かれ、

 

「とぉ」

「がっ!」

「ぶっ!」

 

 そのまま点穴を打って二人の意識を奪った。

 

「燕選手、二人同時にノックアウト!! 準決勝第一試合! 勝者、欣喜雀躍!!」

 

 苦労と呼べる苦労もなく、この試合の勝利を収めた。

 

 

 

 

 

 

「いや~、楽勝楽勝♪ 400万パワーズは動きが単純だから予測しやすかったよ」

「ピュイ」

「勝利した時と言ってたことが違うって? いやいや、嘘は言ってないよ」

「ピュ」

「あ、あははは……。言い得て妙だね、ここで『武士の嘘は武略』とは」

 

 遠慮なくズバズバと言われてさすがに参っている様子の燕。が、『よよよ……』とワザとらしい行動を取っているので実際は表面上だけだろう。健美もそれはわかっているのでジト目のまま彼女を見ていた。

 

「ピピッ」

「そだね。お遊びはここまでにしようか」

 

 しかしこのやり取りはちょっとしたお茶目だったようだ。燕はパッと気を張り、健美もジト目の色を消して眼光が走るほど鋭くする。二人が見ていたのは天井から吊るされているテレビ。そこに映し出される光景。

 

『それまで! 準決勝第二試合、源氏紅蓮隊の堂々勝利!!』

 

 ちょうどもう一方の準決勝が終わった所だった。そして、彼女たちが戦う相手が決定した瞬間だった。

 

「順調に勝ち進んだね。これで源氏トリオと戦う事になっちゃったね」

「ピュイ」

「最初のトーナメント表を見た時から確信してたって? 信頼してるんだね」

「ピュ」

 

 堂々と胸を張る健美。見ていて愛らしい姿だ。

 

「自慢なんだね。――だからこそ勝ちたいんでしょ」

「ピ」

 

 今度は力強く頷く健美。ここに来るまで弁慶、与一と言う兄姉分たちを超えてここまで来た彼女だ。いまさらその心に揺らぎはない。ただしこれまでに試合とは違うものだ。その為にすることは、一つしかない。

 

「でも今度の相手は前衛と後衛がしっかりした、理想形と言ってもいい二人組。一人で突っ走っても勝てないよ」

「……ピピッ」

「そこまで嫌われるのはもう慣れたけど、次の試合は信頼してちょうだい」

「ピュイ」

 

 源氏紅蓮隊に勝つためには、こちらもコンビネーションを駆使するしか他はない。この大会初めて、二人が息を合わせる事が勝利への道だった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、両チームは衝突した。

 

「でやぁ!」

「ほっ!」

 

 義経の鋭い一刀を紙一重で躱す燕。しかし戦っているのは彼女たちだけではない。

 

「―――ヒュ」

 

 燕の影から健美が姿を見せ、義経の懐へ入り込もうとする。弁慶を倒した彼女なら義経相手では拳一つ当てるだけで沈められる。

 しかしそう簡単に事は運ばない。

 

「まだ甘い!!」

 

 義経の後方、弓を構えた京がその隙間を埋めるように矢を放つ。精密性の高いその矢は義経を傷つけず、かつ健美を狙った軌道を飛ぶ。すでに懐に入ろうと攻めに出ていた健美にそれを避ける術、退路はない。健美に為す術はない。

 

「はい救助!!」

 

 故に燕がそれをフォローした。彼女は義経の刀を避け、その後に健美が入れ替わった事で下がろうとしていたのでそのついでと言わんばかりに健美の首根っこを掴んで引っ張る。それが戻れない健美を戻すことに成功。矢は誰にも当たることなく流れた。

 しかし相手側もそのまま逃がすつもりはなかった。

 

「隙あり!!」

 

 二人の近くにいた義経が二刀目を振る。先ほどの一刀より速く、鋭い物だった。

 

「……ッ!」

 

 だがその閃光を、健美の手刀が弾いた。雷の属性を纏わせたその一振りは義経の刃にも引けを取らない威力を持ち、剣戟に似た音を鳴らす。

 その後に両者は距離を取って離れた。

 

「なんと! 決勝に相応しいほどの接戦であり、この大会の名に相応しいコンビネーションを魅せる試合だぁ!!」

 

 このタイミングで田尻の実況が割って入り、それに観客たちが湧く。実力者が織りなすコンビネーションの一進一退。まさに『若獅子タッグトーナメント』の名に恥じない試合だった。

 そんな沸き立つ試合を前に、大和は緊張感と焦りの色があった。

 

(やっぱり源氏紅蓮隊は大会一の優勝候補なだけある。と言うか京のやる気がハンパない……!!)

 

 少し関係無いところが混ざってはいるが、大和の見解は正しい。だからこそ欣喜雀躍が勝てるのかと不安を抱いている。しかし試合中、彼に出来る事はない。見守り、勝利を願うしかない。

 大和がそんな心配をする中、試合の臨む二人はただ相手の隙をついて勝つことだけを考えていた。

 

「わかっていたけどあっちのコンビネーションは『整ってる』ね! 少なくて小さい隙でも必ず嫌なタイミングで埋めてくる!!」

「ピュ」

「確かにその上、京ちゃんを狙ったら義経ちゃんが向かってくるから必然的に義経ちゃんと戦わなきゃならなくなる、だね!!」

 

 二人は冷静に分析・振り返りを行って逐一で状況を整理していく。しかしあくまでこれを整理しているのは燕。健美はただ彼女の指示通り、そしてその時の判断で足並みをそろえているだけである。その上で相手と引きを取らないコンビネーション。賞賛の一言だ。

 

「だけど今は隙を見つけてそれを通すしか勝算はないから、続けていくよ!」

「(コクリ)」

 

 二人は再び義経に向かっていく。接近戦に置いては2対1という物だったが、京がフォローしている故に実質の2対2.むしろ遠く離れた京からの援護射撃が厄介であり、優劣で言えば欣喜雀躍が不利だ。燕と健美はどちらも『前衛』。『前衛』の義経と『後衛』の京と違ってバランスが悪いのだ。それでいて決着がつかないのはそれを補う技があっての賜物だ。

 

「こい、健美!」

「一応、私もいるんだけど!」

 

 そして再び義経との接戦を始める。しかし後ろからは京の矢が絶え間なく義経の隙間を縫って飛んでくるので上手くリズムに乗れない。隙の多さでは健美・燕の方が多いくらいだった。それでもその隙を突かれる事はなく、そして目の前にいる義経を倒そうと攻め続ける。

 その中で燕が大勢の意識の外、健美だけにわかる場所で簡単なジェスチャーをした。それに健美はパチパチッと、静電気レベルの音で返した。

 

「長引くと分が悪くなるから、一気に行くよ!!」

「ならこちらも!」

 

 長引く接戦になると思われたが、唐突過ぎる決着宣言に両チーム距離を取り、観客も一斉に静まり返る。そして、再び正面に向かって飛ぶ。義経と向かい合ったのは、健美だった。

 

「やっぱりお前が来るか健美!!」

 

 向かってくるのが妹分と知ってどこか嬉しそうな義経。しかしその感情を表情に見せたのは一瞬。すぐに武士の顔に戻り、刀を構える。やる事は一刀で健美を倒し、連続して燕を倒す。もちろんそれは後方に控える京の援護射撃を信じた上で。

 

 

 

 

 

 

 もしそれが撃ち落とされたらどうなるか。しかも、自分が対峙していると思っていた妹分によって。

 

 

 

 

 

 

「あっ……!!」

 

 京から焦りの声が聞こえる。理由は援護射撃に放った矢がことごとく健美によって撃ち落とされた。義経の影から見事に、だ。義経はその事実に気付かず、健美の放った雷がワザとらしく外れた真意を考えずそのまま打ち込みに言った。

 

「はぁああああああああああ!」

 

 義経の一刀が健美へと振り下ろされる。互いに前へ進みながらであるためその接触は免れない。だが忘れてはいけないことが一つ。これはあくまで『タッグ』なのだ。

 

「―――ハズレ」

 

 刀が振り下ろされようとしたその時、健美の口からそんな一言が漏れた。さすがに何かと気が緩むが刀は止まらない。気が緩んでも一撃必殺の威力は変わらない一振りが健美へと降ろされ――たが逸れた。

 

 

 

 

 

 後ろの燕が健美の襟を引っ張って無理矢理間合いから外させたのだ。

 

 

 

 

 

「何!?」

 

 義経は考えてもいなかった方法で避けられて一瞬意識が乱れる。しかしこれは彼女の素直さが招いた結果だ。これまで片方がもう片方を救う形で攻撃を避けた場面などいくらでも目撃した。燕が「一気に決める」と叫んだ言葉が一手だけのものと思わなければこの場面はなかった筈だ。

 しかしすでにそれをやり直す機会はない。京の援護は健美が撃ち落とし、義経の一刀は燕が回避させた。ここが健美と燕の、最高の好機――――!

 

 

 

 

 

 

「せーっ」「ッヒュ」

 

 

 

 

 

 

 この好機に二人の拳が義経の体へ同時に放たれた。

 

「―――ッッ!!」

 

 強烈な一撃に声すら挙げられず義経の体はくの字に曲がり、そのまま後ろへ吹き飛ばされる。受け身も取れずステージの上を転がり、そして立ち上がらなかった。

 

「勝負あり!! この瞬間にて欣喜雀躍の勝利、松永燕と夜響健美のコンビが優勝だ――――!!」

 

 田尻の優勝宣言が、高らかに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 欣喜雀躍が優勝して会場の熱気は最高値に上がる。いい試合を見せてくれた感謝と興奮が包み込む。大和もその一人だった。

 

「よしっ!」

 

 他の観客たちほど派手な行動は見せてないが、その心の内では感激の熱でいっぱいだった。

 そうした中、二人が田尻からインタビューを受けていた。

 

『優勝した心境はいかがですかな?』

『はい! パートナーが力一杯に頑張ってくれたから優勝できました!!』

『そうですな。では健美選手は?』

『………』

 

 マイクを向けられた健美だったがコメントなどはせず、燕の耳元で何か呟く。

 

『……ああ、なるほど』

『どうかしましたか?』

『うん、いつもの鳴き声じゃだめだと思うから、私が代弁します。優勝はしたけど、健美ちゃんの中ではまだ終わってないそうです』

『終わってない?』

 

「え?」

 

 インタビューの内容に田尻や大和、そして観客全体が揺らぐ。そんな中、健美と燕は同じ場所を見上げていた。そこは、解説席と呼べる場所だった。

 

『私たち、エキシビジョンマッチに真剣で臨みます』

 

 マイク越しに聞こえた言葉に観客はさきほどの意図を理解し、そして解説席――武神・川神百代に視線を向ける。

 

 

 彼女は興奮を隠しきれずワクワクと、二人を見つめていた。まるで獲物を狙う獣のように。

 

 

 

 

 

 

 ―――武神との試合が、もうすぐ始まる。

 




 我ながら400万パワーズの扱いヒドス。タイトルかだから養鶏にタチワルヒドス。

 なんて思いながら義経を倒して優勝した欣喜雀躍です。そして次はいよいよ百代との試合であり、そして健美の舞台も整った感じです。

 近々、正体が明らかになるでしょう。

 それではまた次回に。
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